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体験型の安全プログラムが大人気!
絆Project『水辺の安全を一緒に学ぼう』〜We are Lifesaver!〜
2013/07/26

2013.7.7 神奈川県藤沢市・辻堂海浜公園ジャンボプール

LSweb夏休み間近の7月7日、神奈川県藤沢市辻堂海岸の辻堂海浜公園ジャンボプールで、プール開き直前の週末を利用して水辺の事故防止について学べる体験型イベントが開催された。

『水辺の安全を一緒に学ぼう〜 We are Lifesaver! 〜』と名付けられたこの催し、波のプールや流れるプールを上手に利用して、海や川、湖など自然の水辺、水際で起こる危険とその防止、また万が一に備えての知識を、大人から子どもまで楽しみながら学んでもらおうと企画された。

また、人と人のコミュニケーションを大切にして、絆を深めていこうという目的も併せ持ったイベントである。

さて、雲ひとつない青空が広がったこの日、辻堂ジャンボプール内で、参加者は一体どんな体験を味わったのだろうか。

文・写真=LSweb編集室





プールに集まった参加者の数、ナント…


 7月7日、七夕の日、神奈川県藤沢市にある辻堂海浜公園ジャンボプールで開かれたイベントに小学生の親子連れが数多く集まった。

 真っ青な空の下、広い会場の一角では、大勢の参加者がイベントの始まるのを今か今かと待ち望んでいる。その数、総勢なんと450人!

 『水辺の安全を一緒に学ぼう〜 We are Lifesaver! 〜』(以下、「水辺の安全」)と題されたこのイベント、海や川への行楽が増え、水に関わる事故が多発する夏休みを前に、子どもの水難事故を防止しようと企画された。主催は絆プロジェクト実行委員会、神奈川公園協会の協力の下、湘南の海にほど近い辻堂海浜公園プールでの開催が実現した。
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 サポートには地元、辻堂ライフセービングクラブはもちろん、県内外の各クラブからも大勢のライフセーバーたちがボランティアとして参加してくれ、先生役や安全管理にと大車輪の活躍だった。みんな子どもたちと接するのが上手で、ライフセーバーの新たな一面をみさせてもらった。

 「水辺の安全」は、その名の通り、水辺の事故防止や安全について、子どもたちが楽しく学ぶことを目的とした体験型イベント。対象は、小・中学生だが、メインとなるのはやはり小学生だ。

 そのため、小学4年生以下の子どもたちは、必ず保護者同伴での参加が義務づけられた。これは、主催者側の“子どもの安全を創るのは保護者の仕事”という思いによるもので、事故防止について保護者も子どもたちと一緒に学んで欲しいという考えから生まれたものだ。

 親子そろって楽しく遊びながら水辺の事故防止が学べるこのイベント、参加した親御さんの評価が非常に高く、特に、日頃、仕事が忙しいお父さんにとっては、親子のコミニュケーションの場としても一役買ったようである。
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体験プログラムはじつに多彩!


 体験型イベントと銘打っている通り、プログラムはじつに多彩。以下に各プログラムの趣旨を簡単に紹介してみよう。

●集まれ湘南っ子:参加した子ども同士はもちろん、保護者同士のコミニュケーションや、子どもと大人の間でもつながりを持つことで、一緒に行動することを学ぶ。人と繋がることの大切さを学ぶプログラム。

●みんなdeトライ:集団の中でルールに沿ってみんなと一致団結して行動する訓練。整列や行進で、大人も子どもも心を一つにして足並みを揃えることができたときの達成感を味わうことが目的。

●着たまま浮こう「浮いて待て」:洋服を着たまま水に落ちたときの対処法として、とにかく焦らず「浮いて待つ」ことを身をもって実践。ペットボトルやゴミ袋など身近なものを浮き具代わりにして、「浮いて待て」を実行し、落ち着いて救助を待つ疑似体験プログラム。
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●波乗り体験:波のでるプールを上手く活用して、ニッパーボードで波乗り体験することで、波の強さ、流れの早さなど自然のパワーを感じるとともに、波と戯れる楽しさにも触れるプログラム。子どもたちには一番人気となっていた。

