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大学生ライフセーバーによる
小学・中学・高校生プログラム、開催
2015/05/18

Junior & Youth LS Program in Katase Higashihama

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5月10日、神奈川県藤沢市の片瀬東浜海岸で、日本ライフセービング協会(JLA)の学生室が中心となった体験イベント「小学・中学・高校生 海プログラム」が開催された。

参加したのは、小学4年生から高校3年生までのジュニア&ユース115人。サポートしたのは、学生室の大学生ライフセーバー約60人。

過去、最大規模の人数が集まった体験プログラムの様子を紹介しよう。



文・写真=LSweb編集室




今回のテーマは
競技の楽しさも知ってもらうこと


LSweb 小中高プログラムは、より多くのジュニアやユース世代にライフセービングを知ってもらい、水辺の事故をゼロに近づけたいという目標と共に、ライフセービングを好きになり、続けてもらう人が増えることで、ライフセーバー人口の増加に繋げたいという目的で開催されている体験型のイベントだ。

 JLA学生室がプログラムを行うようになったのは2007年のこと。
 最初は「高校生プログラム」という名前で、名前のとおり高校生を対象に海とプールでの体験イベントを年1回ずつ実施していた。

 その後、対象を中学生まで広げ、昨年からは小学生(4年生以上)向けのプログラムも開始。高校生は今回で18回目、中学生は9回目、そして小学生は2回目で海プログラムは初めての開催となった。

 学生室はJLAに加盟する学校クラブの大学2〜4年生の生徒たちによって構成される組織で、メンバーは現在70人以上。中心学年は大学3年生で、学生選手権(インカレ)や小中高プログラム、また学生ライフセーバーの輪を広がるための「リーダーズキャンプ」などを企画、運営している。

LSweb 第12期の学生代表は、日本女子体育大学の田村 萌さん。
 今回のプログラム責任者は、教育部部長で大坂体育大学の小林 海さん、そして教育部副部長で専修大学の岡村夏美さんが務めた。

 総勢160人以上が集まった今プログラムのテーマは、
・ライフセービングを知ってもらう
・ライフセービング競技を知ってもらう
・交流を図る

 の3つ。特に競技に特化した内容を多く取り入れたのが新しい試みだ。

 「ジュニアやユース世代にライフセービングを続けてもらうには、何か目標を持って、それに向かってチャレンジしてもらうことがいいのではないか、という意見が出ました。
 そこで今回は、参加者に競技の楽しさを再確認してもらおうと、ファンレースを多く取り入れたり、チームで競うリレー種目を組み入れたりすることにしたのです」
 と話すのは、第11期教育部副部長で、神奈川大学4年生の山口知彦さん。

 中高生向けには、オーシャン競技の基礎から学べる「ベーシックコース」と、経験者を対象とした「レベルアップコース」の2コースを用意し、参加者自身が選択できるようにした。

 目的がはっきりし、レベルが一定に保たれたお陰で、中高生たちは積極的にライフセービング競技の知識を習得し、ファンレースも大いに楽しんだようだ。
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 一方、初めて海プログラムを開催する小学生に対しては、安全を考慮して海に入るメニューはなし。ビーチプログラムだけで、いかにやんちゃざかりの小学生を飽きさせないようにするか、学生委員たちはメニュー作りに腐心したと思う。

タンデムボードに初挑戦!?
ファンレースで盛り上がった中高生


 開会式に続きスタートした中高生プログラムでは、ベーシックコースとレベルアップコースが入れ替えで、海に入るオーシャンプログラムと、ビーチで行うビーチプログラムを実施した。
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 オーシャンプログラムは、オーシャンスイムの基本動作や、ボードのパドリングフォーム確認など実践的な内容。ボード担当には、学生委員でもあり競技会でも活躍する、慶応義塾大学2年の上野 凌さんの姿も。その指導に真剣に聞き入る中高生の姿が印象的だった。

LSweb ファンレースで盛り上がったのは、タンデムボードレース。
 ほぼ同じレベルの参加者同士が2人でレスキューボードに乗り、最初はおっかなびっくり、その後、力を合わせてコースを回ると、満足そうな笑顔でビーチへと戻ってきた。

 たまに波打ち際でひっくり返るチームあったが、それでも笑顔が消えることはなく、歓声を上げながら次のチームへとバトンタッチ。学生委員が止めなければ、何周でもやりそうな勢いだった。

