RESCUE2012

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オーシャン競技初日
陸・海コンビが金メダル獲得!
日本A代表は苦戦を強いられる
2012/11/11

レスキュー2012 現地レポート④

 大会4日目からは競技会場をグレネルグビーチに移し、オーシャン競技が開始された。朝からきれいに晴れ渡ったグレネルグの町は、午前中は風もなく、海面はフラット。午後からはシーブリーズが吹き始め、徐々に波が立つコンディションとなった。
 
 そんな中、男子はサーフスキーレース、女子はボードレースから競技がスタートした。サーフスキーレースの予選でいきなり迫力のパドリングを見せてくれたのが、ニュージーランド代表のスティーブン・ファーガソン選手。カヌー競技で五輪に出場した彼は、スタートから独走態勢で余裕のレース運びを見せた。

 オーシャン競技初日にサーフスキーレースが行われたのは、男子のみ。日本A代表は長竹康介選手と西山 俊 選手が、日本B代表は坂本 陸 選手と小林 海 選手がそれぞれオープンクラス、ユースクラスに出場し決勝を駒を進めた。

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 そして午後に行われた決勝レース。オープン、ユースともに表彰台に立ったのは隣国同士、激しい火花を散らしたオーストラリアとニュージーランドだった。結果、ユースクラスではニュージーランドが1、2位を独占。オーストラリアは3、4位に甘んじた。
 
 一方、オープンクラスではオーストラリアが雪辱を果たし、オーストラリアのシャノン・エクステイン選手が、僅差でチームメイトのヒュー・ダリティー選手、オリンピアンのファーガソン選手を押さえ、勝利のガッツポーズ。見応えのある実に面白いレースが展開された。オーストラリア国民的なヒーロー、エクステイン選手の優勝に観客が大歓声を挙げたのは言うまでもない。

 日本勢はというと、参加選手が少なく一発決勝だったユースクラスでは、ニュージーランド、オーストラリア、アイルランドに続き坂本選手が6位、小林選手が7位に入賞。オープンクラスでは西山選手が11位、長竹選手が14位となった。

 女子のボードレースには、日本A代表から坂本佳凪子選手と佐伯芽維選手、日本B代表から高橋志穂選手と皆川綾菜選手が出場した。
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 こちらも上位独占はオーストラリア、ニュージーランドのアンザック勢。オープンクラスでは、地元オーストラリアのスター、クリスティー・スミス選手がニュージーランドのニキ・コックス選手を振り切り、その実力を見せつけた。オープンクラスの坂本、佐伯選手は決勝に進出することができなかったが、ユースクラスは皆川選手が6位、高橋選手が8位に入賞した。

 オーシャン競技初日はこのほか、男女それぞれビーチスプリント、ビーチリレー、サーフレース、ボードレスキューが行われた。
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 オーシャン競技初日のハイライトは、なんといってもユースクラスのボードレスキューで日本が表彰台の真ん中に立ったことだろう。溺者役は坂本 陸 選手、救助者役は小林 海 選手。
 午後から行われた決勝レースは逆光で視界が非常に悪く、溺者役の動きがまともに見えなかったが、日本はニュージーランド、スペインに続き三番手でボードに。その後、オーストラリアがボードで救助に向かった。
 
 メダル獲得の期待が高まるが、2人の動きは逆光のため良く分からない。目を凝らして見ていると、両手で同時に水をかくシルエットが先頭で戻ってくるではないか。オーストラリア、ニュージーランドは左右交互に水をかくスタイルだから、日本チームがトップということになる。
 
 ビーチに近づくにしたがって顔の判別もつくようになり、日本が確かにリードしていることが分かる。後続はニュージーランドとオーストラリア。最後まで安心できない相手だが、坂本、小林両選手は最後まで落ち着いてレースを続け、二強を従えてフィニッシュ。
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 ユース選手の快挙に興奮したのは、日本人応援団よりも、むしろ地元の観客たちだった。
「ニュースだ! ニュースだ!」
 と騒いで、大急ぎでツイッターを始めたのは、大会公式ウェブサイトでSNSを担当する広報マン。ニュースは瞬く間に世界へ配信された。

 坂本選手と小林選手は、西浜SLSCジュニアの第一世代。小学生時代からニッパーボードに親しみ成長してきた2人は、実はオーストラリアのユースと比べても何ら遜色のない経験を積んできているし、9月に日本国内で開催された国際大会「三洋物産カップ」でも、オーストラリアを破り優勝している。
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 決してまぐれの優勝ではなく、きちんとしたジュニア育成プログラムがあれば(そしてもちろん個人個人が努力をすれば)、日本勢も世界で通用することが証明できたわけだ。
 西浜ジュニア出身の皆川綾菜選手、高橋愛海選手がユース女子ボードレスキューで3位に入ったのも、同じ背景と言えるだろう。
 今、日本では各地でジュニアライフセービングが芽生えている。日本の未来は明るいと言えるのではないだろうか。

 男子ビーチリレーでも銅メダルを獲得し、オーシャン競技で3つのメダルを獲得した日本B代表。一方、日本A代表はプール競技に続き苦戦を強いられている。ヨーロッパ勢でオーシャン競技が強かったのは、これまではフランスとイギリスだけという印象だったが、今大会ではオランダやスペイン、イタリアなども力をつけており、クラフト競技などで中位につけるようになった。その結果、日本が目標としていたA決勝どころか、B決勝の残れない種目があるのが痛いところだ。
 
 残すは大会最終日のみ。ユース世代が目標としてきた先輩たちの強さを、ぜひ見せて欲しい。


【日本代表の成績(大会4日目)】

☆ビーチリレー
4位:B代表女子(速水 愛、皆川綾菜、内藤由里恵、髙橋愛海)
3位:B代表男子(小林 海、坂本 陸、桜井 希、富沢泰介)
11位:A代表女子(水間菜登、佐伯芽維、毛利 邦、名須川紗綾)
11位:A代表男子(植木将人、鈴木陵平、西山 俊、菊池 光)

☆ボードレスキュー
3位:B代表女子(皆川綾菜、髙橋愛海)
1位:B代表女子(小林 海、坂本 陸)
12位:A代表女子(坂本佳凪子、佐伯芽維)
7位:A代表男子(菊池 光、西山 俊)

☆ビーチスプリント
B代表女子
9位:利根川里奈
11位:内藤由里恵
B代表男子
記録修正中
A代表男子
14位:植木将人
予選敗退:鈴木陵平

☆サーフスキーレース
B代表男子
6位:坂本 陸
7位:小林 海
A代表男子
11位:西山 俊
14位:長竹康介

☆サーフレース
B代表女子
8位:皆川綾菜
10位:内藤由里恵
B代表男子
10位:坂本 陸
11位:富沢泰介
A代表女子
9位:三井結里花
予選敗退:坂本佳凪子

☆サーフボードレース
B代表女子
6位:髙橋愛海
8位:髙橋志穂
A代表女子
予選敗退:佐伯芽維
予選敗退:名須川紗綾