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今明かされる……
関西ライフセーバーズ運動会 誕生秘話!
2014/10/29

The very first story of "Kansai Lifesavers Sports Day"

LSweb
和気あいあい、大いに盛りあがった「関西ライフセーバーズ運動会」。
その影には、主催者の熱い思いがあった!

今回は、大会実行委員長である神戸LSCの那須祐介さんに、ライフセーバーズ運動会にかける想いを綴ってもらった。

大会を開催するにあたっては、深い、深いワケがあったのである。(LSweb編集室)


文=那須祐介(神戸LSC)
写真=毛利 智(神戸LSC)





石を投げられた苦い思い出

LSweb 「関西ライフセーバーズ運動会」には大きな目標が二つある。一言で言うと、一つが交流。そしてもう一つが競技の楽しさを伝えることだ。

 関西圏のみならず、西日本ではライフセービングはメジャーではない。私がこの活動を始めた頃は、石を投げられたことさえあった。それから十数年の歳月が過ぎ、さすがにそのようなことはなくなったが、いまだに「ライフセービング」と言うと、「何それ?」という言葉が返ってくることがある。

 また、西日本では社会人が活動の主流だ。
 日々、職場で働き、家族サービスや子育てをし、やりくりした時間で海に来て、パトロール業務やトレーニングに取り組むのはそう容易なことではない。
 
 関西圏どころか、同じクラブ内でも交流することが難しいくらいだ。さらに言えば、家族に「ライフセービング」という活動を理解してもらうのも、なかなか困難なのが現実である。
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 だからこそ、交流の場を設ける必要があると感じていた。クラブメンバーとの交流はもちろん、同じ関西圏で活動するライフセーバーとも、そして我々を影で支えてくれる家族という存在にもライフセービングを知ってもらい、一緒に汗を流して交流ができる場を設けたいという気持ちは、日を追うごとに強くなっていった。

 ヒントとなったのは、神戸LSCが毎年秋に行っていたクラブ内運動会だった。元々は体力測定の場だったのだが、私が実行委員を担当することで、交流の場へと変えていった。

 クラブメンバーと、それをサポートしてくれる家族や地域の人たちを二つのチームに分け、誰もが楽しめる競技を取り入れて、みんなで汗を流しながら交流する、そんな神戸LSCの運動会を、関西全体に呼び掛けて、各クラブのライフセーバーが集まれば、交流の場になるのではないか。
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 そういう想いから、当時、個人的に交流があった京都LSや西浜SLSCのメンバーに参加を打診したのが、関西ライフセーバーズ運動会立ち上げのきっかけとなった。

 その時の運動会を終えた後に、参加したメンバーから「違う浜のライフセーバーと知り合えて楽しかった」と感想をもらった瞬間、これは関西全域に広げるべきだと確信したのだった。

敷居の低い競技会を

LSweb 競技という面で比べると、関西は東日本、中日本から劣っていると認めざるを得ない。技術ウンヌンもさることながら、そもそも競技人口が非常に少ないのである。

“ライフセービング=競技”と思っているわけではないが、人命救助の活動をする以上、日々身体を鍛え、技術を磨く必要はあるだろう。

 私はライフセービングを始めた当初、何も分からないまま競技会に出場し、大恥をかいた経験がある。しかし、そこで目の当たりにした技術や体力の違いには、大変大きな刺激をもらったものだ。
 だから今も恥をかきに行っているようなものだが、毎年、刺激をもらいに競技会に出場している。

 その魅力を若いメンバーに伝えようと必死に語ったり、誘ったりするのだが、なかなか良い返事をもらえない。正直、どうして参加するメンバーが少ないのか理解できないでいた。
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 そこである時、競技について「何で出場しないのか?」と尋ねたことがあった。返事は「敷居が高いような気がする」というもの。満足いくトレーニングもしないで、競技会に出て良いのだろうか……ということだ。

 「なるほど。そういう風に捉えられているのか」と思ったが、「それなら敷居の低い競技会を作ったらええやん!」と、ピンときた。

 競技に出たことのないメンバーには、気軽な気持ちで出場できる競技会。競技に出ているメンバーには、力試しになる競技会。我々を影ながらサポートしてくれる家族も参加できるような競技会。交流の場として関西全域に広げようとしていた運動会を、そういう競技会にしようと決意するのに、そう時間はかからなかった。
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関西競技実行委員は強者揃い!

