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今年も開催!
鎌倉ライフガード主催、海の水泳教室
2013/08/11

The 3rd Surf Swimming School in Kamakura 2013.8.6-8 神奈川県・材木座海岸

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今年で3回目となる鎌倉ライフガード主催の「海の水泳教室」が8月6〜8日の3日間、鎌倉市内の材木座海岸で開催された。

夏真っ盛り。絶好の海日和に歓声を上げる子どもたち。毎年、参加者を増やす人気のプログラムにおじゃました。

文・写真=LSweb編集室






初日が終われば、浮き輪卒業!?

LSweb 神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜海岸は、今年、海水浴場開設130周年を迎えた。その由比ヶ浜を含め、市内3カ所の海水浴場でパトロール活動を行っているのが、同市を拠点に活動する鎌倉ライフガードだ。クラブ設立は1989年。近年は海水浴場のパトロールだけでなく、地域に根ざしたさまざまな活動を積極的に行っている。その一つが、3年前から材木座海岸で始めた「海の水泳教室」だ。

 最近の子どもたちは、海が身近にある地域に住んでいても、海を怖がったり、嫌いだったりすることが多い。そういう残念な状況を少しでも改善できればと、地元の小学生を対象に考えられたのがこのプログラムだ。
 
 目的はズバリ、子どもたちに海アレルギーをなくしてもらい、海で楽しく泳げるようになってもらうこと。そのために毎日約2時間、3日間連続で行うカリキュラムを実施している。参加費は一人1000円。
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 こうした趣旨は地元の人たちに受け入れられ、毎年、参加者が増える人気のプログラムとなった。初年度の2011年は38人、昨年は62人、そして今年は71人の市内在住小学生が参加。ライフセーバーと一緒に3日間、大いに海を楽しんだのだった。

 子どもたちは泳げるレベルによって、シラス、シマアジ、トビウオ、イルカにクラス分けされる。シラスクラスには、顔を水につけられない子どももいるし、イルカクラスには、プールでのスイミングスクールに通っており、かなり泳げる子どももいる。どのレベルの子どもたちも、楽しく参加できるように工夫されているのが、鎌倉LGメンバーがアイディアを出し合った練習メニューだ。
 
 例えば、水に顔がつけられない子どもでも挑戦しやすいように、海中に半分ほど沈めたフラフープをくぐる練習。走るより泳いだほうが少し速い、子どもの腰から胸ぐらいの水深での鬼ごっこ。学校の授業などで馴染みのあるビート板を使ってのバタ足や波乗りなどなど。上級クラスはドルフィンスルーを教えてもらい、ランスイムランに挑戦するなど、なかなかハードなメニューもこなしていた。
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 そして最終日には、4クラスをシャッフルして3チームに再編成し、ランスイムランのチーム対抗リレーが行われた。真剣な表情でウェーディングにドルフィンスルー、そしてスイムと、3日間の練習の成果を発揮した子どもたち。最後は、ちょっと手加減してくれたコーチ役のライフセーバーチームに勝つことができ、みんな大歓声を上げていた。

 ところで、「海が好きじゃない」という子どもたちは、海のどんなところがイヤなのだろう。波がある、しょっぱい、ベタベタする、暑い、クラゲがいる……といったところだろうか。LSweb
 
 今年、初めて参加したという小学1年生と4年生のお母さんに話しを聞くと、「実は初日にクラゲに刺されたようです。でも楽しい印象のほうが強かったようで、クラゲのことはあまり言いませんでしたね。初日のプログラムが終わった後も、ずっと海にいました。親としては、“あぁ、これで浮き輪から卒業したな”と思いました」という答え。
 
