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2017/01/15

第4回 全日本ジュニア/ユース ライフセービング・プール競技会
The 4th Japan Junior/Youth Pool Lifesaving Competition 2016.12.17-18 宮城県総合運動公園

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2016年12月17-18日、宮城県利府町の宮城県総合運動公園総合プールにて「第4回 全日本ジュニア/ユース ライフセービング・プール競技会」が開催された。

小学3年生から高校3年生まで、ジュニア、ユース合わせて11クラブ、150人近い選手がエントリーした今大会。

北風は冷たかったが、子どもたちは元気ハツラツで、果敢に競技に挑んでいた。

文・写真=LSweb編集室




東北で開催される意義

LSweb ジュニア/ユースのプール競技会は、2014年の初回からすべてが東北地方で開催されている。第1回と第2回は岩手県の盛岡市立プールで、第3回と4回目となる今大会は宮城県の総合運動公園プールが会場となった。

 改めて言うまでもないが、東北地方は2011年の東日本大震災による大津波で甚大な被害を受けた地域だ。

 あの衝撃的な津波の記憶は薄れることはないが、震災からまもなく6年目を迎えようとしている今、そのことを思い出す回数が徐々に減っているのも事実である。

 ライフセービング活動の使命は、水の事故を減らすこと。

LSweb その活動の根源は、自分自身が水の事故に遭わない知識と体力を身につけることであり、だからこそ、この地で小中高校生を対象としたライフセービング競技会が開催されるのは意義のあることだと思う。

 たとえ参加者の半数以上が東北地方以外に住んでいるとしても、いやだからこそ、競技会のためにこの地を訪れ、あの日を思い出し、今一度ライフセービングの本質と向き合う——。

 やがて震災を知らない世代が参加するようになるその時にこそ、記憶の継承は意味を持つものになるはずだ。
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泳ぎ切ったがんばりに拍手!

LSweb さて、そんな大人の思いはともかく、競技会は全力でがんばるジュニア、ユースたちの姿であふれ、個人・団体、男女合わせて6競技で大会記録が生まれた。

 そのひとつが、レスキューチューブを引っ張りながら50m泳ぎ、折り返した後にチューブを輪にして50m泳ぐ、小学生の100mレスキューチューブトウだ。

 小学3・4年生女子の部では、小学4年生の久木朱璃選手(山形LSC)が1分32秒23の大会記録で優勝した。

 実は一緒にエントリーしていたほかの3人が、「100m泳げるか不安」と出場を見送る中、一人で果敢に挑戦しての記録樹立だった。

LSweb 「たった一人で泳ぐことになり、とても緊張しました」と心細さを口にした久木選手だが、50m障害物スイムでも好記録を出し、金メダルを2つ手にした。

 小学3・4年生にとって、長水路で50m泳ぐのは大きなチャレンジだ。ましてや往復の100mともなれば、その不安はいかほどのものだろうか。太平洋横断ぐらいといっても大げさではないかもしれない。

 それでも諦めずに泳ぐ姿には感動的で、思わず目頭を熱くする大人(保護者はもちろん、コーチ、審判、大会スタッフなど)が続出したのが、同種目の小学3・4年生男子の部だ。

 2コースを泳ぐ冨田明寿選手(山形LSC)は、昨年までほとんど泳げなかったという小学4年生で、大会初日に行われた50m障害物スイムでも、コースロープに何度もつかまりながら泳いでいただけに、100mは大丈夫かな?とコーチたちも心配ひとしおだったようだ。

LSweb 体の半分ぐらいあるチューブを引っ張って泳ぎ始めた冨田選手は、スタート後ほどなくしてコースロープにつかまると、ゴーグルに入った水を出して再び泳ぎ出した。
 その後も何度かコースロープに手をかけながら、なんとか50mの壁にタッチ。そして、回りの心配をよそにチューブに手をかけ輪にすると、ゴールに向けて泳ぎ始めたではないか。

 観客のハラハラ、ドキドキの時間はさらにしばらく続いた。

 山形LSCのコーチの一人は、スタート前に「無理だったら途中で辞めてもいいぞ」と声をかけていたそうだが、冨田選手は諦めることなくコースロープにつかまりながらも泳ぎ続け、ついにゴール!

