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第2回レジェンズ・オブ・ビーチフラッグス・ジャパン
日本一の山を望むビーチに、日本一たちが集結!
2016/12/19

Legends of Beach Flags Race in JAPAN

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最年少は13歳、最年長は53歳。

年の差、実に40歳のライフセーバーたちが集まり
師走のビーチを駆け回る……。

そんなファンレースが、
今年も神奈川県の片瀬西浜海岸で開催された。

スポーツDJ山本ゆうじ氏も登場した注目のイベントを紹介しよう。

文・写真=LSweb編集室





世代を超えてビーチで楽しもう!

LSweb 真冬のビーチで開催されたファンレースの正体は、ビーチフラッグスとビーチスプリントに特化した有志による手作りイベント「レジェンズ・オブ・ビーチフラッグス・ジャパン」だ。

 ビーチ競技を通してライフセーバー同士の繋がりを深め、世代間の垣根を低くして、日本が誇るビーチフラッグス技術を継承しつつ、ビーチ文化を根付かせたい——そんな思いでファンレースを企画したのが、発起人の一人である西浜SLSCの植木将人さんである。

 植木さんと言えば、ビーチフラッグス競技で全日本優勝8回、世界大会でも銀メダルを獲得している猛者だが、彼にももちろん駆け出しの時代があった。当時、雲の上の存在だったのが、元世界チャンピオンの鯨井保年さんを筆頭とするビーチ競技の先駆者たちだ。

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昨年参加したレジェンドの面々(2015.12撮影)

 「昨年、オーストラリアで歴代チャンピオンが集まったビーチフラッグスのマスターズ大会が開催されると知り、日本でもやりたいと思いました。
 今は少しライフセービングとは距離を置いているけれど、ビーチフラッグスを日本の“お家芸”にしてくれた先輩たちに、また海に来てもらって、一緒にレースを楽しんでほしいと、仲間たちの力も借りて開催にこぎ着けたのです」と植木さんは話す。

 初開催だった昨年は、東海大OBの鯨井さん、日体大OBの岸 由起夫さん、専修大OBの野田輝明さんら7人の“レジェンド”が駆けつけ、20人近い若手との交流が実現した。

 二度目の開催となる今年は「日本には、若手や新人が気軽に参加できる草レース的なものがほとんどないので」と、ユース世代まで門戸を広げることに。
 その結果、参加選手83人と一気に昨年の四倍近い規模に拡大。「半日では時間が足りない!」と嬉しい悲鳴を上げることになった。

 実施競技はビーチフラッグスとビーチスプリント、そして全員参加のビーチリレーの3種目。男子はユース、オープン、マスターズA(35〜44歳)、マスターズS(45歳以上)の4カテゴリー、女子はユース、オープンの2カテゴリーで、真剣かつ和気あいあいとしたレースが行われた。
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いぶし銀の技が光る!?マスターズS

LSweb 12月10日、雪化粧した富士山を望む片瀬西浜海岸の一角で競技スタート。「Always Ready!」でお馴染みのスポーツDJ山本ゆうじ氏のしゃべりとノリのいい音楽の下、寒さを吹き飛ばす熱戦が繰り広げられた。

 成績は下記をご参照いただくとして、ファンレースの主役、マスターズ枠にエントリーした10人の“レジェンド”たちの顔ぶれを見ていこう。

 今年のレジェンド最年長は、新島LSCの田村浩志さん(53歳)。
 “タムじい”こと田村さんは、新島LSCの代表として今もパトロール現場に立ち、自分の実力を把握するためと競技会にも必ず出場する現役のレジェンドだ。とはいえ、ビーチ競技に出るのは1989年に片瀬海岸で開催された日本たばこ(現JT)主催のサムタイムカップ以来とか。実に27年ぶりのビーチフラッグス出場となった。

