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西浜SLSC、ホームビーチで三連覇達成!
2位はビーチ競技を席巻した日体大LSC
2014/10/15

第40回 全日本ライフセービング選手権大会 2014.10.11-12 神奈川県藤沢市・片瀬西浜海岸

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迫り来る台風19号の影に不安を抱きながら開催された、第40回全日本ライフセービング選手権大会。

大会2日目は初日よりさらに波高が上がり、オーシャン競技ではイン、アウトで数々のドラマが生まれた。

一方、1週間前に上陸した台風18号の影響で狭くなった砂浜で行われたビーチ競技では、瞬きする暇もないほどの僅差の勝負が繰り広げられた。




文・写真=LSweb編集室




ライフセーバー、ビーチを疾走

LSweb 40回目の開催となった全日本。今年から西日本、東日本に加えて中日本でも予選会が行われるようになり、北は北海道の小樽LSCから、南は沖縄の万座LGTまで、日本全国から57クラブ、1285人(男子851人、女子434人)が参加する国内最大の大会となった。

 大会2日目も、全国1200人超のライフセーバーの頂点に立つ、激しい戦いが繰り広げられた。そんな中、ビーチ競技で強さを見せたのが学生ライフセーバーたちだ。

 足元が不安定な砂浜を90m全力疾走するビーチスプリントでは、男女ともに日本体育大学LSCが優勝。女子はインカレから好調の長野文音が全日本も制し、男子は長身の森 新太郎がインカレ覇者で同期のライバル、石井雄大を押さえて嬉しい初優勝を手にした。

 「高校時代はバスケット部に所属していましたが、あまり活躍することができませんでした。ライフセービングで自分の特技を活かせるようになり、嬉しいです。これからも、もっともっとクラブのため、人のためになれるようがんばります」
 と大学2年の長野。
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 一方、大学4年の森はゴールした瞬間に勝利を確信し、順位が告げられる前から感極まった表情を見せた。
 「4年間、ずっと狙ってきたタイトルを、学生最後の年に取ることができました」
 と、真っ赤な目でヒーローインタビューに答えた森だった。

 日体大LSCの森、石井に七海元紀、岩井寛文を加えた4人は、続く男子ビーチリレーでも優勝。2位以下を寄せ付けない圧勝だった。

 女子ビーチリレーは、勝浦LSCが但野安菜、水間菜登、川島智子、坪井あかねとバトンを繋ぎ、肉迫する下田LSCをかわしてトップでゴールした。先の世界大会にも出場した但野と水間は息もピッタリ。チーム内のバトンの受け渡しもスムースだった。
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 ところで、水間は元々、スイムが得意な選手だった。特にフィン系の種目では、大会毎に日本記録を更新するトップスイマーだ。しかし、日本代表に選出され、ランのトレーニングも強化したことでスプリントの才能も開花。今大会では個人種目のビーチスプリントでも5位に入賞する実力をつけた。

 「スプリントでも表彰台に立てるようになれば格好いいですよね。目指したいです」
 と水間、ビーチリレーの金メダルを手に、サラリと次の目標を口にした姿は実に颯爽としていた。

 最終種目の2kmビーチラン。女子は波崎SLSCの大井麻生がラストスパートで一気に飛び出し、嬉しい初優勝を遂げた。
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 男子は昨年の雪辱を晴らし、日体大LSCの鈴木友三朗が優勝。2位には昨年の6位からジャンプアップした、下田LSCの須藤 凪が入った。2位にあと一歩及ばず3位だったのが、大阪LSCの土岐義也。LSweb

 「姉がライフセービングをやっていたことが、クラブに入るきっかけでした。夏は和歌山県の片男波海水浴場でガードをしています。ライフセービングを始めて3年目、競技は昨年から始めたので2年目となります。
 大阪LSCで本戦まで進んだのは僕だけでしたが、関東は競技も盛んなので新たな刺激を受けました。この刺激を関西に持ち帰って、またがんばります」

 大阪大学の3回生で、高校までは陸上部で長距離を走っていたという土岐。活動の歴史は決して短くない関西地域だけに、競技でも土岐に続く活躍を期待しよう。気張ってや〜、関西勢!

最後のフラッグを掴んだのは?

LSweb 予選、二次予選、準決勝と、決勝の舞台にたどりつくまで、もっとも長丁場の戦いを強いられるのが、参加選手の多いビーチフラッグスだ。特に実力僅差の男子は、スタミナと集中力が切れたら即ダウン! という過酷な運命が待ち受けている。

 そんな男子で決勝に残ったのは、世界大会帰りの西浜SLSC・小田切伸矢と式根島LSC・和田賢一、全日本8回優勝の西浜SLSC・植木将人、インカレ覇者の勝浦LSC・堀江星冴。
 さらに石井雄大、西 大樹、森 新太郎の日体大LSCトリオ、インカレ3位の九十九里LSC・坂田 郷、岩井LSCの西山一貴、横浜海の公園LSCの近藤毅歩、そしてオープン参加のモーガン・フォスターの11人。

 和田、植木、小田切、フォスターらが順調に勝ち上がる中、切れの良いスタートと力強いスプリントで着実にフラッグをものにしていったのが、若手の堀江だ。ベスト5の一戦では小田切を撃破。しかし、その次はフォスターが経験の違いを見せつけた。

