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パトロール現場訪問 2016年 夏 Vol.06
神奈川県平塚市・湘南ひらつかビーチパーク海水浴場
2016/08/31

2016 Summer 湘南ひらつかLSC

IMG_76448月もいよいよ最終日。
ごく一部の地域を除き
パトロールシーズンも終わりを迎える。

猛暑の日も、雷鳴が轟く日も、台風接近中も、
各地で水辺の安全に尽力してくれた
ライフセーバーの皆さん、
お疲れさまでした&ありがとうございました。

20016年夏のパトロール現場訪問もこれにて終了。
また来年!


文・写真=LSweb編集室






神奈川県内では珍しい、海の家がない海水浴場

IMG_7523 毎年7月に行われる「七夕祭り」や、Jリーグに参加する「湘南ベルマーレ」の本拠地として知られている神奈川県平塚市。

 相模湾に面した海岸には、年間を通してビーチバレーやビーチサッカーなど、各種のビーチスポーツが楽しめる海浜公園「湘南ひらつかビーチパーク」が整備されている。そしてもちろん、夏にはビーチパーク内に海水浴場も開設される。

 相模湾沿いの湘南地域には数多くの海水浴場があり、毎年、多くの海水浴客で賑わう。しゃれた海の家での飲食や、海辺のライブハウスを目当てに訪れる人が多いのがこの地域の特徴の一つなのだが、湘南地域では唯一、海の家がないのが平塚の海水浴場だ(公園を管轄する管理棟併設の売店はある)。

 そんな特徴的な海水浴場でパトロール活動を行うのが、「湘南ひらつかライフセービングクラブ」。

 2013年にクラブ設立20周年を迎えた同クラブは、ジュニアから社会人まで幅広いメンバーが集まる地域クラブとして、他クラブや福祉団体との交流、クラブハウスの活用など、精力的な活動を行っている。

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             パトロール活動の主力となるのは、東海大学湘南校舎ライフセービング部を中心とする大学生ライフセーバーと、ジュニア時代からクラブに参加する高校生ライフセーバーたちだ。海だけでなく、国道を挟んで隣接する湘南海岸プールの監視も行う彼らを、社会人やジュニアの保護者たちがサポートしている。

ビーチスポーツのメッカ

IMG_7700 今夏、監視長を務めた東海大3年の竹内一平さんに活動の様子を聞いた。

「浜の特徴は、何といってもエリアの半分がビーチスポーツゾーンとして利用されていることです。ビーチバレーコートは10面が常設されており、年間を通して活発に利用されています。ビーチサッカーをするグループもいますし、バスケットコートもあります。ボードウォークも整備されており、海水浴目的でない人も大勢訪れるビーチなので、切り傷や捻挫などへの対応が多いと思います」

IMG_7502 パトロールの拠点となるのは、防砂林近くにある公園管理棟の2階。管理棟周辺にはボードウォークが整備されており、正面にはビーチバレーコートが整然と並んでいる。ビーチスポーツゾーンから急勾配の砂浜を下ると波打ち際となる。

「管理棟2階の(パトロール)ベースからは波打ち際が見えないので、坂の上に設置したタワー、砂浜を下った場所にある待機所との連携が大事です。沖に消波ブロックがあるので波はそれほど大きくありませんが、ファミリー層が多いので、手前が掘れている時などは特に注意が必要ですね」

 今年からレスキュー機材にSUPを取り入れたという同クラブ。ボードよりも目線が高く、前屈せずに遊泳区域を沖側から観察できることに、大きなメリットを感じていると言う。安全移送にも威力を発揮しているそうだ。

 ただ、意識がない人は通常のボード同じようにロールしてレスキューすることになるので、幅の広いボードで素早くロールする技術や、パドルの取り扱いなど、十分な練習が必要だと話していた。

IMG_7579IMG_7572 「ビーチスポーツで汗をかく人が多いので、熱中症に気をつけてもらうようにスポーツを楽しんでいるグループへの声かけも行っています。また、練習の後にワーッと海へ突入する人も多いです。気持ちはよく分かるのですが、ビーチスポーツゾーンは遊泳エリアよりも広いので、そこから一気に海に入らないように気をつけています」

