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第26回全日本ライフセービング・プール競技選手権大会
競技会レポート 総集編
2013/05/25

The 26th Japan National Pool Lifesaving Championships Report - Roundup -

日体大LSC、王座奪還!
早大LSCが史上初の準優勝


 LSweb第26回目全日本LSプール競技選手権大会は、日本体育大学LSCが王座に返り咲き幕を閉じた。
 
1年ぶりに理事長杯を贈られた宮崎翔平日体大LSC主将は、
「プールインカレで悔しい思いをしたので、とにかく基本を見直し、失格をゼロにするという目標かかげて練習しました。まだ完璧ではありませんが、成果は出たと思います」
と笑顔を見せ、本城里華副主将は、
「今年は“団結”をキーワードに、競技に出る選手も、応援する部員も一生懸命がんばりました。夏に向けて、そしてインカレに向けてますますがんばります!」と次なる目標を掲げた。

若手の活躍、ベテラン勢の踏ん張りを、記録とともに見ていこう。

2013.5-18-19 神奈川県・横浜国際プール

文・写真=LSweb編集室






ニューカマー、躍進

 LSweb今年の全日本プール競技選手権では、女子100mマネキントウ・ウィズフィン、女子4×25mマネキンリレーの2種目で日本記録が、男子ラインスロー、男女200mスーパーライフセーバー、女子4×50m障害物リレーの4種目で大会記録が更新された。
 
 記録更新ラッシュ(日本新:8種目、大会新:5種目)に沸いた昨年と比べると、タイム的には平凡なレースが多かったが、高校生や大学1、2年生といった、将来が楽しみなニューカマーの台頭を目にすることができた大会でもあった。

 昨年、クラブ創立25周年を迎えた早稲田大学LSCは、今大会で総合2位と過去最高の成績を残した。
 早大2年の高柴瑠衣は、女子200m障害物スイム(2位)と女子100mマネキントウ・ウィズフィン(3位)で、また同じく2年生の大山玲奈は、女子200mスーパーライフセーバー(2位)で表彰台に。男子200m障害物スイムでは、2年生の江藤亜門が2位となった。もちろんリレーメンバーとしても活躍。1年先輩の竹内芽衣や、男子の市川智貴らと共に得点を稼いだ。

 高校時代から日本代表として活躍し、今年4月、日本体育大学に入学した坂本佳凪子は、女子100mマネキントウ・ウィズフィンで日本記録を更新。一方、同大学2年となった兄の坂本 陸も、得意の男子200mスーパーライフセーバーで大会記録を更新した。

 拓殖大学1年の大澤凌太は、男子200m障害物スイムで3位入賞。「幸先の良いデビューが飾れました」と嬉しそう。「大学在学中に、中本先輩を超えるメダルを獲りたいです」と、隣にいた中本直也を驚かせる意気の良さを見せた。LSweb

 そのほかにも、日本女子体育大学2年の相馬紗織と髙橋頼子、日本大学1年の速水 愛、同じく日大2年の鯨井洸紀と宇治川仁人、東海大学湘南校舎2年の中島静香そして古泉俊二郎、大阪体育大学2年の黒木健太、同じく大体大1年の小林 海、法政大学2年の合津翔太、国際武道大学2年の寺本 陸などが個人種目で入賞しており、今後の活躍に期待が持てる。

 ニューカマーは大学生だけではない。高校生の参加が大幅に増えたのも、今大会の特徴の一つだ。個人種目に参加した高校生は、男女合わせて2日間でのべ57人。
 ジュニア時代から地域クラブで活動してきた選手も増えてきた。そういった選手は、高校生といえどもライフセービング歴は4〜5年、あるいはもっと長く、立派な戦力として団体種目にも出場していたりするわけだ。LSweb
 
 その代表例が、女子100mマネキンキャリー・ウィズフィンで2位、女子100mマネキントウ・ウィズフィンで6位に入賞した髙橋愛海や、女子100レスキューメドレーで5位となった上野真凜の西浜SLSCメンバーだろう。

 一方、昭和第一学園高校や成城学園のように、学校の部活動としてライフセービングに出会うパターンもある。昭和第一高は学校にプール設備がないが、そんなハンディを感じさせない奮闘ぶりを見せてくれた。中でも茶本三春、小形梨沙ペアが、女子ラインスロー2位と素晴らしい成績を残したのが印象的だった。