 鎌倉という土地柄もあるのだろうが、胸まで海に浸かりながら、我が子のがんばりを写真やビデオを撮っている、熱心な保護者の姿が多かったのも印象に残った。


協力的な社会人やOBたち

 LSweb今年も盛況に終わった鎌倉LG主催の海の水泳教室。子どもたちに修了証を手渡した「校長先生」こと、同プログラム責任者の相川次郎さんに話しを聞いた。

 「昨年までは3クラス編成でしたが、今年はトビウオが増えて4クラスになりました。クラス分けをもう少し細かくしようという狙いもありましたが、参加者が増えたため、どちらかというと、大人の目がきちんと届く人数にしなければとクラスを小分けにしたのです」
 
 社会人メンバーとして多忙な日々を送る相川さんは、
「実験的に始めた初年度の評判がとても良く、2年目はリピーターとクチコミでほぼ定員に達してしまいました。今年も昨年同様、ほとんどがリピーターです。問い合わせも多く、本当はもう少し募集人数を増やしたかったのですが、ライフセーバーの数を考えると70人が限界。来年は、こちら側の頭数をしっかり確保し、初めての人でも参加できるよう100人ぐらい募集したいと考えています」と言う。

 毎年、8月上旬に行われるこのプログラム。パトロール期間中ということもあり、スタッフのライフセーバー確保は決して簡単なことではない。コーチとして子どもたちに実技指導するのは、若手の学生ライフセーバーが中心。それを相川さんや、「教頭先生」と呼ばれる望月洋介さんなど、社会人メンバーが支えている。そして、安全サポートなどには50代、60代のOBメンバーが協力してくれるという具合だ。
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 立ち上げ当時からこのプログラムに関わり、今年、社会人1年目となった梶谷友恵さんは、
「仕事の関係でパトロールにはなかなか参加できませんが、なんとか休みが1日取れたのでやってきました。毎日とても忙しいのですが、久しぶりに子どもたちと会って、皆大きくなっていて、泳ぎも上手くなっているのを見たら、こちらまで元気になりました」
 と色白の顔に満面の笑みを浮かべた。同じく社会人1年目の上岡洋一郎さんも、定休に有給休みをプラスしてコーチ役を買って出ていた。

 仕事を始めるとなかなか活動に参加できない、という悩みを持つ社会人ライフセーバーは多い。そうなるとだんだんクラブから足が遠のいてしまうことにもなりかねないが、海の水泳教室のような催しがあれば、社会人でも手伝いやすく、クラブの良さや活動の楽しさを再確認できる機会にもなるわけだ。

 準備や当日の運営など苦労はあるものの、地域の子どもにライフセービング活動を知ってもらうだけでなく、メンバーをつなぎ止める、あるいは呼び戻す機会にもなる、まさに一石二鳥のプログラムが海の水泳教室といえそうだ。
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 同プログラムは来年もお盆前の8月上旬に開催される予定。詳細は同クラブのウェブサイトに告知されるそうなので、興味のある人は定期的にチェックしてみてはいかがだろう。

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第1回 神奈川県ジュニア・ライフセービング競技会レポート2013/06/01

The 1st Kanagawa Junior Lifesaving Challenge 2013.05.26 神奈川県三浦市・三浦海岸

LSweb初開催の大会に小中学生106人が参加

5月26日、神奈川県三浦市の三浦海岸にて「第1回 神奈川県ジュニア・ライフセービング競技会」が開催された。

新年度が始まってまだ2カ月弱。初めての競技会にドキドキした小学生もいれば、颯爽と競技に挑む中学生もいた。みんなが一生懸命がんばった、ジュニア競技会の様子を紹介しよう。




文・写真=LSweb編集室




8クラブが三浦海岸に集合
遠来賞は柏崎。館山からも参加


 神奈川県ライフセービング連盟が主催する、海での初めてのジュニア競技会には、神奈川県内のクラブを中心に8クラブ、総勢106人の小中学生が参加した。その中には、新潟県柏崎市から車でかけつけた柏崎LSCジュニアや、東京湾をフェリーで渡ってきた館山SLSCジュニア、また69人という大所帯で参加した西浜SLSCジュニアの姿もあり、初開催ながら大いに盛り上がったのだった。

