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新入生さん、いらっしゃい!
8大学合同 新入生勧誘海練 開催
2014/04/23

Newcomers, welcome to lifesaving world!

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学生ライフセーバーにとって、新学期が始まる4月は、パトロール期間の8月と並んで書き入れ時のシーズンだ。

自分の履修スケジュールを差し置いてでもやらなければいけないこと、それがクラブ発展のために必要不可欠な「新入生の勧誘」である。


文・写真=LSweb編集室





今年も寒かった、新勧海練

LSweb 3月並の気温に逆取りしてしまった先週末、神奈川県藤沢市の片瀬西浜海岸では、多くの学校ライフセービングクラブが、入学したての1年生にライフセービングを体験してもらう「新入生勧誘海練」を開催していた。

 その中でひときわ目立っていたのが、青山大学、神奈川大学、慶応大学、國學院大学、実践女子大学、帝京大学、中央大学、文教大学の8大学が一緒に行った合同新勧海練だった。

 関東近郊にキャンパスのある8大学には共通点がある。それはいずれの大学も、ライフセービングクラブの部員が少なかったということだ。そこで、互いに協力しながら新入生を獲得しようと、4年前から合同で新勧海練を開催するようになったのである。

LSweb 「他大学と一緒にやることで、機材の数が揃いますし、サポートするメンバーの頭数も増えます。何より、少人数でひっそりやるよりも活気が出ますよね。学校という垣根を越えた仲間ができることもアピールできると思います」
 と話すのは、今年、合同新勧海練の実行委員長として奮闘した、神奈川大学3年の坂田 郷さんだ。

 ライフセービングの魅力を感じてもらい、一緒に活動してくれる仲間を増やすことを目的とした今回の合同新勧海練。上級生たちは学校間を行き交い、何度もミーティングを重ね、新入生用のウエットを人数分調達し、安全かつ思いっきり体験できるようにと、メンバーの活動浜である横浜海の公園LSCからニッパーボードを借用するなど、万全の準備を整えた。

 そして迎えた当日。開会式に続いてビーチクリーン、ウォーミングアップが行われ、その後、上級生たちの迫真の演技によるレスキューデモンストレーションが披露されると、いよいよ4班に分かれての体験がスタートした。
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 海ではボードとチューブが用意され、新入生は見よう見まねでトライする。最初はおっかなびっくりだったものの、上級生たちの丁寧なサポートのお陰で、しばらくするとニッパーボードで波に乗れるようになり、実に楽しそうだった。

 陸ではビーチフラッグスやドラッグレースなどを体験。ビーチフラッグスで上級生顔負けの俊足ぶりを見せる新入生もいたが、ドラッグレースでは苦戦する新入生が多かった。

 上級生たちは、ファンレースで盛り上げ、罰ゲームでも盛り上げといつも以上に元気いっぱい。自らも大いに楽しみ、ライフセービングの魅力を伝えていた。
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8校合わせて100人以上が集結

 小規模校同士が協力して新入生を勧誘する、という合同新勧作戦の成果は確実に現れているようで、今年は8校合わせて新入生51人、上級生52人、計103人と100人以上のメンバーが一堂に会した。合同海練を始めた当初はどの学校も部員が10人前後で、後輩ゼロという学校もあったそうだが、今では浜でも目を引く人数に増加した。
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「うちのクラブがこんな人数になるなんてスゴイ!」
 と感激ひとしおだったのは帝京大学のOGだ。同大学からは11人の新入生が参加。そのうちの1人に参加の動機を聞いたところ、
「今回参加した1年生は、全員が救命救急士を目指しています。ライフセービングの経験は、絶対に役に立つと思ってやろうと思いました!」
 と力強い返事が返ってきた。

 昨年、クラブ設立10周年を迎えた神奈川大学の1年生は、
「高校まで競泳をやっていましたが、大学では違うことをしてみたいなぁと思っていたところ、ライフセービングなら競泳の経験が活かせると興味を持ちました。やってみて、寒かったですけど面白かったので、かなり気持ちが固まってきました」
 とコメント。神奈川大学からは8人の新入生が参加した。