 声かけの時に役立つのが、プールでのガード経験なのだとか。

「プールでは海より細かく、ていねいな説明が求められます。僕は1年の時にプールガードを経験しましたが、ていねいかつ根気強く説明したことが海でも活かされていると思います」

IMG_7533IMG_7591  ベース、タワー、待機所、そしてビーチや海上などの前線パトロールに、プールと、豊富なガード経験が積めるのが湘南ひらつかLSCの特徴だ。

浜留学で他クラブとの交流も盛んに

IMG_7599 浜留学を積極的に受け入れている同クラブ。今年は気仙沼ライフセービングクラブとの親交を深めることになった。

 8月中旬、4日間の日程で平塚を訪れたのは、気仙沼LSCの浦 健太さんと齊藤愛里さんの2人。浦さんは元々、鎌倉ライフガードに所属していたが就職して仙台勤務となり、気仙沼LSCの活動に参加するように。気仙沼出身の齊藤さんは、昨年からクラブに参加している地元の学校に通う高校2年生だ。

 東日本大震災で大きな被害を受けた気仙沼市では、昨年、大島の小田の浜海水浴場が再開された。齊藤さんは夏の間、そこでのパトロールに参加している。

「競泳をやっていたので、東北で開催されたジュニア/ユースのプール競技会がライフセービングを知るきっかけとなりました。海でもやると聞き、興味を持ちました。震災はありましたが、私にとって海は泳げる楽しいところ、というイメージです。
 友だちにライフセービングのことを話すと、『スゲー』と言われます(笑)。小田の浜は沖に島が点在していて、波が穏やかな素敵なところですよ」と言う齊藤さん。高校では茶道部に所属しているそうだ。

IMG_7532 IMG_7554 「関東はライフセービングの盛んで、学生ライフセーバーもたくさん活動していますが、地方ではまだマイナーな活動で、学生が少ないこともありガードの中心は社会人です。昨年の大会時に、湘南ひらつかLSCの白井勇喜さんと再会し、盛んな地域とそうでない地域が交流できたら面白いと盛り上がりました。
 僕が所属していた鎌倉へ行くことも可能でしたが、ビーチパークやプールでの活動を僕自身が見てみたいこともあり、こちらにおじゃましました」と話すのは引率も兼ねた浦さんだ。

 来年(2017年)には、仙台に近い七ヶ浜町の菖蒲田海水浴場が本格的に再オープンする。今年は試験的に10日間だけプレオープンし、以前から交流のある釜石LSCだけでなく、三浦海岸SLSCや葉山LSCのメンバーが応援に来てくれたそうだ。

偉大な先輩から後輩へ、直伝の技を伝授!?

IMG_7509 ジュニアから社会人まで幅広い年代が集う湘南ひらつかLSC。取材日はお盆の週末ということもあり、ボランティアパトロールに入る社会人ライフセーバーの姿もあった。

 その社会人ライフセーバーとは、ビーチフラッグスの元世界チャンピオン鯨井保年さんと、東海大クレスト第6代主将の深作友明さんの2人だ。

 にこやかな表情で学生と同じシフトでパトロールをこなし、空き時間にはビーチフラッグスの練習を一緒にするなど、精力的に動き回っていた2人。

 世代を超えて同じ活動ができるライフセービングの魅力を、あらためて目にすることができたパトロール現場だった。

★☆湘南ひらつかビーチパーク海水浴場★☆
開設期間:7月16日〜8月31日
遊泳時間:9時〜17時


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パトロール現場訪問 2016年 夏 Vol.05
千葉県御宿町・御宿中央水浴場
2016/08/27

