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必読!女性ライフセーバーの健康管理
第4回 骨盤をととのえる方法
2018/03/25

How to manage in good shape for female lifesavers



女性ライフセーバーに知ってもらたい健康管理の方法を、大竹SLSCのライフセーバーであり、助産師として働く齋藤愛子さんの解説でお届けする本連載。

今回は健康的で美しいライフセーバーになるための骨盤ケアの後編。前編と合わせて読んで“ヘルシー&ビューティー”を目指そう!(LSweb編集室)


骨盤ケア①の記事はこちら


文=齋藤愛子(大竹SLSC)




日々の生活から骨盤ケアを

 前回は骨盤の役割と、その骨盤を支えている骨盤底筋群を鍛えることの大切さについて紹介した。今回はどのように骨盤底筋群を鍛え、骨盤の柔軟性を高めるとよいのか、骨盤のメンテナンスの仕方をお伝えする。
 まず、みなさんに質問したい。雑巾がけを行うこと。これは骨盤に良いか?悪いか?
 正解は、雑巾がけを行うことは骨盤に”良い”だ。雑巾がけをすることで骨盤や背骨の周囲の筋肉が鍛えられるため、骨盤をしっかりと支えられるようになる。

 では洋式トイレと和式トイレはどちらが骨盤に良いか?
 正解は、骨盤に良いのは”和式トイレ”である。和式トイレでのしゃがんだ姿勢は、股関節の柔軟性を高めるだけでなく足腰を鍛えることにも繋がる。



 しかし、掃除の手段として雑巾がけをしている人はいるだろうか?私の最終雑巾がけ歴は大学時代の剣道の授業時であり、それ以降雑巾がけをしていない。和式トイレと洋式トイレで、積極的に和式トイレを選んでいるだろうか?掃除に雑巾がけをとり入れたり和式トイレを使用する習慣をつけたりするなど、意識して日常生活で骨盤をととのえる動きをしてほしい。

 ほかにも、座るときはあぐらにして股関節の柔軟性を高めたり、足を組んで座ったり床で横座りしたりせずに左右の骨盤に均等に力が加わるように姿勢に気をつけるだけでも、骨盤をととのえることに繋がる。


骨盤体操で骨盤をととのえる

 では、ストレッチとしての骨盤体操をいくつか紹介したい。
たくさんのストレッチ動作があるが、ここでは助産師として、妊娠中(妊娠中期以降)でも行える骨盤体操を紹介しようと思う(もちろん、妊娠していない人にも効果があるもの)。

【四つん這いのポーズで腰まわし:骨盤のゆがみをととのえる】
・両手両膝を床につけ、四つん這いの姿勢になる。
・両手と両膝を肩幅に開き足先はまっすぐ床に伸ばす。
・お腹と腰をゆったりさせて、気持ち良い方向に気持ちよく回す。(肘が曲がらないように)。同様に反対側にも行う。













【しっぽさがし:骨盤の左右差をととのえる】
・四つん這いのまま自分のお尻にしっぽをイメージし、そのしっぽを見るように左右に振りかえる。左右のどちらが楽か確かめる。
・楽に振り返ることができた方向へ、自分のイメージしたしっぽを見るようにゆっくりと息を吐きながら振り返り、その姿勢のまま2-3呼吸する。
・最後の吐く息と一緒に体を正面に向けながらふわっと脱力。頭も自然にだらりと下げる。そのまま2呼吸。これを3回繰り返す。
・つぎに反対側を一回のみ行う。
・しっぽを見るつもりで振り返り、2呼吸キープ。最後に吐く息と同時に脱力、体をまっすぐに戻し、頭を下げてそのまま2呼吸。













【ねこのポーズ:骨盤周りの筋肉をのばし、腰痛も予防できる】
・四つん這いの姿勢で腕と腿は床と90度。
・先に息を吐いて息を吸いながら天井のほうを見上げるようにして背中をそらせる。
・反対に息を吐きながら、お臍を見ながら背中を丸めて、手で床を押していく(背中を十分に丸める)。
・息を吸って天井を見るように自分のペースで繰り返す。
・吐いてゆっくり吸って終了する。

