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全37チームが参加したプールインカレ
日体大、五大会ぶりにアベック優勝達成!
2014/12/10

The 6th Japan National Intercollege Pool Lifesaving Championships DAY-2

第6回全日本学生ライフセービング・プール競技選手権大会・2日目

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記録ラッシュの大会初日を終え一歩リードしたのが、女子は48ポイントの東海大学湘南校舎、男子は46ポイントの日本体育大学だ。

だが、女子は4点差で日本体育大学と早稲田大学が首位を狙い、男子は昨年覇者の日本大学が5点差で追いかける。

総合優勝に向けた2日目のレースが始まった。

2014.12.6-7 静岡県浜松市・浜松総合水泳場


文・写真=LSweb編集室




ラインスロー、一投に魂を込めて


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高い技術とチームワークで優勝した武道大ペア

 ラインスローから始まった大会二日目。この種目は男女ともに本命校が大会記録を更新し優勝した。

 女子は9月に行われた世界大会でメダルを獲得した国際武道大学4年の但野安菜が、大学1年の丹羽久美とペアを組み、12秒52の大会新をマーク。好記録に一瞬、笑みがこぼれたが、全ヒートが終わるまでは安心できない。

 武道大の2人がプールサイドから見つめる中、最終ヒートがスタート。早々に一投目を成功させたのが、日本体育大学の奥秋李果と市川沙耶の大学3年ペアだ。記録は12秒75。大会記録を更新したものの、僅かに武道大に届かなかった。その瞬間、但野と丹羽が満面の笑みで喜びを爆発させた。

「私は8回巻いて投げています。7回でも届きますが、8回のほうが成功率が高いので。11秒60が練習時のベストタイムだったので、11秒台を狙っていましたが、でも優勝できて嬉しいです」と但野。

 一方、日体大の奥秋は「私は9回巻いて投げています。8回で成功する時には11秒台も出ますが、確率が低い。だったら確実に届かせるためにと、9回で大会に臨みました。今回、9回巻きで12秒台が出たので、もっと練習して次は11秒台を目指します」と力強くコメントした。

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流経大4年生ペアが最後のインカレで会心の勝利

 男子はこの種目でコンスタントに表彰台に上る流通経済大学が、今大会でも実力を発揮した。学生最後の大会となる高橋源暉と池田知裕の4年ペアは、11秒64の大会新で優勝が決まると、「ただただ、相方に感謝です」と満足げに顔を見合わせた。

 2位は武道大の亀ノ上僚仁、安里 翼ペア。3位には専修大学の大学1、2年ペア、マッキー・トニーと半谷重章が入った。

 大学2年の半谷は「今日は8回巻いて投げました。7回で練習しているのですが、床にロープが当たったりして上手く巻けなかった時など、状況に応じて巻く数を増やしています」とコメント。その冷静さが表彰台に結びついたようだ。

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力強い牽引で3位入賞の専修大ペア

 ラインスローは経験と練習量だけでなく、競技の特性を考察し、試行錯誤することで記録が伸びる競技だ。

 今回は表彰台に上ることができなかったが、この種目を得意とする新潟産業大学1年の高橋志穂は、右利きながら、飛び込み台の左側に立ってロープを投げる。
 その理由をたずねると「ロープを投げる時に右寄りにいくクセがあるので、スタート台の右側に立つとコースを外れる可能性があります。ロープが溺者役にまっすぐ届くよう、スタート台の左側に立って、体を少し右側にねじるようにして競技しています」という答え。

 投げ方や巻き取り方にもさまざまなやり方があるし、来年5月の全日本まで練習時間もたっぷりある。学生ライフセーバーには、ラインスローを科学して成功率を高めるとともに、ぜひ10秒台を切るような記録を狙ってほしいと思う。

記録更新ラッシュの個人種目

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4年間の成果を発揮し優勝した日体大の渡邉

 大会2日目に行われた個人種目では、男女とものすべての種目で大会記録が更新された。

 1位から4位まで大会新をマークしたのが、女子100mマネキンキャリー・ウィズフィン。ハイレベルな戦いを制したのは、日体大4年の渡邉来美だ。泳力もあるが、脚力もある渡邉はフィン競技向きの選手。