LSweb 思い立ってすぐに神戸のメンバーに伝え、京都LS、そして若狭和田LSCにも声をかけた。

 誰もがすぐに賛成してくれて、快く協力してくれることになった。そうして、関西に競技会を作り、盛り上げていこうという同じ志を持った「関西競技実行委員会」が発足した。

 開催地も、若狭和田LSCが名乗りを挙げてくれたので、すぐに決まった。
 しかし、苦労がなかったわけではない。何もないところから始めたのだから、ないないづくしだった。

 特に困ったのは海上に浮かべるブイだ。一年目は、浮き輪等を紐でしばってブイとしたが、今年は廃材を利用してブイを手作りした。
 ビーチエリアのペグも、着順を示す札も、すべてが関西の競技会を盛り上げようと考えたメンバーたちによる手作りだ。
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 さらに今年は、音響設備や掲示板をメンバーがそれぞれ準備してくれて、おまけにみんなでワイワイ食べて楽しもうと、参加者全員分のランチを作ってくれるまでにパワーアップした。

 大会の広報活動も、メンバーが自主的に行ってくれた。だから運営するにあたって苦労らしい苦労は感じなかった。

 必要な器材や道具の準備、人が集まることによって生じる宿の手配にしても、実行委員のメンバーが分担して快く引き受けてくれる。意志の疎通が上手くいかないこともあるが、同じ志を持った者同士、すぐに分かりあえるところが強みだ。

 なんと言っても、関西競技実行委員の面々は、そういった苦労を楽しさに変える強者揃いなのである。
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〝継続は力なり〟続けることに意義がある

LSweb 関西というネーミングからも、大阪LSCや大阪体育大学LSCにも声をかけたかったのだが、初回はそこまで手が回わらなかったというのが正直なところだ。

 しかし、今回は両クラブに声をかけることができ、大阪体育大学からは13人もの学生たちが参加してくれた。彼ら、彼女たちの参加で大会がさらに盛り上がったのは言うまでもない。

 また思いも寄らぬ収穫もあった。静岡からの参加だ。facebookに書いてあった「土・日何かおもしろいことないかな?」の書き込みに、実行委員の面々が反応したのだ。

 まるで荒らしのような書き込みにも関わらず、二つ返事で参加を表明してくれたのが用宗LSCの久保亮介君だった。遠路はるばる、2人の後輩とともに駆けつけてくれた彼らの出現で、関西圏のライフセーバーの交流をと考えていたものが、関西を通り越して、日本中のライフセーバーと交流できそうな、ワクワクした期待感に満ちたものとなった。
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 反省点は山ほどある。競技会運営を通して、いつも自分が選手として参加させてもらっている競技会の運営の大変さがよくわかる。当日の準備不足も否めない。

 大会が無事に終えることができたのは、選手も含め、参加した全員が協力して作り上げた大会だったからだと強く思う。

 今後の展望を聞かれると、「継続する」に尽きる。
 運動会はこのまま関西の底辺の競技会で良い。目指す姿は「運動会くらいなら出ようか」「予選に出場する前に、運動会で試してみるか」と思われる大会だ。
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 気軽に出て、競技会の面白さを肌で感じてくれるライフセーバーが、またライフセービングに興味を持ってくれる人が現れてくれれば、この大会は大成功だと言える。

 そこから新たにもっとガチな競技会を作り、さらなる発展も図れるだろうし、競技人口も増え、交流も深められれば、切磋琢磨する仲間も増えよう。時間はかかるかもしれないが、それこそが全体のレベルアップを図る方法だと思う。

 何年かかるかわからないが、続けていけば、少しずつでも必ず変わるはずだ。それは間違いないだろう、だってもう石を投げられることもないのだから。
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