2016 Summer 御宿LSC

LSweb8月も残りわずか。

クラゲの大量発生に、赤潮、そして台風と
ライフセーバーにとっては
まったく気が抜けない状況が続いている。

最後まで監視の目を緩めず活動する
熱血ライフセーバーたちの姿を紹介する。

文・写真=LSweb編集室
special thanks to Yu Matsunaga





インカレの舞台、御宿中央海水浴場

LSweb 房総半島東部、太平洋に面した千葉県御宿町は、童謡『月の沙漠』発祥の地といわれる広々とした砂浜の御宿海岸が有名だ。ライフセーバーにとっては「インカレ」の舞台、といったほうがいいかもしれない。

 伊勢エビやアワビの水揚げ高は全国屈指で、熱戦が繰り広げられるインカレ会場では、御宿町観光協会が高級食材の伊勢エビ汁を振る舞ってくれる。これを楽しみにしている関係者も多いと思う(LSweb編集スタッフも毎年、楽しみにしています!)。

 御宿と言えばもう一つ、ライフセービングに関係の深い出来事がある。
 
 1609年、メキシコに向けて航海中だったスペイン船のサン・フランシス号が、嵐に遭い御宿海岸に近い田尻沖で座礁した時に、岩和田村の村民が総出で乗組員を救助し、その多くが命を取り留めたという史実だ。

 岩和田の高台には、日本・スペイン・メキシコ三国交通発祥記念の碑が立てられている。御宿の海が見下ろせる絶景ポイントでもあるので、インカレ前の海練の時など、少し足を伸ばしてみるのもいいかもしれない。
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町との絆が強い御宿のライフセーバーたち

LSweb ライフセーバー、特に学生ライフセーバーにとってなじみ深い御宿海岸でパトロール活動をするのは、拓殖大学ライフセービング部とそのOB、OGが中心となる御宿ライフセービングクラブのメンバーたち。

 サボテン像が目印の御宿中央海水浴場で今年の監視長、拓殖大学3年生の福島 拓さんに話しを聞いた。

「御宿町には西から岩和田海水浴場、中央海水浴場、浜海水浴場と3つの海水浴場がありますが、インカレが行われる中央海水浴場が、一番お客さんの多いビーチです。外房にある海水浴場の中でも、御宿は特に若い人に人気だと思います。平日でも午前中から3000人ぐらいの人出があり、ピークの13時ごろにはビーチがびっしり埋まります。岩和田と浜は家族連れが多いですね」

 監視タワーは浜海水浴場に1つ、中央海水浴場に3つ、岩和田海水浴場は人出に応じて1〜2つ設置されており、それぞれに3〜4人のライフセーバーが待機している。放送設備などが整う本部から、各タワーまでの距離が遠いことから、基本的には持ち場のタワーを中心に、終日、パトロールを行うのが御宿スタイルだ。
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 「ビーチでの声かけや海でのパトロールなど、前線でのガードは30分交代でシフトしています。若い人が多く、お酒を飲んで気が大きくなる人もいますが、町役場の担当者と警察官が定期的にビーチを巡回してくれているので、とても助かっています。
 町役場の担当者として、拓殖大学ライフセービング部の大先輩である林(昌広)さんがいてくれるので、とても心強いです。人出の多い週末やお盆の時期は、卒業した先輩たちも顔を出してくれますよ」

 8時30分に海水浴場がオープンする御宿。学生メンバーは浜に近い宿舎に寝泊まりし、6時からの朝練を経てガードに突入する。
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 「朝練は、コンディションチェックも兼ねてランスイが中心です。17時40分ごろから始める夕練はボードに乗ることが多いですね。朝は各自ですませますが、夕食は個人メシと全体メシの日があり、全体メシの日は当番が作ります」
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 週3日ほどが全体メシの日になっており、当番は先輩・後輩関係なく平等に回ってくるそうだ。どんなものを作るか1年生ライフセーバーに聞いてみると、「この前はナスと肉を炒めました!」という答え。
 体が資本のライフセーバー、しっかり食べて前線に立っているようだった。

 台風9号による被害も報告されている御宿海水浴場だが、今のところ営業期間は8月31日までと変わりない。夏休み最後に外房へ行くなら、ライフセーバーのいる御宿へどうぞ(台風10号の影響は最新の情報をチェックしてください)。