 どの動作も、息を吐きながら動きをすることがキーポイントだ。吐くときは口をすぼめてろうそくの火を吹き消すように「ふーっ」と吐いていく。息を吐いているときは副交感神経が高まるので心をリラックスさせ、からだの筋肉をゆるませることができる。骨盤体操のときだけでなく、ランニングや海練の際も、呼吸が苦しくなったらとにかく吐くほうに集中すること。息を吐いた分だけ吸うことで、体内の二酸化炭素も排出され呼吸が楽になる。
 骨盤は私たちのからだを支え、臓器を保護する大切なもの。その骨盤がゆがんだ状態でトレーニングを続けていると、背骨に悪影響が生じライフセーバーに多い腰痛の原因になるだけでなく、そのゆがみは女性の妊娠・出産にも大きく影響する。女子ライフセーバーのみなさんは特に日々の生活の中で「骨盤とととのえる」意識をし、「骨盤にいい」姿勢や動作を習慣づけてほしい。


    
 
齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴15年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。

 
    





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第3回 骨盤ケアでからだを整える
2018/02/13

How to manage in good shape for female lifesavers



女性ライフセーバーに知ってもらたい健康管理の方法を、大竹SLSCのライフセーバーであり、助産師として働く齋藤愛子さんの解説でお届けする本連載。

3回目の今回は、健康的で美しいライフセーバーになるための骨盤ケアについて。一読してあなたも“ヘルシー&ビューティー”に!(LSweb編集室)

文=齋藤愛子(大竹SLSC)




骨盤はからだの土台

 みなさんは自分の「骨盤」について意識したことはあるだろうか。

 骨盤はからだの中心にあり、全身を支える土台のような役割をしている。上は背骨、下は股関節と繋がり、多くの骨と組み合わさって成り立っている。また内蔵などからだの臓器を包み、守る役割も兼ね備えている。つまり、「骨」として姿勢を保つだけでなく「鎧」のように臓器を守る、生きていくうえで要となるのが骨盤である。



 ライフセービング活動は、IRBや土嚢、ボードなどの重いものを運んだり、レスキューボードのパドリングなど腰に負担のかかる動作や姿勢が多い。

 女性にとっては、赤ちゃんが産まれる通り道が骨盤であり、将来のお産にそなえて骨盤を整えておくことはとても大切だ。そのことも頭の隅に入れておこう。





現代人の骨盤事情

 現代は洋式トイレの普及で和式トイレが減り、骨盤を広げる体勢をとる日々の機会が少なくなっていることから、骨盤と繋がる股関節の柔軟性が乏しい人が特に若い人に多い。

 また現代は車社会であり、歩くことは昔に比べて激減し、そのために関節をつないでいる靭帯や足腰・骨盤周辺の筋肉も弱くなっている。

 片足に重心をかけて立つ、足を組む、いつも同側でかばんをもつ、スマフォ座り(浅く腰をかけて背中を丸めた座り方)など日常生活動作で骨盤の左右差や硬さが生じている人が実はたくさんいるのだ。

 マリブボードやサーフスキーを片側で持って運ぶライフセーバーのみなさんにとって、骨盤が傾きやすい要素は現代人の生活背景に加えてより多いということも知ってほしい。


骨盤の緩みを整えるためのキーワード:骨盤底筋群


 ここでは骨盤の傾きや硬さ、ゆがみを「骨盤が緩む」という言葉に統一して話をする。

 骨盤が緩んだ状態では、内臓の下垂(下にさがること)や姿勢のゆがみが生じやすくなり、さらなる負荷(過重負荷)が骨盤に加わる。

 姿勢がゆがむと骨盤周りの筋肉が骨盤の代わりに背骨を支えようとするため腰痛が生じやすくなり、骨盤内部にある膀胱や腸などを下からハンモックのように支えてくれている骨盤底筋群も疲労してしまう。

 また、過重負荷によりさらなる骨盤のずれ・ゆがみにつながると、骨盤内の血流が滞ることで冷えや体調不良、生理不順を引き起こし、膀胱・腸の圧迫に伴う便秘といったマイナートラブルの原因にもなる。




 骨盤の緩みから生じうるこれらの状態は、骨盤底筋を鍛えることにより骨盤が締まり、骨盤や内臓が正しい位置に戻ることで改善が期待できる*1)。 *1)参考文献:渡部信子著『ゆがみを解消!骨盤メンテ』p19、日経BP社、2009年

 骨盤底筋群を鍛えて骨盤を整え正しい位置に支えておくことで、骨盤内の血液の流れが維持され、新鮮な血液が流れてからだの疲労・けが回復の早さにも繋がる。

 トレーニングをしているライフセーバーは筋肉がついているので大丈夫だと思うかもしれないが、ライフセーバー特有の動作、姿勢ゆえに骨盤が緩んだ状態で筋肉がついてかたまった状態にあることも、考えられる。

