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湘南OWS2012をライフセーバーがサポート2012/08/26

2012.8.25-26.逗子海岸、鎌倉七里ヶ浜、藤沢片瀬江ノ島東浜

夏休み最後の週末となる8月25,26日の2日間、「湘南オープンウォータースイム2012」が開催された。
湘南地域でも沖縄に接近中の超大型台風15号の影響が心配されるなか、25日の初日を迎えた。

文・写真=LSweb編集室




真夏のイベント、湘南OWS


 8月25日土曜日。まだ午前9時をまわったばかりだというのに、照りつける太陽が容赦なく肌を刺す暑さのなか、原付バイクにまたがり片瀬江ノ島東浜へ。
 8月最後の週末となる25、26日の両日、湘南のサマーイベントとしてお馴染みとなった「湘南オープンウォータースイム(湘南OWS)2012」が開催されるのだ。
 
 オープンウォータースイミングは、海や川や湖をフィールドとした水泳競技で、波や風、流れなど自然の力と対時しながらタイムを競うスポーツ。2008年の北京オリンピックから正式種目になっており、今夏のロンドン五輪でも各国のスイマーがしのぎを削った。
 
 湘南OWSの初開催は2004年。以来、今年で9回目を迎えた。主催は、地元NPO法人の湘南マリンオーガニゼーションが行っている。
 同大会は、毎年8月下旬の週末、逗子・鎌倉・藤沢の3市の海岸にスタート・ゴールを設けて行われる。2日間で行われるエントリー種目は、OWS10km、OWS2.5km、フィンスイム2.5km、江ノ島及び逗子海岸の800mスイムツアー(集団泳)だ。
 
 大会スタッフは総勢約500人で、陸上の運営ボランティアのほか、海上ではヨット、シーカヤック、水上オートバイ、その他の船舶が万全を喫して安全確保に当たっている。その中心となって活躍しているのがライフセーバーたちだ。日頃、各浜で行っている監視パトロールの経験を生かし、全国各地で開催されるこうした海や水辺での各種イベントのサポートを行い、安全確保に努めているのである。
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ライフセーバーは欠かせない存在

 東浜に着くと、いきなり聞き覚えのある元気な声が耳に飛び込んできた。ライフセービング競技会でお馴染みのスポーツDJ山本ゆうじさんの声だ。LSweb
 早速、挨拶を交わすと海のコンディションについて訪ねてみる。この日、沖縄に接近中の大型台風15号の影響で、東日本沿岸も波やうねりが高くなるという予報がでていたのである。
「さっき顔見知りのライフセーバーに確認したら、沖はかなりうねりがあるらしい。ここ東浜湾内もそのうねりが入ってきていて、引き波が強くなっている状況だからちょっと泳ぎにくいみたいだね」と、ゆうじさんが教えてくれた。
 ライフセーバーに声をかけて事前にコンディションを確認しておくなんて、さすが。ライフセービング界に馴染み深いゆうじさんらしい。この後も、OWSの実況DJの合間にさり気なくライフセーバーたちの活動をアピールしてくれていた。
 
 大会初日となる25日は、OWSのメインである10キロスイムが、午前9時に逗子海岸をスタート。その他に、江ノ島と逗子海岸で800mのスイムツアー(集団泳)が何度か行われた。こうしたマリンイベントでもっとも気を遣うのが参加者の安全確保だろう。
 特に大勢のスイマーが一斉にスタートするOWSともなれば、海上での監視体制は非常に重要な役割を担うことになる。そんな現場にライフセーバーは欠かせない。

 湘南OWSでは、海上でのガード体制の要としてライフセーバーたちが大勢サポートしている。もちろん、水上バイクや救助艇もしっかりフォローしている。しかし、参加スイマーのすぐ側を監視サポートできるのは、レスキューボードを操るライフセーバーだけだ。つかず離れずパドリングでボードを操作する技術と体力、片時も気を抜かず監視し続ける集中力は、やはり日頃の鍛錬の成果であり、ライフセーバーのなせる技なのだ。
 同大会では、過去の経験もふまえ、ライフセーバー以外にも、OWSの安全対策に関するガード体制と役割分担、万が一、事故が起きた際のエマージェンシーシミュレーションなど、リスクマネジメントに関するすべてにおいて周到に検討し用意されていた。大会関係者の、目に見えない部分での安全対策への真摯なこだわりが感じられた。

 老若男女問わず誰でも気軽に参加できる800mスイムツアーがゴール地点に近づいてきた。ナブラのように見える集団は、随分と大きく前後に伸びている。その要所要所にライフセーバーが付き添っている。そのポジショニングがこれまた絶妙な位置取りなのだ。遠くから見ると一目瞭然に分かる。
 波打ち際は、うねりの影響で時折、大きな砕け波がやってくる。800m近く泳いだスイマーにとって、この波のパワーは結構キツイはずだ。ヘトヘトになりながら最後の力を振り絞って頑張るスイマーたちを励ますライフセーバー。
 そして最後の一人がゴールを抜けるまでしっかりとフォローし、浜に上がるのを見届けると、やっと自分たちもボードから降りたのだった。
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 ライフセーバーは、縁の下の力持ち的な存在である。しかし、その果たしている役割は、非常に価値のあるものだ。
 ライフセーバーたちが真剣にスイマーをサポートする姿は、今日、湘南オープンウォータースイムに参加したすべてのスイマーに大きな安心感を与えていたに違いない。

追記:8月26日(日)の湘南OWSの全種目は、海象の悪条件によるうねりと高波により、スタート前に中止が決定した。本大会は、多くの参加者及びスタッフが集まり、海という自然の中で実施されている。こうした環境の中でレースを行うにあたって、何よりも最優先されるのが、参加者全員の安全であることはいうまでもない。湘南OWS安全委員会の適切で毅然とした判断は見事である。
 
 参加者の皆さんにとっては少々残念だったと思いますが、また来年、チャレンジできるよう願っています。









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