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ヒラッパーズママの
ベーシックサーフライフセーバー資格・取得奮闘記
2015/07/02

Let's Challenge to take a qualification of Basic Surf Lifesaver 

Be a Lifesaver!


LSweb海水浴シーズンを翌月に控えた6月の週末。

神奈川県ライフセービング連盟が主催する「ベーシックサーフライフセービング講習会」の受講生の中に、2人の既婚女性の姿があった。

湘南ひらつかライフセービングクラブのジュニア部「ヒラッパーズ」に子どもたちが所属する、奈良部真弓さん、久保田恵里子さんだ。

なぜ奈良部さんと久保田さんはライフセーバー資格を取得しようと思ったのか? 周りの反応は?

そして講習会の様子は? ライフセーバー資格取得に挑戦した2人のママたちの奮闘記を、奈良部さんのレポートでご紹介しよう。(LSweb編集室)

文=奈良部真弓・写真=橘川克巳(湘南ひらつかLSC)




「まず申込み」で始まった

LSweb 知り合いの紹介で、子どもが湘南ひらつかLSCのジュニア活動に参加するようになったのがライフセービングとの出会いだった。

 子どもの活動に付き添ううちに、ビーチフラッグス練習の時にフラッグを立てたり、サーフ練習の海上目標物として海に浮かんでいたりと、子どもと一緒に楽しい経験をさせてもらうようになった。

 その手伝いの中で、子どもが同じ活動をしている母親同士、お互いに「安全にできているのか」「もう少し手伝えることはないのか」と考えるようになり、一度きちんと勉強しようという結論で意気投合したのが、今回ベーシックサーフライフセービング講習会を受講した2人の母の受講動機だ。

 海のシーズンがオフになったばかりの秋に受講を決心し、翌春に動き始めたのだが、受講したかった日程が既に満席で予約できなかったり、ジュニアの大会と日程が重なっていたりと、あっという間に何もしないまま1年が過ぎていた。

 決心から2年目の今年。

 満席になる前に「まず申し込み」の声を掛けてくれたのが久保田さんだった。2人でスケジュールを決め、早々に申し込みをしたのは、お互いにひとりでは少し心細かったからだ。

LSweb そんな熱い気持ちの母たちとは裏腹に子どもたちは意外に無反応で、「へー」とか「そーなのぉ」という気のない返事。

 奈良部家では「お母さんには無理だよ」と、いかに自分がすごいのかをアピールしているともとれる反応だった。

 人ごとなのか、無関心なのか、親としてはとても複雑な気持ちだったが、「一人で海に行くのはどーなのかな?」という発言は、どうやら羨ましさも少し混じっていたようだ。

 受講直前には「お母さん死なないでね」という発言まで出てきた。“そんな危険なことではないよ”と内心思いつつ、そんな風に心配してくれることがほほえましく、ちょっとした収穫だった。

 しかし講習が始まってすぐに、子どもたちのすごさが身にしみることとなった。

 今まで普通にできていたはずの“泳ぐ”というとても単純なことが、母たちにはとても難しいのである。体力的にではなく、明らかに経験不足なのである。

 そのことに打ちのめされてからは、毎回家に帰って子どもに相談である。子どもたちは少しも茶化すことなく、自分の持てる技術や経験を教えてくれ、「無心で泳ぐ」というメンタル面までもアドバイスしてくれた。

LSweb 同じ目線で共通の話ができるようになったのか、という親としての喜びも、嬉しさもひとしおであるが、実はそれどころではなかった。

 教えてもらったことを翌日の講習で試し、少しでもレベルアップするように努力をするしか、受講生仲間の高校生たちに近づく方法がないのである。

 実は私たちの受講仲間は、なんと高校生だったのだ。
 もちろん一緒に受講している彼らにもアドバイスを求めた。同じ時間に同じ海に入る仲間として、波の判断はジュニアから経験している彼らの方が数段詳しい。

 多感な年ごろの男子高校生と女子高校生は、いやな顔一つせずにいつでも丁寧に答えてくれたので、我が子もこんな風に育ってくれればいいなと思うことが多々あった。

海での実習に苦戦

LSweb 最初の2日間は午前中に座学、午後に実習というスケジュールで行われた。

 座学で学んだことを海で実習するのではない。座学はあくまでも波の事や気象の事、ライフセーバーとしての対応方法など基本的なことを学ぶのである。そして実習はそのまま海で習って海で実習するのである。

 ボディーサーフィンも、レスキューボードもジュニア活動のお手伝いで乗ったことはあったが、少しでも波があると途端にてこずる。

 浮いている溺者役のところに行くのも、高校生と比べると1分、2分と余計に時間がかかる。

 “浮いているのが自分の子どもだったら”と考えて常に真剣に取り組むのだが、それでもボードごと波にのまれて溺者を落としたり、なかなかチューブのフックが止まらなかったりと失敗の連続である。