 優勝争いは植木、和田、フォスターの3人に絞られた(フォスターはオープン参加のため順位はつかない)。シーンと静まり返る大会会場に、スターターの声が響く。

 「コンペティターズ・レディ、ヘッズ・ダウン」。……と、ホイッスルより一瞬早く、植木の体が動いてしまった。その瞬間、フライングを指摘する笛の音と、観客からのため息が会場を包んだ。昨年の勝者、植木はここで敗退が決まった。
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 終始、俊敏な動きをしていた和田に、プレッシャーを感じていたのだろうか。一瞬、天を仰いだ植木は、無念さをにじませた顔でレコーダーテントへと向かう。その姿を目で追う観客の中には、すでに敗退したライバルたちの、ねぎらいの視線がいくつもあった。事実上の決勝戦はあっけなく終わり、和田とフォスターの一騎打ちは、和田の勝利で幕を閉じた。

LSweb 全日本優勝8回の植木は、ヒザを軸に体を引きつけてコンパクトに回るスタートに磨きをかけ、世界大会でもメダルを手にしてきた。
 彼の強さに憧れ、植木のスタートをマネる若手が多い中、和田は試行錯誤を繰り返して独自のスタートを習得。世界一になるという目標を公言し、海外へ武者修行に出かけては、言葉の壁にぶつかりながらも“ワダケンスタート”を確立していった。

 これまでは、注目されながらもコンスタントに勝ち続けることができなかった和田だが、今大会ではどのレースも危なげなく確実にフラッグを手にし、最後の1本を掴んだ時には、実に嬉しそうにニッコリ笑った。

「勝因のひとつは、精神力がついたことだと思います」
 と和田。その穏やかな口調に、ワダケン時代到来を感じた。

LSweb 女子ビーチフラッグス界にも、確実に新世代の波は押し寄せている。
 今大会は4位に終わったが、世界大会で銀メダルを獲得した勝浦LSCの但野、インカレで但野を破った新島LSCの川崎汐美、日体大LSCの宮崎早穂、西伊豆LSCの藤野智秋らの活躍は、今後も大いに期待したい。

 だが、女子ビーチフラッグス界には超人がいることを忘れてはいけない。全日本優勝20回の池谷雅美だ。LSweb

 今大会でも圧倒的な強さは健在。徐々に足に負担のかかる、緩い上り坂のゲレンデコンディションをものともせず、圧巻のスタートと力強いスプリントで、一人、異次元の速さを見せつけていた。

 そして川崎との最終ヒート。「とにかく思い切りやった」という川崎を貫禄で押さえ、21回目の全日本タイトルを手にした。

 「練習は普段通りしています。最近は(夫である池谷)薫さんと一緒にやることも多いですね。競技中の状況は、なんというのか、スローモーションで見えるんです。フラッグの位置、周りの選手の動き、そういったものがパッ、パッとコマ送りのように見えています」
 強さの秘訣を問うと、うーんと少し考えこんだ後、こう話してくれた池谷。
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 コメントの内容がすでに常人離れしていると思うのは、筆者だけだろうか。いずれにしても、20歳近くも年下の選手たちを向こうに回し、悠々と戦い続ける彼女は、もはや現役にしてライフセービング界のレジェンドと言ってもいいだろう。

手に汗握る、波打ち際の攻防

LSweb 台風19号の影響で見応えのあるコンディションとなったオーシャン競技。

 特に最後の最後まで勝敗の行方が分からない、大混戦となったのがボードレースだ。アウトで同じ波に乗って十数人が戻ってくると、波打ち際のラン勝負を経て、雪崩を打ったようにフィニッシュラインに飛び込むという状況が、予選でも、準決勝でも展開され、有力選手の何人かは決勝に進むことができなかった。

 そして迎えた決勝。
 女子はブイを回った段階で茅ヶ崎SLSCの名須川紗綾がリードを奪った。しかし干潮時と重なったからか、先頭を行く彼女には波が来ない。パドリングで差を広げようとする名須川だが、その間に無情にも第二集団が波を掴みあっという間に追いついた。
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 横一線に並ぶトップ選手たち。と、いち早く名須川がボードから飛び下りた。水位はモモのあたりか。横に並ぶ白浜LSCの佐伯芽維はまだパドリングを続けている。どちらが速いのか? ウェーディングとパドリングが互角のスピードだったのは僅かの時間で、波打ち際を一足早く駆け抜けた名須川が先にフィニッシュした。

LSweb 会心のレース展開で優勝した名須川に、歓喜の声を上げながら駆け寄ってきたのが、妹の名須川茉莉乃をはじめとする茅ヶ崎SLSCの仲間たちだった。

「今日のようなコンディションでは、リードしていても後ろから波に乗って追いつかれ、最後はラン勝負になると思っていました。だから、どこで下りるかの見極めが大事だと。あまり深いと走れないし、インショアホールがあるかもしれない。波が大きければ当然、引き波のパワーも強いので、走り出すタイミングに悩みました。
 同じ波に乗っていたメンバーの中では、私が一番先に下りましたよね。実は……、ここだ! と確信があったというよりは、お願い!(うまく走らせて)という気持ちで下りたんです。このところ表彰台の一番上から遠ざかっていたので、今日は素直に嬉しいです」
 と、晴れ晴れとした表情を見せた名須川だった。

LSweb ビデオ判定となった男子のレースを制したのは、下田LSCの高岡洋介。
 西浜SLSCの荒井洋佑や長竹康介、九十九里LSCの出来谷啓太、下田LSCの先輩でもある金子 悟といった蒼々たるメンバーを押さえての、全日本初優勝となった。

 サーフレースは、男女ともに大学生の2人が制した。女子は日体大LSCの坂本佳凪子が、鹿島LGTの高柴瑠衣をかわしてフィニッシュ。男子は湯河原LSCの大島圭介が、オープンウォータースイムで五輪に出場したクラブメイトの平井康翔を逆転しトップとなった。LSweb