 ここ数年、部員1人という状態が続いていた慶応大学は、今回4人の新入生が集まった。
「ライフセービングをやっているという同級生に誘われてきました。一緒にクラブを作っていこうと言われ、面白そうだなと思ったのです」
 と話すのは、看護医療学部に通う1年生。同大学4年の浦 健太さんは、
「最後の学生生活でリレー種目に出られるかと思うと、嬉しいですね」
 と寒空の下、笑顔を見せた。
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「いやぁ、今日は予想外の展開でした。連絡をもらった時には、確か“新歓コンパ”って言われたような(笑)」
 と話してくれたのは、文教大学の1年生だ。女子大生との合コンだと思って来てみたらウエットを着させられて海へ入ることになった……というわけだが、それでも楽しそうに体験していたので、まんざらでもなさそう。文教大学からは5人の1年生が参加した。

LSweb それぞれ3人の新入生が集まったのが、國學院大学、中央大学、青山学院大学の3校。少数精鋭クラブに、新たなメンバーが加入してくれそうだ。

 今回唯一、新入生の参加がなかったのが実践女子大学だ。
「ライフセービングは海で活動するので、敬遠する人もいるようです。学校で人気が高いのはラクロス部かな。他大学のサークルに参加する学生も多いので、勧誘はなかなか大変です。今、メンバーが私たち2人しかいないので、浜での活動や、他大学、社会人の人とも仲良くなれることなど、ライフセービングの魅力をアピールして、引き続き勧誘を続けていきます」
 合同海練を手伝いつつ、決意を新たにした2人だった。しっかりと活動を続けていれば、きっと仲間もできるはず。ガンバレ〜。


 新勧が終わって入部を決めれば、次は活動する浜を決め、ベーシック資格取得……と夏前の新人学生ライフセーバーは実に多忙だ。でも、それが充実した学生生活の入り口となる。新入生の皆さん、ウェルカム・トゥー・ライフセービング・ワールド!
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三浦海岸SLSC
クラブ設立20周年式典を開催!
2014/03/21

Miura Kaigan SLSC 20th Anniversary 神奈川県三浦市 2014.3.16

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東京湾に面した神奈川県三浦市の三浦海岸。

マリンスポーツのメッカであるこの海岸を拠点にライフセービング活動を続けているのが、今年、クラブ設立20周年を迎えた三浦海岸SLSCだ。


文・写真=LSweb編集室




100年続くクラブを目指して

LSweb 南からの強風でコートがいらないほど気温が上がった3月16日、三浦海岸を見下ろすホテルで「三浦海岸サーフライフセービングクラブ設立20周年式典」が行われた。

 節目の年を祝う会場には、パトロール歴1年の大学生から、パトロール歴20年以上の社会人メンバーまで、またOB・OG、地元の関係者、ライフセービング仲間など50人以上が集った。

 海水浴が一大レジャーだった昭和の時代、首都圏からのアクセスが良い三浦海岸は家族連れや若者でごった返した。郷ひろみやキャンディーズのコンサートが海辺で行われ、京浜急行は朝のラッシュ並にぎゅうぎゅう詰め————。
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 三浦海岸海水浴場運営委員会・大島敬三委員長のそんな回想で始まったパーティーは、続いて、日本ライフセービング協会(JLA)の小峯力理事長からのお祝いのメッセージを川地政夫事業部長が読み上げ、さらに神奈川県ライフセービング連盟(KLF)の加藤道夫理事長の祝辞へ。その後、和やかな懇談へと移っていった。

 ここで少し、三浦海岸SLSCの歴史を紹介しよう。

 三浦海岸の最寄り駅、京浜急行・三浦海岸駅が開業したのは、今から約50年前の1966年のことだ。以来、農業と漁業で生計を立てていた、東京湾に面した静かな町に観光客が訪れるようになり、特に夏は海水浴を目当てに多くに人がやってくるようになった。長い砂浜には足の踏み場がないほどビーチパラソルが立ち並び、波打ち際はそれこそ“芋洗い”状態。残念ながら、溺水事故も起こっていた。
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 1979年、日本赤十字社水上安全法に則った監視活動が三浦海岸海水浴場で始まった。この時に活動した有志たちが、三浦海岸SLSCの生みの親ということになるだろうか。

