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プールインカレ 番外編
表彰写真も一挙掲載!
2014/02/27

The 5th Japan National Inter Callege Pool Lifesaving Championships 2014.2.22-23

今大会からCPRアセスメントも実施

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熱戦が繰り広げられた、第5回全日本学生ライフセービング・プール選手権大会。

先のレポートで触れなかった2つの競技(ラインスロー、CPRアセスメント)について紹介しよう。

合わせて、今大会の成績表と表彰者の写真も掲載する。

文・写真=LSweb編集室





ラインスローは精度向上に期待!

LSweb 改めて説明する必要もないが、ラインスローとは、12m先の水中にいる溺者役に向かってロープを投げ、それにつかまった溺者役を引っ張って救助する競技だ。

 インカレでの競技時間は45秒。男子10秒61、女子13秒48という日本記録から計算すると、時間内に3〜4回はロープを投げるチャンスがあることになる。記録には溺者を引っ張る時間も含まれるため、実際にはもっと多くの回数を投げることができるのだが、3投目以降は極端に成功率が落ちる。あせってロープを巻き取るため、絡みやすくなるのだろう。

 いずれにしても、記録を狙うなら1投目で成功させなければいけない。LSweb

 今大会では、男女ともに国際武道大学が1投目で成功させ、アベック優勝を飾った。男子の亀ノ上僚仁、安里 翼ペアは12秒83、女子の但野安菜、川島智子ペアは14秒57という記録だった。

 ラインスローは時代によってロープの巻き取り方が投げ方に変化があり、現在は利き手をグルグル回してロープを束ね、その惰性で下投げする方法が主流となっている。巻き取り回数は8回が多数派で、7回または9回という選手もいた。

 ポイントは、巻き取った惰性のまま投げること。勢いをつけるために振り子のように動かすと、ロープがからまる可能性が高くなる。

 今回、筑波大学の選手は手元でロープを束ね、野球のスローインのように上投げしていた。1投目は失敗、2投目で成功したが、もし1投目で成功していたら、どんなタイムが出ていただろうか。
 
 ラインスローは工夫次第で新しい技が開拓できる余地がある。球技経験者などは試行錯誤してみる価値ありだ。


重要度増すCPRアセスメント

LSweb ライフセーバーの“必修科目”であるCPR。CPRの精度をより高めることを目的に、昨年の海インカレに続き、プールインカレでも「CPRアセスメント」の結果が総合得点に加算されることになった。
 
 インカレで行われるCPRアセスメントはAとCの2段階評価で採点される。評価に応じて、A=8点、C=0点が総合成績に追加されることになるが、8点といえば、個人種目で1位をとるのと同じ点数。CPRは競技ではないが、総合成績を左右する要素になっていることは事実だ。

 今大会、男子は35チーム中15チームがA評価を獲得、女子は35チーム中19チームがA評価を獲得した。A評価の割合は男子が42.8%、女子が54.2%。“必修科目”ということを考えれば、男子は半数以上が、女子も半数近くが単位を落としていることになり、決して自慢できる数字ではないが、学生だから低いというわけでもない。ほかの競技会会場で実施されるアセスメントと、ほぼ同じ割合だ(昨年の秋に開催された全日本での衝撃的に低い数字は別として)。

「すごく緊張しました」
 アセスメントを終えた学生に声をかけたところ、こんな答えが多く返ってきた。緊張して普段どおりできなかったチームもあるだろう。アセスメントを担当した関口義和インストラクターに評価のポイントを聞いた。

LSweb 「手技をひとつでも抜かしてしまうと、そのほかがきちんとできていてもC評価をつけざるを得ません。まずは落ち着いて、規定通りの手技を行うことを心がけてください。
 先輩から教えてもらう、インターネットで検索した動画を参考にするなど、熱心に勉強しているチームもあるのですが、自分たちが正しいと思っている方法が、最新ではなかったということもあります。インストラクターからきちんとした技術を教えてもらうのも、CPR上達の重要なカギです。
 ただ、資格を取得する時、更新する時以外に習得する場がない、というのも事実です。そのあたりは協会側の課題として改善していきたいと考えています」

 アセスメントの数字だけ見れば、ライフセーバーの約半数はCPRすら満足にできない、ということになる。この不名誉な記録を挽回するためにも、競技と同じようにCPRの練習に取り組んでほしい。
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☆★☆全日本学生LSプール競技選手権・表彰選手☆★☆
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100mマネキントウ・ウィズフィン男女

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200mスーパーライフセーバー男女

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50mマネキンキャリー男女

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200m障害物スイム男女

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100mマネキンキャリー・ウィズフィン男女

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100mレスキューメドレー男女

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4×50mメドレーリレー男女

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4×50m障害物リレー男女

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ラインスロー男女

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4×25mマネキンリレー男女

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メドレーリレー・インカレバージョン男女




★第5回全日本学生ライフセービング・プール競技選手権大会 成績表



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5回目のプールインカレ
総合優勝は男子は日大、女子が日体大!
2014/02/27

The 5th Japan National Inter Callege Pool Lifesaving Championships 2014.2.22-23

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第5回全日本学生ライフセービング・プール競技選手権大会


5回目を迎えた全日本学生ライフセービング・プール競技選手権大会が、2月22〜23日、千葉県習志野市の千葉国際水泳場で開催された。

35チーム、650人(男子383人、女子267人)が参加した今大会。残雪を溶かすような熱い戦いが繰り広げられた。


文・写真=LSweb編集室




記録ラッシュの予感、的中!