 第15回 神奈川県ライフセービング選手権大会との同時開催ということもあり、この日、三浦海岸にはたくさんのライフセーバーが集合。開会式で選手宣誓をした、地元、三浦海岸SLSCの関口義和・優理親子を筆頭に、親子、あるいは兄弟でそれぞれの大会に参加したり、選手とオフィシャルという立場で参加したりと、オーストラリアと同じようにとはいかないまでも、家族ぐるみでライフセービングに親しむ姿を頻繁に目にすることができた。
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 実施された競技は、ジュニア・ビーチフラッグス、ニッパーボードレース、ジュニア・ランスイムランの3種目。小学1、2年生はビーチフラッグスのみの実施となったが、小さな体で、元気いっぱい砂浜を駆け回っている姿がほほ笑ましかった。高学年になると、フラッグが取れずに悔し泣きする姿も。泣いても笑っても、子どもたちの真剣な表情に目を奪われっぱなしの大人たちであった。

 ニッパーボードレースでは、小学3、4年生でも上手に波に乗る子がいるかと思うと、ボードの扱いに四苦八苦し、風に流されてしまう子もいたが、それは経験値の違いによるところが大きい。競技会に参加することで、もっと上手になりたいと思うようになれば、どんどん上達していくこと間違いないだろう。

 一方、中学生ともなるとボードに乗る姿も様になり、上位陣は大人顔負けの接戦を繰り広げていた。彼らの多くが、小学生時代から海に通い、今は高校生や大学生となった先輩たちの後を追いかけていたのだから、うまくなるのも納得だが、それだけではなく、さりげなく小学生たちをフォローしている姿も印象的だった。
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 最後に行われたランスイムランでは、小学3、4年生でもスイム用の連ブイすべてを回るコースが設定されていた。小学生にとってはかなり長いコースで、見守る保護者も少し不安そうな表情。ジュニアたちもきっとドキドキだったはずだ。しかし子どもたちは実にけなげに、時にブイにつかまって休むことはあっても、一生懸命、最後まで諦めることなく、必死にゴールを目指した。
 その様子に、大人たちが大感動。涙ぐむ親がいるかと思うと、おもわず海に飛び込み伴泳する保護者もいて、最後の一人がゴールした時には、ビーチ中から拍手が贈られた。

 小学生から中学生、高校生、大学生、そして社会人と幅広い年代が、レベルは違っても、同じフィールドで活動できるのがライフセービングの楽しさであり、素晴らしさでもあると再確認したジュニア競技会だったが、世代間の橋渡し役としてかかせない存在なのが、実は自分の意志でライフセービングを続ける、あるいは始める高校生なのではないかと思った次第だ。
 
 ほとんどのクラブがジュニアプログラムの対象を中学生までとしている。ジュニアを卒業した高校生をいかに繋ぎとめるか。あるいは未経験の高校生にどう門戸を広げるか。高校生でもベーシックライフセービング資格が取れるようになったことが、ひとつの答えとなってくるのだろうか。興味深く見守りたい。LSweb
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神奈川県ジュニア競技会 種目別成績表









東北3県で開催
第一三共ジュニアライフセービング教室
2012/10/25

Jr Lifesaving in Tohoku!

日本ライフセービング協会(JLA)が主催する
「第一三共ジュニアライフセービング教室」が、
今年9月、10月に東北地方で初めて開催された。

山形県、青森県、岩手県の3県3会場で行われたジュニア教室には、
県内、近県の子どもたち計115人が参加し、
友だちと一緒に命の大切さ考え、セルフレスキューの方法を学んだ。

文・写真=LSweb編集室






東北でジュニア教室を開催する意義


 LSweb第一三共株式会社の協賛を得て開催されたジュニアライフセービング教室が、9月16日に山形県の山形総合スポーツセンターで、9月29日に青森県の航空自衛隊車力分屯基地室内プールで、そして10月14日に岩手県の釜石市営プールで開催された。
 