 三浦海岸海水浴場は、海の家を主体とした海水浴場組合や民宿組合、商店街組合などから構成される三浦海岸海水浴場運営委員会によって開設されている。その運営委員会から、直接雇用されるようになったのが1989年のこと。以後、運営委員会との関係は現在まで続いている。そして1994年、活動母体が組織化され、三浦海岸SLSCが誕生。2014年の今年、クラブ設立20周年を迎えたというわけだ。

LSweb クラブ代表の上村雅幸さんによると、監視業務が開始された1979年からクラブ設立までを「三浦SLSC第一世代」、クラブ設立の1994年から2011年までを「三浦SLSC第二世代」、それ以降を「三浦SLSC第三世代」と位置付けているという。

「日赤の水上安全法をベースに、監視艇なども利用してパトロールしていた第一世代、JLAの資格を取得し、レスキューボードやPWCを導入した第二世代、その歴史を踏まえた上で、2011年の東日本大震災を経験し、海辺だけの活動ではなく災害時にも率先して活動できるクラブを目指す、という理念を掲げた今(第三世代)があります。今年はクラブ設立20周年であるとともに、三浦海岸で監視活動を開始してから35年目の年でもあります。
 これからも、先輩たちから受け着いた活動を発展させ、そして人を育てて、この先100年続くクラブを目指すのが私たち第三世代の役目だと思っています」
 と上村さんは言う。
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 三浦海岸SLSCでは毎年、ジュニアよりも下の未就学児を対象とした海辺の安全啓蒙「キッズ教室」を開催している。また、防災無線の担当者が亡くなるという東日本大震災の教訓を活かし、避難誘導用のアナウンスCDを作成。いざという時には監視本部からこのCDを流し、ライフセーバーたちは周囲の人たちと共に率先して避難できるような対策を講じている。

 こうした一つ一つの取り組みが、これからの10年、20年、そして100年先まで続くクラブの活動を支えていくのだろう。

 楽しいパーティーの時間はあっという間に過ぎた。
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 久しぶりの再開を懐かしむメンバー、大先輩と緊張した面持ちで言葉をかわす学生メンバー、今後のクラブのあり方について熱く語るメンバー……。賑やかな会場の雰囲気は、想像に難くないと思う。

 パーティーの終盤、今年のパトロールメンバーが整列し自己紹介した。そして今夏の監視長、日本女子体育大学4年の杉山怜美佳さんが「今年も皆で力を合わせて、三浦に受け継がれている言葉“早期発見、早期救助”を実行していきます」と力強く宣言。先輩たち、委員会の方たちから期待を込めた拍手が贈られたのだった。LSweb 
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 ところで、帰路につく参加者には名物の三浦大根が手渡された。三浦大根のように太く、逞しく、地域にしっかりと根を下ろした三浦海岸SLSC。今後のさらなる発展に期待したい。 

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葉山LSCが協力し、大学ヨット部向けに「救命救急講習会」を実施!2014/02/21

神奈川県三浦郡葉山町・鐙摺葉山新港 2014.2.16

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神奈川県三浦半島の相模湾にある森戸海岸や一色海岸、長者ガ崎海岸など風光明媚なビーチの監視パトロールを行っている葉山ライフセービングクラブ。

葉山はまた、ヨットの盛んなエリアで大学ヨット部が多数活動している海でもある。

今回、葉山LSCが地元で活動している大学ヨット部向けに、水難救済会葉山支部や横須賀海上保安部警備救難課と協力して「救命救急講習会」を行った。

その実施報告及び活動に関するコメントを葉山LSC代表の加藤智美さんから頂いたので、当LSweb編集室でレポートにしてお伝えしたい。

文=LSweb編集室・写真&コメント=加藤智美(葉山LSC)





LSクラブとヨット部、学生同士が教え学び合う

LSweb 2014年2月16日(日)、湘南の葉山で活動する大学ヨット部向けに水難事故における救命救急講習会が、NPO法人葉山ライフセービングなどの協力のもと、開催された。