 田村さんがコーチ時代に日体大LSCに在籍していのが、藤田秀行さん、須藤信之さん、古見佳一さんの同級生トリオ。現在45歳の3人が現役の頃は、日体大ライフセービング部員が300人という時代で、ジャンボジェット機をチャーターし、ハワイで合宿したという有名な話がある。
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 日本代表としても活躍した藤田さんは、31歳の時に出場した全日本以来、競技会には出場していなかったそう。
 「当時、育児や家事はすべて女房に任せていました。でもいつかは、自分も家族のために時間を使うべきだと思っていて、31歳の時にその決断をしたんですね」と言う。
 でも久しぶりの海はやっぱり気持ち良かったようで、子どもの手が離れたらまたライフセービングに関わりたいと笑顔を見せてくれた。

LSweb 須藤さんが記憶している最後の競技会出場は、33歳の時に九十九里の蓮沼で行われた種目別。

 「ビーチフラッグスで6位だったのが最後です。学生時代は部員も多く、田村さんは鬼コーチでしたけど(笑)、ライフセービング漬けの日々でしたね」と笑顔で話す。
 須藤さんは現在、日体大ライフセービング部OB会の副会長として、後輩たちの活動を縁の下で支えている。

 中学校で教鞭を執る古見さんは、ユース枠でエントリーした生徒と一緒に参加した。

 「30歳の時に全日本に出て肉離れしたのが最後です。ケガをしないようにと思っていましたが、表彰台を逃して悔しいので来年はもっとしっかり練習してきますよ」とにこやかに決意表明した後、「東京都の教員なので、いつかは私のライフセービングの原点である新島に赴任し、島の中学にライフセービング部を立ち上げたいと思っています」と言葉を繋げた。

オープンさながら! マスターズA

LSweb ビーチスプリントに出場した東海大クレストOB、鴨下邦広さん(48歳)は、1992年に伊豆下田で開催された世界大会のメダリストだ。

 「2kmビーチランで銅メダル、ビーチリレーで銀メダルを獲ったのは良い思い出です。今日もビーチランがあればよかったんですが(笑)」と楽しそうだった。

 鴨下さんと一緒に下田の世界大会を戦ったのが、同い年の鯨井さんだ。
 今年、オランダで行われたマスターズの国際大会でビーチフラッグス3位となり“世界の鯨井”健在をアピールしたが、この日は残念ながら見学。

LSweb 旧知の山本ゆうじ氏のインタビューに「若い人からいろいろ教えてもらって、来年に繋げたいです」と答えていた。

 昨年に続いての参加となったのが、館山SLSCの石川智也さん(43歳)。石川さんは社会人になってから活動を始めた遅咲きのライフセーバーだが、現在はパトロールに、コーチにと多方面でクラブを支える主要メンバーとして活躍している。

 日体大OBの青木大輔さん(41歳)も昨年に続いての参加。実は、全日本でも活躍する北矢宗志さん(37歳)と植木さん(38歳)は高校の後輩であり、青木さんが教育実習に行った時の生徒だったのだとか。その北矢さん、植木さんも今年はマスターズAで出場。そして、キレのある動きを見せてくれたのはご想像のとおりだ。

 現在、北矢さんは母校・日体大荏原高校の教師となり、ライフセービング部を立ち上げ、高校生たちを指導し、共にこのレースにエントリーしている——。時の流れを感じつつ、脈々と受け継がれていくライフセーバー魂の連鎖を目にすることができた冬の日だった。
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来年はさらに充実!?

LSweb 強豪選手が集まったユース&オープン世代。

 真剣勝負のレースでスターターを務めたのが、全日本通算21勝、元世界チャンピオンの池谷雅美さん(44歳)だ。
 人数が揃わずマスターズが成立しなかった女子だが、来年こそは華麗な競技姿が見られることを期待しよう。

 ビーチフラッグスのユース女子は、古見さんの教え子である渋谷区立代々木中学校3年の亀井美佑さんが優勝した。
 陸上部に所属する彼女は、「古見先生に教えられて面白そうだと挑戦してみました。まだライフセービングがどういうものか分かりませんが、今日は楽しかったです」とニッコリ。
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 ユース男子の優勝は、成城学園LSC高校2年の大野琉宇那さん。

 期末テストのため練習はまったくできなかったそうだが、「今の自分の実力が分かると思いエントリーしました。優勝できたことで、さらにがんばれそうです」と、練習に対するモチベーションが上がった様子だった。

