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日体大が4年ぶりにアベック優勝!
第31回全日本学生ライフセービング選手権大会 Vol.2
2016/09/30

The 31st Inter College Lifesaving Championships Vol.2 2016.9.24-25 千葉県夷隅郡御宿町・御宿中央海岸

1kmrelay06 インカレ2日目——。

天気が回復すると気温がどんどん上がりはじめた。

決勝種目が目白押しのこの日、真夏のような日差しが照りつける中で、汗をしたたらせながらの熱戦が続いた。

最上級生にとっては最後のインカレ。

悔いのないパフォーマンスを出せただろうか。


文・写真=LSweb編集室





サーフスキー人口、増加中

LSweb 学生ライフセーバーにとって、もっともハードルが高い競技種目はサーフスキーだろう。
 機材を手に入れるのも一苦労だし、練習場所も限られる。車がなければ運搬することもできないし、車が使えるとしても、カートップして運転するのはドキドキものだ。

 それでも最近は、積極的にサーフスキーに挑戦する学生ライフセーバーが増えてきた。今大会、サーフスキー競技に出場したのは、女子27人、男子44人。予選なしの時代がそう遠い昔でないことを考えると、競技人口は格段に増えた。

 きっと、社会人ライフセーバーが颯爽と、そしてパワフルにサーフスキーを乗りこなす姿に学生たちは刺激を受けているのだろう。社会人と一緒に練習する機会も増えているようで、学生のレベルは毎年、確実に上がっていることを実感できる。

 サーフスキーレース、決勝へと駒を進めたのは女子14人、男子16人。まず、女子がスタートし、昨年3位の日本女子体育大学・大井麻生、一昨年優勝の新潟産業大学・高橋志穂、さらに日女体大の佐藤礼奈、神奈川大学・今野恵らが先頭集団を形成しながら第1ブイへと向かった。

 最終ブイを回ってからは、高橋、佐藤の一騎打ちが続く。そしてショアブレイクの手前でうねりをうまくとらえ、逆転したのが佐藤だった。そのままリードを保ちトップフィニッシュ。嬉しい初優勝となった。高橋は2位。3位には今野が入った。
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 湯河原LSCに所属する佐藤は、この夏、きっとスキーが得意な先輩たちと練習を積んだはずだ。

 「いろいろ作戦は立てていたのですが、それよりも昨年、日女が総合優勝を逃してしまって、自分がスキーで得点を取れなかったからだと悔やんでいたんです。だから今年はとにかくチームに貢献できるように全力を出しました。勝てて嬉しいです」と、涙目になりながら話してくれた。

LSweb 続いて男子がスタート。まず飛び出したのが慶應義塾大学の上野凌だ。
 そのままトップで最終ブイを回り、フィニッシュまでいけるか? という展開だったが、すっと内側に入って追い上げてきたのが国士舘大学の牛越智。法政大学の小松海登も後を追う。

 終盤、うねりを掴んだ牛越が逆転に成功し、ガッツポーズと共にフィニッシュラインへ。上野と小松の2位争いは、小松に軍配が上がった。

 「スタートでは手がすべって出遅れてしまいましたが、焦らずしっかり後ろを着いていきました。ブイを回ってから内側に入ったのは作戦どおりです。スタートの1時間前からじっくり海を観察していたんですが、内側のほうが(波が)上がるなと。最後のインカレで勝てたことはもちろん、一緒に練習してくださった社会人の先輩方に良い報告ができたことが、最高に嬉しいです」と牛越。

LSweb スキー歴はまだ半年という小松は、「僕はスタートがあまり得意ではないので、最初から後ろを着いていく作戦でした。ウッシーさん(牛越)は同じ波崎SLSCの先輩だし、上野さんは日本代表だし、離されないようにと思っていました。ウッシーさんには勝てなかったけど、先輩とワンツーフィニッシュできてすごく嬉しいです」と満面の笑みを見せた。

 牛越と小松は、激アツ社会人パドルグループの境川チームで武者修行をしていたそうで、チームの主要メンバーである内田直人JLAスポーツ推進部長も後輩の晴れ姿に目を細めていた。