LSweb 学生パワーが炸裂するプールインカレは、毎回、多くの新記録が生まれる。2月になれば学校は休み。練習にも集中できるし、学生最後の大会となる最終学年生は特に気合いが入るだろう。団結力の強さから、リレー種目での記録更新も期待できる。

 そんな記録ラッシュの予感は的中した。大会1日目の最初の種目、女子100mマネキントウ・ウィズフィンから日本記録が更新されたのだ。日本新を出したのは、これが学生最後の大会となる文教大学4年の名須川紗綾。記録は1分04秒36だった。

「これまでは力任せにフィンを蹴っていましたが、それだと泳いでいる時の姿勢が前傾してしまうと分かり、フラットに泳ぐことを心がけて練習しました」
 と名須川。だが、日本記録を更新して大喜びかというとそうでもない。
「1分3秒台を狙っていたので」LSweb
 クールな名須川らしく、嬉しさ半分、悔しさ半分という口ぶりだった。

 タイム決勝の最終ヒートで、名須川の隣のコースを泳いだのが、それまでの日本記録1分05秒04を持つ、日本体育大学1年の坂本佳凪子だ。折り返し地点でマネキンをハンドルするのは、兄である日体大2年の坂本 陸。

 僅かの差でリードする名須川の様子を横目で捕らえながら、「ゴー、ゴー、ゴー(行け、行け、行け!)」のかけ声を妹に送る。その声に押されるように力泳した坂本だったが、0.02秒およばす1分04秒38で2位となった。

 男子100mマネキントウ・ウィズフィンでは、大会記録が更新された。更新したのは拓殖大学1年の大澤凌太だ。このレース、後半は大阪体育大学1年の小林 海が一旦リードした。だが、猛追した大澤がゴール間際で逆転に成功。59秒30の大会新をたたき出した。
「チューブを巻くのに失敗して焦りました」
 と大澤。一方、0.6秒差で優勝を逃した小林は「くやしー」と一言発した後、大澤に握手を求めた。
「大学に入って、少しずつスイムの実力が上がってきたかな。プールでの表彰台は初めてなので、やっぱり嬉しいです」
 と笑顔を見せた小林は、この日、20歳の誕生日を迎えた。
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 逆転優勝した大澤は、
「最近はフィンの練習ばかりしています。リレーもフィン担当なので。チューブは、練習では2秒台で巻けるのですが、今日は4秒ぐらいかかったな。いやぁ、逆転できて良かったです」
 と最後ににこやかな表情を見せた。

LSweb 男子200mスーパーライフセーバーで大会記録を更新したのが、この種目を得意とする日体大の坂本 陸。自身が持つ2分22秒64の日本記録にはおよばなかったが、2位に10秒近い差をつける2分24秒05の大会新でゴールした。
「これまでは(拓殖大学の中本)直也さんが隣のコースにいることが多く、引っ張ってもらう展開でしたが、今回は直也さんがいなかったので、前半がちょっと遅かったのだと思います。最初から自分でペースを作っていくということに、ちょっととまどってしまった感じです」
 と、今後の課題を口にした坂本だった。

 男女ともに大会記録を塗り替えたのが、50mマネキンキャリーだ。女子は日体大の坂本佳凪子が39秒26で1位、東海大学湘南校舎クレスト2年の中島静香が39秒64で2位、文教大の名須川紗綾が40秒64で3位。表彰台に上った3人がいずれも大会新を記録した。
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 男子は神奈川大学2年の大島圭介が、32秒64の大会新で優勝。2位に入ったクレスト2年、古泉俊二郎も33秒43で大会記録を更新した。
「自己ベストは嬉しいですが、日本新を狙っていたのでちょっと悔しいです」
 とプールから上がった大島。日本新まではあと0.5秒。昨年11月に行われた国際大会で左肩を脱臼、1カ月間泳ぐことができないというハンディを乗り越えての記録更新だった。

 この種目は女子16ヒート、男子27ヒートという長丁場のレース。プールサイドを何往復もしたオフィシャルにとっても、嬉しい大会新だったはずだ。

 続く女子200m障害物スイムでは、早稲田大学2年の高柴瑠衣が、それまでの大会記録を2秒以上縮める2分17秒93で優勝。2位以下に5秒近い差をつけた。
「目標にしていた日本記録は出せませんでしたが、自己ベストを4秒ぐらい更新しました!」
 と高柴。泳いでいて一番楽しい距離だという200mで結果を出した。
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 この種目、高柴と並んで表彰台に立ったのが、早大2年の江藤亜門だ。
「同期の亜門がきつ〜い練習メニューを考えてくれて、恨んだこともありましたけど、お陰で一緒に1位の表彰台に立てました」
 と言って破顔した高柴。早大は今年、彼らが中心学年となる。

