Competitions

LSweb
九州初上陸!宮崎・青島ビーチで開催された
三洋物産インターナショナル ライフセービング カップ2015
2015/07/26

SANYO International Lifesaving Cup 2015 2015.7.19-20 宮崎県宮崎市・青島ビーチ

LSweb
日本各地で梅雨明け宣言が出された海の日の三連休。

宮崎県宮崎市の青島ビーチで「三洋物産インターナショナル ライフセービング カップ 2015」が開催された。

8回目を迎えた今大会には6カ国・地域、7チームが参加。2日間にわたって、真剣かつ親睦を育むレースが行われた。

文・写真=LSweb編集室





オフシーズンでも強し南半球勢
サーフ競技はAUS、NZLが上位独占


LSweb 今大会には、世界大会二連覇中のニュージーランド、サーフライフセービング発祥地のオーストラリア、近年ライフセービング競技に力を入れているカナダ、協会設立から50年の歴史を持つ香港、そして初参加となる台湾という外国勢と、日本代表、ユース日本代表の7チームが参加した。

 会場となった青島ビーチは、硬く締まった砂と遠浅の海が特徴。鬼の洗濯板で有名な青島が、南からのうねりをブロックしてくれるため波も穏やか。

 荒天で県内の海水浴場がすべてクローズしても、よほどのことがない限り、青島海水浴場だけは遊泳注意でオープンしていると教えてくれたのは、オフィシャルとして今大会に参加した宮崎LSCのメンバーだ。

LSweb 競技は初日、二日目と同じ種目を繰り返すドリル形式で、各日それぞれ個人種目、リレー合わせて9種目が行われた。

 生憎、天候は二日間とも雨が降ったり止んだりで、ビーチの砂はさらに硬く締まったコンディションに。サーフ競技はイン・アウトの技術が、またビーチ競技は硬い砂をどう攻略するかが、勝敗を左右する大事な要素となった。

 ビーチフラッグスでの活躍が期待される、日本代表の植木将人は「本音を言えば硬くない砂のほうがいいですが、二週間前に千葉県の岩井海岸で行った代表合宿が雨で、まさに今回のようなコンディションでした。その時の調整を活かしたいですね」とレース前に話してくれた。

 いよいよ競技開始。
 初日のサーフ種目で格の違いを見せたのが、オーストラリアとニュージーランドだ。

 この2つの国が位置する南半球の7月といえば真冬。つまり彼らにとってはオフシーズンにも関わらず、サーフレース、ボードレース、オーシャンマン/ウーマン、ボードレスキュー、オーシャンマン/ウーマンリレー、レスキューチューブレスキューのすべてのサーフ競技でオーストラリアとニュージーランドが上位を独占、圧倒的な強さを見せつけた。
LSwebLSweb
 
LSwebLSweb
 優勝したオージーやキーウィに話を聞くと、「本格的なトレーニングができていないので、調子は70〜80%ぐらいかな」とさらりと言ってのける。それでも軽々と勝ってしまうのが、世界大会のサーフ種目でも常に1位、2位を争っている国の実力なのだ。

 サーフ種目で3位争いを繰り広げたのは日本代表とカナダ、そしてユース日本代表だった。

 特に初日のボードレスキューでは、男女ともにユース日本代表が3位と大健闘。女子は上野真凛と高橋志穂、男子は廣田 諒と上野 凌が南半球勢に続きフィニッシュした。
LSwebLsweb
 「(上野)真凛とは自然と息が合うんですよね。同じクラブでもないのになんでだろう? きっとライバルで競い合うことが多いからですね」と話すのは、ユース女子の高橋。

 一方ユース男子の廣田は「(上野)凌とは同じ西浜でいつも一緒に練習しています。二人で練習した回数ではフル代表の(長竹)康介さんと安藤さんに負けませんから、実は狙っていたのです。だから3位に入れてめちゃくちゃ嬉しいです」と満面の笑顔で話したくれた。

白熱のビーチ競技
初日は頂点に届かず



 つかの間の晴れ間が覗いた初日のビーチ競技。

LSweb ビーチスプリントで優勝したのは女子のゾー・ホップス、男子のジェイク・ハーレイという、共にティーンエイジャーのニュージーランド勢だった。

 男子のハーレイは18歳ながらNZ国内でオープンを制した実力を発揮し、2位以下を大きく離す俊足ぶりを見せた。

 ハーレイに続きゴールしたのは、日本代表の森 新太郎。初代表入りとなった森は、後半にぐんぐんスピードを増し、オーストラリアのジェイソン・ガウを抜き抜き去り2位。

 日本選手はこれまで、前半でリードしても後半で抜かれる展開が多かっただけに、今後の活躍に期待が持てる、気持ちの良いレース展開だった。

 大勢のギャラリーを集めたビーチフラッグスは、予想どおり日本選手が決勝まで勝ち上がる展開に。

LSweb 女子は日本代表の但野安菜が、オーストラリアのブリー・マスターズと対戦。スタートは但野のほうが明らかに速いのだが、初日、二日目ともにランで追いつかれ惜しくも2位という結果となった。

 マスターズは、「彼女(但野)のスタートはとても速いけれど、私はスプリントが得意なので、焦らず、フラッグに向かって真っ直ぐに走ることに集中しました。フラッグに向かって正面からアプローチすれば、体の接触があっても私のほうが体格が良いので負けない自信がありました」とレースを振り返った。