 「ハイパフォーマンスチームに所属したことで、フィンスイムの原理を学ぶことができました。その時得た知識を元に、いろいろ考えながら泳いだ結果です」と渡邉。クラブの練習では、スイムがあまり得意でない、陸上や球技系競技出身の後輩たちにも、フィン競技の手ほどきをしているそうだ。高いレベルで得た技術を後輩たちに伝え残していくのも、最上級生の大切な役割のひとつだろう。

接戦を制し大会新で優勝した早稲田の

接戦を制し大会新で優勝した早稲田の榊原

 男子100mマネキンキャリー・ウィズフィンを制したのは、早稲田大学3年の榊原 司。先行する日体大4年の鈴木健一をタッチの差でかわし、53秒66の大会新記録で優勝した。

 ところでこの種目、男子では世界のニュートレンドである、バタフライ(ドルフィンキック)泳法を取り入れる選手もいた。現在の日本記録はバタフライ泳法によるもの。ブレイクスルーはチャレンジから生まれるのが常。今後の記録更新が楽しみだ。

 泳力がものを言う100mレスキューメドレー。女子は国士舘大学3年の鈴木悠花が、大会新の1分19秒37を叩きだし、2位以下に4秒以上の差をつけて笑顔の完勝。
 男子は神奈川大学3年の大島圭介が後半グングン伸び、大会記録を2秒以上縮める1分06秒73の大会新記録で優勝した。
ぶっちぎりのタイムで完勝した国士舘の鈴木

ぶっちぎりのタイムで完勝した国士舘の鈴木

日本新に迫る好タイムで優勝の神大、大島

日本新に迫る好タイムで優勝の神大、大島

 「今日は思いどおりのレースができました。前半は心拍数を上げない大きな泳ぎができ、苦手のターンも上手く決まったので、スピードに乗ったまま潜水に移行できました。マネキンのピックアップ後も失速しなかったのが勝因だと思います。日本記録と同じ1分6秒台に乗せることができたので、次に繋げたいです」と手応えを掴んだ大島だった。

 大島は続く50mマネキンキャリーでも好調を維持し、日本記録に迫る31秒60で優勝。大会記録を更新した。

 女子は日体大2年の坂本佳凪子が、自身の持つ大会記録を塗り替える37秒98の好タイムで完勝。プールから上がると、チームメイトだけでなくライバルたちからも祝福され、満面の笑顔を見せた。
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37秒台で優勝した日体大の坂本佳凪子

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良きライバルでありかけがえのない仲間たちと

 「記録が出たのは泳ぎ方を変えたからだと思います。今までは、マネキンを持っていない方の腕のストロークが大きく、プッシュに頼った泳ぎをしていましたが、今はプルを重視したコンパクトな泳ぎをしています。兄の陸からアドバイスを得て、トライしたら上手くいきました」と坂本。ちなみに、アドバイスをおくった兄で、日体大3年の坂本 陸は同種目2位だった。

 前回大会で同種目2位の東海大クレスト3年古泉俊二郎は、今回は5位。「周りのレベルが確実に上がっていることと、僕の場合、ルール改正前の(マネキンを水没させない)泳ぎが抜け切れていないのが敗因です。キックを止めずに、頭を少し下げ気味にして泳ぐ方法なのですが、それだと肩が水の抵抗になるんですね。大会前に後輩に指摘されましたが、練習が足りずに不甲斐ない結果となりました」と残念そう。「全日本までにしっかり泳ぎ込みます」と気合いを新たにした。

悔し涙も、歓喜の涙も

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ひときわ盛り上がりを見せるリレー種目

 プールインカレ最後の種目は、1チーム3人で行う特別種目のメドレーリレー・インカレバージョンだ。総合成績のかかるダブルポイントのチーム種目。応援は最高潮に達し、浜松市総合水泳場内には歓声がこだました。

 この特別種目は、メンバーの少ないチームでも団体種目に出場できるようにと、学生室が考案したもの。今大会では、女子23チーム、男子26チームが予選に参加し、それぞれ8チーム+学生選抜チーム(9位から11位までの大学の代表者1名ずつ)の9チームが決勝へと駒を進めた。

