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夏、間近!
遠浅の海を制したのは誰だ?
第28回全日本ライフセービング種目別選手権大会
2015/06/17

The 28th Japan National Lifesaving Individual Championships

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種目別・サーフ編


7月まであと半月となった6月13〜14日、愛知県南知多町で「第28回全日本ライフセービング種目別選手権大会」が開催された。

大会会場となった内海千鳥ヶ浜海岸は「日本の渚百選」にも選ばれた海岸で、夏には大勢の海水浴客で賑わう。

そこで行われた種目別の熱戦、まずはサーフ競技からレポートしよう。


文・写真=LSweb編集室





20年ぶりに全日本に復活した國木選手

 遠浅で波穏やかな海と、サラサラとした砂が特徴のビーチで繰り広げられた今年の種目別には53チーム、585人が参加した。
 
 開会式で選手宣誓を行ったのは、大阪LSCの森井 寿。関西イントネーションでの選手宣誓に続き、地元・愛知LSCの山本准三がフィシャル宣誓を行った。

LSweb 各種目の予選が次々と消化された大会初日に、20年ぶりに全日本と名の付く大会に出場したというのが、山口県から参加した萩SLSCの國木孝治だ。

 國木は日本体育大学LSCの創生期メンバーの一人で、地方で精力的に活動してきたライフセービングの伝道師でもある。

 一昨年までは広島で活動していたが、現在は仕事の関係で萩在住。早速クラブを立ち上げ、ジュニア教室をメインに活動を開始した。

 「萩はほかの地方同様、人口減少が深刻な地域。そういう場所でライフセービングを普及しようと思ったら、子どもたちから育てていくしかないのです。だから地道に活動していますよ。
 県内には門司に別のライフセービングクラブがありますが、65kmも離れた場所なので、練習はもっぱら一人でやっています。今回は比較対象がない状態での参加でしたが、今の実力が良く分かり楽しかったです。目標は秋の全日本に出場すること。予選を勝ち抜いて、ぜひ本戦に進みたいですね」
 と、日に焼けた顔で話したくれた。

 大会初日、唯一行われた決勝種目が男女のサーフレースだ。

 女子は早稲田大学LSCの高柴瑠衣が種目別初制覇、男子は湯河原LSCの安藤 秀がクラブメイトの西山 俊を振り切り、オーシャン競技初の全日本タイトルを獲得した。
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LSweb 男子3位と健闘したのが大阪体育大学LSCの福井佑都だ。高校までは競泳に情熱を注いでいたという大学2回生の福井は、

 「昨年秋の全日本が終わった直後から、種目別を一つの目標としてがんばってきました。表彰台に上れたことは嬉しいですが、これをスタートラインにしてもっと上を目指したいです」
 と、力強く宣言。

 その姿を見ていた1年先輩の小林 海も、
「一緒に練習してきた後輩が結果を出してくれて嬉しい」
 と、頰を緩ませた。

LSweb 大会二日目は雨の音で目を覚ました。

 しかし、競技がスタートする前にはすっかり上がり、前日の暑さが和らぐしのぎやすいコンディションに。そんな中でサーフスキーレースの決勝がスタートした。

 まずは女子。スタートライン内側から若狭和田LSCの山本裕紀子が、外側から茅ヶ崎SLSCの名須川紗綾、西浜SLSCの中村 遥らが飛び出す。

 混戦模様の序盤を制し、第1ブイを最初に回航したのは山本だった。

 その直後、後続艇にアクシデントが発生。一人難を逃れた山本はフィニッシュまで独走し、初めての全日本タイトルを手にした。

 3週間前に行われた神奈川オープンサーフの会場で、「スキーでは今、負ける気がしない」と口にしていた山本。有言実行で満面の笑みを見せた。

LSweb 2位は名須川、3位には柏崎LSCの高橋志穂という順位。

 後続の2人に第1ブイで何が起こったのか聞いたところ、
 「いや、あれは……私が風の影響で揺れた第1ブイに接触し、白黒ブイの方へはじき飛ばされてしまい、白黒ブイのロープにラダーを引っかけてしまったのです。
 それでしかたなくロープを外すために沈をさせました……。ほかの人には本当に申し訳ないと思っています」
 と、神妙な面持ちの名須川が説明してくれた。

 後続集団をブロックする形になってしまった名須川だが、沈から2位まで挽回。そのあたりの力はさすがである。

出木谷選手、二冠達成!

