junior

LSweb
初参加チームも大活躍!
第3回 全日本ジュニア/ユースLSプール競技大会
2016/01/07

2015.12.19-20 宮城県総合運動公園総合プール

LSweb
年の瀬も押し迫った昨年12月中旬、宮城県宮城郡利府町で「全日本ジュニア/ユース ライフセービング プール競技大会」が開催された。

東北地方で行われる競技会として、すっかり定着したこの大会。

今回も小学3年生から高校3年生までのジュニア/ユース世代が参加し、大会記録が多数塗り替えられる熱戦が繰り広げられた。

そのプール競技大会の様子を、山形ライフセービングクラブの久木 充さんにレポートしていただいた。(LSweb編集室)

文=久木 充(山形LSC)写真=山形LSC





ホストクラブは気仙沼LSC

LSweb 第3回全日本ジュニア/ユースライフセービングプール競技会が、2015年12月19-20日、宮城県総合運動公園総合プール(セントラルスポーツ宮城G21プール)にて行われた。

 雪による交通障害を避けるべく今大会も年内12月に行われたが、異常気象とも言われる暖冬で積雪はなかった。しかし初日は大きな低気圧により暴風が吹き荒れる荒天気であった。

 今回で3回目を数えるこの大会、第1回は記録的大雪、第2回も季節外れの吹雪、と東北に冬の息吹を送る大会の印象が残りそうだ。

 選手宣誓は気仙沼ライフセービングクラブの紺野郁弥選手。
 宮城県気仙沼市を拠点とし、震災後宮城県で最初に復旧した小田の浜海水浴場の監視活動を中心に行っている今大会のホストクラブである。

 仙台大学ライフセービング同好会の協力もあり、宮城県にとってライフセービング活動が一歩前進した印象を受ける宣誓であった。

1本のレースが自信へ

LSweb この大会では、小学校3年生から高校3年生へと同じ競技を続けて行う。年齢の幅と体格の差もある選手たちが、次々に登場する様子は、ほかでは味わえない醍醐味がある。

 小学生も高校生と同じ招集所で招集され、集中して気合いを入れている高校生を肌で感じ、レースでは格の違いを目の当たりにし、目を輝かせて感動していた。

 不安で招集所へ向かうのを怖がっていた児童が「なんかできそうな気がする」と、中高生の熱気に乗って上を向いてプールサイドへ向かう姿も。

 また「頭からの飛び込みができない」と事前に話していた児童が、本番では頭から飛び込み一所懸命泳いでいた。

 足のつかない50mプールを泳ぎきれるか不安な児童、生徒もいたが、あきらめず全員が泳ぎ切った。

LSweb 100m泳いだことがない児童も、最初の50m障害物スイムで自信をつけ、次の100mレスキューチューブトウに挑戦するなど、大会を通して成長を見せた。

 中高校生も小学生の泳ぎに感動し、初心に戻ってレースを楽しみ、小学生のレースも一緒に応援してくれていた。その好意が嬉しくて、小学生も所属クラブに関係なく観戦し、応援する声がプールに響いた。

 今大会からマネキン泳法のルール改正が適用されたため、マネキンキャリーとマネキントウ・ウィズフィンはスピードレースになった。

 これまでは、マネキンを水没させないようにと、応援席まで伝わるような慎重なレース運びが多かったが、今回は自己ベストを更新しようと痩身の力で引っ張り、大会記録を塗り替えたレースが多かった。

 一方記録ではなく、マネキンを25mキャリーできた事が何よりも自信につながり、泳げたことに感激していた生徒もいた。
LSwebLSweb

メダル授与に感激

 今回印象が強かったのは、初参戦の日体荏原LSCとチーム北島の存在だ。

 高校生では日体荏原LSCは選手層が厚く、決勝では日体キャップが並んだ。泳力も高く、日本代表HPTが揃う柏崎LSCを脅かす存在。大会の中でお互い成長が見られた。

 そしてもう一つ、同じ初参戦のチーム北島だ。力強い泳ぎで中高生のマネキンキャリーの表彰台に上った。新しい強豪校誕生である。

 両校とも今回初参戦なので、次回はもっと力をつけてくるだろう。そしてユースの底上げにつながるだろう。
LSwebLSweb
 第1回から参加している東北勢も力をつけてきた。

 盛岡LSC、釜石LSC、気仙沼LSCと表彰台に上る選手が増え、東北ライフセーバーの技術の底上げ、そして広がりが楽しみである。気仙沼LSCの中学生のラインスロー二連覇は宮城県のライフセービングの追い風となりそうだ。

 山形LSCはジュニア層の勢いが衰えず、小学生のレースにはオレンジのキャップが並んでいた。オーシャン競技でも頭角を現し、海でもプールでもライバル対決が見られ、オーシャンもプールも積極的に表彰台を狙い、小学生らしからぬ熱い競技が行われた。

 表彰といえば前回と変わった点がもう一つ。メダルの導入である。前回は賞状授与だったが、今年からメダルになった。

 小学生はメダルがもらえる事に大喜び。表彰台に立ってメダルを授与される喜びがこれほど大きいと思わなかった。

 またラインスローでは時間切れ含めた失格が少なく、すべての競技で表彰台が埋まったことが嬉しい。着実にジュニア/ユース層のライフセーバーが増えていることの現れである。
LSwebLSweb
 前大会で活躍した柏崎LSC、西浜SLSC、山形LSCも奮闘したが、今大会は日体荏原LSC、チーム北島の活躍が凄かった。徐々に力がついているのがわかる盛岡LSC、釜石LSC、気仙沼LSCの成長も、同じ東北勢として嬉しかった。

 そのほか、昭和第一LSCの組織力、パフォーマンスの高い選手が揃う三多摩LSC、湯河原LSC、世田谷SAも素晴らしいと感じた。

 最後に選手一人一人の成長。学年を超えた協調性。子どもの伸び代の大きさを実感した指導者と保護者。プールという一つのステージだからこそ感じ、共有できる大会だと感じた。

 現場で顔を会わせ、同じ場所で競い合うことで、子どもたちの眠っている力を引き出す大会であると同時に、プール競技会は保護者や学生、シニア層のライフセービングスピリットにも火を付ける効果があると再認識した。

 きっかけ一つで急成長するジュニアやユース世代。次回の開催が楽しみである。
LSweb 
LSwebLSweb

※成績表は日本ライフセービング協会HPからどうぞ。