 カナダのデニス・クックと日本代表の植木将人の対決となった、初日の男子ビーチフラッグス決勝。ほぼ互角のスタートを制したクックは、フラッグを手にガッツポーズを決めた。

 「勝因は自分でも分かりません。ただ、とにかく落ち着くように、これはファイナルじゃなくて普通の練習だって自分に言い聞かせました。
 彼(植木)を初めて見たのは、2012年の世界大会。とても速かったので、彼をイメージして練習をしてきました。だから彼に勝つことができて、感激です」と興奮冷めやらぬ様子だ。
LswebLSweb
 クックの経歴は一風変わっている。公園の階段やビルの壁を飛び越えるパフォーマンスをしていた、という彼。

LSweb 「陸上をやっていたわけではないけれど、脚力が鍛えられたのは、跳んだり跳ねたりしていたことと、ブレイクダンスをやっていたからかな」と笑顔を見せた。

 また、スタートラインより少し後方に体をセットするのがクック流なのだとか。
 「調子が悪いときにいろいろ試した結果、少し後ろで位置に着くのが良かったので。普通はなるべくラインのギリギリに位置したいですよね。でも、ほんの少し後ろに下がるだけで、スタート前にいろいろチェックされることがなくなり、集中しやすくなりました」と話すクックだった。

 大会初日に首位に立ったのは、男女各4人で戦ったニュージーランド。2位のオーストラリアは5ポイント差で首位を追いかける展開となった。

日本代表が2種目で優勝した二日目
オーストラリアが逆転で総合優勝を手に


LSweb 朝から雨が降り続いた大会二日目。日本代表は女子ボードレスキューと男子ビーチフラッグスで優勝を手にした。

 栗真千里、水間菜登のコンビで出場したボードレスキュー。ニュージーランド、オーストラリアに次いで3番目に溺者役がブイに到着した日本は、そこから追い上げを開始した。

 ストロークパドルで先行する2チームを、小柄な栗真と長身の水真がニーパドルで追う。二人は途中で上手く波に乗り一気に逆転すると、ガッツポーズとともにトップでフィニッシュした。

 「やっちゃいました! 私たちは先行する2チームに比べ体重が軽いので、波に乗りやすい。波に乗れれば追いつけることは分かっていましたが、昨日は上手く波に乗れなかったので今日こそはと集中しました。菜登さんが後ろで状況を詳しく伝えてくれるので、波が来るよとの合図でギアを上げてパドルしました」と栗真。
LSwebLSweb
 身長差25cmの二人だが、バランスを取るのが難しいタンデムでのニーパドルは息もピッタリ。今大会初の1位で、日本チームの雰囲気が一気に盛り上がった。

LSweb 初日のリベンジを果たしたのが、ビーチフラッグスの植木だ。早い段階からカナダのクックにプレッシャーをかけて彼をダウンさせると、鉄壁のスタートで確実に勝ち上がり優勝を手にした。

 「彼(クック)は速かったです。ただ、まだ若いし、国際大会の経験もそれほどないでしょう。ビーチフラッグスはメンタル的な要素が大きいスポーツなので、そこを冷静に判断しました。私のほうが経験値があるし、何よりここはホームですからね」と話す植木だった。

 大会初日はユースの後塵を拝する場面もあった日本代表だが、二日目は各種目で南半球勢に食らいつく意地を見せた。

 「チームワークの良さと、引き継ぎのテクニックなど、団体種目に強みがあるのが日本です。今回は個人種目より団体種目のポイントが高かったので、リレー種目でオーストラリアやニュージーランドを負かし、総合優勝することを目標としていました。初日の出遅れもあり結果は3位でしたが、次に繋がるレースもできていたし、今後の課題も見つかった良い大会でした」と、日本代表の飯沼誠司監督。
LSwebLSweb
 「ユースの選手には、ユース代表がゴールではなく、日本代表として世界と戦い勝ちにいくのが目標だと言い続けていました。ですから今回は日本代表を負かすこと、オセアニア勢に続いて3位になることを目標に戦ったのです。初日には日本代表に競り勝つ試合もいくつかできましたが、二日目はきっちり修正してきた日本代表に勝てませんでした。そのあたり、これからもっともっと経験を積んでいってほしいですね」と話すのは、ユース日本代表の青木克浩監督だ。
LSwebLSweb

 二日間にわたって開催された三洋物産 インターナショナル ライフセービング カップ2015。総合優勝はみごと逆転したオーストラリア、2位は僅差でニュージーランド、3位に日本代表、4位はユース日本代表、以下カナダが5位、6位は香港、7位に初出場で男子のみ参加した台湾という順位で終了した。

    
 
SANYO INTERNATIONAL LIFESAVING CUP 2015
TOTAL Result


1st AUSTRALIA 650pt
2nd NEW ZEALAND 646pt
3rd JAPAN 551pt
4th Youth JAPAN 475pt
5th CANADA 416pt
6th HONG KONG 324pt
7th CHINESE TAIPEI 104pt
LSweb

 
    

LSwebLSweb
 
LSwebLSweb
 
LSwebLSweb








Competitions 記事タイトル一覧

年別アーカイブ