 なかなかなハードなメニューをこなしていたのが、ビーチプログラムだ。
 走り中心のトレーニングだが、バテた様子を見せないのは若いからか、それとも学生委員の盛り上げが上手いからか。

 ビーチフラッグスで真剣勝負を繰り広げた後には、チーム対抗のビーチリレーでガッツポーズを決めるなど大いに盛りあがっていた。
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 高校生は成城学園と昭和第一学園が、また中学生も成城学園が部活動の一環として大所帯で参加。ノリと元気の良さでプログラムを盛り上げてくれた。

 地域クラブでは、湘南ひらつかLSCと館山SLSC、そしてカワサキスイミングからの参加者が集まった中高生プログラム。

 6月下旬には全日本のユース選手権が開催される。このプログラムで習得した技術を試す絶好の機会ではないだろうか。

小学生を虜にした
大根、人参、白菜、これな〜に?


LSweb ジュニアコースと名付けられた小学生プログラムには、カワサキスイミング、湘南ひらつかLSC、鎌倉ライフガードの3団体のジュニアメンバー13人が参加。

 ジュニア担当の学生委員が同数配置され、学生委員と小学生が一対一でバディを組む、手厚いサポート体制が組まれた。

 ビーチプログラムだけということで、どんな内容が用意されているか興味があったが、午前中は「うみぞらきょうしつ」と題して、ウォーターセーフティー劇や、クラゲタッチという鬼ごっこゲームなど、ビーチで思いっきり遊び、皆が仲良くなるメニューを用意。

 大学生とのバディで、初めは恥ずかしそうにしていたジュニアたちだったが、ゲームが始まるころにはすっかり打ち解け、大学生にべったり。手を引っ張ったり、肩車をせがんだり、ちょっとしたイタズラを仕掛けたり、やんちゃパワーを大いに発揮していた。
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 子どもたちを飽きさせないように、変化のある演出でプログラムを運営していた学生室スタッフだが、中でも大活躍していたのがレクリエーションを担当した国士舘大学4年の武田夏帆さん。

 グー、チョキ、パーと大根、人参、白菜を組み合わせた“なぞなぞ”や、セブンイレブンの開店・閉店を当てる“クイズ”など、子どもたちの注目を一身に集めていた。
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 「普段はライフセービングクラブで活動しているジュニアたちなので、きっと海に入りたくなるだろうと思い、地域のレクリエーションサークルで“ネタ”をいくつか仕入れてきたのです」
 と武田さん。

 彼女の巧な謎かけに、子どもたちはもちろん、バディの大学生も、引率の大人たちも、思わず童心に返ってエンジョイした小学生プログラムだった。

九州産業大学から
学生室に仲間入り


LSweb 晴天にも恵まれ、すべてのスケジュールを無事終了した小中高プログラム。

 「僕自身も、また学生室の皆もすごく楽しくプログラムを行うことができました。今日改めて、ライフセービングの楽しさを見つめ直せたと思います。
 今後の課題は、もっともっとライフセービングの輪を広げていくこと。そのためにも、こういったプログラムを増やし、一般の人たちが参加できるような工夫をしていきたいと思います」
 と小林さん。

 試行錯誤しながら準備から運営まで行った学生室スタッフの中には、九州から参加した2人の大学生の姿もあった。九州産業大学3年の庄司凌介さんと服平啓佑さんだ。

LSweb 「学校のクラブは創部4年目。部員は現在35人います。新宮ライフセービングクラブに参加しガードをしていますが、九州はまたまだライフセービングに関する情報が少なく、特に学生の人数が少ないので、少しでも多くのことを学べればと思い、今年のリーダーズキャンプから学生室に参加しています。
 今回、小中高プログラムの運営に携わりましたが、同年代の学生ライフセーバーがこんなすごいことをやっていんだと、とても刺激を受けました。3年生になってからの参加でスタートは遅いですが、これからも積極的に学生室の活動に関わり、いろいろなことを地元に持ち帰りたいです」(庄司さん)

 「今回、初めて自分たちで企画・運営する大きなプロジェクトに参加しましたが、初めてのことだらけで圧倒されています。
 江の島に来るのも初めて! それだけで感激しているくらいです。学校のクラブで所有しているのは、チューブ2本とレスキューボード2本だけ。まだまだ手探りの状態でやっているので、自分たちが貪欲にたくさんのことを吸収し、九州の仲間たちに伝えていけたらいいなと思います」(服平さん)

 世代を超えて、地域を越えて、ライフセービングの輪が確実に広がっていることが感じられた今回のプログラムだった。
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