 正しい骨盤のかたちを、柔軟な筋肉で支えることが、からだのパフォーマンスを保つ上で大切なので、次回はどのように骨盤の柔軟性を高め骨盤底筋群を鍛えるとよいのか、骨盤のメンテナンスの仕方をお伝えする。




    
 
齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴15年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。

 
    





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第2回 月経と女性ホルモン
2017/07/11

How to manage in good shape for female lifesavers

各地から続々と海開きの頼りが聞こえてきた!

今回も水辺の安全を守るために奮闘するライフセーバーたち、
特に女性ライフセーバーが元気でがんばれるように
健康管理のヒントを紹介しよう。

今回は月経と女性ホルモンについて。

大竹SLSCのライフセーバーであり、
助産師として働く齋藤愛子さんの解説でお届けする。(LSweb編集室)

文=齋藤愛子(大竹SLSC)・イラスト作成=LSweb編集室




月経とは

女性なら誰もが経験する月経。毎月1回、平均3〜5日におよぶ膣内からの血液の排泄はそれだけでもうっとうしいが、正常な月経と月経周期は女性の体を健康に保つため、また妊娠出産するために、とても大切なものである。
 今回は女子ライフセーバーに、自分の月経について大切に考え、意識してほしいことを伝えたい。

 卵巣には卵子のもととなる原始卵胞がつまっている。月経が始まると卵胞を刺激するホルモンが出され、それによりエストロゲン(卵子を育てるホルモン)の分泌が促進する。エストロゲンの量が一定値を超えると、それを合図に大量のLH(黄体形成ホルモン)が放出され、このLHが高値に達することで排卵が起こる。この排卵期に性交をすると受精の可能性が高まり、妊娠しやすくなる。

 ちなみに黄体とは、排卵後の卵胞の変化形で、妊娠の成立に一役かっているので、排卵前にLH(黄体形成ホルモン)の分泌が上昇するのは排卵後黄体となって妊娠の成立を助けるためという点で理にかなっている。

 排卵後はプロゲステロン(妊娠の維持に不可欠なホルモン)が黄体から多量に分泌され体温が上昇し子宮内膜が厚くなるが、受精卵が着床しなければ(妊娠しなければ)プロゲステロンの分泌は低下し、妊娠に備えて分厚くなっていた子宮の内膜は剥がれ落ちて、溶けて排出される。これが月経である。

 複雑なメカニズムだが、要約すると①エストロゲン分泌→②その影響でLH分泌が一気に高値になる→③排卵→④妊娠成立を助けるプロゲステロン分泌→⑤妊娠しなければ子宮内膜剥離(月経)→①に戻る、ということだ。

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女性ホルモンの役割

  月経があることでエストロゲン、プロゲステロン、LHといった女性ホルモン量がコントロールされていることがお分かりいただけただろうか。女性ホルモンは月経がないと正常に分泌されないため、ホルモンバランスが乱れてしまう。女性ホルモンは女性の健康には不可欠なのだ。ここではそれぞれのホルモンの役割をお伝えしたい。

 まず、LHとプロゲステロンの役割について話をしよう。

 LHは、先に述べたように黄体を形成させることそのものが役割である。プロゲステロンは黄体から分泌されるホルモンで、①体温を上げる ②子宮内膜を維持する ③乳腺を発達させ乳汁分泌を促す、というように、主に妊娠を維持する役割が大きい。妊娠中もこのプロゲステロンはずっと分泌される。

 エストロゲンの役割としては、①卵子を成熟させる ②血漿コレステロールを減少させる→動脈硬化を予防し血液の流れをよくする ③カルシウムが血中に溶けだすのを抑える→骨折を予防する、といったものがあげられる。



 女性は男性よりも動脈硬化になる割合が少なく、また骨折予防にもこのエストロゲンの力が大きい。よく閉経した女性が骨粗鬆症になったり動脈硬化のリスクが高まったりすることを新聞などでも目にするが、これは月経がなくなったことでエストロゲンの分泌が少なくなった結果起こることなのだ。

 だが最近、骨折をする若い女子が多くなっている。なぜか。骨折をする女子の多くが、不規則な月経や無月経により女性ホルモンのバランスが乱れていることが考えられる。先に述べたように、エストロゲンは月経があることでたくさん分泌されるのだが、月経が少ない、または無いことで、充分に分泌されず、カルシウムが骨に沈着せずに血液内に溶けだしてしまうのだ。

 実は、ここ最近の全日本選手権では、ほぼ毎年、骨折する女子ライフセーバーがいるということをご存じだろうか?