 そんな1日の締め括りに行うランスイムランは、予想通り苦戦した。

LSweb 1日目はフルウェットを着込んでチャレンジしたが、2日目は邪魔なウエットを脱いで水着で挑んだ。寒いとか、恥ずかしいなどと言っているわけにはいかない。すでに落ちこぼれそうな母たちは、1日目と同じ失敗をするわけにはいかないのだ。

 そんな母たちを尻目に、男子高校生は水着とラッシュガードだけで、2日目の実習を受講していた。
 「寒い」とは言っていたが、大人にはちょっと真似できない判断だ。もちろん、ウエットは彼らにとっても泳ぎにくい邪魔ものだったのだろう。

 3日目も午前中に座学、午後に実習を受けた。

 三角巾の使い方もこの日初めてだ。

 前の週の2日間とインストラクターが代わり、男子高校生に大うけの”ノリ”で講義が進む。インストラクターそれぞれが個性的で、とても魅力的だと思った。

 3日目の海実習は、前の2日間の復習。動作を一つずつ確認しながら、確実に体と頭に手順をたたきこんでいく。そんな中で、意外に男子の方が溺者の扱いがやさしいのには驚いた。

いよいよ最終日!

LSweb 最終日は検定だけ。3日間のすべてを出し切って、全員合格して終わりたい。

 あいにく朝は風が強く、波が不規則に崩れるコンディションだ。

 いつものように座学から始まると思っていたら、朝から実技のテストだという。心の準備ができていなかったが、ランスイムランが最後だと一日中落ち着かないので、早々に終わらせることに賛成した。

 みんなでボードを運びながら「オンショアだね」「白波が立つから溺者を見失うね」と、座学での復習もしながら海を見た。

 午前中の方が風と波が強いのは、今までの3日間と同じだ。実技を午後にすればよかったかなと、少し後悔した。しかも曇天で気温も低めだ。それでも1週間前より水温が温かくなっているのを肌で感じた。

LSweb たくさんのサーファーをよけながら、次々と実技をこなす。

 初日にしでかしたような失敗を繰り返すわけにはいかないので、一つ一つとても慎重だ。ランスイムランまで全力で慎重に力を出し切った。最後のランは全力疾走で駆け込んだので、初日のランスイムランより少しまともにゴールできたと思っている。

 そのあとの昼食は心おきなく、お腹いっぱいに食べられた。一仕事終えた後のほっとした食事だ。

 午後からは学科と三角巾をそつなくこなし、4日間にわたる講習会を無事終了。

 晴れ晴れした気持ちと同時に、受講生5人が一緒に集まるのはこれが最後なんだと思うと寂しくなった。みんなで「また海で会おうね」と口にして別れた。

 今回受講した講習会は、土日を2週使う4日間のスケジュール。前日の疲れを残さないように、家の事も早々に子どもより早く寝て万全を整えた。

 とはいっても講習会はたった4日間しかない。必ず終わる4日間に、“やれるかな?”という不安だけは最初からなかった。そのあたりの楽観的な考え方ができるのが母親2人の共通点かもしれない。LSweb

 4日間の講習では3人のインストラクターに教わることができた。みんなそれぞれに経験を積んでいるスペシャリストで、ガードの体験も豊富にあり、毎回色々な浜の話が聞けてとても楽しかった。

 これから夏になり、受講生もインストラクターもみんなそれぞれの浜で大活躍をするのだと思うと、平塚だけでなくほかの浜に遊びに行く楽しみもできた。

 母たちは当初の目的通り、ジュニアの活動をどう手伝えるのか、これからの活動もとても楽しみである。

    
 
インストラクターから一言

 ベーシックサーフライフセービング講習会の主な受講生は大学1年生。その中でこの2人はちょっと異色といえる。ましてや今回は、高校生が受講生の中にいた。

 はっきり言おう、年齢的に大丈夫か? と一瞬、心配になった。

 しか~し、それはまったくの杞憂で、むしろこの2人が他の高校生たちを引っ張ってくれた。それは学科での雰囲気もしかり、準備から練習中のフィットネスに至るまで。IMG_2004a

 世の中の女性が、特に主婦の方が元気であれば世界は明るくなり、みんなが笑顔になれる。

 2人の活動は平塚の海を元気にし、訪れる遊泳者の安全を守ることはもちろん、笑顔にもしてくれるだろう。これからのシーズン、現場での活躍が大いに楽しみだ。

 奈良部さん、久保田さん、ベーシックサーフライフセーバー資格合格、おめでとうございます! また海で会いましょう。

インストラクター 原 伸輔


 
    








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