★☆御宿海水浴場★☆
開設期間:7月9日〜8月31日
遊泳時間:8時30分〜17時

※台風などの影響でクローズになる場合がありますので、お出かけ前に最新の情報をチェックして下さい。

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パトロール現場訪問 2016年 夏 Vol.04
千葉県九十九里町・片貝水浴場
2016/08/24

2016 Summer 九十九里LSC

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8月も終盤。

日に日に夕暮れが早くなり、海水浴場を訪れる人も徐々に少なくなってきた。

今年の夏もあと少し……と名残惜しい気分になる今日この頃だが、パトロール中のライフセーバーたちにとっては感傷にふける暇は、まだない。

集中力を切らさずガードする、現場の様子をお伝えしよう。



文・写真=LSweb編集室
special thanks to Yu Matsunaga





外房から内房までパトロールする99LSC

LSweb 雄大な太平洋に面して、全長約66kmの砂浜が続く千葉県の九十九里浜。外房の代名詞とも言える九十九里浜では、夏になると沿岸の10市町が大小合わせて30カ所近い海水浴場がオープンする。

 そのうち山武市、九十九里町、横芝光町などが開設する海水浴場をパトロールしているのが「九十九里ライフセービングクラブ」だ。

 1994年設立の九十九里LSCは、日大、専修、明治、千葉大といった学生ライフセーバーと、頼りがいのある個性豊かな社会人ライフセーバーが集う、メンバー数300人以上を数える国内有数の大規模クラブ。

 活動エリアも九十九里浜だけでなく鴨川市や富津市など、外房から内房まで千葉県内を幅広くカバーしている。

 同クラブがパトロールする数ある浜の中でも特に規模が大きいのが、九十九里浜のほぼ中央に位置し、ビーチエリアは長さ2km以上という片貝海水浴場だ。
 8月上旬、サーフスポットとしても人気の高い片貝海岸に、朝一番におじゃました。
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九十九里ならではのレスキュー方法

LSweb 今夏、片貝海水浴場の監視長を務めるのは日本大学3年の大野祥吾さん。
 人出が予想される晴天の日曜日、朝礼が終わったばかりの大野監視長にパトロール浜の特徴を聞いた。

 「南北に浜が長い片貝では、今期は通常18人にガードをしています。週末はボランティアで入ってくれる社会人の先輩たちがいるので、もう少し多い人数となります。ちなみに、今日(8月7日)は33人体制です。
 本部となる詰め所のほかに、5つのタワーでエリアを監視しています。最も南のタワーを1番、最も北が7番です。あっ、2番と6番は欠番です。以前はタワーが7つあったのですが、海水浴客が減少したこともあり削減したと聞いています。7番のさらに北に防波堤があります。周辺は遊泳区域外ですが、波が高いときなどには、8番と称して堤防の先端にも人を配しています」

 片貝海岸の北端に位置する沖に長く伸びた防波堤(通称:新堤)は、海釣りのポイントでもあり、またブレイクポイントへの近道としてサーファーがダイブする場所でもある。
 海が静かな時は7番タワーがカバーしている場所だそうだが、波が上がってきたり、ガスって視界が悪くなってくると8番の出番となる。
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 「今朝も、リーシュが切れてボードを流してしまったサーファーを、水上バイクと連携してレスキューしました。新堤では切り傷などのケガもあるので、FAセットの出番も多いですね。
 もうひとつ特徴的なのが、沖に2カ所、消波ブロックがあることです。周辺でのレスキューにはコツがいるので、トレーニングは欠かさないようにしています」

 消波ブロック周りでレスキュー案件が発生した場合は、フィンを装着したライフセーバーが要救助者へと近づき、まずはレスキューチューブを使って消波ブロックから引き離なす。そして、波の影響を受けない沖まで出てから、ボードや水上バイクと合流するのだという。
 十分な泳力はもちろん、ボードや水上バイクとの連携も必要な難しいレスキューだ。
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 ところで、九十九里LSCの有名な(!?)練習メニューの一つに「デルコン」というのがあるのをご存じだろうか。波が高い時にインの練習をし、誰が一番早くブレイクの沖側に出られるかを競う、ハードかつやり甲斐のあるトレーニングのことだ(正式名称は「早く出るコンテスト」とか)。