 以上のように女性ホルモンの低下は、動脈硬化、骨折など、様々なからだの不調を引き起こす。月経があるためには、エストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスが大切であり、このどちらかが欠けても正常な月経はやってこない。

 プロゲステロンの分泌が不足すると無月経の原因にもなりうる。正常な月経があることは排卵があることを意味するので(排卵しない無排卵性月経もあるが)、無月経は不妊症の原因にもなることを知っていてほしい。無月経の女子は、放置せず、一度婦人科の診察を受けることを勧める。


 女子の皆さんは今一度、自分の月経周期を見直してみてほしい。次回は、月経を正常に保つためのこころがけ、気をつけることについて伝えていきたい。


    
 
齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴14年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。


 
    





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第1回 貧血
2017/06/29

How to manage in good shape for female lifesaver

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ライフセーバーの季節がやってきた!

水辺の安全を守るには知力と体力が必要だ。
そのためにはまず、自分が元気でなければならない。

というわけでライフセーバーの健康管理、特に女性ライフセーバーに特化した短期連載をお届けする。

筆者は大竹SLSCのライフセーバーで、助産師として働く齋藤愛子さんにお願いした。(LSweb編集室)

文=齋藤愛子(大竹SLSC)・イラスト作成=LSweb編集室




まずは「貧血」について

LSweb 「貧血」ときくと、どんなことをイメージするだろうか?

 体調不良? 虚弱体質? 栄養不足? もちろんこういった状態になるのも鉄不足からくる貧血が一因ではあるだが、自分とはあまり関係ないことと考えていないだろうか。

 女性は月経があるがゆえに男性に比べてもともと貧血になりやすいのだが、私は運動もできているし、食事もしっかりとっているので大丈夫!と、思っていないだろうか。
 実は、運動をしている女性にこそ貧血について考えてほしい。

鉄の役割

 全身に酸素を供給するために血液の循環が必要だということはBLSで学んでいると思うが、酸素を運搬する赤血球に含まれているのがヘモグロビンである。

 このヘモグロビンは鉄とタンパク質から成り、酸素はこの「鉄」と結合することができる。つまり、鉄があることで空気中の酸素を効率よく体内に取り込むことができるようになり、脳を働かせたり運動後の回復を早めたり、わたしたちの体を元気にしてくれるのだ。

 この鉄が不足することによって酸素の供給が滞り、①疲れやすい、②食欲不振、③頭痛、④動悸、息切れ、⑤立ちくらみ、といった貧血の症状が出現する。

 よく寝たのに疲れやすい、きちんと食べているのに頭が重くて動悸がよくある、という症状を感じたら貧血になりかけているかもしれない。血液中のヘモグロビンが11g/dlを切ると貧血と診断されるので、健康診断で血液データのヘモグロビン値を確認してほしい。
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運動と貧血~足裏への衝撃と汗をかくこと~

 鉄が大切だということをふまえたうえで、運動と貧血について考えてみよう。

 特に貧血と関連があるのは「ランニング」だ。ウォームアップとしての短い時間だけでなく、持久力を高めるトレーニングとして長時間走るなど、ランニングは多くのライフセーバーが年間を通じて取り入れている運動だと思う。

 ランニングでは、汗と一緒に鉄分が体外に排出されやすいうえに、走る時の足裏への着地の衝撃で赤血球が壊れてしまう。赤血球が壊れるということは、その中のヘモグロビンが外に漏れてしまい、十分な酸素を全身に送り届けることができなくなる。その結果、貧血になってしまうというわけだ。

 また、ランニングに限らず、激しい運動で汗をかくことは、それだけで貧血のリスクとなる。世のアスリートたちの多くが貧血対策をしていることを思えば、ライフセーバーも軽視してはならない。

貧血を予防しトレーニング効果を高めるには

月経で毎月50ml前後(正常値20-140ml)の血液を排泄していることに加え、運動をたくさんしていることで、女性アスリートは特に貧血になりやすい。では、貧血を予防するためにはどうしたらよいか。