LSweb もう1種目、個人種目で記録が更新されたのが、100mマネキンキャリー・ウィズフィンだ。
 女子は日体大4年の小林夏実が1分08秒08でトップ、2位には同じく日体大1年の寺坂恵実が1分08秒31で入り、日本大学1年の速水 愛が1分08秒37で続いた。小林と速水は最終ヒート、寺坂はその一つ前のヒートだったが、1分8秒台に3人が並ぶ激戦だった。

 一方、男子は流通経済大学4年の園田 俊が55秒14の大会新で優勝した。ゴール間際、先行する拓大の大澤凌太を逆転しての勝利だった。
「この種目の大会記録を持っていたのが、憧れの菊地 光さんです。昨年の海インカレで、光さんの後を継ぎオーシャンマンチャンプになりました。プールインカレでも後を継ぎたいと思っていたのです」
 と園田。LSwebしかし、50mまでは大澤にリードを許した。

 「50のターンで壁を蹴った時に溝にはまってしまい、マネキンも上手く背負えませんでした。でも今年の流経大の目標は“最後まで諦めない”でしたから、とにかくがんばろうと。最後はもう前も見ずにがむしゃらに泳ぎました」
 を息を切らす園田の横で、
「迫ってきているのは分かっていたのですが、足が動かなかった……」
 と大澤。「ライバルがいるからがんばれた」と言う園田と大澤は、レース後、お互いの健闘をたたえ合った。

日大、悲願の初優勝。日体は5連覇

LSweb 個人種目にも増して、熱戦が繰り広げられたのがチーム種目だ。団体戦は得点が2倍になることもあり、会場には各校の声援が響き渡った。
 リレー競技で記録を更新したのは、男子4×50m障害物リレー、男女4×25mマネキンリレー、そして特別種目の男女メドレーリレー・インカレバージョンの合わせて5種目。

 1分46秒07の大会新記録で、男子4×50m障害物リレーを制した日大は、プールインカレ第1回大会からこの種目を落としたことがない。つまり、これまでの大会記録は先輩が作ったもので、今回はそれを塗り替えたということだ。1年生2人、2年生と3年生が1人ずつという若いメンバーで勝った日大メンバーは、「来年もいきますよ!」と声を揃えた。
LSweb 日大といえば、男子は井口明彦や菊地 光といったOB、女子は今大会では少し元気がなかったが、国際大会でも活躍する4年の三井結里花など、エース級選手の印象が強い。しかし、もちろん彼らだけが活躍していたわけではない。一人一人の地力があるからこそ、これまでもリレー種目で優勝してきたのだ。

 今大会の日大は、男子メドレーリレー・インカレバージョンでも1分37秒22の大会新で優勝、また個人種目の男子100mマネキンキャリー・ウィズフィンでは3年の田家友也が1位になるなど、随所で活躍が見られた。

 4×25mマネキンリレーも大会記録が更新された。女子は上位3チームがいずれも大会新、男子は1位、2位が大会新というハイレベルな戦いだった。
 女子1位はクレスト。昨年5月の全日本プール選手権で、当時の日本記録(1分32秒53。11月に日本代表が1分26秒85を記録)を出したのと同じメンバーで挑み、1分32秒55で優勝した。2位は日体大で1分33秒80、3位は日大で1分38秒93だった。

 女子の雪辱を晴らし、同種目男子で優勝したのが日体大だ。記録は1分17秒12。2位は1分17秒87のクレスト。奇しくも、男女で1位と2位が入れ替わる結果となった。

 LSweb最終種目のメドレーリレー・インカレバージョンでは、男子は拓大と日体大を押さえた日大が大会記録でトップ、女子は早大のアンカーが先行する日体大に追いつき大逆転。1分51秒84の大会記録で優勝した。

 この種目は、部員が少ない学校でも参加できるようにと、通常4人で繋ぐメドレーリレーを3人で繋ぐようにアレンジしたもので、1泳と4泳が同じ選手となる。また、予選を通過できなかったチームでも、個人タイムが良ければ箱根駅伝のように学生選抜に抜擢される可能性があり、大会期間中、最も盛りあがる種目のひとつだ。
 当然、決勝に残ったチームは気合い十分。逆転劇も随所で見られる。そんな中、今大会は男女ともに、即席チームの学生選抜が8位に入賞する健闘を見せた。
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 海でのインカレ同様、CPRアセスメントの得点が総合成績に組み込まれることになった今大会。総合優勝は女子が日本体育大学、男子が日本大学という結果になった。

LSweb「5連覇を狙います!」

 と女子キャプテンの江部愛里菜が宣言していた通り、第1回大会からの連続優勝記録を5に伸ばした日体大。個人種目ではすべて、チーム種目でもラインスローをのぞくすべての種目で上位入賞を果たし、盤石の強さを見せた。

 2位は前回3位から順位をひとつ上げたクレスト。個人種目での日体大との差が、そのまま総合成績の差となった。3位は前回2位の日大。エース三井結里花にとって学生最後の大会だったが、今回は個人種目でも優勝1種目、記録更新なしと少し寂しい結果となった。

