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必読!女性ライフセーバーの健康管理
第1回 貧血
2017/06/29

How to manage in good shape for female lifesaver

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ライフセーバーの季節がやってきた!

水辺の安全を守るには知力と体力が必要だ。
そのためにはまず、自分が元気でなければならない。

というわけでライフセーバーの健康管理、特に女性ライフセーバーに特化した短期連載をお届けする。

筆者は大竹SLSCのライフセーバーで、助産師として働く齋藤愛子さんにお願いした。(LSweb編集室)

文=齋藤愛子(大竹SLSC)・イラスト作成=LSweb編集室




まずは「貧血」について

LSweb 「貧血」ときくと、どんなことをイメージするだろうか?

 体調不良? 虚弱体質? 栄養不足? もちろんこういった状態になるのも鉄不足からくる貧血が一因ではあるだが、自分とはあまり関係ないことと考えていないだろうか。

 女性は月経があるがゆえに男性に比べてもともと貧血になりやすいのだが、私は運動もできているし、食事もしっかりとっているので大丈夫!と、思っていないだろうか。
 実は、運動をしている女性にこそ貧血について考えてほしい。

鉄の役割

 全身に酸素を供給するために血液の循環が必要だということはBLSで学んでいると思うが、酸素を運搬する赤血球に含まれているのがヘモグロビンである。

 このヘモグロビンは鉄とタンパク質から成り、酸素はこの「鉄」と結合することができる。つまり、鉄があることで空気中の酸素を効率よく体内に取り込むことができるようになり、脳を働かせたり運動後の回復を早めたり、わたしたちの体を元気にしてくれるのだ。

 この鉄が不足することによって酸素の供給が滞り、①疲れやすい、②食欲不振、③頭痛、④動悸、息切れ、⑤立ちくらみ、といった貧血の症状が出現する。

 よく寝たのに疲れやすい、きちんと食べているのに頭が重くて動悸がよくある、という症状を感じたら貧血になりかけているかもしれない。血液中のヘモグロビンが11g/dlを切ると貧血と診断されるので、健康診断で血液データのヘモグロビン値を確認してほしい。
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運動と貧血~足裏への衝撃と汗をかくこと~

 鉄が大切だということをふまえたうえで、運動と貧血について考えてみよう。

 特に貧血と関連があるのは「ランニング」だ。ウォームアップとしての短い時間だけでなく、持久力を高めるトレーニングとして長時間走るなど、ランニングは多くのライフセーバーが年間を通じて取り入れている運動だと思う。

 ランニングでは、汗と一緒に鉄分が体外に排出されやすいうえに、走る時の足裏への着地の衝撃で赤血球が壊れてしまう。赤血球が壊れるということは、その中のヘモグロビンが外に漏れてしまい、十分な酸素を全身に送り届けることができなくなる。その結果、貧血になってしまうというわけだ。

 また、ランニングに限らず、激しい運動で汗をかくことは、それだけで貧血のリスクとなる。世のアスリートたちの多くが貧血対策をしていることを思えば、ライフセーバーも軽視してはならない。

貧血を予防しトレーニング効果を高めるには

月経で毎月50ml前後(正常値20-140ml)の血液を排泄していることに加え、運動をたくさんしていることで、女性アスリートは特に貧血になりやすい。では、貧血を予防するためにはどうしたらよいか。

 栄養面では、牛肉やカツオなど赤身肉の含む鉄分の多い食事に、鉄の吸収を促進するブロッコリーや小松菜などのビタミンCを追加するとよい。食後に果物を摂ることも鉄の吸収を促す。また、調理に鉄鍋を使用することで、食材に鉄分が付着する効果もある。

 生活面では、水分をよく摂り、入浴などで全身を温め血の巡りをよくする。ストレスが多いと胃腸の働きが鈍り、鉄の吸収がうまくできないため、規則正しい生活や日々を「楽しむ」ことは大切だ。

 運動をしているからこそ、月経があるからこそ、鉄が失われやすいという自覚をもって食事や生活を意識してほしい。意識し実践することで、貧血を予防、トレーニングの効果も高まり、超回復も期待できるはずだ。
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齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴14年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。


 
    








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