 神奈川県三浦郡葉山町にある鐙摺葉山港は日本における“ヨット発祥の地”として知られている。港に面する道路脇には石碑もあり、当の港では大学や企業のヨット部を中心に多くのセーラーが活動している。

 ヨット、いわゆる「セーリング」はマリンスポーツを代表するものであり、老若男女を問わず愛好者は多い。当然、海の上で風や波といった自然を相手に行うスポーツなので、沈や落水などもよく起こる。

 昨年9月下旬、葉山港沖である大学ヨット部が練習中、ディンギーヨット1艇が強風にあおられて転覆し、乗っていた女子部員が意識不明で救急搬送されるという事故が発生した。部員は、幸いにも後に意識を取り戻したようだが、練習にしろ、競技大会にしろ、水難事故を防ぐ準備を各自がしていても、不慮の事故は起こってしまうのである。

 こうした経緯から、各大学ヨット部の学生が、(安全に関する)何かができないかということで、地元の葉山ヨットサービス・鈴木健之さんに相談。鈴木さんは水難救済会葉山支部の隊長でもあったことから今回の講習会実施に至った。
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 葉山ライフセービングクラブの代表を務める加藤智美さんは、水難救済会葉山支部に属しており、年一回の訓練を同クラブが担当していることもあって協力する運びとなった。

 そんな加藤さんから今回の講習会について以下のようなコメントを頂いた。LSweb

 「今回、ヨット部の主将の子と打ち合わせをしている中で、いわゆる消防の普通救命講習などでは、真剣に聞かない部員もいるだろうということになり、学生が学生に伝えるという形をとりました。

 これが、今回の講習を行うことになったきっかけです。

 ともあれ、今回の講習では、同年代の学生が教えていることもあり、ヨット部の部員たちの心に残ってくれたのではないかと思います。また、逆に、ライフセービングしか知らないうちのクラブ員にとっても、海水浴場に来る人だけでなく、自分たちより船(ヨット)のことや沖のことを知っている人たちがいるということを分かったのではないでしょうか。

 もうひとつ、この講習会を通して、うちのクラブの学生が、いかに真剣に、そして色々と考えて活動をしているのかということが分かり、クラブメンバー一人一人がとっても立派に見えました」


 ライフセーバーとして学び体得してきた心肺蘇生法などの救命措置を他のマリンスポーツを行う同年代の人々に伝えるという試みは、ライフセーバーとしても、海で行っている様々なスポーツやアクティビティを理解するとともに、新たな横の繋がりを得る良い機会となったようである。
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講習会実施報告

日時 2014年2月16日LSweb

主催 水難救済会葉山救難所
協力 横須賀海上保安部警備救難課
    NPO法人葉山ライフセービングクラブ

参加者 葉山沖で活動する大学ヨット部
     【慶応・中央・明治・東工】 合計100名弱

内容 1.葉山救難所より
・葉山沖の危険海域、救助困難海域について
・事故が起きた時の救助体制について(水難救済会とは)
・葉山沖の漁具、漁場についての注意事項について
   2.横須賀海上保安部より
      Ⅰ津波について 【佐々木様より】
 ・津波とはどのように発生し、到達するかについて
 ・地震発生の確認方法、津波発生時の対処方法について
   Ⅱリスクマネージメントについて 【嶋本様より】
 ・リスクの分類(発生頻度と危険度)
 ・ヒヤリハット(ハインリッヒの法則)
 ・リスクマネージメントとクライシスマネージメント
   3.救命講習

