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6競技で大会記録を更新!
第14回 神奈川県ライフセービング・プール競技選手権大会
2016/11/12

The 14th Kanagawa Pool Lifesaving Championships 2016.11.6
神奈川県相模原市・さがみはらグリーンプール

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学園祭シーズンたけなわの11月初旬——。

神奈川県相模原市のさがみはらグリーンプールで、神奈川県ライフセービング連盟(KLF)主催のプール競技選手権が開催された。

参加したのは高校生から社会人まで30チーム、373人のライフセーバーたち。

吹く風は冷たくなっても、ライフセーバー魂は熱いまま。ウインターシーズンを告げる恒例の競技会は大いに盛りあがった。


文・写真=LSweb編集室





女子は全種目で記録更新の快挙

 ライフセーバーたちの進化がはっきりと分かるのが、タイムという明確な指標のあるプール競技だ。

 個人・団体、男女合わせて5種目10競技が行われた今大会では、そのうち6競技で大会記録が塗り替えられた。まずはその種目を紹介しよう。

【大会新記録】


●女子100m障害物スイム
 成澤侑花(九十九里LSC)
 1分02秒78(大会記録 −0.88秒)
●男子100m障害物スイム
 安藤秀(湯河原LSC)
 55秒44(大会記録 −0.01秒)
●女子100mマネキンキャリー・ウィズフィン
 坂本佳凪子(鴨川LSC)
LSweb 1分00秒17(大会記録 −1.32秒 日本記録 +1.42秒)
●女子50mマネキンキャリー
 三井結里花(九十九里LSC)
 36秒99(大会記録 −1.23秒 日本記録 +0.04秒)
●女子4×25mマネキンリレー
 湯河原LSC
 1分31秒32(大会記録 −2.16秒 日本記録 +8.94秒) 
●女子4×50mメドレーリレー
 湯河原LSC
 1分52秒25(大会記録 −1.32秒 日本記録 +6.78秒)

 一気に2秒以上縮めた種目もあれば、0.01秒と僅差の種目もあるが、日本の競技レベルが上がっていることは間違いない。

 競泳出身の成澤侑花選手は、泳ぐたびに記録を更新する伸び盛りの大学2年生。ジュニア時代から活躍していた坂本佳凪子選手は、学生最後の年にフィン競技で初優勝を手にした。
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 日本代表として世界大会に出場した安藤秀選手と三井結里花選手は実力どおりのタイムだが、2人ともたぶんもう一つ上の記録を目指していたはずだ。

 湯河原LSCは女子リレー種目2冠を達成。4×25mマネキンリレーは青木邦→塩原あかり→中島静香→河崎綾子と繋いで2位以下に2秒以上の差をつけ、4×50mメドレーリレーは河崎綾子→青木邦→中島静香→船津美帆の4人で、追いすがる九十九里LSCをタッチの差でかわして優勝した。
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 両種目に出場した青木邦は、1歳の愛息とともに会場入りしたママライフセーバー。元日本代表の実力者だが、出産から1年あまりで結果を出すのは簡単ではないはすだ。

 「個人種目も出ましたが、タイムは全然でした。出ると決めたのは自分なので一生懸命泳ぎましたが……。でもリレーっていいですね。若いメンバーと一緒に泳げて楽しかったです」と息を弾ませながら話してくれた。

 ライフセービング競技の舞台が海からプールへと移った最初の大会で、好タイムが連発された。特に、全種目で記録を更新した女子のがんばりは頼もしいかぎり。シーズン終盤にはさらなる記録が期待できそうだ。
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実施競技に込められた思い

LSweb 毎年11月に開催されるこの大会は、実施競技にいくつかの特徴がある。
 例えば、障害物スイムは200mではなく100mとし、1種目だけ行うフィン競技はマネキントウではなくマネキンキャリーにするといった具合だ。

 「大会期間が1日しかなく、時間的な制約があることが理由の一つです。また経験の浅い選手でも参加しやすくするために、競技を選定しています」と話すのは、泉田昌美KLFスポーツ委員長だ。

