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今年も開催!
鎌倉ライフガード主催、海の水泳教室
2013/08/11

The 3rd Surf Swimming School in Kamakura 2013.8.6-8 神奈川県・材木座海岸

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今年で3回目となる鎌倉ライフガード主催の「海の水泳教室」が8月6〜8日の3日間、鎌倉市内の材木座海岸で開催された。

夏真っ盛り。絶好の海日和に歓声を上げる子どもたち。毎年、参加者を増やす人気のプログラムにおじゃました。

文・写真=LSweb編集室






初日が終われば、浮き輪卒業!?

LSweb 神奈川県鎌倉市の由比ヶ浜海岸は、今年、海水浴場開設130周年を迎えた。その由比ヶ浜を含め、市内3カ所の海水浴場でパトロール活動を行っているのが、同市を拠点に活動する鎌倉ライフガードだ。クラブ設立は1989年。近年は海水浴場のパトロールだけでなく、地域に根ざしたさまざまな活動を積極的に行っている。その一つが、3年前から材木座海岸で始めた「海の水泳教室」だ。

 最近の子どもたちは、海が身近にある地域に住んでいても、海を怖がったり、嫌いだったりすることが多い。そういう残念な状況を少しでも改善できればと、地元の小学生を対象に考えられたのがこのプログラムだ。
 
 目的はズバリ、子どもたちに海アレルギーをなくしてもらい、海で楽しく泳げるようになってもらうこと。そのために毎日約2時間、3日間連続で行うカリキュラムを実施している。参加費は一人1000円。
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 こうした趣旨は地元の人たちに受け入れられ、毎年、参加者が増える人気のプログラムとなった。初年度の2011年は38人、昨年は62人、そして今年は71人の市内在住小学生が参加。ライフセーバーと一緒に3日間、大いに海を楽しんだのだった。

 子どもたちは泳げるレベルによって、シラス、シマアジ、トビウオ、イルカにクラス分けされる。シラスクラスには、顔を水につけられない子どももいるし、イルカクラスには、プールでのスイミングスクールに通っており、かなり泳げる子どももいる。どのレベルの子どもたちも、楽しく参加できるように工夫されているのが、鎌倉LGメンバーがアイディアを出し合った練習メニューだ。
 
 例えば、水に顔がつけられない子どもでも挑戦しやすいように、海中に半分ほど沈めたフラフープをくぐる練習。走るより泳いだほうが少し速い、子どもの腰から胸ぐらいの水深での鬼ごっこ。学校の授業などで馴染みのあるビート板を使ってのバタ足や波乗りなどなど。上級クラスはドルフィンスルーを教えてもらい、ランスイムランに挑戦するなど、なかなかハードなメニューもこなしていた。
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 そして最終日には、4クラスをシャッフルして3チームに再編成し、ランスイムランのチーム対抗リレーが行われた。真剣な表情でウェーディングにドルフィンスルー、そしてスイムと、3日間の練習の成果を発揮した子どもたち。最後は、ちょっと手加減してくれたコーチ役のライフセーバーチームに勝つことができ、みんな大歓声を上げていた。

 ところで、「海が好きじゃない」という子どもたちは、海のどんなところがイヤなのだろう。波がある、しょっぱい、ベタベタする、暑い、クラゲがいる……といったところだろうか。LSweb
 
 今年、初めて参加したという小学1年生と4年生のお母さんに話しを聞くと、「実は初日にクラゲに刺されたようです。でも楽しい印象のほうが強かったようで、クラゲのことはあまり言いませんでしたね。初日のプログラムが終わった後も、ずっと海にいました。親としては、“あぁ、これで浮き輪から卒業したな”と思いました」という答え。
 
 鎌倉という土地柄もあるのだろうが、胸まで海に浸かりながら、我が子のがんばりを写真やビデオを撮っている、熱心な保護者の姿が多かったのも印象に残った。


協力的な社会人やOBたち

 LSweb今年も盛況に終わった鎌倉LG主催の海の水泳教室。子どもたちに修了証を手渡した「校長先生」こと、同プログラム責任者の相川次郎さんに話しを聞いた。

 「昨年までは3クラス編成でしたが、今年はトビウオが増えて4クラスになりました。クラス分けをもう少し細かくしようという狙いもありましたが、参加者が増えたため、どちらかというと、大人の目がきちんと届く人数にしなければとクラスを小分けにしたのです」
 
 社会人メンバーとして多忙な日々を送る相川さんは、
「実験的に始めた初年度の評判がとても良く、2年目はリピーターとクチコミでほぼ定員に達してしまいました。今年も昨年同様、ほとんどがリピーターです。問い合わせも多く、本当はもう少し募集人数を増やしたかったのですが、ライフセーバーの数を考えると70人が限界。来年は、こちら側の頭数をしっかり確保し、初めての人でも参加できるよう100人ぐらい募集したいと考えています」と言う。

 毎年、8月上旬に行われるこのプログラム。パトロール期間中ということもあり、スタッフのライフセーバー確保は決して簡単なことではない。コーチとして子どもたちに実技指導するのは、若手の学生ライフセーバーが中心。それを相川さんや、「教頭先生」と呼ばれる望月洋介さんなど、社会人メンバーが支えている。そして、安全サポートなどには50代、60代のOBメンバーが協力してくれるという具合だ。
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 立ち上げ当時からこのプログラムに関わり、今年、社会人1年目となった梶谷友恵さんは、
「仕事の関係でパトロールにはなかなか参加できませんが、なんとか休みが1日取れたのでやってきました。毎日とても忙しいのですが、久しぶりに子どもたちと会って、皆大きくなっていて、泳ぎも上手くなっているのを見たら、こちらまで元気になりました」
 と色白の顔に満面の笑みを浮かべた。同じく社会人1年目の上岡洋一郎さんも、定休に有給休みをプラスしてコーチ役を買って出ていた。

 仕事を始めるとなかなか活動に参加できない、という悩みを持つ社会人ライフセーバーは多い。そうなるとだんだんクラブから足が遠のいてしまうことにもなりかねないが、海の水泳教室のような催しがあれば、社会人でも手伝いやすく、クラブの良さや活動の楽しさを再確認できる機会にもなるわけだ。

 準備や当日の運営など苦労はあるものの、地域の子どもにライフセービング活動を知ってもらうだけでなく、メンバーをつなぎ止める、あるいは呼び戻す機会にもなる、まさに一石二鳥のプログラムが海の水泳教室といえそうだ。
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 同プログラムは来年もお盆前の8月上旬に開催される予定。詳細は同クラブのウェブサイトに告知されるそうなので、興味のある人は定期的にチェックしてみてはいかがだろう。

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