 女子の総合成績で特筆すべきことは、名須川紗綾ただ一人で総合8位に入賞した文教大だろう。ライフセービング界に大学の名前を記したこと、そして校内でライフセービングを広めた功績は大きい。後輩たちの今後のがんばりにも期待しよう。
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「昨年までは菊地 光さんというエースがいました。光さんが抜けた穴を埋めようと皆でがんばった結果が、今回の優勝に結びついたと思います」
 と満面の笑みで答えたのは、悲願の総合優勝を成し遂げた、日大3年の田家友也だ。学部の違いなどから、なかなか全員で集まれず、自主練が主体という日大チーム。

 しかし、前回2位の悔しさを胸に、障害物を自分たちで手作りしてリレーメンバーで練習するなど、地道にがんばった。その結果が、個人種目だけでなく、チーム種目での好成績にも繋がったのだろう。卒業した先輩たちも感激の総合優勝だ。

 2位は日大と4点差の日体大。5連覇の女子を目指し、来年こそはの思いを強くした。

LSweb その日体大を2点差で追うのがクレストだ。
「大会前には、日大と3日間の合同練習を行いました。長水路の辰巳プールで1日、あとの残りは東海のプールでしたが、他大学と一緒に練習することで、勉強になったり、刺激を受けたりしました。日大との合同練習は昨年に続き2回目ですが、今年はそのほかの大学にも声をかけ、東京女子体育大学や国士舘大学、文教大、神大、それに日体大からも何人かが参加してくれました。仲間だけどライバル。そういう環境で練習できるのは楽しいですね」
 と話すのは、クレスト3年の井上祐介。学校やチームという枠を越えて切磋琢磨するライフセーバーたちであった。

 学生委員が中心となって企画、運営されるインカレ。プールインカレも海インカレ同様「The Next Stage 次なる一歩」をテーマに開催され、この大会をもって第10期学生委員の活動が終わった。

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 日体大4年、競技部部長の杉井晴香、国際武道大学4年、競技部副部長の石川拓実をはじめとする第10期の皆さん、お疲れさまでした。そして卒業を迎えるすべてのライフセーバーたち、「The Next Stage 次なる一歩」も学生時代同様、挑戦と開拓の精神を持って歩んでいってほしい。

=敬称略

※ CPRアセスメントの結果および成績表は追ってレポートします。




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第39回 全日本ライフセービング選手権大会
西浜SLSCが二連覇達成!
2013/10/15

The 39th Japan National Lifesaving Championships DAY2

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すがすがしい秋晴れに恵まれた10月13日、神奈川県藤沢市の片瀬西浜海岸にて、第39回全日本ライフセービング選手権大会の決勝レースが行われた。

今年の全日本は、台風で東日本予選が行われなかった影響から、個人種目男女合わせて11種目、団体種目5種目の計16種目、さらにCPRアセスメントの評価で総合成績が決まることになった。


文・写真=LSweb編集室




全日本はライフセーバーたちの社交場!?

LSweb 夏のパトロール活動終了から約2カ月半。この日を目標に追い込みをかけてきたライフセーバーたちが、それぞれの思いを胸に片瀬西浜に集結した。

「今年はここ何年かの中でかなり調子がいいです。見ていてください」
 と笑顔を見せる中堅がいるかと思えば、
「言い訳ですけれど、環境が変わって練習が思うようにできないということもあり、とても不安です。非常に焦っています」
 と言う社会人1年目のライフセーバーもいる。

 「全日本は強い選手がたくさんいるので、どこまでできるか力試しです」
 と頬を上気させる若手の横では、
「まぁなんとか続けています。好きだし、この大会にくるとがんばっている仲間にも会えます。それだけで、なんだか楽しいですよね」
 と話すベテランがいる。

 会場のそこかしこで、「久しぶり」「元気か?」と再会を喜ぶ声が聞こえ、「仕事はどお?」「結婚したよ」「子どもが生まれた」といった近況報告や、「まだやっているの、すごいね」「また戻ってこいよ、キツイけど楽しいぜ」といった会話が交わされていた。LSweb
 全国のライフセーバーが集う全日本会場はさながら、ライフセーバーたちの社交場だ。

 ちなみに、今大会に選手として出場した最年長は逗子SLSCの刈屋 剛選手、53歳。最年少は高校1年生、盛岡LSCの三浦千穂選手、16歳だ。

「自分の子どもより若い子と真剣勝負できるスポーツなんて、そうないでしょう。だからライフセービングは面白い!」
 と、サーフスキーレースに出場した刈屋。

IMG_0161 三浦は東日本大震災で自宅が被災し、現在も仮設住宅で暮らしている。
 ライフセービングを始めたのは、震災で小学生時代の水泳コーチが亡くなったと知ったから。コーチから教わった水泳が、少しでも役に立てばと思ったのだそうだ。
 現在は高校の陸上部に所属。平日は学校の部活動、日曜日にライフセービング、そして将来は演奏家になりたいと思うほど、ピアノの練習にも力を入れている、元気いっぱいの女子高生だ。今大会は、ビーチスプリントで予選を突破。本戦の1回戦で敗退したが、大舞台の雰囲気を大いに味わったに違いない。


