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インカレ番外編 競技会の舞台裏2014/10/01

PEOPLE who work behind the scenes.

LSwebインカレの大会会場となった御宿海岸は、台風17号の影響により、風・波とも吹き荒れ非常に厳しいコンディションとなった。

刻々と変わる気象・海象条件の中、参加選手たちのために“安全を確保した中でなんとか最後まで競技を成立させてあげたい”と思い、懸命に奮闘してくれていた運営の裏方さんがいたことを忘れてはいけないと思う。

大会運営に関わるすべての人に敬意を表して、インカレ番外編をお届けしよう。皆さん、お疲れさまでした。

文・写真=LSweb編集室




頼れる職人集団、安全課

LSweb インカレ2日目の朝————。
 
 学生たちが頰を引きつらせながら、ドカンドカンと打ち寄せる波を見ている場所からそう遠くないところで、
 「いやぁ〜、うっかりブイを打てちゃったもんで、今日もレースができちゃいますねぇ」
 と、おどけた調子で笑顔を見せる集団がいた。
 今大会の安全課を担当する、九十九里LSCを中心とした強者たちだ。

 安全課の朝は誰よりも早い。夜が明けきる前から浜へ足を運び、その日の気象海象を実際にチェック。もちろん、天気予報の確認も怠らない。

 明るくなったところでブイやアンカー、ロープなどの備品を確認し、IRBやPWCを準備。そしてウェットに着替え、ライフジャケットを身にまとい、必要に応じてヘルメットを被り、海へと出ていくのだ。

 選手たちが浜へと集まってくるころには、もうブイを打ち終わっているという手際の良さである。そして何食わぬ顔でまったりとコーヒーなどを飲みながら、冗談交じりのバカ話しをしているという具合だ。
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 安全課の人たちは、実に男気溢れる人々だ。
 「舞台裏なんか見せるもんじゃねえよぉ」
 心の中ではきっとそう思っているのではないだろうか。もちろん、安全課には女性もいて大活躍しているのだが、彼女たちも面倒見が良くて気っぷのいい体育会系女子なのだと思う。

 まあ、気質の話はさておき、今回のインカレのように厳しい気象条件の時は、体力的にも、精神的にも苦労が多かったはずだ。

 最終的に2日目に予定されていたすべてのオーシャン競技が中止となってしまったが、インカレという出場機会が限られる大会でなんとか総合成績が出るようにと、実行委員会はギリギリまで競技続行の方法を模索した。
 その中で、いかに選手たちの安全を確保するかは、全員が注力したことである。

 今回、安全課を率いた“タイタン”こと森 良祐さんに話を聞いてみた。LSweb
 「インカレというのは特別な大会です。選手たちは、チームを代表して出ているという責任感から無理をしてしまうことも多く、それが危険に繋がる場合もあります。
 ですから、選手が大丈夫だと言っても、安全課、あるいはIRBに乗っているウォータージャッジの判断で、危ないと思ったらピックアップすることにしています。
 そのあたりの判断は、経験を積まなければ分からないこともありますね。夏のガードと一緒です。また安全課特有のスキルも必要になります。
 普段はそうした経験を積んでもらうために、ベテランと若手がコンビを組んで海に出るようにしているのですが、今回は海況が厳しいことと、判断が難しいということを踏まえて、ベテラン×ベテランのコンビで対応しました。
 インカレは特別な大会だけに、結果的にレースを続行することができず、申し訳なかったな……と思っています」
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 ブイの設置・管理から、選手の安全確保、さらには次々と流れてくるサーファーへの対応など、安全課の的確な対応には頭の下がる思いがした。
 そのことは学生たちも十分に感じていたようで、大会終了後、学生室の代表者が大きな声で感謝の意を伝えている姿が印象的だった。

 ところで、安全課はいつでも若手の“入門”を歓迎してくれるそうだ。

 九十九里LSCだけでなく、西浜SLSCや愛知LSCなど、海の知識が豊富なベテラン勢が、親切丁寧かつ厳しく (^_-) 仕込んでくれるそうなので、卒業後もライフセービングに関わっていきたいと考えている学生の皆さん、安全課のテントをこっそり覗いてみてはいかがだろう。
 きっと、すぐに首根っこを捕まえてくれるはずだ。LSweb

学生諸君、BLSマスターを目指そう!

LSweb 競技会の運営には、安全課だけでなく多くのスタッフが関わっている。審判員、医務ドクター、トレーナーステーションの皆さん、会場設営のスタッフなどなど。実況で会場の雰囲気を大いに盛り上げてくれる、スポーツDJもいる。

 そしてBLS(ベーシック・ライフ・サポート)アセスメントを担当する、インストラクターの存在も忘れてはいけないだろう。

 今大会では、清水博史、関口義和、森 洋行、來島慎太郎の各インストラクターが、実技を行った男女合わせて75校のBLSを採点し、それぞれにフィードバックを行った。

 アセスメントでA評価となった大学はインカレレポートの成績表欄に掲載したので参考にしてほしいが、インストラクター4氏は、結果に満足していない様子だった。
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 「男子は37チーム中A評価が12チーム(33%)、B評価が20チーム(54%)、C評価が5チーム(13%)、女子は38チーム中A評価が18チーム(47%)、B評価が16チーム(41%)、C評価が5チーム(12%)という結果でした。
 結果だけを見ると、A、B、Cの評価率は昨年とほぼ変わりません。向上しないといけないわけですから、私たち自身、どう対策をとっていくか頭を悩ませています」
 と、清水インストラクター。

 A評価がとれない最も多い理由は、古い手技をそのまま行っているというものだ。日本蘇生協議会と日本救急医療財団がつくる「蘇生ガイドライン」は数年に一度、見直しが行われている。

 毎年、新入生が入学する大学でなぜ古い手技が? と疑問に思うところだが、地域クラブで活動する中で、社会人を含む先輩たちから古いやり方を教わるのではないか、というのが清水さんたちの考えだ。

 「海やプールでの練習だけでなく、CPRやAEDの練習も定期的にやってほしいですし、話を聞く限り、定期的にやっている学校はA評価を取っています。ただ昔のように、アセスメントに選出されて『うわぁ、ハズレた〜』という反応はほとんど見られなくなりました。
 得点が加算されるということもあり、『よし、8点取るぞ!』と意気込んでくる学生が多くなりましたね。点数ありきではありませんが、でも学生たちのやる気を引き出すという点ではとても効果があったと思います」
 と、清水インストラクターは言う。
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 「今後の課題は、どうやって評価率を上げるか、ひいてはライフセーバーなら誰もがBLSを正しく行えるようにすることです。若手だけではなく、社会人にも参加してもらえるような、更新講習会のような機会をもっと積極的に作り出していかないといけないのかもしれません」
 と、思案顔の4人。

 技術は日々進化している。スマホなどの扱い方やSNSでの情報発信能力など、若者のほうが圧倒的に進んでいることもある。
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 学生ライフセーバーの皆さん、正しい知識を身につけ、しっかり練習して、自信を持って、ベテラン社会人ライフセーバーにBLSのお手本が見せられるようになろうではないか!










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