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ライバル対決を制し、西浜SLSCが連覇達成!
第30回全日本LSプール競技選手権2日目
2017/05/29

The 30th Japan National Pool Lifesaving Championships Day.2 神奈川県横浜市・横浜国際プール 2017.5.20-21

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第30回全日本ライフセービング・プール競技選手権大会2日目


全日本プール競技選手権の2日目は、SERC競技から始まった。

今大会のメイン競技のひとつSERCレポートは改めて詳しくレポートするとして、ここではラインスローとその他の競泳種目をお伝えしていこう。

LS競技だからこそ〝何のために競うのか?〟 を改めて意識しながら、ライフセーバーたちの熱戦は続いた。

文・写真=LSweb編集室




一投に練習の成果を込めて

LSweb 大会2日目。SERCに続いて行われたのが、チーム競技のラインスローだ。

 女子は第6ヒートに登場した茅ヶ崎SLSCが一投目で成功させ14秒51をマークして優勝。帝京大学LSCが17秒42、流通経済大学LSCが18秒18と続いた。

 救助者役の名須川紗綾(茅ヶ崎SLSC)は「得意種目ではないし、今までこんなに上手くいったこともない」と謙遜する。しかし決してまぐれではない、堅実なロープさばきを見せていた。

 僅かに及ばなかった富田有佐(帝京大学LSC)は「新学期になってから毎日、昼休みに体育館で練習しました」と、メダルを手にしてニッコリ。ここでも、地道な努力が結果に結びついた。
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 男子は最終第9ヒートに登場した湯河原LSCと日本体育大学LSCが、どちらも11秒38のタイムを叩きだし会場を沸かせた。

 「練習会では9秒を切るタイムが出たんですが、やはり大舞台になると緊張してできていたことができなくなりますね」と話すのは岩本耕平(日体大LSC)。
 西山俊(湯河原LSC)も狙っていたタイムは出なかったようで、満面の笑みは見られなかった。
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 3位には銚子LCが13秒18で入った。長いリーチを活かしたのは長身の森新太郎(銚子LC)。プールサイドではアウェイ感が強かった、とビーチ競技で活躍する森は言う。

 「なんとか自分のペースにもってこようと、スタート前の準備に時間をかけましたが、まだまだですね。表彰台に上がれたことを自信に、もっと練習していきたいです」と意気込みをあたらにしていた。

白熱するライバル対決

 泳力が問われる100mレスキューメドレー。女子は三井結里花(九十九里LSC)、男子は安藤秀(湯河原LSC)が優勝を手にした。
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 1分15秒73の大会新をマークした三井だが、「13秒台を狙っていたので」と笑顔はなし。
 1分05秒35で4連覇を達成した安藤も、「後半がちょっと良くなかったです」と淡々とした表情でサブプールへと向かった。
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 女子の2位には、出産を経てカムバックした青木邦(湯河原LSC)が入った。
 もうすぐ2歳になる愛息と一緒に会場入りし、前日の50mマネキンキャリーも3位。元日本代表の実力者だが、練習環境の激変にもかかわらず表彰台に上がるのはさすがである。

 「以前のように追い込む練習ができないので、本当にきつかったです。もう泳ぎながらキーッてなっちゃいました(笑)」と話す。甘える息子を抱き上げる横顔からは、必至の形相で気力を振り絞る姿など想像できない青木だった。

 100mマネキンキャリー・ウィズフィンでは、好記録が飛び出した。

 女子は1位の我妻菜登(勝浦LSC)と2位の山本裕紀子(若狭和田LSC)が大会記録を、男子は1位の西山俊(湯河原LSC)が日本記録、2位の園田俊(西浜SLSC)が大会記録を更新した。

 日本記録を持つ山本がリードする展開となった女子。マネキンをピックアップしてから猛然と追い上げを開始したのが我妻だ。4コース、5コースが横一線のままゴールへ。記録は我妻が57秒81、山本が58秒01。タッチの差で我妻に軍配が上がった。
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 2人で仲良く水から上がってくると、「最後まで菜登ちゃんは見えていなかったです。1位だと思って掲示板をみたら2位でした!」と山本。

 「私は裕紀子さんが見えていたので、これはさせるじゃん! と(笑)。久しぶりの57秒台です」と我妻。「私にとっては2位で良かったです。じゃないと調子に乗るから(笑)」と山本が言うと、2人は顔を見合わせ互いの健闘を称えた。

 一方、48秒27の日本新を出しながら「このタイムでは世界で戦えません」と渋い顔をした西山は、「でも、正直ほっとしました。昨日、得意種目で失格になりましたから。実は僕、失敗を引きずるタイプなんです。それじゃダメだって分かっているんですけどね」と言葉を続けた。
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 自己ベストが出た園田は手応えを掴んだ笑顔を見せたが、日本記録保持者の幡野圭祐(白浜LSC)は3位で「自分のレースがまったくできませんでした」と肩を落とした。LSweb