SR、OWRで三井結里花、二冠達成

LSweb 2日目、朝イチからの本戦予選を突破し、サーフレースの決勝に進んだのは男女各30人の精鋭たち。
 オフショアでフラットという、泳力そのものが問われるコンディションの中、女子は三井結里花(九十九里LSC)が日本代表の実力を発揮し、スタート直後からゴールまで後続を寄せ付けない完璧なレースを展開した。

 一人旅の三井とは裏腹に、第二集団は大混戦。特にブイ回りでは、身体的接触も数多く発生する激しいバトルが繰り広げられたようで、入賞メンバーは誰もが「ガリッ、バキッ、バコッ……と、もうすごいことになっていました(笑)」と口を揃えた。

 そんな“女の戦い”を制し、自己最高位の2位となったのが、栗真千里(銚子LSC)だ。3位の山口夏未(日本体育大学LSC)、4位の堤 茅咲(銚子LSC)、5位の越中万智(九十九里LSC)、6位の竹内芽衣(波崎SLSC)は大学生ライフセーバー。7位には高校生の上野真凜(西浜SLSC)が入った。
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 男子の1位は平井康翔(湯河原LSC)。オープンウォーター競技でロンドン五輪に出場した実力を遺憾なく発揮し、独泳状態でゴールした。
「平井くんが追い上げてくるのは分かっていましたから、スタートから飛ばしました。インは1、2番で行けたと思いますが、ブイに到達する前に外側から抜かれて、まるでついて行くことができませんでした」
 と話すのは、2位となった社会人3年目の益子進一(九十九里LSC)。
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 3位は学生最後のオーシャン競技出場となる中本直也(拓殖大学LSC)。4位の平田栄史(館山SLSC)は、近代五種の元日本代表という“水陸両用”アスリートだった。

 昼過ぎからオンショアの風になったサーフエリアでは、続いてオーシャンマン/オーシャンウーマンの決勝が行われた。
 オールラウンドの実力が求められるこの種目だが、競技順が勝敗を左右することもある。今大会は、ホード→スキー→スイムという順番で行われ、女子は三井、男子は長竹康介(西浜SLSC)が連覇を達成した。
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 名須川紗綾(茅ヶ崎SLSC)と西山 俊(湯河原LSC)は、昨年に続き2位。三井と長竹というなかなか抜けない背中に、次こそはとリベンジを誓った。

 3位には男女ともに大学生が入る健闘を見せた。女子の大山玲奈(波崎SLSC)は、先月のインカレで早稲田大学女子総合優勝に貢献したメンバーの一人。国際大会も経験し、クラフト技術も一気に上達した。一方、男子の園田 俊(新島LSC)も、インカレでの同種目優勝で大きな自信をつけたようだ。
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「クラフトではなかなか前にグループに追いつけませんでしたが、最後のスイムで落合さんにだんだん近づいているのが分かったのです。憧れの先輩を抜けるかも!? とがんばりました」
 と園田。秋になっても日焼けしたままの真っ黒な顔をほころばせた。

 オーシャンウーマンでひときわ目を引いたのが、白地に赤い星マークのコンペキャップをかぶった山本裕紀子(若狭和田LSC)だ。クラフトでは出遅れたが、スイムで猛烈な追い上げを見せ4位に。日本海をベースに活動するライフセービングクラブとしては、新潟県の柏崎LSCに続き全日本入賞を果たした。

LSweb 「競泳選手として10年やってきました。ライフセービングに出会ったのは、海で事故を目撃したからです。救助技術も知っておきたいと活動に参加し、監視だけでなく競技もあると知りました。やるならそちらも目指したい、どうせなら格好いいオーシャンウーマンがやりたいと思ったのです」
 と山本。サーフスキーに乗り始めたのはなんと今年の6月からで、まったく乗れない状態から練習を重ね、全日本への出場を果たした。
「スキーはともかく、ボードで大失敗をして出遅れました」
 と話す山本は、表彰台を逃して悔しがり、日本代表を目指すとキッパリ。星のマークのキャップをかぶった、頼もしい新星の登場だ。

内田直人、8年ぶりにサーフスキーを制す

LSweb ベテラン勢が積み重ねてきた経験と熱い思いをぶつけ、渾身の戦いを繰り広げるサーフスキーレース。今年も期待に違わない一戦が見られた。

 スタートから激しいパドリング合戦となった男子は、昨年のチャンピオン、松沢 斉(下田LSC)が先頭で最初のブイを回り、落合慶二(東京消防庁LSC)、出木谷啓太(九十九里LSC)、篠田智哉(勝浦LSC)、内田直人(勝浦LSC)らが追いかける展開となった。

 接近戦のままブイを回り切り、先頭集団はほぼ横一列に。内側に松沢、一番外に内田。逆光の中、シルエットとなった船団が迫ってくる。ゴールライン上でガッツポーズを決めたのは外側のスキー。内側のスキーにはガックリと肩を落とす松沢の姿があった。