LSweb 2日間を通して波穏やかで、うねりもほとんどない千鳥ヶ浜海岸だったが、両日とも午後になると南東の風が吹き上がってきた。

 沖に向かって左から右へ吹く風に翻弄されたのが名須川なら、このコンディションを上手く利用したのが、男子サーフスキーで優勝した九十九里LSCの出木谷啓太だ。

 全日本やインカレなど、さまざまな大会の優勝経験者がスラリと顔を揃えた決勝レースは、スタートから猛烈な水しぶきが上がるパドル合戦に。

 コース取りの激しさは女子の比ではなく、大混戦のまま第1ブイに突入。
 ここで男子にもアクシデントが発生し、優勝候補の一角である下田LSCの松沢 斉や東京消防庁LSCの落合慶二らが先行艇に置いて行かれることとなった。

LSweb 第3ブイを回った時点でトップに立ったのは、湯河原LSCの西山。
 その後ろから、勝浦LSCの内田直人や篠田智哉、下田LSCの加賀田哲也や菅沼寛也、そして昨年優勝した出木谷らが虎視眈々とトップを狙う。

 先頭集団の中で一番内側に位置していたのが、青と白のストライプ艇、出木谷だ。真正面からフィニッシュラインを目指す西山。斜めから迫る出木谷。手に汗にぎる緊迫した勝負は、最後の最後で出木谷に軍配が上がった。

 「南東の横風が吹いていたので、風によって起きる小さなうねりをつかむもうと内側から攻めました。
 今までならがむしゃらにとばしてしまうところでしたが、がまんして追いかけられたのが勝因です。一緒に練習してきた仲間に感謝ですね」
 と、破顔した出木谷。LSweb

 表彰式で金メダルを授与されると、すかさず練習仲間であり良きライバルである落合と篠田が駆け寄り祝福した。

 そこで「勝者を囲んで金メダルを羨ましそうに見てもらえないか」とお願いしてみると……、早速ポーズを作ってくれた3人(右の写真)。

 編集子の無茶ぶりに快く対応していただき、ありがとうございました!

 3位に入ったのは下田SLCの菅沼寛也。

 「きついレースでしたが、最後は娘の顔を思い出しがんばりました」
 と、目尻を下げ、愛娘と一緒に表彰台に上った。

 出木谷は続くボードレースでも優勝し、今年の種目別二冠を達成した。

 「勝因はスキーと一緒です。先行する2人(大体大LSCの小林 海と西浜SLSCの上野 凌)の後ろにつく作戦もありますが、海面が乱れていて難しいし疲れます。内側のほうがうねりのあることは、スキーの時に体験済みでしたからあえてトップの2人とは離れて攻めました」

 という冷静な判断が的中し、フィニッシュ間近での大逆転勝利となった。

 実は波打ち際で真っ先にボードを下りたのは、小林とトップ争いをしていた上野だった。
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 小林とのデッドヒートから一足先に走り出そうとしたその瞬間、ストラップを握り損なう痛恨のミス。

 焦るほどに手元はおぼつかなくなり、その間に出木谷、さらには後続の落合、国士舘大学LSCの牛越 智にも抜かれ、最終成績は小林に続く5位という結果に。

 「いろいろなことが勉強になった種目別でした。あー、まだまだですね」
 と、悔しさを口にした上野だった。
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 一方女子は、オーストラリア留学から戻った西浜SLSCの上村真央が優勝。昨年に続く二連覇を成し遂げた。

 ミスター&ミズ・ライフセーバーを競うオーシャンマン/オーシャンウーマンは、スイム→スキー→ボードの順番で行われた。

 女子は最初のスイムから、九十九里LSCの三井結里花が独走態勢に。得意のスイムで後続を引き離すと、スキー、ボードでもリードを広げて危なげなく完勝した。その直後、
 「この後、2kmビーチランにも出場します」
 と、疲れも見せずに召集場所へ向かった三井。

 スタミナとガッツは、さすがミズ・ライフセーバーである。
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 男子もスイムからボードまで、1位は終始変わらない展開で、湯河原LSCの西山 俊が優勝。サーフレース、サーススキーと2位が続いていただけに、最終種目で勝って、ようやく屈託のない笑顔を見せてくれた。
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 2位は安定感抜群の長竹康介、3位にはボードレースの悔しさをぶつけた上野 凌と西浜SLSC勢が入った。(敬称略)


 熱戦はまだまだ続くのだが、ひとまずサーフ編を終わりにしよう。続きはビーチ編で。



【第28回全日本ライフセービング種目別選手権大会 成績表】



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サーフレース・男女

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サーフスキーレース・男女

 
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ボードレース・男女

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オーシャンマン/オーシャンウーマン

 
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オフィシャルの皆さん、ありがとう!

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安全課の皆さん、ご苦労様!










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