 「距離が半分になれば、時間も短縮できますよね。LSwebただ障害物スイムを100mに設定するのは国際規則でも認められていることなので、本大会の記録は公式認定されます。また、機材負担をなるべく軽くするために、フィン種目はレスキューチューブを使わないマネキンキャリー・ウィズフィンを実施しています」

 こうした工夫もあり、今年は昨年より参加者が20人近く増えた。参加30チーム中19チームが県外からの参加。遠来賞は愛知LSCだ。
 そして昨年に続いて参加した高校生チームの日体大荏原高校LSCは、男女ともに団体種目で決勝に進出する活躍を見せた。

 初出場のキタジマアクアティクスは、五輪競泳金メダリストの北島康介さんが設立したスイミングスクールで、小学生から高校生を対象に、現役のライフセーバーが指導するライフセービングコースが開設されている。
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 「ライフセービング競技はとにかく楽しい」と声を弾ませるのは、高校1年生の青山ウィリアム選手。個人・団体合わせて3種目の出場した彼に、道具を使う競技は難しくないか聞いてみると、「面白いです!」とニッコリ。

LSweb 「ウィリアムは海で泳ぐのも好きで、オーシャン競技にも積極的に挑戦しているんですよ」と言うのは、インストラクターの一人でもある古金源太選手だ。

 2種目あるリレー競技でどちらもトップとなった同チームだが、残念ながら4×25mマネキンリレーでは泳法ミスで失格に。

 しかし、青山選手、ライフセービングコースを指導する古金選手と石井健人選手、世界水泳に出場した経歴を持つ細川大輔選手の4人が泳いだ4×50mレスキューメドレーでは、強豪を押さえて見事に優勝し、その存在感を見せつけた。

 ライフセービング競技の門戸を広く開け、ニューカマーや新しいクラブの参入を促しているのも、この大会の特徴だ。

 男子4×25mマネキンリレーを制したのは坂本陸選手→園田俊選手→上野凌選手→遠藤勝久選手と繋いだ西浜SLSCだ。
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 スタートダッシュが得意な坂本選手が1泳、折り返しながらのマネキンの受け渡しが難しい2泳と3泳に、息の合った園田選手と上野選手、4泳に大学3年生の遠藤選手を配する作戦が成功した。

LSweb アンカーのプレッシャーは感じなかったか?という問いかけに、「僕はただ前を見て全力で泳ぐだけです」と答えた遠藤選手を、「学校の後輩です。がんばっていますよ」と園田選手が称えた。「一生懸命やらないとぶっ飛ばされちゃいますから(笑)」と遠藤選手。
 そんなに冗談が言い合えるチームワークの良さが、優勝の一因であることは間違いないだろう。

 「来年は15回目の記念大会となりますので、さらに盛り上がってくれるとうれしいですね。
 神奈川県はライフセービング先進県です。その統括団体として、海の利用方法が昔とは変わってきていることにどう対応するか、水辺だけでなくそれに付随する場所での安全をどう確保し、システム化していくかなどなど、連盟として考えていかなければならないことはたくさんあります。
 競技会に来ると、若い人たちががんばっている姿を見ることができます。彼らの活動を支えていくのが、我々大人の役割だと思っていますよ」と話すのは、KLF顧問の一人である朽木聡さんだ。

 KLFは来年、設立20周年を迎える。そしてプール競技会は15回目の記念大会となる。
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【第14回神奈川県ライフセービング・プール競技選手権大会 成績表】



☆★☆ 「第14回神奈川県ライフセービング・プール競技選手権大会」 表彰台 ☆★☆
100m障害物スイム・男女

100m障害物スイム・男女

100mマネキンキャリー・ウィズフィン・男女

100mマネキンキャリー・ウィズフィン・男女

50mマネキンキャリー・男女

50mマネキンキャリー・男女

4×25mマネキンリレー・男女

4×25mマネキンリレー・男女

4×50mメドレーリレー・男女

4×50mメドレーリレー・男女

オフィシャル功労賞

オフィシャル功労賞・藤田善照氏(右)

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