「西浜はジュニアの時から慣れ親しんだ場所なので、上手く波に乗ることができました」
 とはにかんだ笑顔を見せた坂本。ジュニア時代から注目されていた彼女が、初の全日本タイトルを手にした。
 
 前のレースで足を負傷したという高柴は、
「それは言い訳でしかありません」と、苦笑いした。

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 「練習の時から、平井さんには歯が立ちませんでした。でも今日のように波のあるコンディションなら……と気合いをいれていたんです。
 ブイを回った時はずいぶん差がありましたが、波が来たので、これ1本にずーっと乗っていくぞと思って。途中で落ちましたが、横を見たら平井さんと同じ位置にいたので、追いついたなと思い、次の波は絶対に最後まで乗る! とがんばりました。なんというかライフセーバーの意地です。いやぁ、勝てて嬉しいです」と大島。LSweb 

 一方、2011年から同種目3連覇を達成していた平井は、
「あー、2020年まで10連覇する予定だったのに」
 と悔しそう。

 オーストラリアでライフセーバーと一緒にトレーニングしているという平井は、
「でも、いい勉強になりました」
 と、潔く負けを認めていた。

 リレー種目は地元、西浜SLSCがオーシャンウーマンリレー、オーシャンマンリレー、男子ボードレスキューの3種目を制し強さを見せつけた。

 精鋭揃いの西浜SLSCだが、オーシャンウーマンリレーではスイムの上野真凛が、オーシャンマンリレーではやはりスイムの上野 凌が、見事なボディサーフィンで優勝に貢献した。

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 2人はジュニア出身の兄妹で、兄の凌は大学1年生、妹の真凛は高校3年生だ。子どもの時から海に親しみ、ガードでも競技でも戦力となるメンバーを育てる……。西浜SLSCが目指す一つの理想型が実現した全日本だった。

 オーシャン競技で圧巻だったのが、男女のボードレスキューだ。
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 男子は長竹、荒井の息の合った西浜SLSCペアが、予選も決勝も、一つの波に乗り続ける安定感と抜群のテクニックで、余裕のフィニッシュを決めた。
 ダブルサイズの波を難なく滑り降りると、高々とガッツポーズを上げる2人。惚れ惚れするようなシーンだった。

 女子ボードレスキューでも、男子顔負けのライディングが見られた。予選で観客を唸らせたのが、湯河原LSCの植松知奈津と三木玲奈。ピックアップから間もなくして波を掴むと、そのまま一気に波打ち際まで到達。男子からもヤンヤの喝采を浴びた。

 LSweb だが、続く決勝で魅せてくれたのは、栗真千里と河崎尚子の銚子LSCだった。こちらも沖から浜まで一つの波に乗り続け、圧勝でボードレスキューを制した。ラフなコンディションでも、いつも楽しそうにクラフトに乗る河崎だが、さすがに決勝レースでは少し緊張した表情を見せていたのが印象的だった。

 総合優勝は地元、西浜SLSC。
 2位の日体大LSCに12ポイント差をつけ、3連覇を達成した。表彰式も終わり、江の島の灯台が夜の海を照らす頃、同クラブで競技部理事を務める荒井洋佑が胴上げで宙に舞った。

LSweb その様子を横目で見ながら、来年こそは……の誓いを新たにしたクラブも多かったはずだ。
(選手敬称略)

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★☆「第40回全日本ライフセービング選手権大会」成績表☆★



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女子サーフスキーレース

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男子レスキューチューブレスキュー

 
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男女ビーチスプリント

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男女ボードレース

 
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男女ビーチフラッグス

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男女サーフレース

 
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男女2kmビーチラン

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男女ボードレスキュー

 
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男女ビーチリレー

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オーシャンウーマン/オーシャンマンリレー

 
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総合成績表彰








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40回目の全日本は
台風の足音を聞きながら
2014/10/12

第40回全日本ライフセービング選手権大会・DAY1

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40回目の全日本、開催!


10月11〜12日の2日間、神奈川県藤沢市の片瀬西浜で第40回全日本ライフセービング選手権大会が行われている。

当初は連休の3日間にわたって開催される予定だったが、猛烈な台風19号が日本に接近中のため、2日間に短縮しての開催となった。

3種目で決勝レースが行われた初日の様子を見ていこう。

文・写真=LSweb編集室




恨めしや、台風19号

LSweb 今年は台風の当たり年と言えそうだ。9月下旬に開催されたインカレは台風17号の影響を受け、全日本の1週間前には、関東地方に大型の台風18号が上陸した。

 この台風の影響で、会場となる片瀬西浜には大量の流木やゴミ、プレジャーボートまでが打ち上がり、また砂浜もえぐり取られる状態となってしまった。

 そんな状況に素早く対処してくれたのが地元自治体や、この浜を拠点とする西浜SLSC、そしてビーチクリーンに駆けつけてくれたライフセーバーたちだ。
 お陰でなんとか大会が開催できるコンディションが整ったわけだが、全日本を前に最後にやってきたのが、今年発生した台風の中で一番大きいと言われる台風19号だった。

 これには、主催者も頭を抱えたことだろう。結局、40回目の記念大会ということで行われるはずだったジュニアレースを中止し、3日間の予定を2日間に短縮して開催することになった。

 ジュニアにとっては憧れの全日本。同じ舞台に立てることを楽しみにしていた彼らには非常に残念な結果となってしまったが、天候が急激に悪化することが予想される状況では、致し方のない判断といえるだろう。なにより、ライフセービングの大会で事故を起こしては、元も子もない。ジュニアのみんな、ライフセービングを続けていれば、いつか、きっと自分の力で出られる日がくるはずだ。

同じ波に乗る3人。明暗を分けたのは?

