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9大学が集結! 「合同新歓海練習」2013春2013/04/25

Welcome! Univ. clubs joint training for new students.

一人でも多くのLS仲間を増やしたい!

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ゴールデンウィーク前のこの時期、各校のライフセービングクラブでは、勧誘した新入生向けの新歓LS体験会があちこちで開催されている。

LSwebでは、学生たちによる2013年度の「新人ライフ部員獲得」状況を探るべく(!?)、各校の体験会に出没し取材を試みた。

そのひとつが、ここにご紹介する9大学合同による“新入生歓迎海練習”だ。

一体、どんな大学がどのように協力して行っているのか?
そして、参加した新入生の反応はいかに?

文・写真=LSweb編集室





9校集まったそのワケは?
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 「本日は、肌寒くあいにくのお天気ですが、みんな元気よく声出していきましょう。よろしくお願いします!」

 4月20日(土)午前10時過ぎ、片瀬西浜海岸中央付近に集合した一団から元気な声が聞こえてきた。この集団、じつは関東近郊の大学ライフセービングクラブが集まって企画した“大学合同新入生歓迎海練習(合同新歓海練)”に参加する学生ライフセーバー(と、その有力なたまご!)たちである。

 今年の参加校は、青山学院大学、神奈川大学、慶応義塾大学、國學院大學、実践女子大学、中央大学、帝京大学、文教大学、立教大学の計9大学。参加人数は、主役となる各大学の新入生が33人、サポートする上級生42人の計75人が集まった。
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 こうして他大学が協力し合って“合同新歓海練”するにはワケがある。初めて合同新歓を行ったのは3年前。その時は青山学院、神奈川、実践女子の3大学でスタートした。その経緯について神奈川大学LSC代表で今年の合同新歓海練・実行委員長である坂本悠介さんに話を聞いた。

 「この合同企画に参加してくれている大学に共通していえるのは、どのクラブも部員数が少なくこじんまりと活動していることです。小規模な学校クラブは、ほとんどがボードやチューブといった救助器材を持っていません。また、練習環境も整っていません。こうした状況下では各校ばらばらで動くよりも、新歓の部分からできるところは協力してやっていけばいいじゃないかという考えからスタートしたのが最初です。
 メリットは、各自が所属する浜のクラブから器材を拝借できる点の他には、なんといっても学校を超えての絆が深まり、仲のよい友人がたくさんできることですね」

 たしかに今回参加した9校の部員数はほとんどが10人以下という状況だ。例えば、青山学院大は、4年生2人、3年生ゼロ、2年生7人の計9人。実践女子大は、4年生1人、3年生2人、2年生ゼロの計3人、慶応や立教に至っては、たった1人で活動しているのである。
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 文教大4年生の田島拓也さんは次のように語る。
 「文教大LSクラブは、3年生がゼロです。そこで4年の僕も就活の合間を縫ってなんとか新歓をお手伝いしている状況です。学年の間が抜けてしまうとこうした大変さ(負担)が出てくるので、なんとか今年の1年生にはたくさん入ってもらいたいですね。新入生勧誘の目標は5人です」

 こうした状況を少しでも打破しようと各大学がお互いに知恵を絞り、協力し合って、部員の勧誘はもちろん、練習場所の確保や練習器材の調達を頑張っている。こんな熱意ある先輩たちが集まって開催した“合同新歓海練”に参加した新入生たち。さてさて、彼らの反応はいかに…。


ボードにビーフラ、体験会は評判上々
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 今にも雨が降り出しそうな空の下、9大学協力による“合同新歓海練”が始まった。状況を見ながら仕切りを行っているのは、帝京大3年生で主将の森本 茜さん。小柄ながら大きな声を出し、テキパキと指示を出していく。
 器材の都合や安全面などを考慮して、4つのグループに分けた後、準備体操や浜のゴミ拾いなどを行いながら、少しずつ親睦を深めていく。

 これが終わると、いよいよ海練体験へと突入だ。まずは、2人一組のバディシステムについての説明と、レスキューボードやレスキューチューブといった器材の使い方などを簡単にレクチャーしていく。
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 すると突然、「人がおぼれている! レスキュー!!」という声と共にボードとチューブを持ったライフセーバーが、猛然と海に向かってダッシュ。沖を見ると溺者が2人もがいている。これ、上級生によるレスキュー・デモンストレーションなのだが、突然のことだったので一年生たちは少々どよめきながらも、救助の一部始終を真剣に見入っていた。
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 レスキュー・デモが終わると、各グループがオーシャンとビーチ組に分かれて体験会の開始。海では、ボードとチューブを使っての練習を行った。チューブ組は、水の中での巻き方やボディーサーフィン、波打ち際のウェーディングなどを繰り返し練習する。最初は波や砂に足を取られてよろめいたり転倒したりしていたが、膝を高く上げて走り込む方法を教えられると、先輩と並んで何度も練習を繰り返していた。