 その瞬間、会場全体がほっとし、自然と拍手が沸き上がった。失格とはなったが、小柄な冨田選手が100m泳ぎ切ったがんばりに、大人たちは感動しっぱなしだったが、本人はあっけらかんとした表情。それがまたなんとも言えずほほ笑ましかった。

 このレースで優勝したのは、小学3年生の浜地櫂依選手(西浜SLSC)。
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 スタート前、浜地選手が気にしていたのは「僕、このレースでも優勝できるかな!?」ということ。
 元気良くプールに跳び込んだ浜地選手は見事にトップでゴールし、前日に先に行われた50m障害物スイムに続き二種目制覇。金メダルを首からさげ、誇らしそうな笑顔を見せた。

取り組む姿勢は真剣

LSweb 100mマネキントウ・ウィズフィン中学生女子は、中学3年生の速水彩選手(柏崎LSC)が1分11秒90で優勝し、大会記録を更新。

 同種目中学生男子は、中学3年生の三浦佑真選手(気仙沼LSC)が1分06秒59で優勝した。地元での活躍に話しをきくと「練習はあまりしていません。泳ぐのは月1回くらいかな。野球部なので普段は野球をしています」とそっけない返事が返ってきた。

 実は「あまり練習していない」と口にするのは、この年代特有の照れ隠しのよう。

LSweb 中学生混合のラインスローで優勝した西浜SLSCのレスキュアー役、クレイアーロン竜波選手も「そんなにたくさん練習していません。優勝できたのは運も大きかったかな」と謙遜気味だったが、本当はちゃんと練習していたようで、今大会から10mに変更された中学生のラインスローに対応すべく、「(一般の)12.5mの時は7回だけれど、今日は6回(巻いて)で投げました」と話してくれた。

 一方、高校生は勝てば喜び、負ければ悔しがりと素直に感情を表し、大会にかける意気込みの強さが感じられた。

 どの種目も熱戦となったが、中でもデッドヒートが繰り広げられたのが、高校生男女の50mマネキンキャリーだ。

 同日に予選と決勝を泳ぐスケジュールながら、女子は室伏郁花選手(湯河原LSC)と津島笑満花選手(館山SLSC)が43秒台、男子は雨宮利明選手(キタジマアクアティクス)と加藤豪選手(柏崎LSC)が34秒台と僅差の勝負となり、女子はジュニア時代からのライバル対決を制して室伏選手が、男子は雨宮選手がユース世界大会出場の加藤選手を押さえて優勝した。

 成城学園高校でライフセービング部に所属する雨宮選手は、「優勝できて、さらにがんばれそうです」と満面の笑み。学校クラブでの参加がなかったためキタジマアクアティクスで参加するほど、ライフセービング活動に熱中しているそうだ。
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 男女混合で行われたリレー競技は、小中学生がそれぞれ2種目、高校生は3種目行われ、小学生はキタジマアクアティクス、中学生は西浜SLSC、高校生は日体大荏原SLCが全種目で優勝する活躍を見せた。
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 創部2年目ながら30人近い部員が切磋琢磨する日体大荏原LSC、2016年から本格的にライフセービングの指導を始めたキタジマアクアティクスなど、ジュニア/ユースが活動する場は広がり、またクラブの枠組みを超えた交流も盛んになっていることが目に見えた今大会。彼らの今後の成長に大いに期待したい。


【第4回 全日本ジュニア/ユース ライフセービング・プール競技会 成績表】



☆★☆ 「第4回 全日本ジュニア/ユース ライフセービング・プール競技会」 表彰台 ☆★☆

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50m障害物スイム・小学3-4年生-男女

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50m障害物スイム・小学5-6年生-男女

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100m障害物スイム・中学生-男女

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100m障害物スイム・高校生-男女

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50mマネキンキャリー・中学生-男女

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50mマネキンキャリー・高校生-男女

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100mレスキューチューブトゥ・小学3-4男女

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100mレスキューチューブトゥ・小学5-6男女

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100mマネキントゥ・ウィズフィン中学生・男女

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100mマネキントゥ・ウィズフィン高校生・男女

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ラインスロー・中学生男女混合

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ラインスロー・高校生男女混合

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4×50m障害物リレー・小学生男女混合

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4×50m障害物リレー・中学生男女混合

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4×50m障害物リレー・高校生男女混合

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4×50mレスキューチューブリレー・小学生男女混合

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4×50mレスキューチューブリレー・中学生男女混合

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4×50mレスキューチューブリレー・高校生男女混合

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