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地域で参加、親子で体験!
今年も盛況だった絆プロジェクト
2014/07/21
KIZUNA Project-Water Safety event 2014 in Tujido Pool
第2回 水辺の安全を一緒に学ぼう
in 辻堂海浜公園ジャンボプール
7月6日、神奈川県藤沢市にある辻堂海浜公園ジャンボプールにて、第2回「水辺の安全を一緒に学ぼう〜絆プロジェクト〜」が開催された。
このプログラムは、夏休みを野外で楽しく過ごすために、親子で水辺の安全について学んでもらおうと企画されたもの。
夏季シーズンの営業開始を翌週に控えた大型プール施設を利用し、実際に水の中に入ってさまざまな体験をしてもらうイベントだ。運営には多くのライフセーバーが参加した。
当日は薄日が差すちょうど良いお天気。今年も海浜公園のプールに一足早く、子どもたち(と保護者)の歓声があがった。
文・写真=LSweb編集室
震災の教訓を風化させないために
2回目となる絆プロジェクトは、小学1年生から中学生まで、そして保護者の大人を含め307人の参加者が集まった。小学4年生までは保護者の同伴が義務づけられていることもあり、大勢の大人も参加。中には「孫と一緒に来ました」と話すお元気なおばあちゃんの姿もあった。
プログラムは、ウォーミングアップも兼ねた全員参加の「集まれ湘南っ子」でスタート。
ここで昨年に引き続き講師を務めた豊田勝義さんから、「怖いなと思ったり、できないかも? と不安になっても、まずはすべてのプログラムをやってみてください」という呼びかけがあった。
これは子どもたちだけでなく、保護者にも向けられたメッセージだ。「とにかくなんでも体験することで、水の怖さや楽しさを感じることができる」とライフガード歴23年の豊田さんは言う。
水辺の安全を学ぶという絆プロジェクトだが、実はもう一つの目的がある。
それは津波による甚大な被害が発生した東日本大震災の教訓を多くの人と共有し、来たるべき災害時に活かしてほしいという思いだ。
そこでプログラムに、①波乗り体験、②浮いて待て、③君もライフセーバー、④みんなトライ&蘇生法訓練、という4つのメインメニューを導入。4グループに分かれた参加者が、それぞれを順番に体験することとなった。
簡単に個別メニューの内容を紹介しよう。
波の出るプールを利用し、ニッパーボードに乗ってみるのが「波乗り体験」。子どもたちに一番人気のメニューだが、楽しいだけでなく、波にひっくり返されたり、波を人工的に造ることによってプールでもカレントが発生するなど、水の威力を知ることができるプログラムだ。
「浮いて待て」は水に落ちた(あるいは流された)時に、助けが来るまでどうやって浮いていればいいかを学ぶプログラム。子どもも大人も、この体験を通して、ペットボトルでも十分に浮くことができると知ることになる。流れるプールを利用することで、より臨場感のある体験ができ、流木やクーラーボックスなども浮き具になることが分かったはずだ。
流れるプールの下流には「君もライフセーバー」のグループがいる。ここでは、声賭け、水に入らずに助ける方法、ヒューマンチェーンでの救助などを学ぶのだが、終盤には上流から「浮いて待て」のグループが次々と流されてくる。彼らを励まし、道具を使い、あるいはヒューマンチェーンで実際に救助するのが、このプログラムの特徴だ。
「みんなトライ&蘇生法訓練」は唯一、大人と子どもが別れて行うメニュー。大人は藤沢市の救急隊、消防隊から直接、心肺蘇生法とAEDの使用方法を指導してもらい、子どもたちは、心肺蘇生法の意義を学んだ後、心臓とほぼ同じ大きさのテニスボールを10分間押し続ける。10分というのは決して短い時間ではないが、数を数えながら、泣きそうな形相でテニスボールを押し続ける小さな子も、誰ひとりとして脱落しなかった。
「プール実習で着衣泳を導入する小中学校は多くなっていますが、服を着たまま泳ぐのではなく、いかに浮いていられるかが大事だったと、被災地のライフセーバー仲間から聞きました。浮いて待て、はそんな教訓を踏まえて取り入れたプログラムです」
と豊田さん。
また元消防訓練センターの体育訓練担当教官で、豊田さん同様、昨年に続いて講師を務めた鎌田修広さんは、
「みんなトライで、子どもたちが必死にテニスポールを押していましたよね。あれはなかなかハードなプログラムですが、子どもたちなりに命の大切さを感じてくれ、回りの友だちが一生懸命やっている姿につられて最後まで続けたのだと思います。人間は一人では生きられない、ということを私たちは震災で改めて感じました。だからこそ、地域の人たちが多数参加してくれたことは、大きな成果だと思います」
と話してくれた。
湘南だからこそ水辺の安全を
各メニューの指導リーダーを務めるのは、経験豊富なライフセーバーたち。
ジャンボプールのライフガードチームをはじめ、辻堂LSC、波崎SLSC、また宮城や沖縄からも応援にかけつけ、ユーモアを交えた丁寧な指導で、子どもも大人も引きつけていた。
「昨年に続き2度目の参加です。何よりも、子どもと一緒に体験できることが楽しいですね」
と話すのは、小学3年生の娘さんと参加したお母さん。
「回覧板でこのイベントを知ったのです。海には釣りなどでよく出かけるので、それならばと参加してみました。大人の私でもとても勉強になりましたよ」
と言うのは、小学1年生の息子さんと来たお父さん。
「私は仕事柄、同様のプログラムは一通りやったことがあるのですが、リーダーたちが実にたくみに運営していて楽しかったですね。小1の子どもは波乗りを一番楽しんでいるようです」
と満足げなのは、サーフィンが趣味だというお父さんだ。
一方、子どもたちも、
「去年は浮いて待て、で10秒ぐらいしか浮いていられなかった。でも今年はずいぶん長く浮いていることができた」
「水に入って助けちゃいけないって分かった。ペットボトルを投げてあげても助けられるって勉強になった」
「流れてくる人を助けたり、いろいろやって楽しかった。友だちもできた」
と笑顔を見せてくれた。
「今年は素早く整列したり、みんなで行進したりというメニューをはぶき、心肺蘇生法の時間を取り入れました。大人のみなさんは救急隊に活発に質問するなど、やはり感心が高かったようですね。ただ、避難の時には素早く行動することが必要ですから、集団行動など今後も工夫して取り入れていきたいと思います」
と話す鎌田さん。
「湘南という土地柄でしょうか、保護者の約9割が子どもと一緒に水に入って体験してくれます。非常に積極的で、他人の子どもでも面倒を見てくれます。しかもお父さんの割合が多い。水に対する意識が高い地域なのだと思います」
と豊田さん。
水と親しむ文化が根付いている地域だからこそ、誰もが水辺の安全に関する知識や、いざとい時の心構えを身につけておくべきなのだ。絆プロジェクトが地域に与える影響は大きいと思う。
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