facebook  twitter  rss  youtube


LSweb
開業10周年の新江ノ島水族館
新施設「ウミガメの浜辺」と津波避難場所をオープン!
2014/04/18

新江ノ島水族館、屋上を津波一時避難場所として緊急時に解放 2014.4.16

LSweb

4月16日、神奈川県藤沢市にある「新江ノ島水族館」が、開業10周年を迎えた。

そしてこの日、2つの新施設がオープンした。一つはウミガメの生態が観察できる屋外展示の「ウミガメの浜辺」。

もう一つが、災害発生の緊急時には一般人でも利用できる水族館屋上の「津波一時避難場所」だ。



文・写真=LSweb編集室





ウミガメからシラスまで

LSweb “えのすい”の愛称で親しまれる新江ノ島水族館は、神奈川県内で活動するライフセーバーにとってお馴染みの場所だろう。

 「今どこ?」
「えのすい前で海に入ろうとしているところ」
 
 そんな会話をしたことがある人も多いはずだ。

 ライフセーバーにとっては海側から眺めることの多い“えのすい”だが、最近、本館とイルカショーが行われるプールのちょうど中間に、ウッドデッキが設置されたことに気づいた人はいるだろうか。
 
 実はそれが新施設「ウミガメの浜辺」の観覧デッキなのだ。

 ウミガメたちは産卵のため、初夏になるとビーチに上陸する。
 一昔前までは相模湾岸のビーチでも産卵するウミガメの姿が目撃されたと言うが、近年はなかなかその姿を目にすることができなくなってしまった。
LSwebLSweb
「ウミガメの浜辺」はウミガメが産卵のために上陸する環境を再現した施設で、大型のプールとなだらかな砂浜があり、そこで飼育されているアオウミガメ、アカウミガメ、タイマイの3種類11頭を、スロープ状のウッドデッキから観察することができる。
 
 新江ノ島水族館は、半世紀以上にわたってアオウミガメの産卵保全活動を行ってきた実績があり、ウミガメの砂浜では、親ガメだけでなく孵化した子ガメも間近で見ることができる施設となっている。
LSwebLSweb
 さらに、同館では世界初となる「シラス」の展示も開始した。
 食材としてお馴染みのシラスだが、飼育が非常に難しいため、食べたことはあっても泳いでいる姿を見たことがある人はそういないだろう。
 
LSweb 新江ノ島水族館には、目の前の海の中を再現した「相模湾ゾーン」という人気の展示があり、そこではマイワシが群れをなして泳いでいる。マイワシを飼育した経験を活かし、念願の“生きた”シラス展示がスタートしたというわけだ。
 
 水槽内で泳ぐ1ミリ程度の仔魚(=しぎょ。孵化したばかりで骨格やヒレなどの基本的な体制ができあがったもの)や、数センチ大に成長した稚魚(=ちぎょ。仔魚を経てほぼその種の特徴を示すまでになったもの)は必見。

 その他にもクラゲの生態を詳しく紹介した「クラゲサイエンス」といった展示もある“えのすい”は、身近な海をより良く知るためにも、ぜひ足を運んでみたい場所である。

緊急時の避難場所として

LSweb 開業10周年を向けた“えのすい”は、今春から防災施設としての顔も持つことになった。
 大規模地震などで津波警報が発令された場合、海抜15mに位置する同館の屋上を「津波一時避難場所」として、一般にも開放することになったのだ。

「相模湾を目の前に望む当館ですが、東日本大震災を経験して、いざという時に何か役に立てることはないだろうか、という議論が行われてきました。そして、もし大規模地震などが発生した時には、館内にいるお客様はもちろん、海岸を利用されている方や地域住民の命を守るためにも、屋上部分を津波一時避難場所として利用してもらおうということになったのです」
 と堀 由紀子 新江ノ島水族館館長。

 東日本大震災後に神奈川県が発表したデータでは、元禄型関東地震が発生した場合、片瀬海岸では最大7〜8mの津波が押し寄せると予測されている。
 
LSweb 今回、津波一時避難場所として開放される新江ノ島水族館の屋上は、海抜15m、2階のテラス部分でも海抜11mの高さがある。想定内の津波であれば、十分に身を守ることができるだろう。

 海岸側からアクセスする場合は、「ウミガメの浜辺」のウッドデッキを利用して2階のテラスに上がり、さらに建物の一番東側に設置されているらせん階段を使って屋上へ。屋上部分の収容人数は1000人強。今秋までには外付け階段がもう1カ所設置される予定だ。

「ライフセーバーの方たちは、当館を目印の一つにして練習しているそうですね。海という共通のフィールドで活動するライフセーバーの皆さんと、協力できることがあれば嬉しいですね」
 と堀館長は言う。

 「津波一時避難場所」の運用はすでに開始されているが、開放されるのは地震などで津波警報が発令された場合である。海岸周辺は避難場所も限られているため、こうした施設開放は大変ありがたい。
LSwebLSweb
  片瀬海岸で活動するライフセーバーの皆さん、いざという時の避難場所の一つとして“えのすいの屋上”と覚えておこう。








news&information

  新着記事