救命講習 【葉山ライフセービングクラブ担当】
講師 メイン 加藤智美 小川裕也 倉田晃志 山本青空
   サブ  久保雄暉 河内莉香子 中村貴昭 平子将人
   その他 市川悦子 金子智保子 本田大陸 公文英一
実施方法
  受講者を25人ずつに分け、4ターム講習を実施。
  講習時間は、1タームにつき 1時間30分。
  手技は、5人組みの班に分かれ、必ず一人1度ずつ実施した。
講習内容
 1.葉山海岸で起きた本当にあった事故の話
 2.心肺蘇生法 AEDの必要性についての話
 3.倒れている人へのアプローチ(回復体位の手技)
 4.呼吸の無い人への対応 (心肺蘇生法の手技)
 5.呼吸の無い人への対応 (AEDの手技)
 6.デモンストレーション
 7.シュミレーショントレーニング
 ・ あぶづり食堂まえで人が倒れていたら
・ 葉山新港のテンダーに倒れている人がいたら
・ 合宿所の目の前で人が倒れていたら

※注
感染バリアなしの想定での講習の為、人工呼吸は説明のみとし、受講者には行わせなかった。
講習終了時に、消防主催の普通救命講習等の受講の必要性を説明した。


 
    






「助けよう! あなたの知識と経験で」
第3回 赤十字救急法基礎講習会、開催
2014/02/10

辻堂LSC主催「第3回 赤十字救急法基礎講習会」

LSwebライフセーバーであれば「心肺蘇生法」や救命救急の「応急処置」の方法はしっかりと習得しているが、万が一に備えてのこうした知識や技術は、ぜひ世間一般の人たちにも知っておいて欲しいものである。

そんな思いから、ライフセーバーだけでなく地元の人たちにも正しい救急法の技術を身につけてもらおうと、辻堂ライフセービングクラブ主催の「赤十字救急法基礎講習会」が去る1月25日、地元・藤沢公民館にて開催された。

今回で3回目となるこの講習会のレポートを辻堂LSCより頂いたので皆さんにお届けしたい。
シーズンオフを利用してクラブを活性化させるとともに、一般の人々との交流を通してライフセービングクラブをアピールするにはとてもよい活動だ。

文・写真=中川 健(辻堂LSC)





講習会主催で一般市民と交流

LSweb 1月25日(土)、藤沢公民館済美館にて辻堂ライフセービング主催の「赤十字救急法基礎講習会」が開催された。この講習会運営企画の目的は、2012年までさかのぼる。

 当時、辻堂ライフセービングクラブは崩壊廃部の危機にあった。なんとかしてその状況を打開しようとメンバーの内田と中川が発起人となり「辻堂LSCに新しい風を起こしたい」「多くの人に救急法の知識技術を身につけてほしい」「クラブ活動として、世間一般に対するアピール、実績づくり」などの想いを秘めて開始した。

 心肺蘇生や応急処置などは、2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに世間の関心が高まっている。
 しかし、大半の人々は勉強してみたい気持ちはあるようだが「どこで受講すればいいの?」と疑問視されているそうだ。最近では「日本赤十字社」「日本ライフセービング協会」「消防」が中心となって講習会普及を強めている。

 日本赤十字社が開催する「救急法基礎講習会」とは、〈一次救命処置:心肺蘇生、AEDの取扱い、気道異物除去〉などを学ぶことができる講習会のこと。この講習会は、赤十字社HPから検索して受講できるほか、指導員を派遣してもらい講習会を運営することも可能だ。
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 辻堂ライフセービングクラブでは、過去に救急法基礎講習会を2回、救急法救急員講習会を1回開催している。
 今回の基礎講習会は、内田直人指導員(辻堂LSC)を中心に、石井英一指導員(辻堂LSC)、多胡 誠指導員(鎌倉LG)、今野絵奈指導員(救急法指導員)のベテラン勢に協力していただいた。
 参加者27人の顔ぶれは、神奈川県内の一般の方や九十九里LSC、帝京大学LSC、北里大学LSC、辻堂LSCのメンバーたちで、とても恵まれた環境での講習会となった。
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 講習会中は、真剣な眼差しで話を聞く受講生に対して、その期待に応えようとする内田指導員。時々ジョークを交えるが受講生には通じなく、スタッフにヘルプを求める一面もあった。

 実技指導中には、今野指導員から「胸骨圧迫は、強く、早く、絶え間なく、押しましょう!」と伝えられ、圧迫が苦手な方へは、ライフセーバーから直ぐにアドバイスが入るなど、受講生の皆さんとの距離も近くなってきて講習会の雰囲気の良さを感じられた。

