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オリンピアン源 純夏、初めて観るLS競技会「オーシャンサーフチャレンジ」レポート2013/06/21

THe 14th Ocean Surf Challenge in Shirahama2013   2013.6.16

6月16日、和歌山県白浜町の白良浜海岸で行われた「第14回オーシャンサーフチャレンジin白浜2013」の興味深いレポートが届いたので、ここにお届けしよう。
レポーターとして協力していただいたのは、徳島ライフセービングクラブ代表の源 純夏さん。LSweb

ご存じの通り、源さんは、アトランタとシドニーオリンピックに競泳の自由形選手として出場、シドニーでは400mリレーの一員として見事、銅メダルを獲得。現在は、水泳の指導などを行いながら、故郷の徳島県でライフセービングクラブを立ち上げ、精力的に活動している。

ところで、源さんはライフセービングの大会を見るのは今回が初めて。さてさて、オーシャンやビーチで行われるLS競技や大会に携わる人々にどのような印象や感想を持ったのだろうか。新鮮みあふれるレポートをどうぞ!



文=源 純夏(徳島LSC)
写真=源 純夏(徳島LSC)、東 光寿(徳島LSC)、久保亮介(用宗LSC)




何事も勉強! 安全課見習い補佐いきま〜す

LSweb 徳島からフェリーで2時間、そこから車を走らせること約1時間半でその名の通り白い砂が美しい白良浜海水浴場に到着した。ライフセーバー(実質)2年目で初めてライフセービングという競技をこの目で観るためにやってきたのだ。

 白浜町に到着し、まずはビーチへ。すでにJLAやスポンサーのサインフラッグが設置されていて明日からの大会に期待が高まるばかり。すでに夕方近かったため陸にいる大会関係者はほぼ見当たらない中、海に目を向けてみると、後に呼び方を知った「安全課」の方たちがIRBの調整を繰り返していた。

 また、そのすぐ近くでは明日出場するとおもわれる選手たちがアップをしている。
 「おー、そうか、大会に出場する前ってそんな練習するのかー」

 ここで改めて確認しておきたい。私は3年前にベーシックを取得したものの、実質の活動は昨年からで、しかもライフセービング不毛の地と言われて長い四国は徳島で細々と活動している自称・へっぽこライフセーバーである。どれほどのへっぽこぶりかと言うと、選手が当たり前に使っているマリブも私にとっては非常に珍しいのだ。

 夕方からはレスキューミーティングを経て、開会式レセプションにも出席させていただいた。前日にこうしたパーティーが行われるのがこの大会の特色らしい。来賓も地元の方が大勢お越しになっていて、地元が盛り上げようとしている姿勢がひしひしと感じられる。

 私はこれまで競泳をしていて、開会式で選手宣誓は当たり前に思っていたが、LSではオフィシャル(審判)も宣誓をするのだ・・・!
ひとつの大会を開催する側と出場する側双方で創りあげていく姿勢がまた新鮮に感じた。

 さて、パーティーの最大の盛り上がりはというと、出場チームの紹介コーナーだ。とても学校の先生とは思えない吹田氏の素晴らしいマイクパフォーマンスで各チームが壇上に上がりアピールをしていく。

 中でも群を抜いたパフォーマンスはどうやら名物(?)らしい神戸LSC。メンバーが寸分違わぬ見事な関西のズッコケを披露し、完全にその場を支配した。チームの紹介が終わり、なぜか私が壇上に呼ばれるというハプニング。どうやら、わざわざ徳島からひとりで視察にやってきているのが珍しかったらしい。幸いにも胆は座っている方なので、これ幸いにと、徳島ライフセービングクラブのアピールをしっかりとさせてもらった。

LSweb 大会当日の朝、6時過ぎにはビーチに向かう。
 さすがに選手たちはまだまだ少なく、本部も人がまばらだったが、すでに「安全課」の方々は勢ぞろいしIRBのエンジンに手を掛けているところだった。

 私も自然と大会関係者の中で最も早く1日が始まっている「安全課」のテントへ足を向け、徳島LSCにも多大なご協力を頂いている神戸LSCの古中氏や、先日受講したWSでお世話になった藤井氏といった顔見知りの方々と、「今回、私が白浜にやってきた目的はとにかく競技をこの目で観たいと思ったからだ」というようなことを話していたら、「それだったら安全課の視点から見てみるといいよ、全体がよく分かるから」ということで、私の安全課見習い補佐の1日がスタートした。

 まずはコースセッティング。浜からゴルフ用の距離を測る器具を用いて、レシーバーでIRBへ指示を飛ばす。この時のIRBの操作が凄い。レース内容にも関わる重要な作業のため慎重かつ丁寧に行われ、最終的には「5cmもずれていない(そんなワケはないのだが…)」ブイ打ちの完了。IRBの巧みな操作はもちろん、レシーバーでのやり取りひとつが私にとって勉強になる。