 オープン男子は実行委員の一人としてがんばった、勝浦LSCの堀江星冴さんが連覇を達成。
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 オープン女子は日体大LSCの石塚円香さんが優勝し「今年、ちゃんと戦って勝った(インカレ優勝はフライングでの勝利)のは初めてなので嬉しいです」と満足そうだった。

 ビーチスプリントのユースは、男子が井上祐里さん(中学3年)、女子が内堀夏怜さん(高校2年)と、西浜SLSCがアベック優勝。
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 オープンは男子が銚子LCの森新太郎さん、女子は西伊豆・松崎LSCの高橋わかなさんが優勝した。
 実行委員の一人でもある森さんは、自分のレースが終わった後に伴走しながらマスターズのレースを録画するという俊足ぶりも披露し、レースの盛り上げに一役買っていた。

 参加者全員が大いに楽しんだレジェンズ・オブ・ビーチフラッグス・ジャパン2016。

 手作り大会といえども、きちんと会場を準備し、正確にジャッジする、手を抜かない運営は素晴らしかった。質の高いレースが行われたからこそ、「今日を冬場のトレーニングの開始日にしたいです」と話す若手選手の姿もあったのだろう。

 レース開催にあたり、ボランティアとして多くのライフセーバーが協力してくれたのは、実行委員長として奮闘した西浜SLSCの小田切伸矢さんら実行委員たちの人柄と人脈のおかげ。ボランティアで協力してくれた皆さん、朝早くからお疲れさまでした。

 「次は2kmビーチランも加え、伝説のレジェンド対決を見せてほしいと言われてしまって……」と、来年に向けての命題を課せられた植木さん。中間管理職ならぬ中堅レジェンドとして、これからもまだまだ奔走する日々が続きそうだ。


    
 
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【ビーチフラッグス・マスターズS】
1位:藤田秀行
2位:須藤信之
3位:古見佳一
4位:田村浩志
【ビーチフラッグス・マスターズA】
1位:北矢宗志
2位:植木将人
3位:青木大輔
4位:石川智也

【ビーチフラッグス・オープン男子】
1位:堀江星冴
2位:森新太郎
3位:石田蒼一郎
【ビーチフラッグス・オープン女子】
1位:石塚円香
2位:高橋わかな
3位:渡邉来美

【ビーチフラッグス・ユース男子】
1位:大野琉宇那
2位:加納陸玖
3位:栗山享大
【ビーチフラッグス・ユース女子】
1位:亀井美祐
2位:西川瑞代
3位:内堀夏怜

【ビーチスプリント・マスターズS】
1位:藤田秀行
2位:須藤信之
3位:古見佳一
4位:鴨下邦広
【ビーチスプリント・マスターズA】
1位:北矢宗志
2位:植木将人
3位:石川智也
4位:青木大輔

【ビーチスプリント・オープン男子】
1位:森新太郎
2位:荒井滉太郞
3位:堀江星冴
【ビーチスプリント・オープン女子】
1位:高橋わかな
2位:神戸友美
3位:利根川莉奈

【ビーチスプリント・ユース男子】
1位:井上祐里
2位:森野郁也
3位:クレイアーロン竜波
【ビーチスプリント・ユース女子】
1位:内堀夏怜
2位:西川瑞代
3位:亀井美祐


 
    

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利根川莉奈の
米国ライフセービング体験記・後編
2016/09/22

That’s American Style! Rina's lifesaving story in USA Vol.2

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大学卒業後、アメリカのカリフォルニア州に留学した利根川莉奈さん。

現地では勉強だけでなくライフセービング交流も積極的に行い、今夏、アメリカで3つの競技会に出場した。

ユース時代に世界選手権のビーチフラッグス銀メダルを獲得した実力のある彼女だが、アメリカの大会ではいろいろ驚くことがあったようで……。

お国事情がよく分かる、米国ライフセービング体験記の後編をどうぞ!(LSweb編集室)


文・写真提供=利根川莉奈(成城学園LSC/今井浜SLSC)