 栄養面では、牛肉やカツオなど赤身肉の含む鉄分の多い食事に、鉄の吸収を促進するブロッコリーや小松菜などのビタミンCを追加するとよい。食後に果物を摂ることも鉄の吸収を促す。また、調理に鉄鍋を使用することで、食材に鉄分が付着する効果もある。

 生活面では、水分をよく摂り、入浴などで全身を温め血の巡りをよくする。ストレスが多いと胃腸の働きが鈍り、鉄の吸収がうまくできないため、規則正しい生活や日々を「楽しむ」ことは大切だ。

 運動をしているからこそ、月経があるからこそ、鉄が失われやすいという自覚をもって食事や生活を意識してほしい。意識し実践することで、貧血を予防、トレーニングの効果も高まり、超回復も期待できるはずだ。
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齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴14年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。


 
    





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サーフトレーニング 初級編
ライフセーバーなら知っておきたい海練の心構え
2017/04/27

Surf Training for Beginners-〝play it safe〟

LSweb気候も良くなり、海での練習が楽しい季節になってきた。

しかし自然相手のトレーニングでは、暖かくなっても気の緩みは禁物だ。

そこで、安全に海で練習するために気をつけるべきことを、日本ライフセービング協会・サーフトレーニングクリニック委員会で活躍する、勝浦ライフセービングクラブの篠田智哉さんにアドバイスしていただいた。

新年度からこの世界に飛び込んできたニューカマーはもちろん、クラブを牽引する立場になった上級生ライフセーバーや、個人で海へ行く機会が増えた社会人ライフセーバーにも、ぜひ読んでほしい。(LSweb編集室)

文=篠田智哉(JLAサーフトレーニングクリニック委員会)・写真=LSweb編集室




はじめに

LSweb 海でスキルアップを図るにはリスク(危険)を伴います。そのため、安全にサーフトレーニングを行うためには、様々なことに注意しなければなりません。

 「サーフトレーニング初級編」では、海で安全に、そして効果的なスキルアップを図るための方法や準備について紹介していきます。

【トレーニング中における事故】

 過去に、ライフセーバーがサーフトレーニング中に死亡してしまった事故、公的救助機関にレスキューされた事故が数件発生しました。

 いずれも、熟練した人であれば回避したコンディションの中で起きた事故でした。

 では、どうすれば事故を防ぐことができたでしょうか。

 私たちライフセーバーは、水辺の安全教育やパトロール活動等を通じて、水辺の事故ゼロを目指して日々活動しています。そんな中、ライフセーバーが事故の当事者になることがあってはならないし、それよりも同じ志を持つ仲間がライフセービング活動中に事故にあってほしくないと強く思います。

【サーフトレーニングで重要なポイント】

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 安全にトレーニングをするために重要なのは「リスク管理」です。

 「リスク管理」とは、「危険」を明らかにし、それによる被害を推定して、リスクの許容を判断し、リスクの最小化を検討してリスクの最適化を図っていくプロセスのことです。

 つまり、状況を確認して危険な箇所を把握し、十分な安全対策を講じたうえで、的確な判断のもとにトレーニングをしていくことです。

「リスク管理」の具体的な方法

 ここでは、私が実際に行っているリスク管理について、1つの例として紹介します。

①気象海象予報を基にトレーニング内容を考える


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 天気予報や波予報は、今やインターネット上で簡単に閲覧することができます。

 例えば、明日の9時に○×海岸でトレーニングしようと計画とき、その時間のその場所の天気・気温・水温・風向・風力・波高・波の周期・うねりの方向…など、ピンポイントで予報を知ることができ、更に潮汐を加えれば、明日9時の○×海岸の状況を頭の中でイメージすることができます。

 海へ行く前にコンディションをイメージして、トレーニング内容を考えます。

 当然、予報を見た段階で風速15m/sなどであれば、海に行くこと自体を回避するべきでしょう。

 海まで何時間も掛けて行く人は、「せっかく来たんだから」といって少し無謀な行動をしてしまいませんか?

