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第2回レジェンズ・オブ・ビーチフラッグス・ジャパン
日本一の山を望むビーチに、日本一たちが集結!
2016/12/19

Legends of Beach Flags Race in JAPAN

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最年少は13歳、最年長は53歳。

年の差、実に40歳のライフセーバーたちが集まり
師走のビーチを駆け回る……。

そんなファンレースが、
今年も神奈川県の片瀬西浜海岸で開催された。

スポーツDJ山本ゆうじ氏も登場した注目のイベントを紹介しよう。

文・写真=LSweb編集室





世代を超えてビーチで楽しもう!

LSweb 真冬のビーチで開催されたファンレースの正体は、ビーチフラッグスとビーチスプリントに特化した有志による手作りイベント「レジェンズ・オブ・ビーチフラッグス・ジャパン」だ。

 ビーチ競技を通してライフセーバー同士の繋がりを深め、世代間の垣根を低くして、日本が誇るビーチフラッグス技術を継承しつつ、ビーチ文化を根付かせたい——そんな思いでファンレースを企画したのが、発起人の一人である西浜SLSCの植木将人さんである。

 植木さんと言えば、ビーチフラッグス競技で全日本優勝8回、世界大会でも銀メダルを獲得している猛者だが、彼にももちろん駆け出しの時代があった。当時、雲の上の存在だったのが、元世界チャンピオンの鯨井保年さんを筆頭とするビーチ競技の先駆者たちだ。

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昨年参加したレジェンドの面々(2015.12撮影)

 「昨年、オーストラリアで歴代チャンピオンが集まったビーチフラッグスのマスターズ大会が開催されると知り、日本でもやりたいと思いました。
 今は少しライフセービングとは距離を置いているけれど、ビーチフラッグスを日本の“お家芸”にしてくれた先輩たちに、また海に来てもらって、一緒にレースを楽しんでほしいと、仲間たちの力も借りて開催にこぎ着けたのです」と植木さんは話す。

 初開催だった昨年は、東海大OBの鯨井さん、日体大OBの岸 由起夫さん、専修大OBの野田輝明さんら7人の“レジェンド”が駆けつけ、20人近い若手との交流が実現した。

 二度目の開催となる今年は「日本には、若手や新人が気軽に参加できる草レース的なものがほとんどないので」と、ユース世代まで門戸を広げることに。
 その結果、参加選手83人と一気に昨年の四倍近い規模に拡大。「半日では時間が足りない!」と嬉しい悲鳴を上げることになった。

 実施競技はビーチフラッグスとビーチスプリント、そして全員参加のビーチリレーの3種目。男子はユース、オープン、マスターズA(35〜44歳)、マスターズS(45歳以上)の4カテゴリー、女子はユース、オープンの2カテゴリーで、真剣かつ和気あいあいとしたレースが行われた。
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いぶし銀の技が光る!?マスターズS

LSweb 12月10日、雪化粧した富士山を望む片瀬西浜海岸の一角で競技スタート。「Always Ready!」でお馴染みのスポーツDJ山本ゆうじ氏のしゃべりとノリのいい音楽の下、寒さを吹き飛ばす熱戦が繰り広げられた。

 成績は下記をご参照いただくとして、ファンレースの主役、マスターズ枠にエントリーした10人の“レジェンド”たちの顔ぶれを見ていこう。

 今年のレジェンド最年長は、新島LSCの田村浩志さん(53歳)。
 “タムじい”こと田村さんは、新島LSCの代表として今もパトロール現場に立ち、自分の実力を把握するためと競技会にも必ず出場する現役のレジェンドだ。とはいえ、ビーチ競技に出るのは1989年に片瀬海岸で開催された日本たばこ(現JT)主催のサムタイムカップ以来とか。実に27年ぶりのビーチフラッグス出場となった。

 田村さんがコーチ時代に日体大LSCに在籍していのが、藤田秀行さん、須藤信之さん、古見佳一さんの同級生トリオ。現在45歳の3人が現役の頃は、日体大ライフセービング部員が300人という時代で、ジャンボジェット機をチャーターし、ハワイで合宿したという有名な話がある。
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 日本代表としても活躍した藤田さんは、31歳の時に出場した全日本以来、競技会には出場していなかったそう。
 「当時、育児や家事はすべて女房に任せていました。でもいつかは、自分も家族のために時間を使うべきだと思っていて、31歳の時にその決断をしたんですね」と言う。
 でも久しぶりの海はやっぱり気持ち良かったようで、子どもの手が離れたらまたライフセービングに関わりたいと笑顔を見せてくれた。

LSweb 須藤さんが記憶している最後の競技会出場は、33歳の時に九十九里の蓮沼で行われた種目別。

 「ビーチフラッグスで6位だったのが最後です。学生時代は部員も多く、田村さんは鬼コーチでしたけど(笑)、ライフセービング漬けの日々でしたね」と笑顔で話す。
 須藤さんは現在、日体大ライフセービング部OB会の副会長として、後輩たちの活動を縁の下で支えている。

 中学校で教鞭を執る古見さんは、ユース枠でエントリーした生徒と一緒に参加した。

 「30歳の時に全日本に出て肉離れしたのが最後です。ケガをしないようにと思っていましたが、表彰台を逃して悔しいので来年はもっとしっかり練習してきますよ」とにこやかに決意表明した後、「東京都の教員なので、いつかは私のライフセービングの原点である新島に赴任し、島の中学にライフセービング部を立ち上げたいと思っています」と言葉を繋げた。