 東北地方で海水浴が楽しめるのは、基本的に1年のうち1カ月しかないということで、今回は第一三共ジュニアライフセービング教室としては初めて、子どもたちにとって身近なプールでの講習となった。
 
 小学4年生から中学生を対象としたジュニア教室は、座学と心配蘇生法を体験する陸上プログラムの後、プールに移動し、セルフレスキューやドライレスキュー(水に入らずに救助する)を学ぶ水上プログラムの二部制で行われ、どの会場でも子どもたちの元気な声が響いたのだった。

LSweb LSweb編集室が取材に訪れた岩手県の釜石会場には、地元、釜石だけではなく、遠野や盛岡、宮城県の気仙沼からも多くの子どもたちが集まった。初対面の子どもたちも多く、まずは自己紹介を兼ねた座学からスタート。続いて、CPR・AED学習キット「ミニアン」を使った心肺蘇生法の練習に移行する。

 CPRの必要性や、やり方を学んだ後にキットで実践するのだが、小学生といえども手加減はなし。アンパンマンマーチが1曲終わるまで、全員がCPRを続けた。
「えー、まだ終わらないの〜」「手が痛くなった〜」と声を上げる子どもたちもいたが、心臓マッサージには力がいること、救急隊がかけつけるまで続けること、など命を救うことがいかに大変かを実感できたはずだ。

 続いて水着に着替えた子どもたちがプールに集合。体操、水慣れに続き、浮き身や立ち泳ぎの練習、ビート板やペットボトル、ライフジャケットを使ってのセルフレスキュー、ドライレスキューの方法を学んだ。
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 座学では少し硬い表情だった子どもたちも、プールに入れば元気はつらつ。インストラクターのお手本を見ながら、一生懸命、浮き身の練習をしたり、うまくいくまで何度も、友だちに向かってペットボトルを投げたり、ライフジャケットの正しい着用方法を教え合ったりしていた。
 
 ジュニア教室終了後、「練習したら浮き身ができるようになったのが嬉しかった」と笑顔を見せたのは、普段は遠野でスイミングスクールに通っているという熊谷航大くん(11歳)。同じスイミングスクールに通う、菊池龍仁くん(10歳)、鈴木未代子さん(10歳)も、口々に「僕もできた」「私もできた」と成果を報告してくれた。

 「ペットボトルでも浮くって分かって面白かった」と話してくれたのは、気仙沼からやってきた斉藤星也くん(10歳)。その横で、「準備、大変だったんだよ」とポツリともらしたのが、地元、釜石の子どもたちだ。
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 東北3県で開催された今回のジュニアライフセービング教室は、地元クラブの協力なくしてはできなかった。42人が参加した山形会場では山形LSCが、38人が参加した青森会場ではつがるLSCが、そして35人が参加した釜石会場では釜石LSCのメンバーが中心となり、事前の告知や準備、当日の運営、後片付けに尽力してくれた。
 
 ライフセービング活動の歴史も浅く、夏も短い東北地方。どのクラブも、どうやってライフセービングを広めていくかを模索している。さらに岩手、宮城両県は、震災からの復興もまだ始まったばかりだ。でもだからこそ、子ども時代から命について考え、人を助ける知識や技術を学ぶことは大いに意義にあることだと思う。

LSweb  「こういう時期だからこそ、東北で初めて開催されるJLA主催のジュニア教室に、弊社が再び協賛できることは嬉しいことです」と話すのは、2001年から継続的にサポートを行っている、第一三共株式会社 コーポレートコミュニケーション部 広報グループ長の田前雅也さん(2005年までは三共株式会社がサポート)。子どもたちの真剣な表情を目にし、「今後もできるかぎりのお手伝いをしたい」と付け加えてくれた。
 