 事前に情報収集して明らかな中止条件に該当すれば、海に行く以外の選択ができるはずです。

②実際に海を見てコンディションを把握する


LSweb イメージしていた状況と実際に目で見て肌で感じた状況とを比較し、計画していたトレーニングメニューを実行できるのかを評価します。

 私の場合、普段トレーニングしている場所の特徴を熟知して、毎日このプロセスを繰り返しているので、予報を見てイメージしたコンディションと実際のコンディションに大きな違いはほとんどありません。

③トレーニングメニューの評価


 計画したトレーニングメニューが実行可能かどうか最終評価します。

 自分の技量とコンディションとを比較して安全に実施できるのか、更に必要な安全対策を考えます。ときには中止する判断も必要です。

LSweb 例えば、
・オフショアの強いコンディションであれば、あまり沖に行かないメニューにして浜の近くで行う。
・風も弱くフラットコンディションであればロングパドリング。
・比較的穏やかで波があればインアウト練習。

 といったように、コンディションに合わせたメニューを考え、さらにはよりスキルアップを図れるメニューを選択することが重要です。

 この他にも、視認性の良いウェアの着用、携帯電話の携行、ライフジャケットの着用など、ハード面での安全対策も必要です。

④実際に海に入って再評価する


LSweb 決定したメニュー通り実行できるのかを海に入って再評価します。

 少し沖に出ると思っていたより風が強かった、実際に入ってみたら思っていたより波が高くパワーも強かったなど、コンディションを再評価して続行するか、メニューを変更するか、または中止するかを判断します。

 また、トレーニング中も常に評価を繰り返します。決して自分の技量以上の行動はしないことが大切です。

 経験豊富なライフセーバーは、このようなプロセスを自然に行って海に入っています。いわば、あたりまえのことであり、最低限必要なことです。

 ある程度経験を積んでくると、後輩を連れて海に入ることもあるでしょう。グループ全体が安全にそして効果的にトレーニングするためにはどうすればよいか、責任を持ってトレーニングメニューを計画しましょう。

リスクを見つけよう

LSweb ここに掲載した写真を見て、リスクとなるものを考えてみましょう。

 この状況の中、1人でトレーニングをする場合、複数人でする場合、どのようなプログラムで、どのような安全対策を講じれば安全にトレーニングを実施することができるでしょうか。

 右の写真は見ての通り、写真の真ん中辺りにリップカレントが見分できます。奥には堤防、手前には岩場も見られます。他にも危険と思われる要素がいくつか考えられます。

 これらの危険な要素(リスク)を把握して、自分や実施するグループの力量を見極めてトレーニング内容を考える必要があります。

LSweb 左の写真を見てみましょう。このような状況の中、インアウト練習を集中して効果的かつ安全に実施することは可能でしょうか。

 トレーニングの効果はあまり期待できないと考えられます。
 さらに、周辺のサーファーとの接触や迷惑になることを考慮すれば、インアウト練習は実施すべきではありません。

 海や砂浜を利用する場合は、その土地のルールを守り、周囲の迷惑となる行為をしないように配慮することが大切です。

最後に

LSweb サーフトレーニングは、正確かつ迅速な状況把握、判断、対応が求められます。スキルアップを図るには、十分な知識を備え、豊富な経験を積む必要があり、経験を積むにはリスクを伴うものです。

 またこれらリスク管理の手法は、サーフトレーニングに限らず実際のパトロール活動でも同じです。海水浴場全体のリスクを管理するための知識や経験は、普段のトレーニングの中で培っていきましょう。

 JLAでは、これら「リスク管理」の手法について、また更に効率よく安全にスキルアップを図るトレーニング方法について、経験豊富な指導員たちが指導してくれる「サーフトレーニングクリニック」を実施しています。ぜひ、参加を検討してみてください。

    
 
篠田智哉(しのだともや) 勝浦LSC所属

LSweb2006年に国際武道大学に入学し、ライフセービング部に入部。
2009年にサーフライフセービング・BLSインストラクター資格を取得。現在はJLAアカデミー本部指導委員会サーフライフセービング分科会委員、溺水事故防止プロジェクト本部サーフトレーニングクリニッ委員会委員・パトロール能力向上委員会委員、スポーツ本部アスリート委員会副委員長を兼任。第10期ハイパフォーマンスチームにも選出されている。

競技経歴:
2008年全日本学生選手権 サーフスキーレース優勝
2011年全日本選手権 レスキューチューブレスキュー優勝
2012年全日本プール競技選手権 ラインスロー優勝
2013年全日本種目別選手権 サーフスキーレース優勝
2014年全日本プール競技選手権 100mマネキントウウィズフィン2位 100mマネキンキャリーウィズフィン3位
2016年全日本選手権 サーフスキーレース3位

今後の目標:
「JLAグランドデザイン2061」達成に向けて貢献していくこと。

 
    










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