 広大な太平洋を経て、九十九里に打ち寄せる波のパワーはとても強い。いざという時のために、真剣かつチャレンジ精神旺盛に太平洋の荒波で練習する九十九里LSCのライフセーバーたちなのである。もっとも、下級生時代はボードを流して真っ青になることもあるそうだが……。
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 「九十九里に来るお客さんは、朝が早い人が多いと思います。通常は6時20分に合宿所を出発しますが、週末はオープン時間が1時間早まるので、それに合わせて支度をします。浜に着いたら、すぐにその日のコンディションをチェックします。波打ち際と沖で潮の流れが真逆ということもあり、気が抜けません。浜が広いので、場合によってはトランシーバーの中継が必要な時もあります。
 実は、就職活動期間の変更などもあって、昨年から大学3年生が監視長を任されることになりました。緊張することも多いですが、4年生や社会人の先輩がタワーに入ってくれると安心します。今日も1日、片貝に来てくれた人が海を楽しんでくれるようにガードしていきたいです」
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 ライフセーバーがスタンバイした片貝海水浴場では、東京足立区から来たという家族連れが「雄大な海で子どもを遊ばせたかった」と笑顔で海へと駆けだしていった。

☆★片貝海水浴場★☆
開設期間:7月1日〜8月31日
遊泳時間:9時〜16時(平日)
    :8時〜16時(土日祝)


※台風9号の影響で九十九里浜一帯には大きな被害が出ており、海水浴場がクローズになっている場所があるようです。最新の情報は九十九里町の公式HPなどを確認してください。
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パトロール現場訪問 2016年 夏 Vol.03
千葉県館山市・北条海岸水浴場
2016/08/18

2016 Summer 館山SLSC

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お盆が過ぎると夏の行楽シーズンも一段落。
海水浴場の開設期間も終盤を迎える。

小中高校生の夏休みもあとわずか。

今週いっぱいでガード期間終了、という浜も多いはずだ。

猛暑の中、最後まで気を緩めることなくパトロールするライフセーバーたちの姿を紹介しよう。




文・写真=LSweb編集室
special thanks to Yu Matsunaga





設立10周年の今年は10浜をガード

LSweb 房総半島のほぼ南端に位置する千葉県館山市。
 温暖な気候と、東京湾アクアラインや館山自動車道を利用すれば、都内からでも1時間程度でアクセスできる手軽さで、近年、リゾート地として再注目されている場所だ。

 東京湾に面した館山市では、夏になると8カ所(北条、沖ノ島、波左間、船形、那古、新井、坂田、相浜)の海水浴場が開設される。

 この館山市内8カ所と、隣接する南房総市内の2カ所(千倉、瀬戸浜)、計10浜をガードするのが「館山サーフライフセービングクラブ」のメンバーたちである。

 昨年、設立10周年を迎えた館山SLSCは、飯沼誠司代表、伊藤俊輔理事長を中心に、社会人から大学生、高校生、ジュニアメンバーまで100人以上が参加するクラブで、夏のパトロールだけでなく、ジュニアプログラムや、毎年6月に開催されるマリンスポーツイベント「オーシャンフェスタ館山」など、さまざまな活動を行っている。ジュニアから社会人まで、競技会で活躍する選手も多い。

 館山は夕景が美しい場所としても知られている。そうえば、館山SLSCのコンペキャップは夕陽のような真っ赤だ。そこで今回は国交省選定の「日本の夕陽百景」にも選ばれている市内の北条海岸へと向かうことにした。
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夕練は夕陽に向かって!

