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必読!女性ライフセーバーの健康管理
第3回 骨盤ケアでからだを整える
2018/02/13

How to manage in good shape for female lifesavers



女性ライフセーバーに知ってもらたい健康管理の方法を、大竹SLSCのライフセーバーであり、助産師として働く齋藤愛子さんの解説でお届けする本連載。

3回目の今回は、健康的で美しいライフセーバーになるための骨盤ケアについて。一読してあなたも“ヘルシー&ビューティー”に!(LSweb編集室)

文=齋藤愛子(大竹SLSC)




骨盤はからだの土台

 みなさんは自分の「骨盤」について意識したことはあるだろうか。

 骨盤はからだの中心にあり、全身を支える土台のような役割をしている。上は背骨、下は股関節と繋がり、多くの骨と組み合わさって成り立っている。また内蔵などからだの臓器を包み、守る役割も兼ね備えている。つまり、「骨」として姿勢を保つだけでなく「鎧」のように臓器を守る、生きていくうえで要となるのが骨盤である。



 ライフセービング活動は、IRBや土嚢、ボードなどの重いものを運んだり、レスキューボードのパドリングなど腰に負担のかかる動作や姿勢が多い。

 女性にとっては、赤ちゃんが産まれる通り道が骨盤であり、将来のお産にそなえて骨盤を整えておくことはとても大切だ。そのことも頭の隅に入れておこう。





現代人の骨盤事情

 現代は洋式トイレの普及で和式トイレが減り、骨盤を広げる体勢をとる日々の機会が少なくなっていることから、骨盤と繋がる股関節の柔軟性が乏しい人が特に若い人に多い。

 また現代は車社会であり、歩くことは昔に比べて激減し、そのために関節をつないでいる靭帯や足腰・骨盤周辺の筋肉も弱くなっている。

 片足に重心をかけて立つ、足を組む、いつも同側でかばんをもつ、スマフォ座り(浅く腰をかけて背中を丸めた座り方)など日常生活動作で骨盤の左右差や硬さが生じている人が実はたくさんいるのだ。

 マリブボードやサーフスキーを片側で持って運ぶライフセーバーのみなさんにとって、骨盤が傾きやすい要素は現代人の生活背景に加えてより多いということも知ってほしい。


骨盤の緩みを整えるためのキーワード:骨盤底筋群


 ここでは骨盤の傾きや硬さ、ゆがみを「骨盤が緩む」という言葉に統一して話をする。

 骨盤が緩んだ状態では、内臓の下垂(下にさがること)や姿勢のゆがみが生じやすくなり、さらなる負荷(過重負荷)が骨盤に加わる。

 姿勢がゆがむと骨盤周りの筋肉が骨盤の代わりに背骨を支えようとするため腰痛が生じやすくなり、骨盤内部にある膀胱や腸などを下からハンモックのように支えてくれている骨盤底筋群も疲労してしまう。

 また、過重負荷によりさらなる骨盤のずれ・ゆがみにつながると、骨盤内の血流が滞ることで冷えや体調不良、生理不順を引き起こし、膀胱・腸の圧迫に伴う便秘といったマイナートラブルの原因にもなる。




 骨盤の緩みから生じうるこれらの状態は、骨盤底筋を鍛えることにより骨盤が締まり、骨盤や内臓が正しい位置に戻ることで改善が期待できる*1)。 *1)参考文献:渡部信子著『ゆがみを解消!骨盤メンテ』p19、日経BP社、2009年

 骨盤底筋群を鍛えて骨盤を整え正しい位置に支えておくことで、骨盤内の血液の流れが維持され、新鮮な血液が流れてからだの疲労・けが回復の早さにも繋がる。

 トレーニングをしているライフセーバーは筋肉がついているので大丈夫だと思うかもしれないが、ライフセーバー特有の動作、姿勢ゆえに骨盤が緩んだ状態で筋肉がついてかたまった状態にあることも、考えられる。

 正しい骨盤のかたちを、柔軟な筋肉で支えることが、からだのパフォーマンスを保つ上で大切なので、次回はどのように骨盤の柔軟性を高め骨盤底筋群を鍛えるとよいのか、骨盤のメンテナンスの仕方をお伝えする。




    
 
齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴15年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。

 
    








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