 僅差で敗れた上野は「スタートラインが一番端だったので、インで頭を出さないとダメだと考えていました。前には出られたけれど、そこで体力を使ってしまい最後はバテてしましました。前に出た時点でもう少しペースを落とせば良かったんだけど、そこまで余裕がなかったです」とレースを振り返った。

 ところで、スキーを始めたばかりの小松にその動機を聞いたところ、「オーシャンマンをやりたいので!」という明快な答えが返ってきた。

 そのオーシャンマンでは、慶応大の上野が最初のスキーでリードを奪い、スイム、ボードを危なげなく繋いで見事に優勝。主将としてチームを引っ張る法大の渡邊孝之が2位、新産大1年の片山雄起が3位の活躍を見せた。
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 「スキーでリードして繋いでいく、という思ったとおりのレースが展開できました。スキーの時、後ろから(片山)雄起が来ているのが見えたので、同じ波に乗られたらもう少し厳しい展開になったかもしれません。あそこでリードできたのが大きかったですね」と笑顔を見せた上野だった。
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 オーシャンウーマンはダークホースが優勝を手にした。日本大学2年の成澤侑花だ。スイムの実力は折り紙付きの成澤だが、スキーの練習を始めたのは夏が終わってから。
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 興奮する応援団を前に、成澤は「まさか優勝するとは、自分でもびっくりです! なんというか、自分のスイムに助けられました」と目をぱちくりさせた。
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 サーフスキーに続き2位に終わった新産大の高橋は、「今年の決勝はスイムの実力者が揃っていたので、得意のスキーでもっと離しておかなければダメでした」と悔しそう。「全日本に向けて気持ちを切り替えます」と、決意を新たにしていた。

 日本体育大学・寺坂恵美が表彰台最後の一枠に滑り込んだ。

力を合わせて戦うチーム種目

 インカレの特徴のひとつが団体種目の多さだ。

 全員がフル稼働する少人数校もあれば、激しい部内セレクションが繰り広げられる強豪校もある。人数が揃わず出場を夢見る学校もあるだろう。だからこそ、団体種目はいつも熱いバトルが繰り広げられる。

 今年からオープン参加の選抜チーム枠が設けられたビーチリレーは、男女ともに大接戦。
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 女子はアンカーで逆転した日体大が、2位の東京女子体育大学、3位の日女体大をおさえて優勝。男子はバトンパスが非常にスムースだった国際武道大学が、2位の日体大、3位の東海大学湘南校舎をかわして優勝を手にした。
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 見応えのあるレースが展開されたサーフ競技。

 ボードレスキューは男女ともに日体大が優勝した。
 
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 女子は坂本佳凪子・阿形芽生の鴨川ペア、男子は幡野圭祐・岸田興喜の白浜ペアで、男女ともに同じ浜で活動した4年生と3年生の先輩後輩コンビが、抜群のコンビネーションで他校を圧倒した。
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 接戦に次ぐ接戦が繰り広げられたのがボードリレーだ。まず女子から振り返ろう。

 1人目でリードしたのは日体大。2人目で日大、日女体大が日体大に追いつき、勝負は3人目のアンカーにたくされた。並んで戻ってきたのは日大と日体大。日大の成澤と、日体大の鈴木理乃が同時にボードから跳び下りると、砂浜を並走しゴールへ。
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 一歩も譲らない2人。近づくゴール。固唾をのむ審判たち……。
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 そして最後の最後で前に出たのが、ピンクのキャップにピンクの水着の成澤だった。抱き合って喜ぶ日大のリレーメンバーたち。その歓喜の横で泣き崩れる日体大の鈴木に、共に戦った井熊理子と東理沙が駆け寄った。

 男子は最初から混戦状態となった。1人目は国士大、東海大クレスト、神奈川大学が先頭集団を形成。2人目になると東海大クレストと国士大に武大、法大が追いてきた。
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 勝負はアンカーへ。まず戻ってきたのが東海大クレストの石塚康敬だ。

2位争いは予選から火花を散らしていた法大と国士大の争いに。法大は澤木達也、国士大は牛越。結果は「予選で国士に負けて悔しかったのでスッキリしました」という法大が2位。国士大は3位で予選とは逆の順番となった。
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 優勝した東海大クレストは部内のセレクションも激戦だった。そこを勝ち抜けスタートラインに立ったのが4年生の寒河江健太と小出一輝、そして3年生の石塚康敬の3人だ。
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 「出走順は悩みましたが、インが得意な僕が一番で、同期の一輝に繋ぎ、最後はパドル力のある康敬にたくす作戦でした」と寒河江。
 
