ゴールデンウイーク前半の4月27日、千葉県山武郡の九十九里海岸にて、IRBおよびPWCの操船技術アップを目的とした、ライフセーバー有志による合同トレーニングキャンプが開催された。
IRB(インフレータブル・レスキュー・ボート)やPWC(パーソナル・ウオーター・クラフト)といった動力系レスキュー機材(パワークラフト)は、夏のパトロールシーズンはもちろん、競技会や、マリンスポーツ大会の監視業務でも大活躍する、ライフセービング活動にとって、なくてはならない道具だ。
しかし日本では、IRB、PWCどちらを運転するのにも小型船舶操縦士免許の取得が必須。この免許制度の壁があるため、IRBやPWCの操船に関わるライフセーバーの数は限られているのが現状だ。
そんな中、九十九里LSCと西浜SLSCを中心としたライフセーバーが集まり、シーズン前の自主合同トレーニングが行われた。その様子を、インストラクターとして参加した、西浜SLSCの飯塚剛志さんにレポートしてしていただいた。(LSweb.com編集室)
文=飯塚剛志(西浜SLSC)
写真=松永 祐(九十九里LSC)
基本を身につけて安全に活用
快晴に恵まれたゴールデンウイーク前半、九十九里殿下海岸において、IRBおよびPWCのトレーニングキャンプを行いました。
このキャンプには、主に千葉県内で行われる大会運営や安全課を担当する九十九里LSCから8人、全日本選手権を中心に全国各地の大会運営をサポートする西浜SLSCから6人、そして大竹SLSCから1人、総勢15人が参加しました。
今回のトレーニングは、中上級編の内容を軸とし、より高度な操船技術と、より安全で確実な技術の習得を目的に、インストラクターはPWC担当が九十九里LSCの中核を担う森良 祐さん、IRB担当が私、飯塚で行いました。
トレーニングキャンプは、波が胸から肩ぐらい、風も弱い絶好のコンディションの中で行われました。
大会運営をスムーズに行うための操船練習も大きな目的の一つでしたが、これから夏のシーズンを迎えるにあたり、細かい技術の再確認も念入りに行いました。
繰り返し波を越える練習、波にぶつからずに安全に沖に出る練習、ドライバーとクルーマンの体重移動の方法や、インサイドでの旋回方法などを何度も反復で練習し、タイミングやポジションをしっかり体に覚え込ませました。
波や風の状況が常に変化する海では、臨機応変に対応することが求められますが、集中的にトレーニングすることで参加者一同、ある程度の自信が得られたと思います。シーズンに向け、充実した時間が持てました。

最後に、インストラクターから参加メンバーに、
「IRBやPWCといったパワークラフトは、人間以上の力が出るものです。道具として正しく安全に使いこなせば、有効なレスキュー機材になりますが、ひとつ間違えば非常に危険な凶器ともなります。
そのことを忘れずに、しっかりと基本を身につけ安全に活用すること、そしてそのためには海を見る知識、ボードやチューブといった基本的なレスキュー能力も大事だと肝に銘じ、日ごろの訓練をしてください」
とメッセージを伝えました。
合同トレーニングは今後もクラブ同士、タイミングを合わせて開催する予定ですし、西浜SLSCでは年3回(6月、2月、3月)、PWC/IRBセミナーを主催し、夏はレスキュー技術の確認、冬はメインテナンスおよび基礎技術の確認を行っています。もちろん、他クラブからの参加も大歓迎です。
そしてゆくゆくは、日本国内でもオージーに負けないIRBレース開催を実現したいと思っています。
パワークラフトの操船には免許が必要ですが、レスキュー技術の幅を広げるためにも、自分には関係ないこととは思わず、まずはクルーマンからでいいので興味を持ってください。ニューカマーの参入をお待ちしています!