アメリカンスタイルの大会にはオリジナル種目も

LSweb 今夏、私はアメリカで3つのライフセービング大会に出場することができました。
 7月には「カリフォルニア州大会」、8月には「インターナショナルサーフフェスティバル」と「全米選手権」です。

 後編では大会を中心としたアメリカのライフセービング事情をご紹介したいと思います。

 カリフォルニア州大会は、サンフランシスコ南部オレンジカウンティのハンティントンビーチ、インターナショナルサーフフェスティバルと全米選手権は、ロサンゼルス近郊のハモサビーチにて開催されました。

 ハンティントンビーチはサーフィンのスポットとしても有名なビーチで、様々な海のイベントが頻繁に開催される場所ということもあり、周辺には多くのお店が立ち並び、観光地としても有名な海になっています。ハモサビーチは、そこに比べると静かな雰囲気で落ち着いたビーチです。

LSweb 上記3つの大会のうち、少し特殊なのが「インターナショナルサーフフェスティバル」です。これは毎年この時期に3日間にわたり開催され、ライフセービングに限らず、ビーチバレーやボディサーフィン、パドルボードレースなど、いろいろな海に関するスポーツが行われます。

 私は8月7日の「ライフガードチャンピオンシップ」に参加しました。この日は地元、ロサンゼルスカウンティによるレスキューデモ、ジュニアのタップリン、ビーチフラッグス、3マイルメドレーリレーが行われました。

 競技の開始は夜の7時! これも午後9時頃まで明るいカリフォルニアだからできること。暗くなってからも照明を点け、充分な明るさの中で10時過ぎまで大会は開催されました。

 ナイトレースというだけで日本には馴染みのない大会ですが、中でも3マイルメドレーリレーは日本にはないレースで、とても印象的でした。

 これはアメリカ式の2人乗りボート“ドリーボート”を含んだレースで、スイム×4→ボード×4→ボート×4の順番で行われます。一度のレースでブイを12周することになるので非常に長時間のリレーですが、とても興味深いレースでした。
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 またボードのバトンパスが、ボードを縦に立てて渡す方式だったり、招集所では、どのチームが今何周目の何の競技が行っているか分かるようにしていたりと、どれもがとても印象的でした。
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持久戦となったビーチフラッグス

LSweb 競技会全体を通して感じた日本との大きな違いは、ドリーボートのようなアメリカオリジナルのレースがあることと、タイムテーブル、ビーチフラッグスのレースの進め方などでした。

 ランスイムランや、ランドラインレスキューという、紐を使った独自のレスキューレースなどがありました。

 タイムテーブルは、どの大会でも最初の競技の開始予定時刻と、競技の順番だけが載っている目安程度のものです。
 私が知る限りオーストラリアやフランスでも同じようでした。

 日本のように、事前にすべての時刻が表示されているのは珍しいことで、とても日本的であると感じました。
 オンタイムでの進行するために運営の方々がいかに努力しているか、そのおかげで私たちが安心してアップができ、またレースの応援に行けるということを改めて感じました。
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 自分が出場したビーチフラッグスレースは、親しみのある競技だからこそ、運営方法の違いに驚きました。なんとアメリカでは、レースの一本一本の間にレストが与えられないのです!

 例えば、予選で各ヒート準決勝出場人数まで絞るのに5レースが必要だとすると、その5レースはヒートを回さずに一気に行われます。
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 決勝に関しても、男女交互ではなくこちらの決勝人数である16人から最後の1人まで、1人ずつのエリミネーションで14レースが一気に行われます。
 20mを走り、フラッグを取る、帰ってまた寝転がり、走る、その繰り返しで持久力も問われてくる競技でした。

 これは私にとって、一本一本集中して細部に気をくばるという繊細なビーチフラッグスとは全く異なるものでした。
 しかし皆で息を切らせながら、初めは穏やかに行われた会話もなくなってきて、時たま互いに励ましながら行うレースも、私にとってはとても新鮮で良い経験になりました。LSweb

