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100年続くクラブを見据えて
「鎌倉ライフガード100年会」を開催
2014/12/26

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2013年に海水浴場開設から130周年を迎えた神奈川県鎌倉市。

この地で、ライフセービング活動を行っている鎌倉ライフガードが、2014年12月21日、これまでの歴史を引き継ぎ、未来へと繋げる「鎌倉ライフガード100年会」を開催した。

現役メンバーはもちろん、OB、OGや近隣クラブの仲間たちが集まり、盛大に行われた会の様子を紹介しよう。



文・写真=LSweb編集室





明治時代からある鎌倉の海水浴場

LSweb 夏のレジャーの定番「海水浴」が日本に紹介されたのは、明治時代のこと。ドイツ人医師ベルツなどが、公衆衛生の観点から海水浴の有効性を説いたことがそのきっかけとなり、関東地方では保養地だった大磯や片瀬、鎌倉といった湘南地域、あるいは横浜の富岡などに海水浴場が設けられるようになったのだ。

 鎌倉に初めて海水浴場が開設されたのは、明治16(1883)年。以来、今日に至るまで、夏になると鎌倉の海には海水浴場が設置され、海水浴客が訪れるようになった。

 時代はぐっと下がって、昭和30年代。手軽に楽しめる海水浴は、大衆に人気の一大レジャーとなった。

 特に首都圏から近い湘南の海は、“イモ洗い”という言葉で揶揄されるほど海水浴客が殺到。それと比例するように、事故も頻発するようになる。

 そんな状況を憂いて始まったのが、現在に通じるライフセービング活動だ。

 そしてほぼ同じ時期に、藤沢市の片瀬海岸や、鎌倉市の由比ヶ浜・材木座海岸で有志による活動がスタートし、片瀬海岸での活動はやがて西浜SLSCへ、由比ガ浜・材木座海岸での活動は鎌倉LGへと受け継がれていくことになる。

50+25+5は?

LSweb 国内で最も長く活動を続けてきたクラブの一つである、鎌倉LGの歴史を少し整理してみよう。

 鎌倉市内では、鎌倉LGのOBである武村 葵 氏を中心に、1960年代からライフセービング活動が行われてきた。

 市内に4カ所の海水浴場があったことから、当初は材木座、由比ヶ浜、稲村ヶ崎、腰越の4浜に分かれて活動。ライフガードの本場、アメリカ西海岸のハンティントンビーチへの研修派遣や、ライフガード大会(実質的な第1回全日本ライフセービング選手権)の開催、さらにはカッターやレスキューボート、サーフスキーの導入など、先駆的な活動で業界をリードしていた。

 1989年、年間を通じた活動で質的向上を目指し、またより地域に根ざした活動をしようと、4浜のライフセーバーが集まり「鎌倉サーフライフセービングクラブ」を設立。自治体や海水浴組合と協力しながら、ガード業務を行ってきた。
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 残念ながら、稲村ヶ崎海水浴場は2002年を最後に閉鎖されたが、その後も材木座、由比ヶ浜、腰越の3浜で活動を継続。2009年には名称を「鎌倉ライフガード」へとリニューアルした。さらに2011年からはジュニア活動も始まり、地域クラブとして着実な歩みを進めている。

「2014年は鎌倉SLSC設立から25年、鎌倉LGリニューアルから5年の節目の年です。しかし、鎌倉には50年以上のライフセービング活動の歴史があります。そこで記念日を祝うだけではなく、さまざまな年代の関係者が一堂に会し、これまでの歴史と伝統を踏まえ、未来のことを話せる場にしたいと“100年会”と名付けた会を開催することにしました」

 そんな多胡 誠 鎌倉LG代表の挨拶で始まった100年会。

LSweb 会場には一昨年まで救護所に詰めていた84歳になる元看護師さんから、1960年代、70年代に各浜のチーフを経験したOBたち、現役、さらに小学生のジュニアメンバーまで、実に幅広い年代の関係者が集まり、懐かしい話に花を咲かせたり、来年、さらにその先を見つめての熱いトークが繰り広げられていた。LSweb

 8ミリで撮影されたとおぼしき映像には、今や重鎮となったメンバーの若かりし頃の姿が映っており、また一世を風靡したファッション誌にも大々的に特集が組まれているなど、お祝いにかけつけた他クラブのメンバーたちも大いに楽しめるように趣向が凝らされた会場で、ひときわ人だかりしていたのが、壁一面に設置された大型年表だ。

 1970年以降の各浜のチーフ名や、出来事などが書き込めるようになった年表の前では、OB、OGや、お祝いに駆けつけた他クラブのライフセーバーたちが、首をかしげて記憶をたどりながらトピックスを記入。
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 一方、ジュニアメンバーたちは、西暦が書き込まれていないスペースに「2025年の監視長」「全国大会で1位になる」「絶対に西浜に勝つ!(勝ちたい)」といった目標を元気に書き込んでいた姿が印象的だった。
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 大いに盛りあがった「鎌倉ライフガード100年会」は、同クラブでライフセービングを初めて27年目という菊地一郎理事のこんな言葉で締めくくられた。
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 「久しぶりに諸先輩方にお会いして、嬉しさと同時に先輩ってやっぱり面倒臭いなと思いました(笑)。
 でも、伝統はお金で買えるものではないし、今後もついて回るもの。そして私たちには歴史を背負う宿命があります。
 もしかしたら、先輩方が活動していた時とクラブの名前やマーク、ユニフォームは変わっているかもしれませんが、今の鎌倉LGがあるのは間違いなく先輩方がいたから。このことは、必ず現役そしてジュニアへ繋いでいきます。
 そして50年を越える活動の歴史がある、というアドバンテージを大切にし、次へ繋いでいくと共に、ライフセービング界全体で力を合わせて、切磋琢磨しながら発展していく活動を続けたいと思います」

 間もなく2014年が終わる。新年になれば、鎌倉LGはもちろん、全国各地で活動するライフセービングクラブにも、新たな歴史の1ページが付け加えられることになるわけだ——。日々の着実な歩みが、日本のライフセービングの歴史を作っていくのである。
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