オープンさながら! マスターズA

LSweb ビーチスプリントに出場した東海大クレストOB、鴨下邦広さん(48歳)は、1992年に伊豆下田で開催された世界大会のメダリストだ。

 「2kmビーチランで銅メダル、ビーチリレーで銀メダルを獲ったのは良い思い出です。今日もビーチランがあればよかったんですが(笑)」と楽しそうだった。

 鴨下さんと一緒に下田の世界大会を戦ったのが、同い年の鯨井さんだ。
 今年、オランダで行われたマスターズの国際大会でビーチフラッグス3位となり“世界の鯨井”健在をアピールしたが、この日は残念ながら見学。

LSweb 旧知の山本ゆうじ氏のインタビューに「若い人からいろいろ教えてもらって、来年に繋げたいです」と答えていた。

 昨年に続いての参加となったのが、館山SLSCの石川智也さん(43歳)。石川さんは社会人になってから活動を始めた遅咲きのライフセーバーだが、現在はパトロールに、コーチにと多方面でクラブを支える主要メンバーとして活躍している。

 日体大OBの青木大輔さん(41歳)も昨年に続いての参加。実は、全日本でも活躍する北矢宗志さん(37歳)と植木さん(38歳)は高校の後輩であり、青木さんが教育実習に行った時の生徒だったのだとか。その北矢さん、植木さんも今年はマスターズAで出場。そして、キレのある動きを見せてくれたのはご想像のとおりだ。

 現在、北矢さんは母校・日体大荏原高校の教師となり、ライフセービング部を立ち上げ、高校生たちを指導し、共にこのレースにエントリーしている——。時の流れを感じつつ、脈々と受け継がれていくライフセーバー魂の連鎖を目にすることができた冬の日だった。
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来年はさらに充実!?

LSweb 強豪選手が集まったユース&オープン世代。

 真剣勝負のレースでスターターを務めたのが、全日本通算21勝、元世界チャンピオンの池谷雅美さん(44歳)だ。
 人数が揃わずマスターズが成立しなかった女子だが、来年こそは華麗な競技姿が見られることを期待しよう。

 ビーチフラッグスのユース女子は、古見さんの教え子である渋谷区立代々木中学校3年の亀井美佑さんが優勝した。
 陸上部に所属する彼女は、「古見先生に教えられて面白そうだと挑戦してみました。まだライフセービングがどういうものか分かりませんが、今日は楽しかったです」とニッコリ。
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 ユース男子の優勝は、成城学園LSC高校2年の大野琉宇那さん。

 期末テストのため練習はまったくできなかったそうだが、「今の自分の実力が分かると思いエントリーしました。優勝できたことで、さらにがんばれそうです」と、練習に対するモチベーションが上がった様子だった。

 オープン男子は実行委員の一人としてがんばった、勝浦LSCの堀江星冴さんが連覇を達成。
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 オープン女子は日体大LSCの石塚円香さんが優勝し「今年、ちゃんと戦って勝った(インカレ優勝はフライングでの勝利)のは初めてなので嬉しいです」と満足そうだった。

 ビーチスプリントのユースは、男子が井上祐里さん(中学3年)、女子が内堀夏怜さん(高校2年)と、西浜SLSCがアベック優勝。
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 オープンは男子が銚子LCの森新太郎さん、女子は西伊豆・松崎LSCの高橋わかなさんが優勝した。
 実行委員の一人でもある森さんは、自分のレースが終わった後に伴走しながらマスターズのレースを録画するという俊足ぶりも披露し、レースの盛り上げに一役買っていた。

 参加者全員が大いに楽しんだレジェンズ・オブ・ビーチフラッグス・ジャパン2016。

 手作り大会といえども、きちんと会場を準備し、正確にジャッジする、手を抜かない運営は素晴らしかった。質の高いレースが行われたからこそ、「今日を冬場のトレーニングの開始日にしたいです」と話す若手選手の姿もあったのだろう。

 レース開催にあたり、ボランティアとして多くのライフセーバーが協力してくれたのは、実行委員長として奮闘した西浜SLSCの小田切伸矢さんら実行委員たちの人柄と人脈のおかげ。ボランティアで協力してくれた皆さん、朝早くからお疲れさまでした。

 「次は2kmビーチランも加え、伝説のレジェンド対決を見せてほしいと言われてしまって……」と、来年に向けての命題を課せられた植木さん。中間管理職ならぬ中堅レジェンドとして、これからもまだまだ奔走する日々が続きそうだ。


    
 
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【ビーチフラッグス・マスターズS】
1位:藤田秀行
2位:須藤信之
3位:古見佳一
4位:田村浩志
【ビーチフラッグス・マスターズA】
1位:北矢宗志
2位:植木将人
3位:青木大輔
4位:石川智也

【ビーチフラッグス・オープン男子】
1位:堀江星冴
2位:森新太郎
3位:石田蒼一郎
【ビーチフラッグス・オープン女子】
1位:石塚円香
2位:高橋わかな
3位:渡邉来美

【ビーチフラッグス・ユース男子】
1位:大野琉宇那
2位:加納陸玖
3位:栗山享大
【ビーチフラッグス・ユース女子】
1位:亀井美祐
2位:西川瑞代
3位:内堀夏怜

【ビーチスプリント・マスターズS】
1位:藤田秀行
2位:須藤信之
3位:古見佳一
4位:鴨下邦広
【ビーチスプリント・マスターズA】
1位:北矢宗志
2位:植木将人
3位:石川智也
4位:青木大輔

【ビーチスプリント・オープン男子】
1位:森新太郎
2位:荒井滉太郞
3位:堀江星冴
【ビーチスプリント・オープン女子】
1位:高橋わかな
2位:神戸友美
3位:利根川莉奈

【ビーチスプリント・ユース男子】
1位:井上祐里
2位:森野郁也
3位:クレイアーロン竜波
【ビーチスプリント・ユース女子】
1位:内堀夏怜
2位:西川瑞代
3位:亀井美祐


 
    

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