LSweb 「西浜は社会人仲間と練習しているホームゲレンデです。朝5時半から約1時間半、時間の合うメンバーが出勤前に集まり、メニューを決めてひたすら漕ぐのです。いつも漕いでいる海なので、今日のようなコンディションでは大抵、西側から波が入ってくると分かっていました。だからブイを回ってからは左に出て、小さなうねりを乗り継いで逆転できたのです。練習メンバーの顔があちこちにあって、練習と同じような気持ちで、冷静にレース運びができたのが良かったのでしょうね」
 と内田。38歳、8年ぶりに全日本チャンピオンに返り咲いた。

 海なし県の長野に住む松沢は、普段は湖で一人、黙々と練習を重ねている。仲間と練習できるのは、夏季休暇などを利用して下田に出かける時だけだ。

LSweb 「正直、ブイを回ってからの内田さんの動きは見えていませんでした。落合くんや出木谷くんたちが近くにいたので。皆で集まり練習していると聞くと、ハッキリ言って羨ましいですね。でもそれは分かっていること。僕は自分のできることを、やるしかないのです」
 と松沢。穏やかな表情の下には、きっと熱い闘志が秘められているのだろう。

 とびきりの笑顔でレースを終えたのは、6位の大西 明(逗子SLSC)、45歳。ベテラン健在である。

 女子のワン、ツー、スリーは日本体育大学のOGが独占した。1位は19期の篠 郁蘭(西浜SLSC)、2位は24期の久保美沙代(和田浦LSC)、3位は22期の河崎尚子(銚子LSC)。表彰台に呼ばれるまでの間、3人で楽しそうに談笑している姿が印象的だった。
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池谷雅美、前人未踏の大記録20勝達成!

 LSwebベテラン勢の活躍はビーチ競技でも見られた。

 女子のみ行われたビーチスプリントでは、ケガから復活した藤原 梢(館山SLSC)が、学生パワーを退け見事に優勝。
「スプリントはなんとかいけました。ビーチフラッグスのほうは、やっぱり(手術した)ヒザに不安があって、思い切りが足りなかったかもしれませんね」
 と言う藤原。ビーチフラッグスは惜しくも3位だったが、彼女の復活を一番喜んだのは、歩くこともままならなかった手術前の姿を知る、館山SLSCの仲間たちかもしれない。

 女子ビーチフラッグスで、全日本20勝目を上げたのが池谷雅美だ。瞬発力と持久力、集中力と判断力が問われるこの競技で、次々と現れる若手を退けて勝ち続けるその精神力には、本当に脱帽する。
 女性にはあまり使われることのない表現かもしれないが、彼女こそまさに“鉄人”と呼ぶにふさわしいスーパーヒロインだ。
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 男子ビーチフラッグスも見応えのあるレースが展開された。ディフェンディングチャンピオンの竹澤康輝(勝浦LSC)、昨年2位の佐々木啓允(相良LSC)はもちろん、本多辰也(東京消防庁LSC)、和田賢一(式根島LSC)、小田切伸矢(西浜SLSC)といった実力者から、血気盛んな大学生まで勢揃いしたレースを勝ち抜いたのが、植木将人(西浜SLSC)だ。
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 鋼のような肉体と、回転の速いスタートダッシュは健在。和田との最終戦を制し、7回目の優勝を決めた。「完敗です」と潔く負けを認めた和田は、11月からオーストラリアへ武者修行に出かける。ビーチフラッグス男子の戦国時代は、新たな局面を迎えそうだ。

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 ベテラン勢の強さが目立ったビーチ種目の中で、唯一、若手が活躍したのが2kmビーチランだ。

 男子は高校3年生の河上尚輝(昭和第一学園LSC)が昨年から順位を一つあげ、見事に優勝。女子は渡邉来美(日本体育大学LSC)が笑顔で1位となった。


白熱の団体種目、そして総合成績は?

LSweb 各クラブの先鋭が集まった団体種目は、手に汗握る接戦が繰り広げられた。オーシャンマンリレーを制したのは、青木将展、西山 俊、平井康翔、そして46歳の比留間 悟が力を合わせた湯河原LSC。オーシャンウーマンリレーは、九十九里LSCとの接戦の末、荒井 閑、篠 郁蘭、上野真凜、神戸友美の西浜SLSCが勝利した。

LSweb 湯河原LSCはレスキューチューブレスキューも優勝し、団体種目二冠を達成したが、ボードレスキューで痛恨の失格。同種目では西浜SLSCも失格となり、僅差の東京消防庁LSCが優勝を手にした。

 東京消防庁LSCの小出大祐と忠 潤基は、今年、消防の全国大会でもチームを組んだ間柄。その時は悔しい思いをしたそうで、レース前「あの時のリベンジをしようぜ」と声を掛け合ったという。「少しラッキーなところもありましたが、優勝できて嬉しい」と同い年の2人はニッコり笑い、お互いの顔を見合わせた。

 ビーチリレーで速さを見せつけたのが日本体育大学LSCだ。石井雄大、森 新太郎、川崎泰弘、岩井寛文というインカレ優勝メンバーで挑み、全日本でも勝利した。日体大は今年から再び大学チームで全日本に参加することになった。近年は所属する地域クラブごとに参加していたが、学校側の意向もあり一丸となって戦うことを選択。過去に何度も総合優勝した強豪チームの復活は、総合成績にも影響を与えることになりそうだ。