 今回のジュニア教室は、東北初というだけでなく、プールで行われた初めてのプログラムだった。プールならば季節を問わず、また天候に左右されずに開催することができる。ライフセービングの普及、ひいては水の事故を少しでも減らすための、あらたな一歩となることを期待したい。


活動の火を絶やさぬように

 LSweb 東北3県で行われた今回のジュニア教室。3会場の中には震災被害をまともに受け、復興途中にある岩手県の釜石市もあった。同地区でライフセービング活動を行い、ホストクラブとして釜石でのジュニア教室を支えた釜石LSC代表の佐々木 聡さんに、同地域でのライフセービング活動の見通しを伺った。

「活動拠点としていた海水浴場は、昨年の震災でどこも大きな被害を受けました。正直なところ、海辺の復興にはまだまだ時間がかかると思います。どのくらいかかるのか……それも暗中模索の状態です。
 以前のように海水浴が楽しめるようになるには、大きな被害は受けたけれども、やっぱり海という観光資源をもう一度活用しようよ、という地元の人たちの総意が必要です。
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 私たちにできることは、そういう声がもっと盛り上がるようにサポートすること。心に強く刻まれた“津波は怖い”という気持ちは致し方ないことですが、水と安全に接するための知識や方法があることを、もっと積極的にアピールしていったほうがいいのでしょうね。
 そのためにも今回のジュニア教室のような機会があれば、どんどん手を上げてやっていきたいと思います。
 
 それから、釜石のクラブだから釜石の浜で活動しなければダメ、ということはないと思うのです。そこは柔軟に、こういう時だからこそ、普段は行くことができない浜へ行って活動できればと、今年は宮城県で唯一海開きした気仙沼大島へお手伝いに行きましたし、秋田へも出かけました。
 とにかく、出来る範囲で続けていかなければ……。何らかの形で活動を継続していかなければいけませんからね」

 震災から1年7カ月。被災地のライフセーバーたちは、復興と同時に、その後を見すえた活動を続けている。


東北の新しい文化として

LSweb まもなく11月。東北地方はこれから、長く厳しい冬を迎える。しかし今回、初めて第一三共ジュニアライフセービング教室が開催され、大勢の子どもたちが参加してくれたように、東北地方でも確実に活動の輪は広まっている。そこで、この地でいくつものライフセービングクラブを立ち上げ、地道な普及を続けてきた盛岡LSC代表の松原浩一さんに、今後の展望をお聞きした。なお、松原さんはJLA東北支部設立準備委員会の事務局長でもある。

LSweb  「東北地方の場合、関東と同じようにはライフセービングを普及することができません。なにしろ若年人口がどんどん減っている地域ですから。大学に入ったら東京へ行ってしまう。そして帰ってこない……。だから必然的に社会人が活動の主体となっていたのですが、いつまでもそれではいけないということで、ジュニアを育てることに力を入れ始めた矢先に、昨年の震災が起こりました。
 
 それでもやはり、ジュニア育成に力を入れていることには変わりありません。子どもの時からライフセービングをやることで、例えば盛岡LSCの子どもたちには積極的に大会に出るように薦めていますが、競技でドンケツになってもいいから、全国に仲間がいることを知り、仲間との絆を感じてほしいと思っています。それが自分たちの誇りになり、町の誇りになり、復興の力になると信じているからです。
 
 自分が育った地域で活動することで町に魅力を感じてくれ、大学進学で東京に出たとしても帰ってきてくれるようになれば、人口流出にも歯止めがかかるでしょう。単にライフセービングを広めるだけではなく、それによって地域を活性化させたいという、大きな希望を持っています。