 大接戦となった女子は、大学2年の坂本佳凪子→大学4年の小林愛菜→大学4年の江部愛里菜と繋いだ日体大が1分49秒55の大会新を出し、大学1年の塩原あかり→大学4年の平野夏実→大学3年の中島静香と繋いだ東海大クレストを僅差でかわし、優勝を手にした。
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インカレメドレーリレーを制した日体大(坂本、江部、小林)

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2位となるも大いにレースを盛り上げてくれた東海大クレスト

 歓喜の日体大トリオ。その横で、1泳と4泳の重責を担った東海大クレスト1年の塩原が、「すみません」と涙をこぼした。そんな塩原の頭を、「大丈夫!あかりのせいじゃないよ」となでる先輩たち。勝っても負けても、一生の思い出になるレースだったに違いない。

 大トリの男子は、神奈川大学が1分38秒37で初優勝した。神大は大学3年の大島圭介→大学1年の北畑優成→大学1年の廣田 諒という若いメンバー。2位の日体大、3位の日大、そして4位の中京大学までが1分38秒台という激戦を制した。
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激闘を制し優勝した神大

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嬉し涙の神大リレーチーム(廣田、大島、北畑)

 プールから上がったとたんに泣きじゃくったのは、優勝メンバーの一人である廣田。「個人種目は悔しいことばかりで、最後にリレーで優勝できて、嬉しくて、嬉しくて……」と、しゃくり上げる廣田の肩を、「君は勝っても負けても泣くんだねぇ」と笑顔で叩く仲間たちの姿があった。

 団体種目での勝利は格別。そんな盛り上がりを、観客席の端から眺めていたのが、メンバーが少なく団体種目に出られない学校の学生たちだ。

競技を取り仕切った日体大3年の西山学生室競技部長

学生室競技部長の西山

 「あの輪の中に入りたいと、指をくわえていた学生たちには、ぜひその手を隣りの人に伸ばして、仲間を増やしてもらいたいと思います」と話すのは、学生室長の丸田重夫JLA理事。

 学生室競技部長としてインカレを仕切った日体大3年の西山晃祐も、「今後は大所帯のチームも、少数精鋭のチームも、もっともっと交流して、皆で大いに盛り上がれるように、工夫していきたいと思います」と話していた。

 記録更新ラッシュとなった第6回プールインカレ。総合優勝は、男女ともに日本体育大学で、目標としたアベック優勝を果たした。女子は負けなしの六連覇! そして久しぶりに女子と肩を並べた男子は、誇らしげに優勝カップを掲げた。

 日体大の強さは、何といっても層の厚さだろう。メンバーも多いし、監督・コーチ陣も熱心に指導している。こういうチームが一致団結すると、他チームはなかなか太刀打ちできないに違いない。でも強い相手だからこそ、ライバルたちにとっても挑みがいがあるのだ。
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おめでとう、日体大ライフセービング部


「正直、悔しいです。でも、ベストは尽くしました。今はやりきった感のほうが強いかな。悔しいですけど……」と口にしたのは、男子二連覇を目標としていた日大4年の田家友也。

「BLSアセスメントで得点を加算できなかったこと、それとラインスローでもう少し順位を上げられたら……。でも、頼もしい後輩たちがいるので、来年はきっと大丈夫です」と次世代に夢を託したのは、東海大クレスト4年の平野夏実。

 打倒・日体大!を掲げた強豪校。連覇を狙う日体大。そして、入賞を目標に、あるいはチーム種目出場を目指す学生ライフセーバーたち。来年のインカレもきっと、さまざまなドラマが繰り広げられるに違いない。

=敬称略
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【第6回全日本学生ライフセービング・プール競技選手権大会 成績表】



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男女ラインスロー

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男女100mマネキンキャリー・ウィズフィン

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男女100mレスキューメドレー

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男女50mマネキンキャリー

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男女メドレーリレー(インカレ・バージョン)

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男女4×50mメドレーリレー(オープン種目)

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男女総合成績

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