LSweb 館山市内で最も広い北条海岸は、駅からも徒歩5分と近く、夏の間は大勢の人が訪れる人気の海水浴場となる。今年、この浜の監視長を務めるのは中央大学4年の下脇亮磨さんだ。

 就職内定を無事にもらい、学生最後の夏をガードに集中する下脇キャプテンに、北条海水浴場と館山SLSCの話しを聞いた。

 「北条海水浴場は広くて遠浅ということもあり、ファミリー層に人気の海水浴ですが、実は手前に掘れた場所があるので注意が必要です。
 子どもたちが浮き具で遊んでいて浜に戻ってくる時など、途中で一回足がつくので安心してしまい、その後に足がつかなくなってパニックになることがあります。だから、子どもたちだけで遊ばないように気をつけています。保護者の方には『一緒に遊んであげてください』と声をかけていますね」

 ビーチの全長が約700mある北条海岸。海水浴エリアは400m程度だがエリア外では野外活動で遠泳などを行う学校グループも多いそうだ。
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 「遠泳グループなどはそれぞれが安全管理をしているので、直接、関わることはありませんが、情報は常に把握しているので注意はしていますし、引率者の方が海のコンディションを聞きに来られるなどの交流もあります。毎年来るグループとは顔なじみになるので、スイカなどの差し入れをいただくこともありますよ。
 館山の海水浴場はそれぞれに特徴がありますが、声をかけやすい環境になれば事故も減ると思うので、海水浴客以外の海岸利用者ともできるだけ交流するように心がけています」
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 中央大学、國學院大学、流通経済大学などの学生ライフセーバーが中心となって、夏季パトロールを行っている館山SLSCは、地元の高校生を中心に、ベーシック資格を持っていなくてもパトロールに参加できる体制も整えている。

 「資格を持っていない人はビーチパトロール(海に入らない)を担当していますが、ビーチパトロールといっても様々な対応があるので、個人個人の性格や適正を見て役割を分担していますし、少しずつ役割を増やしたりもしています。もちろん、最低限のことには責任を持ってやってもらっています。
 個人の能力を判断するのはとても難しいことですが、クラブには社会人の先輩やジュニアのお父さんやお母さんがたくさんいるので、アドバイスをもらいながらやっていますね。毎年、ビーチパトロールを経験した高校生たちの2〜3人は資格を取得してくれるんですよ」

LSweb 館山SLSCのベースにもなっている北条海岸には、西日がまぶしくなる時刻になると、各浜のガードを終えたライフセーバーが三々五々、戻ってくる。そして夕陽を背に、全員での終礼が行われるのだ。

 「本当にいろいろな浜を監視しているので、このクラブでガードをすると経験値が上がります。メンバーに指示を出す監視長という立場で、時に悩むこともあるのですが、社会人の先輩から『大丈夫だ』と言われると安心できます。また、監視船を出してくれる漁協の方からは、海のことや気象のことも教えてもらえますし、何より館山SLSCはすごい先輩がたくさんいるので、本当に勉強になります!」

 と下脇キャプテン。
 終礼が終わると、ジュニアやユースメンバーも交えた夕練がスタート。夕陽の中でシルエットになる練習姿は、サンセットまで続くのだった。

☆★ 北条海水浴場 ☆★
開設期間:7月16日〜8月21日
遊泳時間:9時〜16時30分

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パトロール現場訪問 2016年 夏 Vol.02
千葉県勝浦市・守谷海水浴場
2016/08/12

2016 Summer 勝浦LSC

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全国的に真夏日が続く今年のお盆シーズン。

太陽は朝からギラギラと容赦なく照りつけ、立っているだけでも汗がダラダラしたたり落ちる毎日だ。

そんな中、全国各地の海水浴場では“無事故”を目指して、大勢のライフセーバーたちが活動している。

夏真っ盛り、ライフセーバーたちの奮闘ぶりを紹介しよう。



文・写真=LSweb編集室
special thanks to Yu Matsunaga






房総半島の老舗ライフセービングクラブ

LSweb 534kmにわたって海岸線が続く千葉県。その南半分は南房総国定公園に指定されている。国定公園内でも特に海の景観が美しく特徴的なことから、海域公園に指定されているのが勝浦一帯だ。