 その注目の総合成績は、日がすっかり沈んだ後に発表された。総合優勝は76ポイントで西浜SLSC。69ポイントを獲得した九十九里LSCは過去最高に並ぶ2位、3位は52ポイントで日本体育大学LSCとなった。

「ビーチ種目での活躍が3位入賞の原動力だと思います」
 と日本体育大学LSCメンバー。
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 一方、2位の九十九里LSCは、
「男子のビーチスプリントとボードレースがなくなったことで、リレーなどのメンバーが上手く組め、確実に点が取れたことが成績に繋がったと思います」
 と話す。

 3位の日体大LSCと4位の勝浦LSC、5位の湯河原LSCはそれぞれ1点差。1種目でも順位が違えば、総合順位が入れ替わる僅差の勝負だった。

 大会後 “全日本チャンピオン”というロゴの入った、揃いの真っ赤なTシャツに身を包んだ西浜SLSCメンバーは、主要メンバーの胴上げを繰り返し、優勝の余韻に浸っていた。前身時代も含めると、今回で10回目の優勝となる西浜SLSC。土志田 仁 理事長は胴上げで上気した顔をほころばせながら、こう話してくれた。

  「ほかのクラブに追い抜かれることで切磋琢磨でき、ライフセービング全体の底上げができると思っています。今回は勝つことができましたが、この結果に満足せず、これからもさらに強くなれるよう、メンバー一同で精進します」LSweb


 出場する選手にとっても、応援する家族や仲間にとっても、観戦する人たちにとっても、全日本はやはり特別の大会だ。
 その場にいるということ、その大会に出場するということ、そこで決勝に進むということ、そして常に真剣勝負をするということ、あるいはその瞬間を生で見るということ……。
 その積み重ねが、全日本を特別なものにしているのだろう。来年は40回目の記念大会。ちょうど1年後(2014年10月11〜13日)、それぞれの思いを胸に、再びライフセーバーたちが西浜に集まってくる。

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サーフレース(男女)

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女子ビーチスプリント

 
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オーシャンマン&オーシャンウーマンレース

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サーフスキーレース(男女)

 
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オーシャンウーマンリレー

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オーシャンマンリレー

 
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ビーチフラッグス(男女)

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2kmビーチラン(男女)

 
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ボードレスキュー

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レスキューチューブレスキュー

 
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クラブ総合優勝



★第39回全日本ライフセービング選手権大会 成績表




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第39回全日本ライフセービング選手権大会 初日
総合優勝は、どのクラブの手へ!?
2013/10/13

The 39th Japan National Lifesaving Championships DAY1

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2013年の大会シーズン最後を飾る「第39回全日本ライフセービング選手権大会」が、2日間の日程で神奈川県藤沢市の片瀬西浜海岸にて開催されている。

9月中旬に行われるはずだった東日本予選が、台風の影響で一部競技をのぞき実施されなかったことから、大会期間中の初日は予選に当てられることになった。

明るい日差しとはうらはらに、南からの強風と、チョッピーで荒れた海面という難しいコンディションの中、明日の本戦に向けた戦いが行われた。


文・写真=LSweb編集室




大会初日は本戦へのファイナルステージ

 LSweb今年の全日本、総合優勝争いは熾烈になりそうな気配だ。

 昨年は残念ながら西浜SLSCに予期せぬ形で優勝をさらわれた湯河原LSC。前回の悔しさをバネに「今年こそは」とクラブ一丸となって表彰台の一番高いところを狙っている。
 その内に秘めた意気込みたるや並々ならぬものを感じるが、受けて立つディフェンディングチャンピオンの西浜SLSCも気合いが入っていることは間違いない。

 いずれにしても、両クラブとも「今年はスッキリ勝って気持ち良く勝利の美酒を味わいたい!」という思いがあるのだ。そのために、1年間を過ごしてきたといっても過言ではないメンバーもいる。

 一方、この2チームを押しのけて総合優勝を虎視眈々と狙う強豪クラブも、もちろん存在する。昨年3位の九十九里LSCを筆頭に、勝浦LSCや館山SLSCといった千葉県勢、下田LSCや波崎SLSCといった昨年の入賞組も忘れてはいけない。

 ご承知の方も多いと思うが、今大会は一番エントリー数の多いボードレースと男子のビーチスプリントがカットされた。こうした事情もあり今年の総合優勝の行方は混沌としている状況だ。
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 北は岩手から南は沖縄まで、58クラブ、1285人が参加する全日本。はたして本戦ではどんなレースが行われ、どのクラブが優勝カップを手にするのだろうか?