 はっきり言うと今、津波の被害にあった岩手県の海岸地域は、人口流出が深刻な問題です。一時避難で盛岡や花巻に住んだ人たちが『もう戻りたくない』と言うわけです。確かに内陸は便利だし、津波の心配もない。でもそれに拍車がかかれば、地域社会がどんどん衰退してしまうし、復興だった遅れてしまいます。
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 ライフセービングという新しい価値観を東北に根付かせ、子どもたちにもう一度海を見てもらいたい。そして震災を経験した子どもたちが、復興という過程の中で自分たちの町を愛し、他人のことに感心を持って手を差し伸べられるようになれば、万が一、次に災害があった時にも減災に繋がると思うのです。
 一人でも多くの人にライフセービングを理解してもらい、東北の中で理解者と参加者を増やしていくために、そして新しい文化としてライフセービングを東北に根付かせていくために、各クラブまたJLAの力を借りながら、支部化もしっかり進めていきたいです」

 東北地方では現在、つがるLSC(青森県)、秋田LSC(秋田県)、盛岡LSC(岩手県)、釜石LSC(岩手県)、山形LSC(山形県)、気仙沼LSC(宮城県)の6クラブが、ジュニアライフセーバーの受け入れを行っている。
 興味のある方は、盛岡LSCのウェブサイト内にある東北支部設立準備委員会情報局にアクセスしてほしい。

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盛岡LSCウェブサイト:http://www5a.biglobe.ne.jp/~north40/









鎌倉ライフガード、 海の水泳教室を開催!2012/08/28

2012-8.7-9 神奈川県・材木座海岸

「泳ぎは海でライフセーバーに教えてもらったよ!」
3日間の集中レッスンで小学生62人が海大好きに

 


海に面した古都、鎌倉。
夏になると市内に3つの海水浴場がオープンする。
そこでライフセービング活動している鎌倉ライフガードが、
夏休み期間中、地元の小学生を対象とした
「海の水泳教室」を実施した。
水泳教室ってプールでやるものでは?
と思う方もいるかもしれない。
海で行われた水泳教室の様子を紹介しよう。

文・写真=LSweb編集室




初日は水に顔もつけられなかった子どもも

 鎌倉ライフガードが「海の水泳教室」を初めて行ったのは昨年のこと。同クラブの理事である相川次郞さんは、実施にいたる経緯をこう説明する。
 「最近の子どもは遊び道具がいろいろあるからなのか、習い事が忙しいからなのか、せっかく身近に海があるのに、海で遊ぶことが少ないのです。海に行く機会が少ないから、海を怖がったり、嫌いだったりもします。市立小学校の中にはプールがない学校もあって、水と親しむ機会が少ないようにも思います。鎌倉の海で活動するクラブとして、そういう状況を少しでも改善することができればと思い、昨年、第1回の水泳教室を開催しました」
 小学生38人が参加した昨年のプログラムは、子どもからも保護者からもとても評判が良かった。そこで今年は、募集人数を60人(実際の参加者は62人)に増やしての開催となった。

 鎌倉ライフガードが主催する海の水泳教室は、いわゆる海での安全教育を主体としたライフセービング教室ではなく、純粋に海で楽しく泳げるようになることを目的にしている。1日1時間半のカリキュラムを3日間連続で行うことで、最初は水に顔をつけられなかった子どもも、3日目には歓声を上げて海で遊ぶようになるそうだ。
 子どもたちは泳げるレベルによって、イルカ、シマアジ、シラスの3クラスに分かれ、それぞれのクラスを学生ライフセーバー2〜3人が指導。それをOBや地域のサポーターが海に入って手伝い、校長先生役と教頭先生役の社会人ライフセーバーが全体を統括している。
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10年後の明るい未来を目指して