スイム系では、アスリート魂がうずく私

 大会の最初はビーチフラッグス(予選)。ライフセービングの中でメジャーな種目とはいえ、もちろん初観戦。まずこの競技、スターターが何を言っているのかが聞き取れない。
 笛を吹く直前の「Heads down」だけは何とか聞き取れるけど・・・、どうしても気になって質問をすると、「Competitors…Ready…」ということらしい。やたらカッコイイじゃないか。しかし、ビーチフラッグス以外の競技でのスタートは「用意…プゥフォー!(エアフォーン)」なのに、“なんでビーチフラッグスだけ?”という疑問は、お土産にしてしまった。
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 いわゆるスイムのサーフレースなら、今の私でも挑戦できる種目かなーと思いつつ、それは今回のように穏やかなコンディションであればの話で、特に午後から少しうねりがでてきた状況をみるとインアウトに関してはまだまだ経験不足だし、元々持久系にはめっぽう弱いスーパースプリンターなので「もっとトレーニングをしないとなぁ」と、いつか選手としての出場に思いを巡らせてみる。

LSweb サーフスキーレース。こうしたクラフト機材がズラリと並ぶ風景だけでも私にとっては衝撃的なのである。
 じつは一度だけ乗ったことがある。静水面でも面白いほどの沈、チン、沈。直進は何とかなっても、少し曲がろうとしただけで沈。それを自在に操るためには相当なトレーニング時間を要するのだろうなと思っていたら、やはり大きな競技会ではサーフスキーの上位はほぼ社会人だとのこと。筋力的トレーニングはもちろん、スキーを操る技術や波・潮・風を読むための経験が多く必要なのだろう。
 
 ちなみに今大会では数名がリタイアしていた。そのうちの一人の女子選手に話を聞いてみると、サーフスキーレースに出場するのは初めてだったそうだ。自らの実力不足を判断してリタイアできることもライフセーバーの能力だと改めて確認。

 ボードレース、これまたマリブ自体が珍しい私。そしてこれも一度経験がある。当然のごとくものの3秒も持たずに沈をした苦い思い出である。
 今回は本当に穏やかなコンディションで行われたレースだったが、それでも特にブイを回るときなど軽い接触が見られ、コンディションによっては相当タフなレースになるのだろうと想像する。

 しかし、この穏やかなコンディションでは逆に波を利用できないためパドルレースの様相になり、それはそれできついレースだっただろう。そんな中でもやはり実力のある小林海選手のパフォーマンスは素晴らしかった。

LSweb そしてボードリレーにはなんと小峯理事長の姿も!朝一の飛行機で和歌山に到着しすぐさまレースに参加されたとのこと。組織のトップがこうして現場に参加するなんて見たことがない!というショックと、ライフセービングには社会的地位も年齢も(笑)本当に関係ないのだと感動を覚えた。

 ルールを教えていただきながら観たのは、レスキューチューブレスキュー。ルールはひと通り予習をしていたが、文字と図だけではなんとなくイメージがぼんやりとしていた。やはり自分の目でレースを観るのが一番勉強になる。
実際の救助を想定した競技であり、予習の際に疑問だった「ペイシェントはどこまで協力していいのか?」という疑問もスッキリ解決。

 オーシャンマンはボード、スキー、スイム、ランを一人でこなす“海の鉄人”レースというイメージか。男子で優勝した亀ノ上選手はボード、スキーで2位をキープし、スイムで逆転。総合力が試されるとはいえ、自分の強みを持ってそれを必要な場面で発揮できることも重要だと感じる。
 例えば、私の場合、強みはやはりスイム。しかしそれ以外がまずもって練習不可能な環境(機材がない)にいるので、どうしたものかと悩む。と同時に、やはり選手として出場してみたい気持ちが心の中にあることに気付く。

ライフセービングの素晴らしさを実感

 大会中は、安全課の皆さんから競技の説明だけでなく様々なレクチャーを受けた。もちろん、見習い補佐として平藤氏からの「ハタラケ、ミナモトー」の一声を浴びながら、お手伝いさせていただくことであっという間の1日となった。

 それにしても、安全課の皆さま方の働きは凄まじい(きっと前日準備も多大にあったと思う)。当日もどこよりも早く活動を開始し、サーフ種目はもちろん、ビーチ種目も手伝い、使用する機材はどこよりも多く、またその片付けまでをするので、撤収も一番最後。

 最初にいわれたように、安全課の視点から観ることで大会全体を見渡すことができたし、安全課の皆さんのおかげで大会がスムーズに運営されていることを知ることができたのも大きな収穫だった。
 見習いからいつか作業員として活動できるようになりたいという大きな目標を持つこともできた。
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 最近、口癖のようになっている言葉がある。
 「あと10年早くライフセービングに出会っていれば・・・」
 
 アスリートにとってご法度である“たられば”を口癖にするほど、この「生命を救うスポーツ」に魅了されている。そして、LSに関わる人たちの気持ちの良さにすっかり心を奪われている。

 人が何かに取り組むときに必要なのは目標だと思う。その昔、私はオリンピックという舞台に憧れ、そこでメダルを獲ることが大きな目標だった。

 今の目標は、それぞれの立場や想いでLSに取り組んでいる人たちに技術的にも精神的にも追いつくこと。競技に触れたことで、ココロは10年前の乙女(笑)に戻ってきたようだ。






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徳島ライフセービングクラブ
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2012年発足。四国初のライフセービングクラブとして、徳島市・小松海岸でのパトロールや、吉野川での水辺の安全教室などなど「徳島県での水の事故ゼロ」を目指し、またビーチクリーンなど1年を通して精力的に活動中。徳島でライフセービングをしたい!という人は、下記まで連絡してみよう。

徳島ライフセービングクラブ
https://www.facebook.com/lifesavingtokushima
http://tokushima-lsc.com

問い合わせメールアドレス
tokushima.lsc★gmail.com
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