ライフセービングの素晴らしさを再確認

LSweb アメリカの大会に出てみることにより、たくさんのことを学び、たくさんの人々と出会うことができました。

 私個人のビーチフラッグス競技の結果は、カリフォルニア州大会で3位、インターナショナルサーフフェスティバルで2位、全米選手権は決勝まで進んだものの、国際選手へのルールがなく決勝の舞台でのレースはできませんでしたが、結果以上に多くのことを得ることができました。

 語学を学びにアメリカに来ましたが、ライフセービングに携わっていたおかげで語学だけで終わらず、このような貴重な経験をし、自分の世界を広げることができたことを嬉しく思うと同時に、改めてライフセービングの良さを感じることができました。

LSweb ここでの出会いから、アメリカ代表U-19チームにコーチとして携わるご縁も頂き、そこでは日本のビーチフラッグスの技術を伝えることができました。

 私が今まで沢山の先輩方から教えていただいたことを、アメリカの次世代の選手たちに伝えることができたことは、私にとってとても良い経験になりました。

 自分が高校生の時にライフセービングを始め、多くの先生や先輩方にしていただいたことを、今自分が後輩たちやアメリカのユース世代にも伝えていくことで、ようやくお世話になった方々に少しずつ恩返しを始められたようにも感じます。

 日本に帰ってからもまた、ここで学んだことや経験を伝えていくことで、自分ができる形でライフセービングに携わってこの経験を生かしていきたいです。






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利根川莉奈の
米国ライフセービング体験記・前編
2016/09/21

That's American style! Rina's lifesaving story in USA

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日本の大学を卒業した一人のライフセーバーから「留学先の海外でもライフセービングを楽しんでいる!」という知らせが届いた。

米国ライフガードの本場、アメリカ西海岸に旅立ったのは、今年3月に成城大学を卒業した利根川莉奈さんだ。

競技会に挑戦したり、ユース選手の指導を手伝ったりと、積極的にライフセービング交流を広げている彼女が見て、体験したアメリカ流ライフセービングを、前編・後編でお届けしよう。(LSweb編集室)


文・写真提供=利根川莉奈(成城学園LSC/今井浜SLSC)





アメリカのライフガード事情

LSweb 私は今年3月に大学を卒業後、4月からアメリカのカリフォルニアで生活を始めました。こちらでもライフセービングを続けたいと、以前から交流のあったアメリカ代表チームの監督であるジェイさん(Jay Butki氏)に連絡を取ると、大会に出場させてもらえる事に!

 そしてなんと、7月には「カリフォルニア州大会」、8月には「インターナショナルサーフフェスティバル」と「全米選手権」に出場する機会を得ました。

 どれも規模や特色の違う大会ながら、日本の大会とは一味違った良い経験ができました。またそこでたくさんの人々と出会い、アメリカのライフセービングについての話も聞くことができました。日本と異なる点も多く、日本のライフセービングを客観的に捉える機会にもなりました。

LSweb アメリカのライフセービングは、主に監視活動の時期や雇用形態などの点で日本と大きく異なります。例えば監視活動時期は、繁忙期などによって数は異なるものの、こちらでは一年中タワーを開いています。

 日本と違い、海で時間を過ごすことが国民にとって身近である上に、気温の変動が少ないため、どんな時期のどんな時間であっても海辺には人がいます。

 そのような理由から、こちらでは毎日最低でも1つのタワーが開きます。日本のように、ライフセーバーが配置されるのは海水浴期間だけ、という概念がありません。

 また、雇用形態も日本と異なります。アメリカのライフガードチームには「フルタイム」と「パートタイム」の2種類があり、一番大きいクラブでは合計1000人弱が所属しています。

 フルタイムはほかの仕事と同じように、基本的にライフガードを仕事として従事していて、パートタイムは大学生や、ほかにも仕事をしながらライフガードに携わる形となっています。

大会は仕事の合間のレクリエーション

LSweb このように活動形態が日本と違うこともあり、大会の位置付けも日本と大きく異なります。

「大会に参加する」というと日本では、厳しいトレーニングを積んで準備しなくてはと思ったり、敷居の高いイメージを持つ方も少なくないと思います。

 ところがこちらでは、大会に参加することは仕事の合間のレクリエーションのような位置付けで、皆でレースを行って日々の成果を競い合い、大会に集い共に戦った仲間たちとの時間を楽しむ、といった雰囲気が強いようでした。