 カリキュラムはメンバーがアイディアを出し合って決めている。例えば、シラス組では波打ち際でフラフープを使いながら水に慣れる練習をしたり、シマアジ組では胸ぐらいの深さで走ったり泳いだりしながら鬼ごっこをしたり、一番泳げるイルカ組では、足の立たない沖まで泳ぐランスイムランをしたりといった具合だ。
 「参加者は昨年同用、一番泳げないシラス組が最も多かったですね。そういう子どもが海を好きになってくれれば……というのが本来の目的ですからやりがいがあります。またイルカ組にはスイミングスクールに通っていて、結構、泳げる子どももいますが、彼らにはプールと海の違いや、海ではどんなことに気をつけなければいけないのかも伝えています。また海は毎日、表情が違いますよね。3日間連続で行うことで、波が高かったり、風が強かったり、そういう自然の変化を知ってもらい、その場で的確に安全についてのアドバイスをしていきたいと考えています」
 と相川さんは言う。
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 「今年は昨年の経験があったので、だいぶスムースにできました。また2回目を開催してみた分かったことは、リピーター率が高いということです。昨年参加してくれた子どもの7割が、今年も参加してくれました。その計算でいくと、来年はもっと受講希望者が増えることになります。ただ、安全面を考えると60〜70人が限度ではないでしょうか。昨年から運営に携わってくれたメンバーの多くが大学4年生という問題もあります。しかし、こうした経験や知識はクラブで共有しなくては意味がありません。だから、4年生メンバーには今回、必ず後輩を連れてくることをお願いしました」
 最初は大変でも、がんばって10年続ければ卒業生が教える側になってくれる、と相川さん。

 その言葉裏付けるかのように、保護者の一人がこんな話をしてくれた。
 「昨年に続いて2度目の参加です。昨年、このプログラムに参加するまでは、海は波があるしベタベタするから嫌い、プールじゃなきゃ絶対にイヤだと言っていた子どもですが、今では海が大好きになりました。今年もきっと、プログラムが終わってからも毎日、海に行きたいと言うと思います。ライフセーバーの皆さんに憧れているみたいですから」
  “100年続くクラブをめざして”活動する鎌倉ライフガード。海の水泳教室という新たな試みは、早くも芽吹きだしたようだ。
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P.S. 8月31日に「海の水泳教室」の写真をGalleryにUPしました! 満面の笑顔と、ときに真剣な表情をみせながら海と戯れる子供たちのシーン満載です。ぜひご覧下さい。





第3回「西浜ジュニアライフセービング教室」今年も片瀬西浜で開催!2012/08/08

「海って楽しいねっ!!」地元の海を満喫した子供たち

2012年8月4日(土)神奈川県藤沢市片瀬西浜海岸

身近に海があるにもかかわらず、

海と接することが少ない子供たち。

ライフセーバーの力を借りて、

安全に楽しく海を楽しむ術を学べば、

地元の海をもっともっと近くに感じられるはず。

「ジュニアライフセービング教室」は

海好きの子供たちをつくる第一歩なのだ。

文・写真=LSweb編集室


子供向けの貴重な体験型教室として人気

 夏休み真っ盛りの8月4日土曜日。神奈川県藤沢市の江ノ島片瀬西浜海岸にて、西浜サーフライフセービングクラブ(西浜SLSC)主催の第3回「ジュニアライフセービング教室」が開催された。江ノ島を間近に望むビーチは、雲の多いあいにくの空模様にもかかわらず、この日も家族づれやカップルなど海水浴を楽しむ人々で朝からだいぶ賑わっていた。

そんななか、波打ち際で時折、大きな歓声を上げている集団があった。お互いが水を掛け合ったり、波と戯れたりするたびひときわ明るく黄色い声があたりに広がる。実に楽しそうな子供たちの声に、周りにいる海水浴客も時折興味深そうに視線を送っている。この声の主が、ジュニアライフセービング教室に参加している子供たちである。

 湘南の海水浴場の中でも屈指の人出を誇る江ノ島片瀬海岸。このビーチエリアのパトロールを行っているのが西浜SLSCだ。日本屈指の規模と歴史を持つ由緒正しいライフセービングクラブである。今回の「ジュニアライフセービング教室」は、この西浜SLSAが主催している。対象となっているのは、一般の小中学生を対象とした元気のある子供たち。クロールで25メートル以上泳げることが一応の条件となっている。

