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今夏も社会人ライフセーバーが大活躍!
辻堂海水浴場
2014/09/02

Tsujido Lifesaving Club 2014

2014年、夏のパトロールシーズンが終わりを迎える。LSweb

今年、神奈川県下の湘南海岸では、それぞれの地域の海水浴場によって様々な条例や自主規制などが行われた。

また、8月のお盆を前に台風11号の影響も受けた。それでも、多くの人で賑わいをみせた湘南のビーチ。

そんな湘南エリアの中で、周りの喧噪をよそに比較的のんびりできる浜が、辻堂海水浴場である。

この地元密着型のちいさなビーチをパトロールしているのが「辻堂ライフセービングクラブ」のメンバーだ。


文・写真=LSweb編集室





社会人ならではの苦労とメリット

 神奈川県藤沢市の辻堂海岸。LSweb
 
 湘南のサーフポイントでもあり、地元のサーファーが多く比較的ローカル色の強いビーチである。

 そんな海岸の一角にあるのが辻堂海水浴場だ。
 江ノ島や烏帽子岩も間近に見えて“これぞ湘南”という立地条件ながら、鎌倉の由比ヶ浜や江ノ島の片瀬海岸と比べ、どこかのんびりとした雰囲気を感じるこぢんまりとした海水浴エリアである。
 
 この辻堂海水浴場で監視パトロール活動を行っているのが「辻堂ライフセービングクラブ」だ。
 1996年の夏から活動を始め、今年で18回目の夏を迎えた。クラブの登録メンバーは40人ほどいるが、夏のパトロールは、15,6人のメンバーが中心となって行っている。

 このクラブの特徴は、なんといっても社会人中心で活動しているところだろう。組織運営はもちろん、夏の監視活動もほぼ社会人主体で回している。その割合は、およそ9:1で学生の数が圧倒的に少ない。
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 取材に伺った8月中旬の平日、この日監視活動に従事していたのは全部で4人。そのうちクラブ代表を務める中川 健さんをはじめ3人が社会人、1人が学生という体勢で行われていた。

 ちなみに唯一の学生メンバーとして入っていた垂水洸稀さんは、近隣の大磯ライフセービングクラブで副監視長を務めていて、辻堂LCのメンバーではない。

 この日、たまたま神奈川ライフセービング連盟(KLF)が行っている「パトロールネットワーク(パトネット)」加盟クラブの交流活動の一環として辻堂へ1日監視メンバーとして参加していたのである。そんなわけで、辻堂LCのメンバーだけを見ると、この日も100パーセント社会人という構成であった。

 代表の中川さんも都内で鍼灸院を営む傍ら、夏の間は足繁く辻堂まで通って監視パトロールに励んでいる。LSweb

 「社会人中心で苦労するのはやはり平日のシフトを組むことです。2014年の辻堂海水浴期間は、7月5日から8月31日までのおよそ2ヶ月と開催時期が長いので、特に7月は悩みます。
 私の場合は自営なので木曜日と日曜・祝日を定休日にして平日でも入れるように調整していますが、社会人の場合、仕事はもちろん、家庭のこともありますから全ての休みをライフセービング活動に費やすこともできず、やりくりはなかなか難しいですね」

 それでも中川さんは、学生だけでなく、あえて社会人ライフセーバーにもどんどん参加して貰いたいという。

 「辻堂のようなローカルで小さな海水浴場では、お客さんに対して事前に注意を即す意味とライフセーバーが控えていますよというアピールを兼ねて、積極的にこちらから声掛けをしていくように心がけています。
 社会人の皆さんは、仕事を通じて人との接し方やその場その場での臨機応変な対応力が備わっていますので、場の状況に応じて上手に声掛けができるように思います。一番いいのは、学生と社会人が適度に混ざり合ったシフトが組めるとお互い刺激し合って高められるのではないかと思います。
 昔、ライフセーバーをやっていたが、随分と遠ざかってしまったというような人もぜひもう一度クラブに戻ってきて貰いたいですね。もちろん、学生の皆さんもウェルカムです!」
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 今回、パトロールに参加していた川口康邦さんと池田智昭さんも一度活動から離れていた復帰組だという。

 川口さんは日体大のトライアスロン部出身。仕事が忙しく離れていたが、35歳の頃に復帰して夏の監視パトロールをサポートしている。

 池田さんは、看護師という職業柄、クラブ内での保健担当で主に力を発揮している。本人曰く、泳ぎの方はあまり自信がないので、その分、自分のできる範囲でクラブや仲間に貢献できるように協力していければ、と語る。
 この日も、エイに刺されたという遊泳者が監視所を訪れたが、池田さんが気軽に話しかけながら手早く処置したことで明るい笑顔を取り戻した。
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 仕事を持ち、家庭もあって、その中で時間をやりくりしてライフセービング活動を行う社会人メンバーたち。そうした苦労や努力を知っているからこそ、年齢や経験など関係なく、お互いが認め合いフォローし合って活動できるのだと思う。

 そんな社会人中心のクラブは、夏の監視パトロールだけでなく、今までにない新しい試みにも挑戦している。その一つが、クラブ初のジュニア向けイベントの開催だ。

 「辻堂ライフセーバー体験教室 〜これで君もライフセーバーの仲間入り!!〜」と銘打ち、小学1年生から4年生を対象としたイベントとして、IMG_6152 

・子どもたちに海の楽しいところ・危険なところを知ってもらいたい!
・ライフセーバーを知ってもらいたい!
・何よりも・・・夏の思い出をつくってもらいたい!

というクラブの思いから企画され、8月9日の初開催を前に着々と準備が進められていた。

 しかし、直前にやってきた台風11号の影響で中止となってしまい、参加を楽しみにしていた子どもたち、それに企画したクラブメンバーもさぞ残念だったことだろう。
 来年こそはぜひ成功させて、辻堂LCの恒例イベントとして定着するよう期待したい。


 今年も無事故で終わりを迎えた辻堂ライフセービングクラブの皆さん。

 そして、全国各地のビーチやプール等で監視パトロールに携わったライフセーバーをはじめ、各ライフセービングクラブ、関係各所の皆さんに敬意を込めて・・・〝ありがとう! 2014年・夏〟











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