 すべての大会後には、必ず近くのレストランやバーで「アフターパーティー」が行われます。

LSweb 全米選手権後のパーティーで、あるマスターエイジグループの選手に話を聞いたところ、「ここで一年に一度しか会えない仲間たちに会う、そんなことが楽しみで毎年出ているよ!」という話を聞きました。

 アメリカの大会には、各年齢別のエイジグループレースがあり、マスターエイジの選手が非常に多く参加しています。

 これは私にとって、アメリカの大会に出て一番感動したポイントでした。いくつになってもライフセービングを楽しむ彼らの姿を見ていると、自然と応援したくなる気持ちになりますし、果敢に自然に立ち向かう姿からは、長年この活動に携わってきたことから生まれる威厳が伺えます。

 彼らの姿は本当に素敵で、私はとてもインスパイアされました。最年長の方は81歳で、息子も40代のエイジグループとしてレースに出ているという親子でした。

 ジュニアの活動から学ぶことが多いように、マスターエイジの方々のレースも私たちに様々なことを教えてくれます。
 
 日本ではまだまだエイジグループのレースを作るほどの人口がいないけれど、いつか日本でもマスターからジュニアまでが集う、大きな家族のような雰囲気の大会ができるといいなと思いました。
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 そんなマスターエイジグループに刺激されながら参加した「カリフォルニア州大会」「インターナショナルサーフフェスティバル」「全米選手権」の3大会。その顛末は後編でお伝えします。





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葉山のビーチで宝探しイベント開催
景品は海の家のかき氷やライフセーバー体験!
2016/08/05

「シーバードデイ 2016 宝を探して海へ出よう」 葉山ライフセービングクラブ 2016.7.31

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今年でクラブ設立30周年を迎える葉山LSCは、
神奈川県内でも素朴な雰囲気が残る、
葉山町内の3カ所の海水浴場をパトロールしている。

同クラブが7月31日に開催したのが、
「宝を探して海へ出よう」という海水浴客向けのイベント。

ライフセーバーとの距離が近くなる楽しいイベントを取材した。

文・写真=LSweb編集室




楽しみながらの啓蒙活動

LSweb 「シーバードデイ2016 宝を探して海に出よう」は、葉山LSCがパトロールする森戸海岸、一色海岸、大浜・長者ヶ崎海岸の3つのビーチで、隠されたカプセル探し、監視所に届けると景品と交換してもらえる、という誰でも参加できるイベントだ。

 日本財団がサポートする「海と日本プロジェクト」の一環として行われ、景品には海の家のかき氷や地元で人気のショップグッズのほか、同クラブが所有する水上バイクに同乗してのパトロール体験や、レスキューボート体験など、ライフセービング活動の周知も兼ねたプログラムになっている。

 この日のために用意したカプセルは3浜合計で600個。もちろん、景品もクラブメンバーが海の家やショップなどに1軒1軒に声をかけ、集めたものだ。

 「海に遊びに来た人が誰でも参加できるように、単純で楽しいイベントを考えました。広報にも力を入れて、ラジオで告知したり、地元の小学校に張り紙をしたり、町内の全戸に回る回覧板にも掲載してもらいました」と話す葉山LSC代表の加藤智美さんらの努力が実り、当日は大勢の海水浴客がビーチでのカプセル探しに夢中になり、浜によっては監視所前にカプセルを見つけた人の行列ができる盛況ぶりだった。
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 カプセルの隠し場所は監視タワーやレスキューボードのそば、あるいはライフセーバーのポケットの中という場合あり、海水浴客とライフセーバーが自然に触れあえる工夫も。

 また景品交換の際には、クイズ形式で海の危険やライフセービング道具の知識を伝授するなど、水辺の安全を守るライフセーバーらしい試みが随所に見られた。

水上バイクでパトロール体験

LSweb 景品の中でもひときわ人気が高かったのが、水上バイクに乗ってのパトロール体験だ。

 水上バイクが当たったと分かると、子どもたちはもちろん、若者も目を輝かせ、子どもと一緒に遊びに来ていた大人も興味津々。水上バイクに乗るのは初めてという人がほとんどで、誰もが興奮した様子だった。