もとは、大手製薬会社のスポンサードにより日本ライフセービング協会(JLA)の主導で夏休みの期間中、全国数カ所で行われていた。湘南では片瀬江ノ島が開催地の一つだったが、残念ながら数年前に一区切りついて終了となった。地元の湘南エリアでは、もともと人気のある体験型イベントとして定着していたこともあり、過去の参加者からの開催継続を望む声が多く、西浜SLSAが跡を継いで続けている。クラブ主催で3回目となる今年は、小中学生あわせて23人が参加した。地元のサーフショップやライフセービング関連ショップによる協賛も得て、年を追うごとに充実した内容となっている。

ライフセーバーだからこそ伝えられる“海の楽しさ”

このイベントの特徴は、現役のライフセーバーたちが先生となって、子供たちの海での遊び心を上手に刺激しながら、水辺での自己防衛や安全に遊ぶための心得などをさまざまな体験を通じて伝え教えていく。その手段として、ライフセービングの機材や競技をうまく活用している点だ。

例えば、ニッパーボードと呼ばれる小型のパドルボードを使っての講習。腹ばいでボードに乗って、波を滑るという子供たちに人気の遊びだが、押す波の力の強さやひっくり返った時に波に巻かれる経験を身をもって感じられるのだ。

また、砂浜ではライフセービングの代表的な競技であるビーチフラッグスを行い、砂浜で走ることの難しさを体験する。また、裸足で走るために、参加者みんなで事前に砂浜の危険なガラス片や石ころ、ゴミなどを拾って綺麗にする。こうした行為を通して、ビーチクリーンや環境への関心を自然な形で植え付けてあげることができるのだ。

 その他にも、座学と称して万が一溺れたときの「助けてサイン」の合図から熱中症予防まで、子供たちと楽しくディスカッションしながら教えていく。先生役のライフセーバーの皆さんも手慣れたもので、実に簡潔に楽しく教えてくれるから、子供たちも飽きずに一生懸命聞いている。そして、一緒に来た子供たちの親御さんもみな真剣に聞き入っている姿が印象的であった。ちなみに今回の先生方は、泉田昌美、今井恵子、神戸友美、神戸めぐみ、松崎みづきの皆さんで、西浜SLSCのジュニアクラブのインストラクターでもある。

今回の教室に、自分が顧問をしている茅ヶ崎市立松浪中学校女子バスケットボール部の教え子たちを連れて参加した堀内由美先生は、

「海に近い地元に住んでいながらあまり海で遊ぶ機会を得ていない子供たちが多くなっているのは寂しいです。今日、このイベントを通じて子供たちを海に連れてくる機会を得ることができました。子供たちが楽しそうに海で遊ぶ姿を見て参加して本当に良かったです。普段、部活では怒鳴ってばかりなので、良かったです(笑)」と素敵な笑顔で語ってくれた。

子供たちもこうした先生の反応に答えるかのように、ボードに、ビーチフラッグスにと、どんどんチャレンジして大いに地元の海を満喫していた。全身砂まみれになりながらも弾けるような笑顔が、その楽しさを間違いなく物語っていた。

 

午前10時頃から始まった「ジュニアライフセービング教室」は、お昼の休憩を挟み、午後3時まで行われた。

午後からは、天候の影響で波がどんどんと高くなっていき雨も降り始めた。そして、ちょうど教室が終わる頃には「遊泳禁止」の放送とともに合図の赤旗が掲げられた。雨の中、赤いテントの下で教室終了の挨拶とともに参加者全員に参加賞が配られ無事終了となった。その後は、全員で記念撮影をパチリ。子供たちにとってきっと夏休みのいい思い出のひとつとなったことだろう。

これを機会に、事故なく楽しく海で遊ぶ術を継続して学んでいって欲しい。そして、海の近くに暮らす子供たちが少しでも地元の海に関心や愛着を持って貰えるといいなぁとあらためて思う。

海って本当に楽しいフィールドだから!