 ボード組は、先輩からマンツーマンでパドリングやうまく波を捕まえる指導を受けながら、波乗りに挑戦。
 ボードに乗るどころか触るのも初めての一年生たち。最初は、なかなか波をキャッチできず、先輩にあと押しして貰いながらなんとか波に乗るものの、バランスを崩して沈するケースが目立った。それでも、先輩たちの熱心な指導のおかげで少しずつコツをつかんでくると、自力で波に乗りうまくバランスをとることもできるようになってくる。パドリングする姿もこころなしか様になったように見えてくるから不思議だ。
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 ボード体験を終えた一年生たちに初めて乗った感想を聞いてみた。

 「上級生が乗っているのをみると、簡単そうにみえたのですが、いざ乗ると想像以上に波に乗るのが難しくて、先輩のアシストがなかったら全然できなかったです」
 
 「最初は、パドリングしても進まね〜って感じで、やっと波に乗れてもぶれて安定せず難しかったです。でも、(波に乗れると)気持ちよかったし、楽しかった!」
 先輩たちの丁寧なサポートの甲斐もあり、新入生たちの評判は上々。入部へ向けて一歩前進!?の予感。

 ビーチ組では、花形競技であるビーチフラッグスの体験が始まっている。簡単なルール説明からスタートの構え方、フラッグの取り方などをひと通り教えたら、みんなで競技スタート。勝ち抜き戦なので和気あいあいの中にも徐々に気合いがこもり、集中していく様子が伝わってくる。
 ボードにしろ、ビーフラにしろ、ちょっとかじっただけでなぜか人を夢中にさせる魅力がある。う〜ん、ライフセービングって奥が深いなと、改めて感じた次第である。
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実行委員会メンバーの頑張りに拍手!

 昼休みを挟み、午後はオーシャン組とビーチ組が入れ替わって、各種体験が続いた。この頃になると、雨も降り出し、体感温度もより寒く感じられるようになってきた。新人にとってはかなり厳しいコンディションである。
 実行委員会では、新入生が少しでもストレスや不自由なく海練習を体験してもらうために、過去の経験を生かしてさまざまな努力を行っていた。
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 そのひとつが、ここに参加する一年生全員分のウエットスーツを用意すること。春先の海に入り慣れていない新入生の寒さやケガを防止するためだ。それに午前と午後で濡れたウェットを着回しするのは、誰だって嫌なもの。そのために仲間からウエットスーツをかき集めてなんとか人数分を揃えた。

 こうしたちょっとした思いやりとか気遣いは、さすがライフセーバーなのである。サイズが合わずブカブカだったり、ピッチピチだったりするのはご愛敬。当日は、3月並みの寒さだっただけに、新入生たちはこのウエットスーツのありがたさを身にしみて実感していたに違いない。

 午後2時をまわり、9大学合同の新歓海練も終盤を迎える頃には、新入生も上級生もすっかり打ち解けてあちこちで賑やかな声や笑い声が響く。
 締めくくりは、2組に分かれてのファンレース。負けた組はスクワットや腕立て伏せの罰ゲームが待っているので、応援にも力が入って最後はインカレ大会並!?の盛り上げをみせていた。
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 “合同新歓海練”終了後、参加した新入生に感想を聞いてみた。

 「勧誘の時にビデオを見てライフセーバーってかっこいいなと、思っていたので参加してみました。今日いろいろなことを体験してみて、本入部しようと思いました! 寒かったけど…(帝京大1年)」

 「中学まで野球をやっていましたが、高校では何もやっていなかった。体を動かすこと好きだから、大学に入ったら何か(スポーツを)しようと思っていました。今日は遅刻してしまったけれど、先輩たちも優しく対応してくれましたし、入部を前向きに考えてみようと思っています(文教大1年)」

 「ぼくは将来の夢がレスキュー隊に入ることなので、それに繋がるような活動をしたいと思って(合同新歓海練に)参加しました(國學院大1年)」
 と、参加した新入生はみんな入部に前向きな意見が多かった。“合同新歓海練”を企画した実行員のメンバーたちもきっと手応えを掴んだに違いない。
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 日本のライフセービング界は、学生の力に頼るところ“大”であることは、明らかであり、学生ライフセーバーは必要不可欠である。そして全国にライフセービングをもっともっと普及させていくためには、たくさんのライフセーバーたちが必要だ。

 年齢を問わず社会人のライフセーバーを増やしていくことはもちろんだが、同時に一人でも多くの仲間を得ようと、各校が力を合わせて努力をしている学生ライフセーバーの取り組みを彼ら任せにしてばかりではいけない。若きライフセーバーたちは、これからのLS界を担う大切な存在なのだから。
 当LSwebでは、学生たちのさまざまな取り組みをできる限り取り上げて応援し、できることがあれば微力ながらサポートしていきたい。LSweb








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