 もっとも、パトロールも兼ねての同乗なので運転速度はスロー。しかし、ドライバーとして水上バイクを運転していた同クラブの利根川大道さんは、ちょっと物足りなさそうな雰囲気を察知すると、アクセルを開いて沖へ疾走するなどサービス精神も見せていた。

「この体験がきっかけになって、ライフセービングに興味を持ってくれたらすごく嬉しいです。クラブに入ってくれる、な〜んていう人が出てくれることを狙っているんですけどね」と笑う加藤さんは、精力的に各浜を水上バイクで回っていた。

 毎年、葉山の海に遊びに来るという5年生の男子は、「水上バイクに乗るのは初めて! もっと飛ばすかと思ったけど、パトロール中って聞いて納得した。途中で海水浴客に注意したよ」と楽しそう。
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 藤沢から家族で遊びに来たという小学6年生女子の仲良し2人組は、「葉山の海は水がきれいだから好き。水上バイクにもまた乗りたいな」と、笑顔で話してくれた。

 葉山の海水浴場は浜ごとに特徴がある。町の中心部に近く賑やかなのが、一番広く遠浅の森戸海岸。葉山御用邸の前に位置する一色海岸は、背後の丘陵地帯が迫り落ち着いた雰囲気だ。
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 ユニークなのが大浜・長者ヶ崎海岸。隣接する2浜のうち、大浜海岸はSUPやアウトリガーカヌー、水上バイクなどのマリンスポーツ優先のビーチで、海水浴場には指定されていない。

LSweb 一方、こぢんまりとした長者ヶ崎海岸は全面が海水浴場で、左手にヤリ島、沖にエビ島といった岩場があり、海洋生物が間近で見られるファミリービーチだ。

 今年、大浜・長者ヶ崎海岸の監視長を務める田中博章さん(中央大学3年生)は、「長者ヶ崎海岸はリピーターの多いビーチだと思います。駐車場からのアクセスも便利で、BBQもできるので、家族連れが多いですね。沖に岩場あがるので生き物がたくさんいて、楽しいですよ。
 その替わり、切り傷やウニのトゲによるケガなどが、他の浜よりも多いかもしれません。それと、急に水深が深くなるドン深の海なので、そのことをしっかり頭に入れて監視をしています」と、日焼けした顔で話してくれた。

 葉山LSCがパトロールする3浜の今年の海水浴期間は8月31日までだ。
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ライフセーバーのための気象予報講座⑫(最終回)
この夏、『ローカル』になる!
2016/07/15

Weather Information for Lifesavers⑫

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九十九里LSCの松永 祐さんによる好評連載「ライフセーバーのための気象予報講座」は今回が最終回となる。

天気のメカニズムを知り、天候の変化を察知することは、ライフセーバーにとって大事なスキルの一つだ。

夏季のパトロールに、日々の練習に、安全で楽しく活動するために、じっくり読んで役立ててほしい。(LSweb編集室)


文・写真=松永 祐(九十九里LSC、サーフ90鎌倉LSC)




パトロールシーズン、到来!

 いよいよ7月。
 2016年は偏西風が蛇行していて梅雨明けが遅れ気味ではあるが、本州でも本格的に海水浴場が開設し始めている。ライフセーバーにとっては一年の集大成を見せる本番の季節だ。

 とはいえ、実際にやらないとわからないことも多く、勉強の日々でもある。今年はそこに天気予報も付け加えてみよう。意識的に2カ月間、毎日同じ海を見ていれば、そんじょそこらの気象予報士よりも細かい海の表情を理解できるはずだ。

あなたの浜の予報士に

LSweb 少しおさらい。

 テレビなどの天気予報で気象予報士が説明しているのは、地球規模から直径数キロメートルという大きなスケールの現象を対象としているため、大雑把にならざるを得ない。
 この予報で使われるのが、先に紹介した気象衛星、天気図、気象庁スーパーコンピューターのシミュレーションなどである。