    
  ◎講習終了後、受講生の感想

 「あらためてCPRについて学び、人の命を助けるということは、知識の他に勇気が必要だと気付きました。その勇気を出すためにも正しい知識をつけ、傷病者に安心できるようなスキルを身につけなければならないと思います。ありがとうございました」
 
 「ライフセーバーとか一般の人とか関係なく身につけておくべき知識だと思いました。これから先、実際に人命救助の現場に立ち会ったときに冷静に対処していけるように練習を重ねていきたいと思います」
 など、受講生たちはたくさんの“気付き”を感じ取られていたようだった。LSweb

◎スタッフ 原田 剛さんの感想
 
 「予想以上に、ライフセービング関係者以外の一般受講者が多くて驚きました。また、ライフセービング関係者の受講生も、一般の方と一緒に受講することで、いろいろな刺激があって楽しめたのではないかと思います」

◎指導員 今野絵奈さんの感想

LSweb 「LSC主催、ライフセーバーとしても活躍している指導員が指導することもあり、ライフセーバーが受講しやすい環境になっている。講習受講を通し、クラブを越えた交流、繋がりができ、切磋琢磨できる友人ができると思う。
 また、ライフセーバーだけではなく、一般の方も一緒に参加することで、よい緊張感があり、CPRのグループ練習のときは互いに指摘し合い、和気あいあいとした雰囲気で学んでいた。普段、ライフセーバーがどんな活動をしているのか知らない方に活動を知ってもらえるいい機会でもある。
 基礎講習はベースの部分を伝達するだけで、時間が目一杯必要だが、人形やAEDを使っての練習はなかなかできないと思うので、より実践に近い形の練習・訓練も組み込めるとよいと考えている」
 
    

 辻堂LC主催の赤十字講習会では、今後も各LSC同士の交流を深めながら切磋琢磨できる環境づくりと、多くの人々に救急法の普及を図って行きたいと考えている。
 またスタッフ間でも反省点を挙げて、次回はより円滑な運営ができるように努めて行きたい。

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 最後に、
 今回ご協力をいただきました藤沢市観光課様、指導員の皆様並びにご協力頂きました関係各所の皆様には、この場を借りて厚く御礼を申し上げます。






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湯河原クラブの夢
「SOLLY CARNIVAL 2013」昨秋、開催
2014/01/28

「SOLLY CARNIVAL 2013」Event Report

LSweb昨年(2013)9月8日、神奈川県湯河原のビーチで初開催となる「SOLLY CARNIVAL (ソーリー カーニバル)2013」競技イベントが開催された。

イベントの冠にもなっている“SOLLY”とは、湯河原ライフセービングクラブの後見人として多くのライフセーバーを見守り育ててきたオーストラリア人のアーネスト・B・スティーブンスさんのニックネームだ。

ソーリーさんと湯河原の繋がりはとても深い。その辺りは、レポートを読んで頂くとして、このイベントは、日頃から湯河原LSCのために尽力してくれているソーリーさんを讃えるとともに、オーストラリア流の気軽な競技イベントを行いたいという同クラブの思いが形となったもの。

クラブ手作りの競技イベントに向けて少しづつ動き出し、そして開催が盛況に終わるまでを詳しく綴ったレポートが届いたので、ぜひ皆さんにご紹介したい。

文=関根沙織(湯河原LSC)
写真提供=三宅菜央





クラブにとってかけがえのない存在

 今年もSollyがやってくる。LSweb

 そう思うことで、我々クラブ員は、「今年も夏が始まる、パトロールの季節がやってくる」と実感する。ライフセービングをゼロから教えてくれた巨匠の存在は、もはやクラブの単なる指導者を超え、無くてはならない偉大な人物なのである。

 そんな巨匠にライフセービングをもっと教えてもらいたくて、そして本当のライフセービングの姿を体感したくて、毎年多くのクラブメンバーがSollyを訪ねて渡豪してきた。クラブ設立当初から、こちらのオフシーズン(オーストラリアは夏まっただ中)にSollyの自宅を訪ね、住み込み、本場のライフセービングを目の当たりにした。

