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「ライフセービング」の活動について教えて!2012/08/16

What’s Lifesaving?

世の中、ライフセービングあるいは、ライフセーバーのことを理解している人が、はたしてどのくらいいるのでしょう?
ここでは、ライフセービングの活動についてごく簡単にご説明します。
老若男女を問わず幅広い方々に少しでもライフセービングのことを知っておいて欲しいから‥‥。

文・写真=LSweb編集室




ライフセービングが目指すもの

 「ライフセービング(Lifesaving)」とは、主に海や河川、プールなど親水エリアで起こる水辺の事故を未然に防ぎ、また事故が起こった場合には救命活動に携わる公益性のある活動のことをいいます。真夏の海水浴場で、黄色と赤のユニホームを着用し、トランシーバーを片手に遊泳区域を歩き回っている若者を見かけたことはありませんか。
 彼(彼女)らが行っているのが、ライフセービングの基本的な任務の一つである遊泳者の安全を守る監視パトロールです。
 
 このほか、水の安全に関する教育や啓蒙活動、ビーチクリーンなどを通じての環境保全などを各地域とともに取り組みながら「水辺の事故、ゼロ」を目指して活動しています。また、こうした任務に携わる人々を“ライフセーバー”といい、彼らは日頃から身体を鍛え、安全に関する技術や知識を養いつつ、海水浴客の安全を見守っているのです。

ライフセーバーの役割と想い

 日本の場合、ライフセーバー=(イコール)溺れた人を助ける救助員、というイメージがまだまだ一般的です。
 しかし、ライフセービングで一番重要視されていることは、溺者の救助活動それ自体ではなく、“事故を未然に防ぐ”ということに尽きます。そのため、実際には、溺者を救助する何倍、何十倍もの時間を、事故防止に費やしているのです。
 
 例えば、夏の海水浴場では、「声かけ」といって海水浴客に直接話しかけて注意を促したり、ビーチを綺麗に保つためにゴミ拾いをしながら、ケガの防止や環境保全に努めたり、迷子の子どもを保護して両親を捜したり……といった具合です。
 通常の活動の中で最も多いのが、クラゲに刺されたり、熱中症になった人への応急手当てであり、また、置き引きや盗撮などの被害を訴える海水浴客に対応も行っています。最近では禁煙をうたう海水浴場も多くなってきているので、その告知や喫煙場所の案内を行う役目も担っています。

 海水浴シーズン以外に行う活動も数多くあります。マリンスポーツイベントでの監視活動、小学校などでの安全指導、お祭りなどを通しての地域交流、定期的に行うビーチクリーンなどにも取り組んでいます。
 また、クラブによってはジュニアプログラムを運営し、子どもたちに海の楽しさ、安全に海で遊ぶための知識、さらにはスポーツとしてのライフセービングの魅力などを教える地域クラブも増えてきています。

 こうした活動を続けることで、ライフセービングの認知度を上げつつ、水難事故を防止し、水の事故を限りなくゼロに近づけていく。そして自らの持つ救助技術を使うことなく毎日を無事に終えることが、すべてのライフセーバーたちの願いであり共有する想いなのです。


パトロールの七つ道具

 ライフセーバーは、水辺の事故を未然に防ぐため、次に紹介する道具や器材などを使ってビーチの監視・救助活動を行い、海水浴を楽しむ人々の安全を見守っています。これらは遊泳者の安全を守るためであるのはもちろん、救助の際、ライフセーバー自身の安全を確保するためにも重要な装備品なのです。

ユニホーム
 ライフセーバーのユニホームのカラーは、「黄色と赤」というのが一般的です。海浜や水辺で目立つ上、赤は危険、黄色は注意を喚呼する色でもあるため、水辺で監視・救命活動を行うライフセーバーにぴったりの色となっています。写真は、サーフライフセービングの本場、オーストラリアのユニホーム一式です。