 ところで、男子第9ヒートでは森野友也(銚子LC)と森野郁也(日体大荏原高校LSC)兄弟が隣のレーンで泳ぐというシーンが見られた。兄弟姉妹で大会にエントリーするのは珍しいことではないが、同じ種目で隣同士というのはめったにあることではない。

 レース前はお互いに「負ける気がしない」と言っていた兄弟対決は、弟の逆転勝利で幕を閉じた。
 「こいつ、後半がマジで速かった……」と興奮気味の兄の横で、弟がうれしそうな表情を見せていたのが印象的だ。

日本新を一気に4秒縮める

 個人種目の最後、200mスーパーライフセーバーでは、すごい記録に会場がどよめいた。

 女子は日本記録保持者の三井結里花(九十九里LSC)が、2分31秒69と自身の記録を1秒以上縮め、男子は上野凌(西浜SLSC)と安藤秀(湯河原LSC)の2人が日本新をマーク。優勝した上野はこれまでの記録を4秒近く上回り2分15秒の壁を破る2分14秒90を叩きだした。
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 「本当は30秒台を切りたかったけど……」と口を開いた三井は、「2年間自己ベストを更新できなかったので、自分は何も成長していないのではないかと不安でした。だから、少しほっとしています」とようやく笑顔を見せてくれた。

 競泳チームに所属し、フィンの練習回数も増やし、さらに食事や睡眠など体調管理もストイックにコントロールしてきた彼女。

 「自分のベストパフォーマンスが出せれば、世界で戦えると分かっているので、それに向けてしっかりやるだけです」と三井。キリリとした瞳の先には、ワールドゲームスの表彰台が見えているはずだ。

 「練習した甲斐がありました。タイムがついてきてくれて、メチャうれしいです」と破顔したのは上野。「前半は秀さんの方が速いのは分かっていたので、そこで粘って最後の50mで追いつこうと思っていました」という言葉どおりの大逆転だった。
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 「前半でもっと離しておかなければいけなかった」とレースを振り返った安藤だが、タイムは1分16秒10と決して悪いわけではない。

 「マネキンをピックアップした75mの時点で差があまりなく、ちょっと焦って呼吸が乱れてしましました。タイム的には悪くないけれど、負けたのは悔しい……」と言う安藤は、上野に「ワールドゲームスでは負けないよ!」と一声かけ、並んでサブプールへ。

 その背中を見ながら、「自己ベストで日本新まであと4秒かと思っていたら、その後にすごい記録が出て日本新まであと10秒近くになってしまいました」と舌を巻いたのが、
5位に入賞した小松海登(法政大学SLSC)だった。

キャプテンの目に涙!?

 最終種目は4×50mメドレーリレー。

 女子は1泳で日本女子体育大学LSCがリードしたものの、2泳で西浜SLSC、日本体育大学LSCに並ばれる展開に。3チームが横一線のままアンカーへ。そこからスルスルと上がってきたのが銚子LCだ。1分51秒77のタイムで逆転勝利。4人が駆け寄って抱き合い、喜びを爆発させた。
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 男子は西浜SLSCと湯河原LSCが抜きつ抜かれつの大接戦を演じた。アンカーへのバトンタッチは湯河原LSCが僅かにリード。しかし西浜SLSCが猛然と追い上げる。どちらが勝ったのか? 掲示板に1の数字が点いたのは湯河原LSC。タイムは1分34秒10。西浜SLSCとの差は僅かに0.07秒だった。
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 「いやぁ、チューブの引き継ぎがうまくいかなくて焦りました。呼吸する度に西浜が迫ってくるのが分かったので、もうヤバイヤバイと歯を食いしばりましたよ。勝てて良かったぁ」と息を吐き出したアンカーの深井俊光(湯河原LSC)に、「危なかったなぁ」といいながらチームメイトが笑顔で駆け寄った。

LSweb 最終種目で惜しくも優勝を逃した西浜SLSCだが、総合成績では湯河原LSCを押さえ連覇を達成した。

 大会キャプテンとして西浜SLSCを率いた園田俊は、「チームワークはどこにも負けない自信があったので、普段どおりの力を出せれば大丈夫だと思っていました」と言った後、言葉に詰まった。
 その目には、うっすら涙が浮かんでいるように見えた気がしたが、すぐにチームメイトに囲まれてしまい確認することができなかった。

 おめでとう、西浜SLSC。

 
※採点競技のSERCについては稿を改めて詳しくお伝えします。(文中敬称略)



【第30回全日本ライフセービング・プール競技選手権大会 成績表】




☆★☆ 第30回全日本ライフセービング・プール競技選手権大会 表彰台 ☆★☆

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200m障害物スイム・男女

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200m障害物リレー・男女

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100mマネキントゥ・ウィズフィン・男女

50mマネキンキャリー・男女

100mマネキンリレー・男女

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ラインスロー・男女

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100mレスキューメドレー・男女

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100mマネキンキャリー・ウィズフィン・男女

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200mスーパーライフセーバー・男女

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200mメドレーリレー・男女

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SERC

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総合成績








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