LSweb 台風の影響が心配された全日本だが、大会初日は時折オーバーヘッドの波がセットで入る、ちょうど面白いコンディションとなった。そんな中で最初に行われたのが、サーフスキーの決勝レースだ。

 男子は予選から激戦が繰り広げられ、出木谷啓太(九十九里LSC)、落合慶二(東京消防庁LSC)ら、トップを狙える選手が決勝へと駒を進めることができなかった。そして行われた決勝。

 スタートから飛び出したのが、篠田智哉(勝浦LSC)、西山 俊(湯河原LSC)、小林 海(大坂体育大学LSC)といった若手で、その後ろをディフェンディングチャンピオンの内田直人(勝浦LSC)、大西 明(逗子SLSC)、池脇 良(下田LSC)らベテラン勢が追走した。

 トップでブイを回ったのは篠田。続いて内田。ベテランの大西がアウトで追いつくと、浜に向かって右から篠田、内田、大西と並んで一つの波に乗り始める、手に汗握る展開となった。

LSweb どうなる? と息を呑んだ瞬間、両端の2人がほぼ同時に沈。真ん中の内田だけが鮮やかに波に乗り続け、ガッツポーズとともにフィニッシュラインを切った。二連覇達成である。

 「私のスタートは決して速くないです。弱いと分かっているので練習はしていますが、それでも、いつも練習仲間の出木谷や落合といった若手に半艇身ほど置いていかれるのです。でも持久力はあるほうなので、離されずにブイを回ることができれば、挽回するチャンスはあると思っていました。
 今日は篠田に続いて2番手でブイを回れたので、いくぞと。波が来てからは、とにかく漕いで、漕いで、テールがスープに飲み込まれないように体重を前にかけ気味にして、漕ぎました。
 スキーが一度ブレると、もう修正が効きませんから、漕ぎ続けましたよ。後ろからデカイ(波)のが来ているのは見えていましたから。波に乗る時の漕ぎ出しのタイミングというのは、個人の感覚なのでなんとも言えませんが、スタミナ切れで、ここぞというタイミングで漕げないこともあります。その点だけは自身がありました」
 と優勝した内田。

 一方、篠田と大西はその後のリカバリーが明暗を分けた。

LSweb 「漕ぎ出しのタイミングが少し遅くて沈してしまいましたが、その後、すぐに乗り込んで次の波に乗ることができました」
 と言うのは2位の篠田。

 「悔しいなぁ」と何度もつぶやいた大西は、
 「久しぶりに全日本で表彰台に上がれるかと思ったんですけどね。漕ぎ出しのタイミングが少し遅れたのと、次の波が来るまでに艇に乗ることができなかった結果が、7位です」
 と敗因を分析。最後に「まだまだ、俺は下手だなぁ」とつぶやいた。
 3位には池脇 良(下田LSC)が入った。

盤石の男子、大逆転の女子

LSweb スキー→ボード→スイムの順番で行われたオーシャンウーマン/オーシャンマンレース。

 女子はスキーで河崎綾子(湯河原LSC)がトップとなったが、続くボードで毛利 邦(館山SLSC)が逆転に成功。そのまま得意のスイムに繋げ、全日本での初のオーシャンウーマン・タイトルを手にした。

 「実はサーフスキーレースでラダーが効かなくなってしまい、最初のスキーはとにかく沈しないようにと慎重にいきました。その後は、とにかく勝ちたいという気持ちが逆転に繋がりました」
 と毛利。2位はスイムが得意な高柴瑠衣(鹿島LTG)が、苦手のクラフトを克服し表彰台に登った。
 「最後にスイム、という順番も少しラッキーでした。クラブや大学のメンバーとクラフトを練習した成果が出て、嬉しいです」
 と満面の笑み。昨年優勝した三井結里花(九十九里LSC)は3位だった。
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 男子は長竹康介(西浜SLSC)が終始トップを守り危なげなく優勝。スイムで猛追した菅沼寛也(下田LSC)は一歩及ばす2位。3位にはスイムで波に乗り大逆転に成功した上野 凌(西浜SLSC)が入った。

 「スキーは(篠田)智哉に引っ張っていってもらった感じです。最後まで波に乗れたので、ボードでもう少し差を広げたかったのですが、あの時間帯だけ波がまったくありませんでしたよね。後続のボードが追いついてきているのは感じていました。
 今日のようなコンディションでは、(波で追いつかれて)最後はラン勝負になると分かっていたので、スイムでは最後まで余力を残しておくことを心がけました」
 と長竹。スイムの終盤、菅沼の追い上げにも焦らず、波を待って体力を温存する冷静なレース運びで、オーシャンマン三連覇となった。
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女子RTR 、初代女王は日体大

LSweb 日没間近に行われたのが、男女のレスキューチューブレチュキーだ。

 全日本は今年で40日目を迎えたが、女子だけの決勝が行われたのは今大会が初めて。初代女王には、力強いドラッグで2位の西浜SLSCを振り切った、日本体育大学LSCが輝いた。

 「救助者役のスタートは4、5番目だったと思います。チューブを巻く時に2番目になり、そこから前を追う展開となりました。西浜SLSCと競ってきましたけど、ドラッグは私たちのほうが速かったです。ケガのため、直前で入れ替わったメンバーもいるので、4人プラス3人、7人の力が結集した結果です!」
 と日体大の4人は笑顔を見せた。
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 3位は銚子LSC。
「前の2チームには追いつけませんでしたが、自分たちも館山SLSCや下田LSCと競っていたので、これはドラッグ勝負になるなと。無我夢中でしたが、3位になれて嬉しいです」
 と抱き合って喜びを爆発させた。

 大会2日目。台風の影響は総合優勝にどう影響するだろうか?