 勝浦市は県内第2位の漁獲高を誇る勝浦港を中心に、漁業や農業などが盛んな自然豊かな地域で、今年で市政施行58年周年を迎えた。
 市内の下本町通りと仲本町通りで開かれる朝市は、なんと戦国時代の天正19(1591)年から400年以上も続く「日本三大朝市」の一つだ。

 勝浦と言えば、日本有数の水揚げ高を誇るカツオが有名。市の公認キャラクター「勝浦カッピー」にもなっている。
 勝浦と聞いて「タンタンメン」を思い浮かべる人も多いかもしれない。そのルーツは約50年前。漁師さんや海女さんが、寒い海仕事の後に冷えた体を温めるために食べたメニューと聞けば、同じ海を活動の場とする全国のライフセーバーも一度は食べてみたくなるはずだ。

LSweb そんな勝浦市では今年、勝浦中央、鵜原(うばら)、守谷(もりや)、興津(おきつ)の4つの海水浴場が開設されている。

 そこで活動するのが国際武道大学ライフセービング部とそのOB、OGを中心とした「勝浦ライフセービングクラブ」。創立30周年になる、房総半島で最も早く活動を始めたライフセービングクラブだ。

 勝浦LSCは市内の4浜と、隣町の御宿町にある屋外プール「ウォーターパーク」のガードを行っている。学生ライフセーバー約40人、社会人を加えると80人近いアクティブメンバーがいる大所帯のクラブである。
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町の活性化を担うライフセーバー

LSweb 8月最初の日曜日、夏休みを楽しもうという家族連れや若者で、房総半島の海沿いの道はどこも大混雑。特に海岸線近くまで山が迫る勝浦市内は道幅が狭いこともあり、海水浴目当ての行楽客を乗せた車で大渋滞が発生していた。

 それでもなんとか守谷海水浴場に到着すると、そこは砂浜が見えないほどのビーチパラソルの花、花、花!
 あまりの混雑ぶりと、台風の影響で高波が押し寄せる状況を見て、ライフセーバーに声をかけるのがためらわれたのだが、なるべくパトロールの妨げにならないようにと、手短に話しを聞くことにした。

 応えてくれたのは、国際武道大学4年の田中陽大監視長だ。

LSweb 「今日はこの夏一番の賑わいです。守谷海岸の海水浴客は約2万人というところでしょうか。ここは岩場や磯のある美しい入り江で、家族連れから若い人まで人気があります。監視タワーは4つ。今日は15人体制でガードをしています」

 勝浦LSCでは学生ライフセーバーは1〜2年の間はいろいろな浜でのガードを経験し、3〜4年生になると固定浜でのパトロール活動を行う。各浜の監視長を務めるのは最上級生の4年生たちだ。

「海水浴場のほぼ中央に川が流れ込んでいます。そこを中心に海に向かって左側を第1エリア、右側を第2エリアと呼んでいますが、第1エリアは波打ち際から一旦深くなったあとに浅くなり、再び深くなるという、カレントが発生しやすい地形です。子どもなど、スッと流れてしまうことがあるので目が離せません」

「快水浴場百選」と「日本の渚百選」をダブル受賞している風光明媚な守谷海水浴場。沖合170mにある鳥居が目印の渡島は、大潮の時には岸と陸続きになるそうだ。

「第2エリアは渡島までの海底が岩場になっているので、切り傷などのケガに注意をしています。
 普段は水の透明度が高く、変化に富んだ浜なので子どもから大人までいろいろ楽しめるのですが、今日は波が高いので、緊張しますね。週末ということもあり、社会人の先輩方がガードに入ってくれているのが心強いです」
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 通常、朝練や夕練は勝浦中央海水浴場で行っており、浜と浜の行き来には原付バイクが活躍するのだとか。勝浦の町で原付バイクに乗る日に焼けた人を見かけたら、たぶんきっと水辺の安全を守るライフセーバーに違いない。

★☆ 守谷海水浴場 ☆★
開設期間:7月16日〜8月21日
遊泳時間:8時〜17時

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