●君もライフセーバー:万が一、友だちが溺れたらどうすればいい? まずは大人に助けを求め、仲間が複数いれば、溺れた子をたえずウォッチしながら、声をかけて励ます。自分の安全を確保しながら、大人とともに協力して人命救助を行うプログラム。
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●みんなで輪になって「パオ」:大人も子どももみんなで手を繋ぎ、一つの輪になって大きな声で“PAO(パオ!)”と叫ぼう。パオはハワイの言葉で、完了とか終わりという意味。同じ時間を共有し、みんなが「絆」で繋がったらイベントは大成功。大きな声でパオ!

 最初の“集まれ湘南っ子”で、遠慮がちな参加者の気持ちと身体を解きほぐしながら、数十人づつ4つのグループに分けられる。グループが決まると、それぞれが“波乗り”や“ライフセーバー体験”など各プログラムに分かれて順繰りに体験していく方法が採られた。

 LSweb“着たまま浮こう”では、着衣のままで流れるプールに入り、浮き身の方法を教わったり、ペットボトルやクーラーボックス、ゴミ袋などの浮力を試すと、一人ひとりが流れに身を任せ、プカプカと流されていく。
 
 その先で待っているのは、“君もライフセーバー”のグループ。溺者への声がけや大人の応援を呼ぶ方法などを教わっていたグループの元へ流れていくと、早速あちこちから、
 
「もうすぐ助けが来るからねー」「慌てないで浮いててねー」「頑張ってー」といった声が、聞こえてくる。

 そのすぐ川下では、大人たちがレスキューチューブを使って流れてきた人を次々とレスキューして岸に運び上げる、といった具合。救助する側もされる側も一連の動作を身をもって体験できるのが、このプログラムの最大の利点なのである。
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  また、“みんなdeトライ”では、元消防訓練センターの体育訓練教官だった鎌田修宏講師の元、素早い全体整列や「イチ、イチ、イッチ、ニ、ソーレ!」のかけ声とともに隊列を組んでの駆け足など、一連の集団行動の中で絆や連携の大切さを体験。最後は、ちびっ子たちもカッコよく敬礼で決めていた。


キーワードは“保護者の意識”と“絆”

 ところで、このイベントの趣旨は、さまざまな体験プログラムを通じて、子どもたちに楽しくわかりやすく“水辺の安全教育”を行うためのものだが、それだけではない。
 
 もうひとつ、重要なキーワードがある。それは、最初にも書いたと思うが
「子どもの安全を創るのは保護者の仕事」であるということ。
 
 そのために、今回は保護者も子どもたちと一緒になって体験プログラムに参加してもらうことを重要視したのである。

 このことについて、ライフガード歴23年のキャリアを持ち、当イベントのメイン講師を務めた豊田勝義さんにお話を伺った。

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 「これから夏休みにかけて、海や川といった自然の中で水に触れる機会が多くなります。水辺は楽しいところですが、その反面、命を落とす危険もある場所です。このような場所で子どもの安全を守るのは保護者の仕事であり、義務です。親御さんの海や川、湖などの水に関する無知が子どもを危険にさらすことになりかねません。
 そこで、今回は保護者の方にも子どもたちと一緒に水に入ってもらい、さまざまな体験をしてもらうことによって、より安全意識を高めてもらうことが狙いでした。
 過去にも同じような試みを行ったことがあるのですが、事前に通達してあっても親御さんたちはなかなか水に入ってくれません。
 幸いにも今回はほとんどの方が、子どもたちと一緒になってプログラムを体験して頂けました。このようなことは本当に希です。やはり海が身近な存在としてある湘南という土地柄なのかもしれませんね」

 また、参加した子どもや大人たち同士が、新しい友だちを作ったり、コミュニケーションを得られるイベント、絆を大切にしたいという目的もあったようだ。

 今の世の中、他人に対して無関心すぎるという豊田さん。こんな時代だからこそ、地域とのつながりや他人の子どもたちへも目を配っていくことの大切さを大事にして欲しいと話す。
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 この“互いのつながり”という部分に関しても、今回のイベントでは十分クリアできていたと思う。なぜなら、同じグループで一緒になった親御さんに自分の子どもを預けてみたり、また他の子どもの面倒を見たりといった相互補助がしっかりと見て取れた。