【全日本初日の結果】

☆男子サーフスキーレース
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1位:内田直人(勝浦LSC)
2位:篠田智哉(勝浦LSC)
3位:池脇 良(下田LSC)
4位:西山 俊(湯河原LSC)
5位:小林 海(大阪体育大学LSC)
6位:松沢 斉(下田LSC)
7位:大西 明(逗子SLSC)
8位:野口大輔(鴨川LSC)

※女子サーフスキーレースの結果は審議中(初日終了時)


☆オーシャンウーマン
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1位:毛利 邦(館山SLSC)
2位:高柴瑠衣(鹿島LGT)
3位:三井結里花(九十九里LSC)
4位:宮下祥子(西伊豆LSC)
5位:高橋志穂(柏崎LSC)
6位:中島静香(湯河原LSC)
7位:河崎綾子(湯河原LSC)
8位:名須川紗綾(茅ヶ崎SLSC)

☆オーシャンマン

1位:長竹康介(西浜SLSC)
2位:菅沼寛也(下田LSC)
3位:上野 凌(西浜SLSC)
4位:三木翔平(湯河原LSC)
5位:園田 俊(新島LSC)
6位:榊原 司(波崎SLSC)
7位:金丸大将(九十九里LSC)
8位:篠田智哉(勝浦LSC)

☆女子レスキューチューブレスキュー
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1位:日本体育大学LSC
2位:西浜SLSC
3位:調子LSC
4位:館山SLSC
5位:下田LSC
6位:湯河原LSC
7位:勝浦LSC
8位:大坂体育大学LSC

※男子レスキューチューブレスキューの結果は審議中(初日終了時)







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29回目のインカレ、
熱戦の様子をフォトムービーで再現!
2014/10/04

The 29th INTERCOLLEGE SURF LIFESAVING CHAMPIONSHIPS Photo Movie

LSweb2014年9月27-28日───。

 台風17号の影響により初日から強い風が吹き、絶え間なく高波が押し寄せるハードなコンディションとなった第29回インカレ。

 あれから丁度、1週間が経った。

 学生時代のたった4年間しか出場できない大会。先輩の背中を追う1年生、昨年より成長した姿を披露する2年生、チームの核となって奮闘する3年生、そして4年生にとっては、泣いても笑ってもこれが学生クラブ対抗としてのオーシャン競技最後の舞台となる。

 自然相手の厳しい条件をものともせず、己のため、チームのため、それぞれの想いを胸に挑んだ学生諸君の2日間の記録を簡単にではあるがフォトムービーにまとめてみた。

 この映像が、あの日、あの一瞬の出来事や胸中、感動をもう一度思い起こさせるキッカケとなり、仲間とのコミニュケーションの道具として少しでもお役に立てるなら我々もとてもうれしく思う。

From LSweb編集室




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★☆ 第29回インカレ・フォトムービー ☆★


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天気晴朗ナレドモ波高シ
29回目のインカレは総合成績つかず
2014/09/30

第29回全日本学生ライフセービング選手権大会 DAY2 千葉県・御宿中央海岸 2014.9.27-28

LSweb台風17号の影響で強風と高波に見舞われた今年のインカレ。

大会初日は予定どおりレースを消化できたが、2日目は天候がさらに厳しくなり、オーシャン競技すべてが中止となった。

これにより、予定されていた競技種目の7割以上を実施することが不可能となり、大会規定により総合成績の集計は行われないことに。

学生最後の大会に気合いを入れて臨んだ最終学年生にとっては、そして先輩たちとの最後のレースを楽しみにしていた下級生にとっては、非常に残念な状況となってしまった。

そんな中、レースに出られなかった仲間の分までがんばろうと、ビーチ競技では白熱したレースが展開。手に汗握る接戦に、歓声と悲鳴がこだました。

文・写真=LSweb編集室




ビッグウェーブに挑む

 大会2日目。初日よりさらにサイズアップした波に、海を見つめる学生たちは緊張気味。ダブルの波がセットで入るたびに、浜のあちこちから「おー!」というどよめきが上がった。

 そんな中、朝一番で女子ボードリレーの予選がスタート。
 予想どおり、インで苦戦する選手たち。沖に出られない学校もある中、最初にショアブレイクを抜けたのが、オレンジのキャプの法政大学だ。続いて、日本体育大学、千葉科学大学が沖のブイへと向かう。
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 東から西へと流れる強い潮流のため、浜に戻ってくる選手たちは西へ、西へと流されたが、それでも3大学とも波と格闘しながら浜に戻ると、2走へとタッチした。

 しかしその後、アウトで沈してボードを流す選手が出るなど、競技続行が困難な状況になり中断。女子第2ヒートも待機となった。

LSweb ところで、サバイバルとなった女子第1ヒートで3人全員がコースを回ったのは、トップの法大だけ。
 1走の荒井美結は波崎SLSC、2走の高松実里は鹿島LGT、3走の田中 舞は波崎SLSCと、いずれも波が立つことで知られる茨城県の地域クラブに所属し、夏のガードを行ったメンバーたちだった。

「私、波崎のメンバーの中ではヘタレで、いつも仲間から叱咤激励されているんです。でも、今のレースを完走したことで、皆から『良くやった!』と認めてもらえました!」
 と興奮した様子の荒井。
 他大学の波崎メンバーから頭をポンポンと叩かれ、チームメイトと抱き合って喜びを分かち合っていた。

