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Reina Ohyama
大山玲奈の World SUP and Paddleboard Championship 2018 参戦記2018/12/12

World SUP and Paddleboard Championship 2018

venueライフセーバーにとって最も身近な道具であるパドルボード。そのパドルボードの世界大会が毎年、国際サーフィン協会の主催で行われていることをご存じだろうか? そしてその大会に日本のライフセーバーたちが挑戦し続けていることを知っているだろうか?

波崎サーフライフセービングクラブの大山玲奈さんが、今年11月23日から12月2日にかけて中国の海南島日月湾で開催された「World SUP and Paddleboard Championship 2018」に参戦した。彼女から届いたレポートを紹介しよう。(LSweb編集室)


文=大山玲奈(波崎SLSC)




参加したきっかけ

 11月23日~12月2日に中国、海南島で行われた「ISA World SUP and Paddleboard Championship 2018」という大会に私、大山玲奈が参加してきました。今回はその大会のことをライフセーバーに広く知っていただきたく、この記事を書かせていただきます。

japan flag この大会に日本のライフセーバーが初めて出場したのは、3年前の青木将展さんと西山俊さん(共に湯河原LSC)です。次の年は落合慶二さん(横浜海の公園LSC)、上村真央さん、小林海さん(共に西浜SLSC)が、昨年は高校生の菊池遼太郎くん(鎌倉LC)が出場しました。今年は、5月に行われた「Glide Trial」というロングディスタンスレースを選考会として、男子は高木惇暉さん(横浜海の公園LSC)が出場権を勝ち取りましたが、残念ながら女子は選考会に参加した人がいませんでした。そこで紆余曲折あって、私のところまで出場権が回ってきたのです。

National Team
 つまり私は、この大会に日本代表として参加しましたが、なんの選考会も経ていません。私まで回ってきたのは、これまでの成績(大したものではありませんが…)から、18km完漕できるだろう、ということ。また、以前、御宿で行われたライフセービングの国際大会「ISRC2013」の日本代表に選ばれたこともあり、日本代表として振る舞えるだろうと、判断してくださった2点です。

Toshiki Takagi
 正直、声をかけられたときは迷いました。一緒に参加する高木惇暉はもちろん、一緒に日本選手団として参加するSUPの方々は厳しい選考会を経て、大会に参加するのにも関わらず、私は選考会はおろか、長い距離をボードで漕いだ経験も乏しかったからです。しかし、こんなチャンス滅多にない!まだ、身体が動かせる今しか挑戦できない!と思い、会社の上司の了承を得て、参加することに決めました。

start

大会当日までの練習

 私は、大学を卒業してからすでに2年以上経過していますが、先日新入社員として、一般企業に勤め始めたばかりです。昨年まではフリーターだったので、そこそこの練習をこなしていましたが、会社員になってからは、週末に海に行くことしかできなくなりました。

 でもそれでは足りないと思い、まずはライフセービングの全日本選手権東日本予選、そして全日本選手権をターゲットとして、週に2回海でクラフト(ボード、スキー)、平日は会社終わりに、週2回ラン、週2回スイムと、一週間で6回は練習するように調整しました。

 全日本ではオーシャンウーマンとサーフスキーレースに出場し、4位と7位に入賞しました。ISAの大会に出場すると決めた時にはすでに大会の出場種目が締め切られていたため、残念ながらボードレースには出場していません。しかし結果的には、ISAのためだけにボードの練習だけしていたら、正直気持ち的に辛かったと思いますが、ボード、スキー、スイム、ランと、4種目すべてトレーニングすることで、クロストレーニングの効果もあり、飽きずに練習できたのだと思います。

12ft board
 全日本選手権が終わってからはできるだけ長い距離(7~10kmほど)を漕ぐようにしました。ISAの大会で使うボードは普段使っている10.5ftのレーシングボードではなく、12ftのパドルボードです。12ftのパドルボードは日本国内に10本もないのですが、周りの方々の協力を得て、お借りしたボードでの練習を重ねました。

大会について

「ISA World SUP and Paddleboard Championship 2018」は、大きく分けて3つの部門に分けられます。①SUPサーフィン②SUPレース③プローンパドルボードレースです。一言にSUPと言っても、サーフィン、レース、また、レースの中でもロングディスタンスを得意とする人、テクニカルレース(5kmほどの距離で波にも乗るもの)が得意な人など、私が知らなかった世界が広がっていました。