 そのラインスローでレスキュアーとして男女ともに優勝したのは、昨年11月にユース日本代表として世界大会を経験した、成城学園大学2年の利根川莉奈と、大体大1年の小林 海だった。
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 高校生でもうひとり入賞したのが、女子200m障害物スイム8位の名須川茉莉乃(茅ヶ崎SLSC)だ。九十九里LSCの名須川開渡、茅ヶ崎SLSCの名須川紗綾の妹である。「日本代表に選ばれた姉の姿が格好良くて」ライフセービングをはじめたという名須川4兄妹の末っ子。兄、姉は今大会でいずれもメダルを獲得している。今後も2人に追いつけ、追い越せの意気込みで頑張ってほしい。

 もちろん、今大会で活躍したのは若手ばかりではない。幹部としてクラブを引っ張る大学3、4年生、新生活を始めたばかりの社会人1年生、そして仕事と両立させるベテラン社会人たちは、それぞれがベストを尽くして、きっちりと結果を出していた。

 4月から社会人として働き出した銚子LSCの栗真千里は、女子200m障害物スイムで自己ベストを更新して優勝。日大の4年生となった三井結里花も、得意の女子200mスーパーライフセーバーで大会記録を更新する泳ぎを見せた。
 
 30代女子として圧倒的な強さを発揮したのは、館山SLSCの毛利 邦だ。女子50mマネキンキャリー、女子100レスキューメドレーの2種目で優勝。多忙な社会人でも、本人の努力次第で仕事と両立できることを証明してくれた。

 男子200m障害物スイムでは、東京消防庁LSCの平野修也が優勝した。水難救助隊としての任務につきなら、競泳の日本選手権にも出場する平野の得意種目は50m自由形。「だから、最初のターンでもう疲れてしまって」といいつつ、2位以下を2秒引き離しての勝利だった。

 30代後半、ベテラン男子の意地を見せてくれたのが、男子100mマネキントウ・ウィズフィンと男子200mスーパーライフセーバーの2種目で入賞した御宿LSCの林 昌広と、男子50mマネキンキャリーで入賞した銚子LSCの田村憲章だろう。
 その背中を見ているのが、男子100mマネキントウ・ウィズフィン2位の長竹康介(西浜SLSC)や、男子100mレスキューメドレー入賞の落合慶二(東京消防庁LSC)ら、中堅ライフセーバー。
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 そして、そんな挑戦し続ける30代の背中を追いかけているのが、社会人生活が始まったばかりの西山 俊(湯河原LSC)や菊地 光(九十九里LSC)、小出大祐(東京消防庁LSC)、益子進一(九十九里LSC)、葺本康隆(波崎SLSC)、古金源太(銚子LSC)たちだ。

 高校生、大学生、そして社会人まで、年代を超えて0.1秒を競うことができるのが、プール競技選手権の醍醐味である。

=敬称略


同時開催されたCPR講習会

 LSwebプール競技選手権が行われていた横浜国際プールでは、競技日程と平行してCPR資格認定講習会が開催されていた。
 
 競技会のために施設を貸し切るのであれば、一般市民向けにCPR講習会を開催することも可能なのではないか、というアイディアで行われたこの講習会には、大学1年生を中心に19人が参加。競技に負けず劣らず、非常に熱心に講義、実技に励む受講生の姿があった。

 受講生の一人、国士舘大学2年生の鈴木悠花さんは、
「今年の2月からクラブに加入しました。元々、水泳をやっていてライフセービングに興味を持っていたのがきっかけです。夏のパトロールに向けて今日はCPR、来週はウォーターセーフティー、6月にベーシックと資格取得に大忙しですが、ライフセービングは楽しいです!」
 と元気いっぱい。以前持っていた資格を失効してしまったので、と参加した高崎千鶴さんは、
「分かってはいたことですが、CPRをやり続けるのは重労働だと、改めて感じました。JLAの講習会に参加すれば、資格として認定してもらえますから、一般に人にもオススメですよね。それに講習の後に競技も少し見られたので、楽しかったです」
 と言いながら、顔見知りのライフセーバーと談笑を楽しんでいた。

 今回の試みは、講習会を受講してもらい、ライフセービング活動の一つである大会にも興味を持ってもらうには一石二鳥の企画だったと思う。
 
 惜しむべきは、もう少し広く一般に告知されていれば、普段からこのプールを利用者している人たちなどが参加してくれたのではないか、ということだ。
 心肺蘇生法やAEDの使い方を知りたいというニーズは、一般の人たちの間で年々高まっている。こうした機会をもっと増やしていけば、ライフセービングのすそ野はさらに広がるはずだ。



第26回全日本ライフセービング・プール競技選手権大会 成績表








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