 そうこうするうちに、女子第2ヒートの前に男子ボードリレーが行われることとなり、第1ヒートがスタート。

 号砲と同時に、東へ大きく回り込んでから海に入ったのが、大阪体育大学の1走、小林 海だ。
 潮流を考慮しての作戦。トップでブイを回ると、トリプルはあるかという大波を安定感抜群のボードさばきで乗り切り、浜へと戻ってきた。
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 続いて明治大学、順天堂大学が2走へタッチ。いずれも東へ大きく迂回してから海へと入り沖を目指した。ここで3位まで順位を上げたのが日本大学。その勢いのまま3走へとタッチすると、一気に先頭集団に追いつき、このヒートのトップでフィニッシュした。

 第2ヒートは早稲田大学、東海大学湘南校舎、法政大学、国士舘大学が走者ごとに順位を変える面白いレース展開となり、最後は国士大がトップフィニッシュ。午後からの決勝レースが楽しみな顔ぶれが出揃った。
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 しかし、その後さらに海況が悪化。大会運営にあたったJLA学生室、審判団、安全課を交えた協議の結果、12時55分、オーシャン競技すべての中止が決定した。
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白熱、ビーチフラッグス

LSweb オーシャン競技の中止が決定し、総合成績も集計されないことが発表されると、学生たちの間に一瞬、失望感が漂った。

 しかし、天候に左右されるのは野外で行われる競技の宿命でもある。気持ちを切り替え、ビーチ競技の応援へと走り出していった。

 インカレで行われるビーチ競技は、個人種目のビーチスプリントとビーチフラッグス、さらに団体種目のビーチリレーと1km×3ビーチランリレーの4種目。

 ビーチランリレー以外は、いずれも予選、二次予選、準決勝を経て、決勝へと進出する長丁場だ。足にかかる負担は相当なもので、痙攣する選手も多く見られた。そして、往々にしてそれが勝敗の分かれ道ともなった。

 例えば、男子ビーチフラッグス。昨年までの絶対王者が卒業し、誰がこの競技を制するのか注目されたが、ベスト3を決めるレースの直前、昨年2位の東海大クレスト、石橋拓土が足をつってしまう。

 スタートを中断してもらい、必至でケアする石橋。その石橋に、すっとペットボトルの水を差しだしたのが、ライバルの国際武道大学、安里 翼だった。

 その光景に、どこからともなく拍手が湧く。そして再スタート。だが、石橋の右足は限界だったようで、フラッグに飛び込んだまま起き上がることができなかった。その石橋に肩を貸したのが、神奈川大学の坂田 郷。競い合ったライバルはまたかけがえのない仲間でもあるのだ。
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 ベスト3は坂田、安里、そして同じく武大の堀江星冴の3人。続くレースでは、神大の坂田が2コースで、武大の2人に挟まれる格好となった。それまで思い切りの良いスタートを切っていた坂田だが、このレースでは迷いが出て惜しくも敗退。

「左に行こうと決めていたのですが、相手が思ったより早くて、やっぱり右か? と迷ったのがいけませんでした」
 と、敗因を語った。
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 武大対決となった最後の1本。互角のスタートから並走へともつれ込んだが、最後にしっかり体を入れ、がっちりとフラッグを掴んだのは、2年生の堀江だった。

 安里は4年生。決してやりやすくはなかったと思うが、見事なレースで“ビーチフラッグスの武大”をアピールした。

“ビーチフラッグスの武大”を代表するのが、先の世界大会で銀メダルを獲得した女子ビーチフラッグスの但野安菜だろう。
 その但野に毎年挑み続けてきたのが、日本女子体育大学の川崎汐美だ。但野は4年生、川崎は3年生、インカレでの直接対決はこれが最後となる。

 そして、2人が勝ち上がった最後のレースで、意地を見せたのが川崎だった。スタートからシャープで、ランも力強く、最後まで但野に引けを取らなかった川崎は、フラッグを握りしめて歓喜のガッツポーズを決めた。
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「安菜さんはいつも大きな壁でした。最後はとにかく転んでもいいから、思い切りやろうと思っていました。そうでなければ安菜さんに勝てませんから。
 今日はレース中に良い時と悪い時があって、でもなぜそうなのかは結局分からずじまい。最後も何で勝てたのか分かりません。でもチームに少しでも貢献できたことが本当に嬉しいです」
 と満面の笑みを見せた。

「う〜ん、決勝レースの3本目ぐらいから、疲れを感じていました……。でも、全日本を見ていてください。きっと勝ちますから」
 と但野。

 確かに、世界大会終了から1週間もたたずにインカレに望むのは、体力的に厳しかっただろう。だが、その疲れも負けた悔しさで吹き飛んだはずだ。2週間後の全日本で再び2人の戦いが見られるのを、楽しみにしたい。

俊足のライフセーバーたち

LSweb 砂浜を疾走するビーチスプリント。女子は日体大の2年生、長野文音が2位以下を引き離し、鮮烈なインカレデビューを果たした。

 男子は同じく日体大の石井雄大が優勝した。ビーチスプリントの決勝ではいつも見かける顔なので、てっきりインカレでは負けなしかと思ったが、
「インカレでは2回しか勝っていません。皆、速いですから」
 という答え。

 2年前に負けている東海大クレストの岩井大地とは、卒業しても全日本で戦おう! と約束しているのだそうだ。

 男女ビーチリレー、男女1km×3ビーチランリレーでも日体大が優勝。俊足ぶりを見せつけた。

「朝の時点で、もしかしたら、今日はオーシャン競技のいくつかがなくなるかもしれない、という話がありました。
 総合優勝を狙っている僕らとしては、ならばビーチ競技で点数を稼いでおかなければ、と気合いを入れたのです。残念ながら総合成績は出ませんでしたが、でもビーチ競技で勝つことができて良かったです」
 と、笑顔を見せたのは、ビーチリレーで快走した森 新太郎。

