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パトロール現場訪問 2016年 夏 Vol.06
神奈川県平塚市・湘南ひらつかビーチパーク海水浴場
2016/08/31

2016 Summer 湘南ひらつかLSC

IMG_76448月もいよいよ最終日。
ごく一部の地域を除き
パトロールシーズンも終わりを迎える。

猛暑の日も、雷鳴が轟く日も、台風接近中も、
各地で水辺の安全に尽力してくれた
ライフセーバーの皆さん、
お疲れさまでした&ありがとうございました。

20016年夏のパトロール現場訪問もこれにて終了。
また来年!


文・写真=LSweb編集室






神奈川県内では珍しい、海の家がない海水浴場

IMG_7523 毎年7月に行われる「七夕祭り」や、Jリーグに参加する「湘南ベルマーレ」の本拠地として知られている神奈川県平塚市。

 相模湾に面した海岸には、年間を通してビーチバレーやビーチサッカーなど、各種のビーチスポーツが楽しめる海浜公園「湘南ひらつかビーチパーク」が整備されている。そしてもちろん、夏にはビーチパーク内に海水浴場も開設される。

 相模湾沿いの湘南地域には数多くの海水浴場があり、毎年、多くの海水浴客で賑わう。しゃれた海の家での飲食や、海辺のライブハウスを目当てに訪れる人が多いのがこの地域の特徴の一つなのだが、湘南地域では唯一、海の家がないのが平塚の海水浴場だ(公園を管轄する管理棟併設の売店はある)。

 そんな特徴的な海水浴場でパトロール活動を行うのが、「湘南ひらつかライフセービングクラブ」。

 2013年にクラブ設立20周年を迎えた同クラブは、ジュニアから社会人まで幅広いメンバーが集まる地域クラブとして、他クラブや福祉団体との交流、クラブハウスの活用など、精力的な活動を行っている。

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             パトロール活動の主力となるのは、東海大学湘南校舎ライフセービング部を中心とする大学生ライフセーバーと、ジュニア時代からクラブに参加する高校生ライフセーバーたちだ。海だけでなく、国道を挟んで隣接する湘南海岸プールの監視も行う彼らを、社会人やジュニアの保護者たちがサポートしている。

ビーチスポーツのメッカ

IMG_7700 今夏、監視長を務めた東海大3年の竹内一平さんに活動の様子を聞いた。

「浜の特徴は、何といってもエリアの半分がビーチスポーツゾーンとして利用されていることです。ビーチバレーコートは10面が常設されており、年間を通して活発に利用されています。ビーチサッカーをするグループもいますし、バスケットコートもあります。ボードウォークも整備されており、海水浴目的でない人も大勢訪れるビーチなので、切り傷や捻挫などへの対応が多いと思います」

IMG_7502 パトロールの拠点となるのは、防砂林近くにある公園管理棟の2階。管理棟周辺にはボードウォークが整備されており、正面にはビーチバレーコートが整然と並んでいる。ビーチスポーツゾーンから急勾配の砂浜を下ると波打ち際となる。

「管理棟2階の(パトロール)ベースからは波打ち際が見えないので、坂の上に設置したタワー、砂浜を下った場所にある待機所との連携が大事です。沖に消波ブロックがあるので波はそれほど大きくありませんが、ファミリー層が多いので、手前が掘れている時などは特に注意が必要ですね」

 今年からレスキュー機材にSUPを取り入れたという同クラブ。ボードよりも目線が高く、前屈せずに遊泳区域を沖側から観察できることに、大きなメリットを感じていると言う。安全移送にも威力を発揮しているそうだ。

 ただ、意識がない人は通常のボード同じようにロールしてレスキューすることになるので、幅の広いボードで素早くロールする技術や、パドルの取り扱いなど、十分な練習が必要だと話していた。

IMG_7579IMG_7572 「ビーチスポーツで汗をかく人が多いので、熱中症に気をつけてもらうようにスポーツを楽しんでいるグループへの声かけも行っています。また、練習の後にワーッと海へ突入する人も多いです。気持ちはよく分かるのですが、ビーチスポーツゾーンは遊泳エリアよりも広いので、そこから一気に海に入らないように気をつけています」

 声かけの時に役立つのが、プールでのガード経験なのだとか。

「プールでは海より細かく、ていねいな説明が求められます。僕は1年の時にプールガードを経験しましたが、ていねいかつ根気強く説明したことが海でも活かされていると思います」

IMG_7533IMG_7591  ベース、タワー、待機所、そしてビーチや海上などの前線パトロールに、プールと、豊富なガード経験が積めるのが湘南ひらつかLSCの特徴だ。

浜留学で他クラブとの交流も盛んに

IMG_7599 浜留学を積極的に受け入れている同クラブ。今年は気仙沼ライフセービングクラブとの親交を深めることになった。

 8月中旬、4日間の日程で平塚を訪れたのは、気仙沼LSCの浦 健太さんと齊藤愛里さんの2人。浦さんは元々、鎌倉ライフガードに所属していたが就職して仙台勤務となり、気仙沼LSCの活動に参加するように。気仙沼出身の齊藤さんは、昨年からクラブに参加している地元の学校に通う高校2年生だ。

 東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼市では、昨年、大島の小田の浜海水浴場が再開された。齊藤さんは夏の間、そこでのパトロールに参加している。

「競泳をやっていたので、東北で開催されたジュニア/ユースのプール競技会がライフセービングを知るきっかけとなりました。海でもやると聞き、興味を持ちました。震災はありましたが、私にとって海は泳げる楽しいところ、というイメージです。
 友だちにライフセービングのことを話すと、『スゲー』と言われます(笑)。小田の浜は沖に島が点在していて、波が穏やかな素敵なところですよ」と言う齊藤さん。高校では茶道部に所属しているそうだ。

IMG_7532 IMG_7554 「関東はライフセービングの盛んで、学生ライフセーバーもたくさん活動していますが、地方ではまだマイナーな活動で、学生が少ないこともありガードの中心は社会人です。昨年の大会時に、湘南ひらつかLSCの白井勇喜さんと再会し、盛んな地域とそうでない地域が交流できたら面白いと盛り上がりました。
 僕が所属していた鎌倉へ行くことも可能でしたが、ビーチパークやプールでの活動を僕自身が見てみたいこともあり、こちらにおじゃましました」と話すのは引率も兼ねた浦さんだ。

 来年(2017年)には、仙台に近い七ヶ浜町の菖蒲田海水浴場が本格的に再オープンする。今年は試験的に10日間だけプレオープンし、以前から交流のある釜石LSCだけでなく、三浦海岸SLSCや葉山LSCのメンバーが応援に来てくれたそうだ。

偉大な先輩から後輩へ、直伝の技を伝授!?

IMG_7509 ジュニアから社会人まで幅広い年代が集う湘南ひらつかLSC。取材日はお盆の週末ということもあり、ボランティアパトロールに入る社会人ライフセーバーの姿もあった。

 その社会人ライフセーバーとは、ビーチフラッグスの元世界チャンピオン鯨井保年さんと、東海大クレスト第6代主将の深作友明さんの2人だ。

 にこやかな表情で学生と同じシフトでパトロールをこなし、空き時間にはビーチフラッグスの練習を一緒にするなど、精力的に動き回っていた2人。

 世代を超えて同じ活動ができるライフセービングの魅力を、あらためて目にすることができたパトロール現場だった。

★☆湘南ひらつかビーチパーク海水浴場★☆
開設期間:7月16日〜8月31日
遊泳時間:9時〜17時


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