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地元に根付く地域クラブの横顔
密着・湘南ひらつかLSC 2013 春
2013/04/08

湘南ひらつかLSC春合宿・千葉県御宿海岸2013.3.9-11

LSweb水温む季節。各地のクラブでは、夏のパトロールシーズンに向けた準備が本格化している頃だろう。

水辺の安全を守るライフセービング活動は、日本国内で確実に認知度を高めている。しかし地域差があるのも事実だ。そこで、LIFESAVINGweb.comでは1年間にわたって湘南ひらつかLSCに密着し、地域クラブの活動の一端を紹介していくことにした。

同クラブを選んだ理由は後述するが、地域クラブを立ち上げたばかり、あるいはこれから地域クラブを立ち上げようとしているライフセーバーにとって、参考になることがあるのではないかと思う。

というわけで、まずは3月に行われた春合宿の様子から紹介する。

文・写真=LSweb編集室






⬆湘南ひらつかSLCの御宿春合宿で、特別コーチを務めた元日本代表で拓殖大LSCコーチの林 昌広さんのボードに定点カメラを付けて海に出てもらいました。初めて使用するカメラのテスト撮影を兼ねていたのですが、良い波もあってなかなかカッコイイ出来栄えです!


ジュニアも交えて春の合同合宿開催

 湘南ひらつかLSCは、今年、クラブ創立20周年を迎える。
 節目の年にさらなる飛躍を目指す同クラブが、3月9日から11日にかけて行った春合宿の目的は「チーム力向上」「レスキュー技術向上」「ジュニアとの交流」「私生活の見直し」の4つ。大学生を中心に、社会人、ジュニア、そしてジュニア保護者など総勢30人以上が御宿の海に集合し、ビーチとオーシャンに分かれたパート練習、レスキュー練習、持久力トレーニング、ファーストエイド講座、夜はミーティングなどなど、盛りだくさんのメニューを消化し、密度の濃い時間を過ごしたのだった。
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 合宿初日には御宿海岸をベースに活動する元日本代表で、拓殖大学LSCのコーチも務める林 昌広さんを招き、実技講習では、強風で波が高いコンディションでのクラフトの扱い方を学生メンバーにコーチング(動画はその時の様子)。夕食後は座学も行い交流を深めた。また昨年から同クラブに所属する、元日本代表の野村大和さんも合宿に参加し、ビーチ練習に刺激を与えていた。

 この合宿の目玉の一つが、ジュニアメンバーとの合同練習だ。湘南ひらつかLSCのジュニアは「ヒラッパーズ」の愛称で活動しており、夏にはライフセーバーと一緒に海水浴場でのガードを体験するなど、特徴ある活動を行っている。メンバーは現在、小学生から中学生まで約10人。春合宿には7人が参加した。

 初日の午後に御宿に到着したジュニアたちは、波の高い海を見て少し不安気な様子。消波ブロックがあり穏やかなことが多い平塚の海とは、いくぶん様子が違っていたからだろう。しかし、大学生メンバーの明るい声につられ、準備体操を始めるころには笑顔が戻っていた。
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 初めての場所でジュニアも緊張していたかもしれないが、実は、ジュニアを迎える学生メンバーも緊張していた。「ジュニアの子に話しかけたら『マジ、キモイ』って言われたことあるからなぁ……」と苦い経験を口にする学生メンバーに、「動きがあやしいんじゃない。あとしつこいのもダメ。さわやかに」とアドバイスする仲間たち。
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 適切なアドバイスの甲斐もあり(!?)、無事、ジュニアとの対面を果たした学生メンバーたちは、レスキューのデモンストレーションで真面目な姿を披露。さらにドッチボールと鬼ごっこを足して2で割ったような「カバディ」で親睦を深め、ビーチ班はビーチフラッグスとスプリントの練習、オーシャン班はニッパーボードの練習へと進んだ。
 ビーチ班は砂が舞い上がる中で、オーシャン班は白波が立つ中での実技となったが、社会人&学生ライフセーバーがしっかりサポートしてくれたお陰で、実に楽しそうに波に乗り、砂浜を走り回ったジュニアたちなのであった。
 
LSweb そして初日の最後は、ジュニアも学生も社会人も保護者も混ざったファンレースで締めくくられた。ジュニアプログラムが終わるころには、あちこちで学生メンバーに甘えるヒラッパーズの姿が見受けられ、「ジュニアとの交流」という目的は大いに達成されたようだった。

 2日目はさらなる荒天のため、ファーストエイドの練習を取り入れるなどプログラムの変更を余儀なくされたが、無事3日間(ヒラッパーズは2日間)の合宿を終了。帰路へとついた。

 夏のパトロールの主戦力となる大学3年生、2年生にとって、春合宿は自分たちの力を知り、今後のトレーニング計画を立てる重要な時期。運良く(!?)、強風で波浪も高いコンディションとなり、真の実力を見極めることができたのではないだろうか。

 ジュニアとの合同合宿を企画した社会人メンバーにとっても、まずは大成功の3日間だったはずだ。


節目の年を迎えた湘南ひらつかLSC

LSweb 1993年から組織的な活動を始めた湘南ひらつかLSCは、ライフセービング先進県の神奈川では中規模な地域クラブである。
 
 ガードの舞台となるビーチパークは、海水浴場としては決してメジャーではなく、夏でも海の家は建たない。しかしビーチバレーやビーチテニス、ビーチサッカーなどが1年中楽しめる場所として、地域住民の憩いの場となっており、またクリスマスやお正月など、季節に応じたイベントも多数開催されているのが特徴だ。クラブはこうした行事にも積極的に関わり、コミュニティーでの存在感を増す努力を続けている。
 
 ジュニア向けの活動が始まったのは1998年のこと。海水浴に来る子ども向けの単発プログラムからスタートし、2005年からは年間プログラムのヒラッパーズを運営するまでになった。LSweb
 
 クラブメンバーは現在約90人。パトロールの主力となる大学生は、東海大学湘南校舎の学生を中心に約20人で、他クラブ同様、パトロールメンバーの確保には苦労している。
「世代間ギャップを少なくし、社会人になっても、いかに活動に関わり続けてもらうかがクラブの抱える課題の一つです」
 と話す白井勇喜さん(パトロールディレクター&事務局次長)。節目の年に、クラブ運営という面からも、新たな試みにチャレンジしていく予定だ。









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