「日体大は勝って当たり前という雰囲気があります。それはプレッシャーでもありますが、でもだからこそがんばれると思います。常勝の伝統は、僕たち後輩が繋いでいきます」
 と力強く宣言したのは、同じくビーチリレーに出場した七海元紀だ。
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 最終種目の男子1km×3ビーチランリレーには、昨年、高校生で全日本の2kmビーチランを制した河上尚輝が日体大の2番手として出場。岩名地 優、鈴木友三朗とともに優勝をつかみ取った。
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 また女子は、4年連続でこのレースに出場している渡邉来美が、今年もアンカーとしてトップでゴールテープを切り、人差し指を天に掲げた。その渡邉に山田美月、奥秋李果が駆け寄り、勝利を喜んだ。LSweb

 ところで、日体大のように、100人近いメンバーで大会に参加する大学もあれば、選手宣誓をした関西学院大学の河本直樹、2度目の参加となる金城学院大学の兼田沙也花のようにたった一人で参加する大学もある。

 きっと一人での参加は心細いはずだが、初参加となる鎌倉女子大学の前川佳穂は、
「大学に入学してから上京したので、関東では一緒に海に入る仲間がいませんでした。でも今回、いろいろな人から声をかけてもらい、練習会に誘われたり、なんと同じ大学内に地域クラブに所属している人がいるらしいことも分かりました。一緒にできれば、チーム種目にも出られますよね」
 と弾んだ声で話してくれた。LSweb

 今年、初めてチーム種目に出場したというのが、日本女子大学の下川美智子、緒方菊乃、藪本 誉の3人。東洋大学から借りたという襷を胸に、1km×3ビーチランリレーに出場した3人は、
「やっぱりチームで出るのは楽しいです!」
 と満面の笑み。

 来年3月には下川が卒業してしまうので、がんばって新入生を勧誘しないと、と緒方、藪本は顔を見合わせた。


 学校を越えて、学年を越えて繋がるライフセーバーの輪。総合成績が発表されなかったから、というわけではないだろうが、今年のインカレは特に笑顔が多い大会だと感じた。

 ちなみに、総合成績なしは荒天で大会が中止された、1998年の第13回大会以来のことだ。来年は30回目の記念大会が開催される。さて、どんなインカレになるだろうか?

 (敬称略) 
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★☆「第29回全日本学生ライフセービング選手権大会」成績表☆★

ビーチスプリント・男女

ビーチスプリント・男女

ビーチフラッグス・男女

ビーチフラッグス・男女

 
ビーチリレー・男女

ビーチリレー・男女

1km×3ビーチランリレー・男女

1km×3ビーチランリレー・男女

 
ポスターコンテスト

ポスターコンテスト

インカレグッズ・デザイン表彰

インカレグッズ・デザイン表彰






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強風の御宿海岸
インカレ初日は3種目でメダル確定
2014/09/28

第29回全日本学生ライフセービング選手権大会DAY1・速報

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学生ライフセーバーNo.1を決める、第29回全日本学生ライフセービング選手権大会が9月27日、28日の2日間、千葉県夷隅郡の御宿町で開催されている。

北東からの強風に見舞われた御宿中央海岸。

小笠原諸島近海にある台風17号の影響で、時間を追うごとに波も高くなるという、ハードなコンディションでの大会初日となった。



文・写真=LSweb編集室




男女総合優勝に向け好発進したのは?

LSweb 44大学が参加したインカレ。初日は男女のサーフスキーレースとサーフレース、そしてオーシャンマンリレー、オーシャンウーマンリレーの三種目で決勝が行われ、いずれも手に汗握る接戦が繰り広げられた。

 最初に決勝が行われたサーフスキーレースでは、女子は新潟産業大学1年の高橋志穂が、男子は大坂体育大学2年の小林 海がそれぞれ優勝した。

 北東からの強風と、東から西へと流れる潮流の影響で、予選からクラフトのコントロールに苦戦した選手が多かったサーフスキーレースだが、ジュニア時代から頭角を表していた2人が、難しいコンディションを制した。

 「スタートは波が悪くて良いスタートが切れず、ブイを回る時は3番目ぐらいでした。抜いたのはブイを回ったからです。波にも上手く乗れ、沈もせず戻ってこられました」
 と、ニッコリ笑ったのは高橋。
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 一方、大会二連覇を達成した小林は、
 「調子は悪くないです。スタートが上手くいき、僕と(榊原)司の2人で抜けられました。最後まで2人で並走する展開となりましたが、潮で僕がゴールポストに接近するポジションにいたため、司が(内側に入れるように)スペースを空けてくれたんです。そこで彼は沈をしてしまい……。二連覇は嬉しいですが、なんだか譲ってもらったような形で、なんとも言えない気分です」
 と複雑な表情を見せた。
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 サーフレースは神奈川大学3年の大島圭介と、早稲田大学3年の高柴瑠衣が優勝した。

 「(今まで苦手としていた)インが上手くいったと思ったら、ゴーグルに水が入ってしまって……。泳ぎながら水を出していたら並ばれてしまいました。胸が少しキリキリしましたが、波に乗れば勝てるだろうと焦らずに行くことを心がけました。最後にきれいに波に乗れて良かったです」
 と話すのは、世界大会から帰国したばかりで、まだ少し時差ボケだという大島。

 世界大会で大柄な外国人に対抗するために、苦手なインを徹底的に練習したことで、最後まで落ち着いてレースに挑める余裕ができたようだ。
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 一方、高柴はプール競技では表彰台常連だが、オーシャン競技は少し苦手意識があったようで、
「まさか、サーフレースで1位が獲れるなんて!」
 と驚きを口にした。