 日曜日、多くの家族連れやサーファーがにぎわうWANDAビーチには、にわかに泳ぐ準備をしたライフセーバーが集まってくる。サーフレースをするためだ。

 全豪選手権を制するような最強スイマーもいれば、ずいぶん前に活躍したらしいおばさんスイマー、ジュニア、おじいさん。もちろん場を仕切るのはSolly。誰が何と言わなくても、時間になったら集まってきてレースをする。自分の腕を試す。そんな雰囲気がたまらなくうらやましかった。
 それはWANDAビーチのみならず、数多の本場ライフセービングクラブで行われていることだった。

LSweb Solly Carnival をクラブのちからで実現したい、そう言い出したのはマーボー(青木将展:現クラブ競技担当理事)だ。

 彼は小学生のころ初めて渡豪し、Sollyのライフセービングに最も長く触れている。オーストラリアのように、もっと気軽にレースに出て、本気で自分の腕試しをする、そんな環境をクラブが用意できないか。クラブはその実現に向けて、動き出した。

 気軽に参加できる・・・といってもそこは日本。決して大きくはないビーチの一角をサーファーから奪ってしまうわけだから、地域のサーファーの皆さまには理解を頂く。ゼロから大会を作り上げるわけだから要項づくりも手探り。どれだけのクラブが賛同してくれるか、競技者は集まるのか。思い当たる「できること」を着実にこなしていくことで、大会を作り上げていく。

 こだわったのは、当日までエントリー可という点。3種目までエントリーでき、予選で下位でも次のレースに進めるという点。また、出場する競技者が集まっていようがそうでなかろうが、時間になったら始めるというスタイル。小さな大会だからできる、競技者のための、競技者による大会にするということだ。

 参加頂いたクラブは10、競技者は80名を超えた。9月8日は早朝ドシャ降り、これにはさすがに焦ったが、Sollyのパワーによるものか、大会開始時には快晴に。海はおだやかで波は満足にはないものの、本格的な大会シーズンを目の前に、夏のトレーニングの成果を試す場としては存分だったのではないだろうか。
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 出場いただいた面々は、実に様々だった。全日本チームに名を連ねる豪華な顔ぶれもあれば、ベテランの姿もあった。学生のメンバーはそうしたツワモノたちにどこまで食い下がれるか。初めてレースに出るフレッシュマンもたくさんいた。ジュニアの部は人数こそ少ないものの、運営する我々が設定した少々距離の長いコースも、誰ひとりリタイヤすることなくゴールした。

 ゴール後、「こんなんじゃ全日本で戦えないなぁ」と嘆く選手の言葉に、私たちの狙いは間違いではないな、と感じられた。競技者として自分の実力を試す場所、レースの勘を磨く機会、新たな課題を発見できる環境を用意したい、そう思って始めたこの大会を実現できたことが嬉しかった。
 クラブのメンバーにとっても新たな発見がたくさんあった。
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 普段は競技者としてしか大会に関わることのなかった数多くのクラブ員が、今回はレースに出ながら運営する側として奔走した。スタートのポールを持つのも、ゴールで着順札を渡すのも初めてだった。大会運営に口うるさいSollyに熱血指導を受けながら、大会運営の苦労を知った。
 この大会が無事に終了したときには、クラブ員皆の顔に、安堵と満足の表情があった。出場した競技者のみなさんに、「いい大会だった、来年も来たい」と言われたことが、本当に嬉しかった。
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 Solly は今年82歳になる。彼が日本に来ることがそう長くは続かないことを、クラブ員は皆、理解している。Sollyが元気なうちにこの大会を実現させて、Sollyが教えてくれた本場のライフセービングが、日本にも少しずつ根付いているということが表現できればと思っている。
 Sollyに教わったことを忘れないために、この大会に「Solly」の名を付け、回数を重ねていきたいと思っている。LSweb
 クラブは先日の通常総会で、第2回大会「Solly Carnival 2014」を9月第3土日のいずれかに開催することを決めた。











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