 イベントの最後には、津波対応の避難訓練が行われた。参加者には知らされず、抜き打ちで行われた訓練にも慌てることなく指定された高台の避難場所へと移動することができた。

 スタッフを入れると500人になる大所帯でも、大人が子どもたちをフォローしながらスムーズに避難できたのは、直前まで行っていた体験プログラムの成果でもあるだろう。

 互いのコミュニケーションや迅速かつ冷静な集団行動の大切さをあらためて実感したのではないだろうか。
 

 最後に参加した子どもたちや大人の声をいくつかご紹介しておこう。

 
    
 
★子どもたちの感想

LSweb「洋服でおよいだよ」/6歳 女子
「ペットボトル1本で体が浮くなんて体験ができてすごく勉強になったし、楽しかったです」/9歳 男子
「知らない人と協力していろいろできたことがよかった。大変勉強になった」/11歳 女子
「お友達がいっぱいつくれました!」/7歳 男子
「とてもよい体験ができた。みんなと協力する大切さがわかった」/11歳 女子
「溺れそうになったら落ち着いてやることがすごく勉強になり、よかったです」/10歳 女子
「最初は他のお友達と手をつなぐのが恥ずかしくてできませんでした。でもやっていくうちに知っている人じゃなくても声かけができてよかったです。学校のみんなにも教えたいと思います」/10歳 女子
「みんなdeトライは団結しているのが実感できた」/11歳 男子
「津波にもしもなったら素早く移動することが分かりました」/9歳 女子
「とっても楽しかったです。来年もその先もずっと続けてもらいたいです」/10歳 女子

★保護者の感想

「声の掛け合いがとても重要だとわかりました。この訓練を忘れず海、川遊びを満喫したいと思います」/40代
「なかなか他の事触れ合う機会がないので、バディで自分の子どもと他人の子どもも預かって行動したのが良い経験になりました」/30代
「参加は子どもだけかと思っていたのですが、親も自分のイベントとして参加でき、とても楽しかったです。特に着衣泳は、子どもより自分の方が体を浮かせる事に苦戦。コース終盤にようやくコツをつかみました。来てみて良かったと思った瞬間でした」/30代
「集団行動、家の子も今どきのマイペースな子なのですが、楽しく一生懸命やっていて良い経験出来ました」/30代
「ライフセーバーが親切で元気で良かったです」/30代
「貴重な機会に参加でき、家族で改めて話そうと思います。ぜひ次回もお願いします」/30代
「自分の子どもではない他人の子ども供をみんなで守る、とても良い事だと思いました」/40代
「親子で参加は非常に良かったです。助けられる側から助ける側へ意識が変わりました」/40代
「とってもとっても素晴らしいイベントです。また来年もよろしくお願いします」/40代
「自分の事だけを考えがちだがチームとして乗り越えていく導入部分がとても参考になった。防災リーダーだったり、子どもの企画を立てたりしているので、大勢の人を動かす、伝える、チームワークが素晴らしいと思いました」/40代
「他の親に面倒をみて頂き、他人の子どもを面倒をみるという貴重な体験をさせて頂き、感謝申し上げます」/50代
「ライフセーバーの皆様、とてもカッコ良かったです。子どもに夢を持たせていただき感謝します」/30代
「今後も実施して下さい。水に対する危険性だけでなく、楽しみながら安全性の意識が高まることは素晴らしいことだと思います」/30代

 
    
 

 ここにご紹介したのはほんの一部。全部載せきれないのは残念だが、とにかく参加した大人も子どもも、さまざまな体験を通して何かしら得たり感じたりすることができたようである。
 
 ぜひ今後も続けていってほしいし、ライフセーバーやライフセービングクラブが協力して、このような有意義なイベントが全国各地に広がることを願っている。
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