 「優勝争いができるとは思っていなかったので、自分が先頭でブイに到達した時には、ブイを間違えたのかと思いました。後ろを振り向いたら、皆が付いてきていたので……それでも半信半疑でした。がんばって8位までに入賞して、チームに1点でも入れたいと思っていたので、本当にびっくりです」
 と目をパチクリさせた。
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 抜きつ抜かれつの逆転劇が繰り広げられたのが、オーシャンマンリレー、オーシャンウーマンリレーだ。

 先にスタートしたオーシャンウーマンリレーでは、サーフスキーで東海大学湘南校舎と早稲田大学が抜け出したが、アウトで東海大クレストが痛恨の沈。その間に早大がリードし、スイム、ボード、ランと繋げてそのままトップでゴールした。

 「スキーを私がやるか、(高柴)瑠衣がやるか悩みましたが、私のほうがボードが得意ということで、瑠衣がスキーを頑張ってくれたんです。彼女が1位で帰ってきてくれて、その後、上手く繋げることができました」
 と話すのは、早大で女子キャプテンを務める大山玲奈。
「総合優勝の連覇がかかっているので、明日も頑張ります」
 と笑顔を見せた。
 東海大クレストは2位、3位にはラン勝負を制した日本体育大学が入った。
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 女子と正反対の展開となったのが、オーシャンマンリレーだ。

 徐々にサイズアップする波に乗り、浜へと戻ってくる2艇のサーフスキー。一方は東海大クレスト、もう片方は早大だったが、あと少しの所で早大のスキーがバランスを崩し波の上で横を横を向く。その間に最後まで波に乗り続けたのは東海大クレストだった。

 しかし、次のスイムで後続に再び差をつめられると、チームメイトから悲鳴が上がった。だがその直後、うまく波を捕まえ再逆転に成功。悲鳴は歓声へと変わり、そのままボード、ランと繋ぎトップでゴールすると、接戦を制したクレストのリレーメンバーは抱き合って喜んだ。
 早大は惜しくも2位。3位は日本大学だった。
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 台風の影響で、初日よりもハードなコンディションが予想される大会2日目。各大学はどんな戦いをするのだろうか。そして総合優勝の行方はいかに?
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【第29回全日本学生LS選手権大会 初日の結果】

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サーフスキーレース・男女

☆女子サーフスキーレース
1位:高橋志穂(新潟産業大学)
2位:竹内梨夏(東海大学湘南校舎)
3位:大山玲奈(早稲田大学)
4位:高柴瑠衣(早稲田大学)
5位:伊藤実彩(日本体育大学)
6位:中島静香(東海大学湘南校舎)
7位:佐藤亜耶(日本体育大学)
8位:荒井三華(日本女子体育大学)

☆男子サーフスキーレース
1位:小林 海(大坂体育大学)
2位:坂本 陸(日本体育大学)
3位:坂本卓馬(日本体育大学)
4位:榊原 司(早稲田大学)
5位:上村郁人(順天堂大学)
6位:亀ノ上僚仁(国際武道大学)
7位:井上祐介(東海大学湘南校舎)
8位:金丸大将(早稲田大学)

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サーフレース・男女

☆女子サーフレース
1位:高柴瑠衣(早稲田大学)
2位:堤 茅咲(国士舘大学)
3位:竹内芽衣(早稲田大学)
4位:高橋志穂(新潟産業大学)
5位:塩原あかり(東海大学湘南校舎)
6位:鈴木悠花(国士舘大学)
7位:寺坂恵実(日本体育大学)
8位:土井夢子(日本女子体育大学)

☆男子サーフスキーレース
1位:大島圭介(神奈川大学)
2位:松林俊樹(法政大学)
3位:丸橋侑生(法政大学)
4位:塩島 翼(国士舘大学)
5位:湯浅泰旺(明治大学)
6位:幡野圭祐(日本体育大学)
7位:中谷理人(東海大学湘南校舎)
8位:荒生拓人(日本大学)

☆オーシャンウーマンリレー
1位:早稲田大学(高柴瑠衣、竹内芽衣、大山玲奈、篠崎夏波)
2位:東海大学湘南校舎(中島静香、平野夏実、竹内梨夏、嶋谷まい)
3位:日本体育大学(伊藤実彩、坂本佳凪子、小林愛菜、大西まりの)
4位:日本大学(速水 愛、清水友紀、栗原夏希、内藤友里恵)
5位:成蹊大学(木村美帆、寺崎有未、宮下祥子、伊東里歩)
6位:法政大学(高松実理、田中 舞、荒井美結、岩根千静)
7位:日本女子体育大学(荒井三華、土井夢子、宇井美咲、川崎汐美)
8位:流通経済大学(坂入綾菜、長江亜実、藤平弘子、間 美希穂)

☆オーシャンマンリレー
1位:東海大学湘南校舎(井上祐介、中谷理人、寒河江健太、岩井大地)
2位:早稲田大学(榊原 司、市川智貴、溝上飛鳥、小澤俊仁)
3位:日本大学(田家友也、荒生拓人、永井 聡、加藤大地)
4位:国士舘大学(工藤圭介、塩島 翼、牛越 智、桜井寛也)
5位:成蹊大学(利根川健太、森田大地、岩崎隼弥、塚田大輝)
6位:大坂体育大学(吉岡慎志、藤森佑樹、小林 海、関路哲史)
7位:日本体育大学(坂本卓馬、坂本 陸、吉岡才智、森 新太郎)
8位:国際武道大学(亀ノ上僚仁、今井尊大、棚橋亮太、西村知晃)
(以上、敬称略)
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