 「就活のため練習量が少なくなっていたのが不安材料でした。でも健太が1位で戻ってきてくれたので、1位で繋げれば康敬がやってくれると思っていました。1位で繋ぐことができてよかったです」と小出。

 「昨日の予選から周りの4年生の気合いがすごくて、少しプレッシャーがありましたが、1位でつないでくれた先輩の思いをしっかり受け止めて漕ぎました」と石塚。オール1位で繋いだ東海大クレストが完全勝利をものにした。

 ライフセーバーの誇りをかけて戦うレスキューチューブレスキュー。女子は黒岩美緒、澁谷祐未、金子紗瑛、大井麻生の4人で挑んだ日女体大が、日体大を僅かにかわし激戦を制した。
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 「勝因はもちろん後輩たちのがんばりもありますが、ドラッカーが体格を活かし、どのチームよりも沖で待機していたことだと思います」と興奮した口ぶりで話してくれたのは、身長168cmの大井。ドラッカーのペアを組んだ金子は身長175cm。波打ち際の混戦を予想して立てた作戦が、見事、優勝に結びついた。
 
 男子は神大と東海大クレストが最後まで争う大接戦に。先行する神大にドラッグ勝負で逆転勝利したのは、市岡航大、中谷理人、小出一輝、中村泰己の東海大クレスト。
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LSweb 「航大が一番で行くって言っていたのに実際は4番ぐらいで(笑)、でもそのおかげで前の状況を観察すことができました。僕たちは2人とも息継ぎが右で、コースも右端だったので他チームが良く見えたんです」と話すのは、レスキュー役の中谷。

 「サイドカレントが非常に強かったので、深いところまで行って引っ張りました。4年で優勝できて嬉しいです」と小出。
 中村も、「一輝と僕は高校の野球部時代から7年間も一緒。4年のプライドをかけてドラッグで勝負しましたよ」と言い、互いに顔を見合わせた。

LSweb インカレを締めくくる最終種目は、襷を繋ぐ1km×3ビーチリレーだ。この種目では女子が日女体、男子は国士大が優勝し男女ともに連覇達成となった。

 女子2位は東女体、3位は大健闘した東海大学清水校舎。ビーチ種目ではロコ初のメダル獲得で、本人たちはもちろんOGOBも大喜びしていた。

 男子2位は笹田直太、橋本湧太、小針基央と繋いだ帝京大学。終盤までトップだっただけに悔しさはったものの、こちらも過去最高の順位で今大会を終えた。
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 「無事に大会を終えることができて、まずはホッとしています」と話すのは、準備から当日の運営まで奮闘した学生室学生代表の武大・榎本宏暉。LSweb

 「学生室の役割と選手としての役割を両立させるのは難しかったですが、それは自分の実力がないからだと思います。武大は久しく優勝していないので、来年こそは優勝できるように、自分自身、もっと実力をつけていきたいです」と来年を見据える力強い言葉を聞かせてくれた。

 42校、男子390人、女子235人、合計625人が参加した第31回全日本学生ライフセービング選手権大会。

 総合優勝は男女ともに日本体育大学が手にした。4年ぶりのアベック優勝だ。表彰式がすべて終わり、日がとっぷりと暮れたインカレ会場に日体大「エッサッサ」の凱歌が響き渡った。(文中敬称略)


☆★☆ 「第31回全日本学生ライフセービング選手権大会」表彰台 ☆★☆


サーフスキーレース・男女

サーフスキーレース・男女

オーシャンマン/オーシャンウーマン

オーシャンマン/オーシャンウーマン

ビーチスプリント・男女

ビーチスプリント・男女

ビーチリレー・男女

ビーチリレー・男女

ボードレスキュー・男女

ボードレスキュー・男女

ボードリレー・男女

ボードリレー・男女

レスキューチューブレスキュー・男女

レスキューチューブレスキュー・男女

1km×3ビーチリレー・男女

1km×3ビーチリレー・男女

男女総合成績

男女総合成績

学生室全員集合!

学生室全員集合!








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