★大会初日&インタビュー動画

〜 総合優勝を狙う西浜SLSCと湯河原LSC、それぞれの意気込み 〜




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第28回全日本学生ライフセービング選手権大会
競技会レポート総集編
2013/10/03

The 28th INTER COLLEGE SURF LIFESAVING CHAMPIONSHIPS-Memoirs

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「The Next Stage 〜次なる一歩〜」という目標を掲げ開催された、第28回全日本学生ライフセービング選手権大会は、日本体育大学と早稲田大学の男女総合優勝で幕を閉じた。

部員数60人以上の大所帯クラブから、たった1人で孤高奮闘するクラブまで、活動する人数や形態は学校によりさまざまだが、ライフセービングにかける思いは誰もが真剣そのもの。そんな熱気あふれる大会だった。

文・写真=LSweb編集室




CPRアセスメント、A評価は得点加算へ

 LSweb各大学の学生ライフセーバーが集う、日本ライフセービング協会の学生室が中心となって企画・運営されるインカレ。今年、学生委員の中心となって奮闘したのが、学生室・競技部部長の杉井晴香(日本体育大学)と、競技部副部長の石川拓実(国際武道大学)だ。

「今回のテーマ『The Next Stage 〜次なる一歩〜 』は、ライフセービング界を学生が引っ張っていこう、そのためにも学生の能力向上と底上げを目指そう、という気持ちを込めたものです。初の試みとして、CPRアセスメントの得点を(総合得点に)加算することにしました。これも、ライフセーバーとしての本質をしっかり意識してほしいからです」
 と杉井。

 国内で開催されるライフセービング競技会では、これまでも各クラブから無作為に選ばれたライフセーバー2人による、CPR試技のチェックが行われており、AからCまでの評価発表と、インストラクターによるフィードバックがおこなわれていた。今回、こうした日本独自の競技スタイルをさらに一歩すすめ、A評価の学校に8点が加算されるシステムを採用。総合成績の行方にも影響を及ぼすこととなった。

 8点加算されるということは、一つの競技で優勝するのと同じということだ。今大会、男子の総合成績は日本体育大学と国際武道大学が共に61ポイントで並び、1位獲得数の多い日本体育大学が優勝したが、日本体育大学にはCPRアセスメントの8ポイントが加算されていることを忘れてはいけない。
 女子の場合も、競技成績だけなら1位の早稲田大学と2位の日本大学にポイント差はない。しかし、早稲田大学にCPRアセスメントのA評価、8点が加算されたため、8ポイント差をつけて早稲田大学が初優勝を手にした。
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 CPRアセスメントの結果は成績表のとおりだが、男子は入賞8校中6校がA評価を獲得。女子も、入賞8校中6校がA評価を得ている。
 競技会でCPRアセスメントを行うという日本独自の試みをさらに一歩進めるためには、例えば、今後同点ポイントで並んだ場合には、CPRアセスメントの評価によって順位の優劣を決めてもいいのではないだろうか。LSweb

 ところで、金城学院大学の兼田沙也花は同校唯一のライフセーバーだが、CPRアセスメントでしっかりとA評価を獲得した。
「姉が中京大学でライフセービングをしていたため、私も大学生になったらライフセービングをしようと決めていました。でも学校にクラブはなくて……。校内で勧誘も試みているのですが、なかなか興味を持ってくれる人がいません。普段は中京大学の学生や、愛知LSCのメンバーと一緒に練習しています」
 サーフレースを終えた大学2年生の兼田は、笑顔でこう話してくれた。


早稲田女子、少数精鋭で総合優勝

 学生が主役のインカレ。海での大会はこれが最後となる最終学年生はもちろんのこと、インカレデビューの1年生、後輩のできた2年生、そして中心学年としてパトロールに競技に忙しい3年生と、それぞれが躍動感あふれる戦いを見せてくれた。
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 そんな中、今回女子メンバー6人で総合優勝を成し遂げたのが、早稲田大学だ。インカレ直前に御宿海岸で開催された、国際大会に日本代表として出場した大山玲奈をはじめ、竹内芽衣、阿南藍子、高柴瑠衣、柴﨑夏波、中武美穂の結束は固い。各人がサーフ競技で上位に入賞し得点を稼いだ。LSweb

 レスキューチューブレスキューを優勝で飾った4人に話しをきくと、
「練習はスイム練2回と陸トレ2回の週4回です。でも同好会なので、場所の確保が大変なんです」
 という答え。波崎SLSCや鹿島LGT、九十九里LSCなどに強豪クラブに所属し、トレーニングを積んでいる。
「ビーチ種目もエントリーしていますが、ビーチは苦手で……アハハ」
 と朗らかに笑うメンバーたち。今回の優勝メンバーには2年生も多い。女子の活躍に奮起した男子共々、今後の活躍に大いに期待したい。


 広島国際大学と福井県立大学は、はるばる御宿の海へかけつけ、千葉科学大学や中京大学は部員の数も増え、頼もしさが増した。関西からは大阪体育大学ほか、関西学院大学と関西大学が参加。國學院大学も少ないメンバーながら、女子ボードレスキューで8位入賞など健闘した。和洋女子大学や、新潟産業大学、東洋大学、日本福祉大学など、地道に活動を続ける大学も多い。
 こうした学生ライフセーバーの活躍は、間違いなく日本のライフセービング界を支えていることを再認識した、第28回全日本学生ライフセービング選手権大会だった。
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★第28回全日本学生ライフセービング選手権大会 成績表









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