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湯河原クラブの夢
「SOLLY CARNIVAL 2013」昨秋、開催
2014/01/28

「SOLLY CARNIVAL 2013」Event Report

LSweb昨年(2013)9月8日、神奈川県湯河原のビーチで初開催となる「SOLLY CARNIVAL (ソーリー カーニバル)2013」競技イベントが開催された。

イベントの冠にもなっている“SOLLY”とは、湯河原ライフセービングクラブの後見人として多くのライフセーバーを見守り育ててきたオーストラリア人のアーネスト・B・スティーブンスさんのニックネームだ。

ソーリーさんと湯河原の繋がりはとても深い。その辺りは、レポートを読んで頂くとして、このイベントは、日頃から湯河原LSCのために尽力してくれているソーリーさんを讃えるとともに、オーストラリア流の気軽な競技イベントを行いたいという同クラブの思いが形となったもの。

クラブ手作りの競技イベントに向けて少しづつ動き出し、そして開催が盛況に終わるまでを詳しく綴ったレポートが届いたので、ぜひ皆さんにご紹介したい。

文=関根沙織(湯河原LSC)
写真提供=三宅菜央





クラブにとってかけがえのない存在

 今年もSollyがやってくる。LSweb

 そう思うことで、我々クラブ員は、「今年も夏が始まる、パトロールの季節がやってくる」と実感する。ライフセービングをゼロから教えてくれた巨匠の存在は、もはやクラブの単なる指導者を超え、無くてはならない偉大な人物なのである。

 そんな巨匠にライフセービングをもっと教えてもらいたくて、そして本当のライフセービングの姿を体感したくて、毎年多くのクラブメンバーがSollyを訪ねて渡豪してきた。クラブ設立当初から、こちらのオフシーズン(オーストラリアは夏まっただ中)にSollyの自宅を訪ね、住み込み、本場のライフセービングを目の当たりにした。

 日曜日、多くの家族連れやサーファーがにぎわうWANDAビーチには、にわかに泳ぐ準備をしたライフセーバーが集まってくる。サーフレースをするためだ。

 全豪選手権を制するような最強スイマーもいれば、ずいぶん前に活躍したらしいおばさんスイマー、ジュニア、おじいさん。もちろん場を仕切るのはSolly。誰が何と言わなくても、時間になったら集まってきてレースをする。自分の腕を試す。そんな雰囲気がたまらなくうらやましかった。
 それはWANDAビーチのみならず、数多の本場ライフセービングクラブで行われていることだった。

LSweb Solly Carnival をクラブのちからで実現したい、そう言い出したのはマーボー(青木将展:現クラブ競技担当理事)だ。

 彼は小学生のころ初めて渡豪し、Sollyのライフセービングに最も長く触れている。オーストラリアのように、もっと気軽にレースに出て、本気で自分の腕試しをする、そんな環境をクラブが用意できないか。クラブはその実現に向けて、動き出した。

 気軽に参加できる・・・といってもそこは日本。決して大きくはないビーチの一角をサーファーから奪ってしまうわけだから、地域のサーファーの皆さまには理解を頂く。ゼロから大会を作り上げるわけだから要項づくりも手探り。どれだけのクラブが賛同してくれるか、競技者は集まるのか。思い当たる「できること」を着実にこなしていくことで、大会を作り上げていく。

 こだわったのは、当日までエントリー可という点。3種目までエントリーでき、予選で下位でも次のレースに進めるという点。また、出場する競技者が集まっていようがそうでなかろうが、時間になったら始めるというスタイル。小さな大会だからできる、競技者のための、競技者による大会にするということだ。

 参加頂いたクラブは10、競技者は80名を超えた。9月8日は早朝ドシャ降り、これにはさすがに焦ったが、Sollyのパワーによるものか、大会開始時には快晴に。海はおだやかで波は満足にはないものの、本格的な大会シーズンを目の前に、夏のトレーニングの成果を試す場としては存分だったのではないだろうか。
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 出場いただいた面々は、実に様々だった。全日本チームに名を連ねる豪華な顔ぶれもあれば、ベテランの姿もあった。学生のメンバーはそうしたツワモノたちにどこまで食い下がれるか。初めてレースに出るフレッシュマンもたくさんいた。ジュニアの部は人数こそ少ないものの、運営する我々が設定した少々距離の長いコースも、誰ひとりリタイヤすることなくゴールした。

 ゴール後、「こんなんじゃ全日本で戦えないなぁ」と嘆く選手の言葉に、私たちの狙いは間違いではないな、と感じられた。競技者として自分の実力を試す場所、レースの勘を磨く機会、新たな課題を発見できる環境を用意したい、そう思って始めたこの大会を実現できたことが嬉しかった。
 クラブのメンバーにとっても新たな発見がたくさんあった。
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 普段は競技者としてしか大会に関わることのなかった数多くのクラブ員が、今回はレースに出ながら運営する側として奔走した。スタートのポールを持つのも、ゴールで着順札を渡すのも初めてだった。大会運営に口うるさいSollyに熱血指導を受けながら、大会運営の苦労を知った。
 この大会が無事に終了したときには、クラブ員皆の顔に、安堵と満足の表情があった。出場した競技者のみなさんに、「いい大会だった、来年も来たい」と言われたことが、本当に嬉しかった。
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 Solly は今年82歳になる。彼が日本に来ることがそう長くは続かないことを、クラブ員は皆、理解している。Sollyが元気なうちにこの大会を実現させて、Sollyが教えてくれた本場のライフセービングが、日本にも少しずつ根付いているということが表現できればと思っている。
 Sollyに教わったことを忘れないために、この大会に「Solly」の名を付け、回数を重ねていきたいと思っている。LSweb
 クラブは先日の通常総会で、第2回大会「Solly Carnival 2014」を9月第3土日のいずれかに開催することを決めた。









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