笛(ホイッスル)
 遊泳者に注意喚起したり、危険を知らせるときに利用します。水に濡れても音が出るタイプが主流。ただし笛の吹きすぎはあまり印象がよくありません。最近では、事故を未然に防ぐため遊泳者に対して積極的に「声かけ」を実施しています。笛を吹くかわりに遊泳者とのコニュミケーションをはかる努力をしているのです。

トランシーバー
LSweb 一度に複数の人と同じ情報を共有することができるトランシーバーは、ライフセーバー仲間との連絡手段として必須のアイテムです。免許や資格・申請のいらない特定小電力タイプが主流。ただし、海水に浸からないよう防水ケースを用いるなど工夫しています。

双眼鏡
 多くの海水浴客で賑わうビーチで、波打ち際から沖合まで広い範囲を監視するライフセーバーにとって、双眼鏡は手放すことのできないアイテム。特にパトロールタワーの上から監視する時には、肉眼で全体を、双眼鏡でピンポイントを注視し、事故防止に役立てています。
LSweb

レスキューチューブ
 発泡ウレタンホーム製の細長い浮力帯で、赤や黄色の救助道具のことをレスキューチューブといいます。救助者をつかまらせたり、フックを使って救助者の体に巻き付けて使います。たすき掛けできるベルト付きで、パトロール現場で最も数の多い救助器材のひとつです。


レスキューボード
 サーフボードのような形をしたレスキューボードは、海上パトロールや救助活動で使われます。サイズは長さ約3m、幅約60cm で浮力があり、パドリングで水上を素早く動けるので、救助者を乗せて安全な場所まで運ぶことができます。浜の要所に設置されていますが、緊急時に即対応できるようボードの周りにはパラソルや荷物など置かないように気をつけましょう。


スレッド付きパーソナルウオータークラフト
 一般的にジェットスキーと呼ばれる機動力のあるパーソナルウオータークラフト(PWC)は、広いビーチなどでより活躍することができます。艇尾からスレッドと呼ばれる救助用板を装着し、パトロールするのが一般的。ただしPWC を運転するには小型船舶免許が必要となります。


 その他にも、救急箱や担架はもちろん、トランジスタメガホン(拡声器)やフィン(足ひれ)なども用意しています。広い砂浜では、船外機付きのインフレータブルボートを活用しているところもあります。
 また、心肺蘇生法を行う際に用いる手動式の人工呼吸器類や最近、街中でもいたる所で設置看板を見かけるようになった自動式体外式除細動器(AED)などもほとんどの監視所で準備されているようです。

ライフセーバーになるには

 ハワイやゴールドコーストなど、海外のビーチなどでもお目にかかることも多いライフガードやライフセーバーたち。真夏のビーチで颯爽と活動するその姿を目にし、格好いいなぁと思ったら、ぜひ貴方も参加してみて下さい。

  基本的にライフセービングは老若男女、誰でも行える活動です。
 しかし、海辺やプールで活動するためには、憧れや熱意だけでなく、知識や経験も必要となってきます。 ライフセーバーになりたいと思ったら、まずは地域や学校にあるライフセービングクラブに問い合わせてみるのが一番良い方法です。
 高校や大学に通っていて、その学校にクラブがあるのならば、まずはその門を叩いてみるのがいいでしょう。もしも貴方が、中学生以下あるいはすでに学校を卒業している場合、また自分が通う学校にライフセービングクラブがない場合は、地域クラブを探し活動の様子を見に行くことをお勧めします。もちろん、ビーチで出会ったライフセーバーに、直接話を聞くのも一つの方法です。

 「海が好き」「水泳が得意」「とにかく身体を動かすことが大好き」なんていう人は、きっとライフセービングに向いていると思います。ライフセーバーの中には、ライフセービング活動をしながらほかのスポーツを楽しむ人がたくさんいます。サーフィンやアウトリガーカヌー、オープンウオーターといったマリンスポーツはもちろん、ジョギングやトレッキングなどじつに多彩です。いろいろな世界を知ることで、活動に幅が出るのがライフセービングのいいところなのです。










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