Yuuka HorikoshiToshiro Harada












  この大会に参加しているプローンパドルボードの選手は、世界的に見てもとても少ないです。今年も、男子が12人、女子が10人でした。なので、プローンパドルボードでウォーミングアップをしているだけで、他国のプローン選手が話しかけてくれることもありました。プローンパドルボードの選手たちはほとんど全員、ライフセービング競技をメインでやっている人たちです。

Takayo YokoyamaMurata












  大会は11月23日から12月2日まで、約10日間の長丁場です。特にサーフィンは波によって、ウエイティング(海の状況に応じて1日競技を行わないこともある)もあるため、自分の種目がいつ行われるのか直前まで分からず、調整が難しいです。今回は幸いにも海の状況がサーフィンに最適で、最初の4日間がサーフィン種目とまとまって進行し、その後2日間がテクニカルレース、一日レイデイがあって、3日間は別会場でスプリントレース、ディスタンスレース、そしてリレーが行われました。

relay
レースについて

 私が出場したのは①テクニカルレース②ロングディスタンスレース③リレーの3つです。
①テクニカルレース:1.3kmの少し波のあるコースを4周する。一度浜に上がってボードをもって走るところもある。大体30~40分かかる。
②ロングディスタンスレース:6kmのコースを3周する。給水ポイント等も特にないので各自ハイドレーションの準備をする。2時間30~45分かかる。
③リレー:ライフセービングの形式に最も近い。(1)プローン男子→(2)SUP女子→(3)プローン女子→(4)SUP男子の順番で約400mのコースをリレーで繋ぐ。

Technical Proneflag












  それぞれ、かなりハードなレースでしたが、特にロングディスタンスは私にとってのメインレースだったので、無事終わってホッとしています。そしてロングディスタンスが、一番楽しいレースでした。
 
 約1リットルの水分と、エネルギージェルを4つ積んでいきましたが、水分は半分以上余りました。途中で手の感覚がなくなったり、膝が痛くなったり、前モモがつりそうになったりしましたが、そんな時に水分とエネルギーを補給し、ダウンウィンドでは体力がなくなりそうな時も、無理やりでも笑顔を作って楽しみました(そうすると本当に楽しくなります)。ある程度漕ぐとランナーズハイのような状態になり、結果的に「もうやめたい…」と思うことは一度もなく、「楽しかったー!」とゴールできました。

board


今後について

 私がこの記事をライフセーバーに読んでほしいのは、来年の大会がより盛り上がってほしいと考えているからです。おそらく来年度も同じような選考会があると思いますので、特に女性ライフセーバーのみなさん、ぜひ挑戦してください!!


 今回大会に参加して、ライフセービング以外の新しい世界を知れたこと、世界中に友達ができたこと、SUPの方々と仲良くなれたこと(約2週間一緒にいるので本当に仲良くなれます!)で、私の世界も広がりました。ただ、もっと練習をして、より真剣に取り組めたら、もっともっと楽しめたと思います。

Yuka SatoJapane member












  ライフセービングを通して、新しい経験ができました。まだまだ、たくさんの可能性を秘めていると思っています。今後はライフセービング活動をより多くの人に楽しんでもらえる活動ができたら、と考えています。

 今回私が大会に出場するにあたって、多くの皆様にお世話になりました。本当にありがとうございました。

member

    
 
大会成績

【PRONEレース種目】

PRONEテクニカルレース男女(2名)
・高木 惇暉 7位
・大山 玲奈 7位
PRONEディスタンスレース男女(2名)
・高木 惇暉 6位
・大山 玲奈 6位

【SUPサーフィン種目】

SUPサーフィン男子(2名)
・堀越 力 5位
・原田 俊広 25位
SUPサーフィン女子(2名)
・井上 楓 15位
・堀越 優樺 4位

【SUPレース種目】

SUPレース男子(ロングディスタンス:2名)
・金子 ケニー 15位
・村田 暁 21位
SUPレース男子(テクニカル:2名)
・金子 ケニー 10位
・萱島 宏太 17位
SUPレース男子アンダー18(テクニカル:1名)
・小松山 勁 9位
SUPレース男子(スプリント:1名)
・金子 ケニー 5位
SUPレース女子(ロングディスタンス:2名)
・佐藤 優夏 4位
・横山 貴代 13位
SUPレース女子(テクニカル:2名)
・佐藤 優夏 5位
・横山 貴代 9位
SUPレース女子アンダー18(テクニカル:1名)
・小貝 実佑 7位
SUPレース女子(スプリント:1名)
・佐藤 優夏 6位

【国別対抗総合順位】
日本代表 6位

大会公式サイト

 
    










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