junior

第3回「西浜ジュニアライフセービング教室」今年も片瀬西浜で開催!2012/08/08

「海って楽しいねっ!!」地元の海を満喫した子供たち

2012年8月4日(土)神奈川県藤沢市片瀬西浜海岸

身近に海があるにもかかわらず、

海と接することが少ない子供たち。

ライフセーバーの力を借りて、

安全に楽しく海を楽しむ術を学べば、

地元の海をもっともっと近くに感じられるはず。

「ジュニアライフセービング教室」は

海好きの子供たちをつくる第一歩なのだ。

文・写真=LSweb編集室


子供向けの貴重な体験型教室として人気

 夏休み真っ盛りの8月4日土曜日。神奈川県藤沢市の江ノ島片瀬西浜海岸にて、西浜サーフライフセービングクラブ(西浜SLSC)主催の第3回「ジュニアライフセービング教室」が開催された。江ノ島を間近に望むビーチは、雲の多いあいにくの空模様にもかかわらず、この日も家族づれやカップルなど海水浴を楽しむ人々で朝からだいぶ賑わっていた。

そんななか、波打ち際で時折、大きな歓声を上げている集団があった。お互いが水を掛け合ったり、波と戯れたりするたびひときわ明るく黄色い声があたりに広がる。実に楽しそうな子供たちの声に、周りにいる海水浴客も時折興味深そうに視線を送っている。この声の主が、ジュニアライフセービング教室に参加している子供たちである。

 湘南の海水浴場の中でも屈指の人出を誇る江ノ島片瀬海岸。このビーチエリアのパトロールを行っているのが西浜SLSCだ。日本屈指の規模と歴史を持つ由緒正しいライフセービングクラブである。今回の「ジュニアライフセービング教室」は、この西浜SLSAが主催している。対象となっているのは、一般の小中学生を対象とした元気のある子供たち。クロールで25メートル以上泳げることが一応の条件となっている。

もとは、大手製薬会社のスポンサードにより日本ライフセービング協会(JLA)の主導で夏休みの期間中、全国数カ所で行われていた。湘南では片瀬江ノ島が開催地の一つだったが、残念ながら数年前に一区切りついて終了となった。地元の湘南エリアでは、もともと人気のある体験型イベントとして定着していたこともあり、過去の参加者からの開催継続を望む声が多く、西浜SLSAが跡を継いで続けている。クラブ主催で3回目となる今年は、小中学生あわせて23人が参加した。地元のサーフショップやライフセービング関連ショップによる協賛も得て、年を追うごとに充実した内容となっている。

ライフセーバーだからこそ伝えられる“海の楽しさ”

このイベントの特徴は、現役のライフセーバーたちが先生となって、子供たちの海での遊び心を上手に刺激しながら、水辺での自己防衛や安全に遊ぶための心得などをさまざまな体験を通じて伝え教えていく。その手段として、ライフセービングの機材や競技をうまく活用している点だ。

例えば、ニッパーボードと呼ばれる小型のパドルボードを使っての講習。腹ばいでボードに乗って、波を滑るという子供たちに人気の遊びだが、押す波の力の強さやひっくり返った時に波に巻かれる経験を身をもって感じられるのだ。

また、砂浜ではライフセービングの代表的な競技であるビーチフラッグスを行い、砂浜で走ることの難しさを体験する。また、裸足で走るために、参加者みんなで事前に砂浜の危険なガラス片や石ころ、ゴミなどを拾って綺麗にする。こうした行為を通して、ビーチクリーンや環境への関心を自然な形で植え付けてあげることができるのだ。

 その他にも、座学と称して万が一溺れたときの「助けてサイン」の合図から熱中症予防まで、子供たちと楽しくディスカッションしながら教えていく。先生役のライフセーバーの皆さんも手慣れたもので、実に簡潔に楽しく教えてくれるから、子供たちも飽きずに一生懸命聞いている。そして、一緒に来た子供たちの親御さんもみな真剣に聞き入っている姿が印象的であった。ちなみに今回の先生方は、泉田昌美、今井恵子、神戸友美、神戸めぐみ、松崎みづきの皆さんで、西浜SLSCのジュニアクラブのインストラクターでもある。

今回の教室に、自分が顧問をしている茅ヶ崎市立松浪中学校女子バスケットボール部の教え子たちを連れて参加した堀内由美先生は、

「海に近い地元に住んでいながらあまり海で遊ぶ機会を得ていない子供たちが多くなっているのは寂しいです。今日、このイベントを通じて子供たちを海に連れてくる機会を得ることができました。子供たちが楽しそうに海で遊ぶ姿を見て参加して本当に良かったです。普段、部活では怒鳴ってばかりなので、良かったです(笑)」と素敵な笑顔で語ってくれた。

子供たちもこうした先生の反応に答えるかのように、ボードに、ビーチフラッグスにと、どんどんチャレンジして大いに地元の海を満喫していた。全身砂まみれになりながらも弾けるような笑顔が、その楽しさを間違いなく物語っていた。

 

午前10時頃から始まった「ジュニアライフセービング教室」は、お昼の休憩を挟み、午後3時まで行われた。

午後からは、天候の影響で波がどんどんと高くなっていき雨も降り始めた。そして、ちょうど教室が終わる頃には「遊泳禁止」の放送とともに合図の赤旗が掲げられた。雨の中、赤いテントの下で教室終了の挨拶とともに参加者全員に参加賞が配られ無事終了となった。その後は、全員で記念撮影をパチリ。子供たちにとってきっと夏休みのいい思い出のひとつとなったことだろう。

これを機会に、事故なく楽しく海で遊ぶ術を継続して学んでいって欲しい。そして、海の近くに暮らす子供たちが少しでも地元の海に関心や愛着を持って貰えるといいなぁとあらためて思う。

海って本当に楽しいフィールドだから!