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rhythm & time Ocean Paddle Race 第3戦2013/12/23

2013.12.14 神奈川県・茅ヶ崎サザンビーチ〜葉山大浜

茅ヶ崎から葉山まで 相模湾でワンウェイ勝負!

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パドリング愛好者にロングレースの魅力を知ってもらい、同時に海に対する知識をより深めてもらいたい、という趣旨で始まった「リズム&タイム オーシャンパドルレース」。その第3戦が12月14日に開催された。


文・写真=LSweb編集室





 LSweb今年2月に第1戦、3月に第2戦が行われたこのレース、3戦目となる今回は大会初となるワンウエイコースが設定された。スタートは茅ヶ崎のサザンビーチ。正面に見える烏帽子岩を回航し、江の島沖を通過して、葉山の大浜にフィニッシュする約22キロの航程だ。男性25人、女性6人、合わせて31人のパドラーたちが、サーフスキー(SS)と一人乗りアウトリガーカヌー(OC1)に乗って相模湾に漕ぎ出した。

 大会前日の相模湾は15m/秒オーバーの南西風が吹き荒れ、レース開催が危ぶまれる天候だったが、当日の朝にはぴたりと風が収まり穏やかな天候に。午前11時のスタート時には、西南西の風1m/秒というコンディションで“風と波に乗っての滑走”を期待していたパドラーにとっては、いささか拍子抜けのするコンディションに見えた。
 しかし、スタート前のブリーフィングでサーフレジェンド所属の気象予報士、小川和幸さんが解説したとおり、スタートから1時間ほどで南西風が上がりはじめ、ほどなく白波が立つ海況へと変化。レース後半はタフなコンディションとなった。

 LSweb時間の経過とともに風が強まる中、最初に大浜沖に姿を現したのが内田直人選手だ。内田選手が1時間30分を切る好タイムでトップフィニッシュすると、次いで伊藤誠選手、大西明選手、後関裕輔選手……と先頭集団のフィニッシュが続いた。内田選手に遅れること約6分、三大会連続出場の柏木星穂選手(総合6位)がOC1トップでフィニッシュ。その約15分後には、女子トップ(総合19位)の河崎尚子選手が笑顔でフィニッシュした。

 リズム&タイム オーシャンパドルレースは、三大会すべてでレース責任者と務めた菊地太さんを中心に、パドル愛好家の有志が企画し、その趣旨に賛同したサポーターによって運営されている、非常にアットホームな大会だ。
 菊地さん自らがコースの下見を何度も行い、漁協や海上保安庁をはじめとする関係諸機関と交渉し、大会告知から運営スタッフの配置までを手配。レース当日にはスタートのフォグフォンを鳴らし、海上パトロールに当たるPWCと逐次、無線連絡。閉会式ではプレゼンターも務めている。
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 参加者は今のところライフセーバー仲間や、その友人たちが多数を占めているが、それでも、回を重ねるごとに参加者が増えているのは、艇種という垣根を越え、ロングレースを楽しみたいというパドラーが大勢いることの証に他ならない。またスポンサーが着実に増えているのも、レースに魅力があり、今後の発展に期待が持てるからだろう。LSweb
 だからこそ、安全管理には細心の注意を払い、今後もレースを開催し続けてほしいし、参加者も自分の力量を見極めた上でチャレンジしてほしい。

 今大会では、参加者にライフジャケットまたはリーシュコードの着用、および防水対策された携帯電話の携行が義務づけられており、海上パトロールに4艇のPWCが導入されていた。また通過ポイントごとにタイムリミットを設け、力不足の選手の安全を確保することもおこなっていた。

 足切りタイムは烏帽子岩通過がスタートから20分以内、江の島通過が同90分以内で、残念ながら江の島沖で1人がタイムリミットによるリタイヤを余技なくされたが、当日の天候の変化を考えれば、実はギリギリのタイミングだったといえるだろう。
 タイムリミットには引っかからなかったものの、最終的には同選手以外にも4人の選手がリタイヤした。そのうち1人は沈を繰り返して体力を消耗し、艇に再乗艇できなくなっているところを、同海域で練習していた大学ヨット部のレスキュー艇に救助され、もう1人は沈をしてパドルを流してしまったことから、波浪に押し流され長者ヶ崎の岩場に座礁している。
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 参加選手の多くが、ライフセービングで鍛えられた逞しい心と体を持っていたことは確かだが、非常にシビアな状況にもかかわらず、参加者全員が無事にレースを終えることができたのは、レース責任者の適切な指示と、海上パトロールの迅速で的確な判断、および冷静に対処できるレスキュー技術と知識のお陰だ。

 スタートから3時間。最終パドラーがヘトヘトになりながらフィニッシュすると、サポーターから暖かい豚汁が振る舞われ、まもなく表彰式が始まった。参加者全員に賞品が行きわたる和やかな雰囲気の中、上位選手も、ロングレース初心者も、皆が和気あいあいと笑顔で談笑。リタイヤした選手も、「もっと練習して、次は絶対に完漕したいです」と、次回への抱負を熱く語っていた姿が印象的だった。
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 ロングレースにはライフセービング競技とは違った魅力がある。刻々と変化する環境の中で、自然を上手に味方につけて戦うには、経験も必要だ。そこで、これからロングレースに挑戦したいと思っているライフセーバー向けに、大会主催者が事前に公開した装備を紹介しよう。トレーニングする時には、ぜひ参考にしてほしい。

    
 
冬季(気温12度前後)に20km超の距離を漕ぐ場合の装備品一例

●ライフジャケット
●リーシュコード
●携帯電話
緊急時の連絡用。必ずしっかりした防水パックに入れ、充電をきちんとしておくこと
●補給用の水分
2リットルの水分=スポーツドリンクとミネラルウオーター50%ずつに、炭水化物のジェルを3袋混入したもの(ナトリウムだけだと後半にエネルギー切れを起こす可能性があるため)
●水筒(ハイドレーションリサーバー)
運動中に効果的に水分補給するための道具。防水パック(リサーバー)にチューブが接続されたもので、バックパックの中に入れて背負うことができる
●服装については先輩たちからアドバイスをもらうこと

 
    


 もちろん、ロングレースを安全に楽しむためには、体力やパドリング技術だけでなく、風や波、潮流といった気象海象、海岸線の地形や同じ海域を航行する船舶の動き、アミやイケスといった漁業設備、さらには観天望気などを知っているにこしたことはない。海を取り巻く環境をより良く知ること、それがレースだけでなく、ライフセービング活動そのものにも役立つとなれば、一石二鳥、いやそれ以上ではないだろうか。


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rhyth & time Ocean paddle race 第3戦 成績表








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