 一方、海水浴場は大きくても横幅1~2キロメートルであり、遊泳者が遊ぶ範囲はせいぜい横幅数十メートルという、地球規模と比べたら小さなスケールだ。
 ここで使われるのが、みなさんの「目」「体」「毛」そして「アタマ」である。

 既に数回書かせていただいているが、ローカルになるための一番の障害は、大きなスケールと小さなスケールのリンクができていないことだ。

 この夏、このギャップを埋める工夫をして、是非地球規模から毛レベルまでをつなげてほしい。

 ただしそれはすごく手間のかかることではない。日々の取組みをほんの少し発展させるだけで、埋められるのだ。

 アタマではわかったけど……何をすればいいの? と思ったら、次のことを日々ほんの少しでも実践してみよう。

まず、去年のノートを見てみよう

 もちろん、去年よりもより良い監視をするために、夏の準備段階で皆さんよく読みなおしていることだろう。改めて天気の視点でもう一度読み直してみてはどうか。

 毎日の風向風速・波のブレイクの位置・流れ・海中での人の寄り具合・それらが変わる時間帯、潮汐による変化がどの程度書(描)かれているだろうか。

 逆にその他のガードの反省点はどの程度書かれているだろうか。ノートに記載されている項目が多いほど、より良いパトロールのために意識的に改善してきたはずだ。

 過去を振り返ると、よほど思い出に残っている日以外は、いつどのような天気だったかを憶えていることは無いだろう。早速、「記録をする」ということを軸に、天気についても取り組もう。

朝起きたら……

LSweb 起きたらすぐに海に入りたい! と思うかもしれないがちょっと待った!

 海に行く前にスマホで雲画像、天気図、最寄りのアメダス観測情報の3点セットは最低限確認しよう。

 ここで、低気圧が北にあるから南風かな? 等圧線がたくさんあるから風は強そうかな? 晴れるから海風が強まるかな? と、少しでもいいから昼間の風景を寝起きの時点で想像しよう!

 「お気に入り」に設定してすぐに画面が出せるようにしておけば、探す手間も省けてすぐに海に行ける。

 余裕があれば、ここに波情報を加えてみよう。ただ、波情報を見るのなら「腰・腹」等の文字情報だけでは不十分。シミュレーション動画があればそれも一緒に見て、どの方向からうねりが来るのか、そのうねりと天気図の関係性まで見ておきたい。

 毎日一瞬見るだけで、一瞬考えるだけで大きく違う。使う時間は5分でもOKだ。

朝礼で

 ラジオやお天気サイトの解説情報を読み上げて、天気マーク以外の情報を共有しよう。予報だけではなく、「大気の状態が不安定」といった夕立のヒントも拾う事が重要だ。

 読み上げるには3分もあればじゅうぶんだろう。ここまでに、気象予報士が普段見ている大きなスケールの情報を入手しておこう。

“毛”が重要

LSweb 監視時間中、ライフセーバーの皆さんは一日に数回、五水チェック(地形や流れの確認)のために海に入るはずである。もちろん、強い流れ、強い風があれば、その結果は風下を重点化するといったガード体制へ反映される。

 今回のポイントは、いかに風や流れが弱い状況下でも感じ取れるかということだ。

 微妙な変化、微妙な流れの有無が、天気図などと関連することもある。流れや風がないからいいじゃん、とは決して思わないでほしい。
 例えば、キリが晴れる直前や夕立雲が近くにある場合、潮が動く直前等には、風や海水の流れがほとんどないという状態もあり得る。

 また、風がほとんどない状態でも、体が濡れていれば、どこから吹いているかわかるはずだ。毛の動きで微々たる海水の流れも感知できるはずだ。「ほとんどない」では終わらせず、「ほとんどないが微妙にこっち!」がわかるくらい観測精度を上げられるようにしたい。

 これにはいつもより少し立ち止まる回数を多くしたりして、一日あたり追加で5分程度かかるかもしれない。

自分の立ち位置を要確認

 せっかく体で風や海水の流れを感知できても、正確にコンディションを把握できる位置に居なければ重要なサインを逃す可能性がある。

 先輩からは360度目を付けて浜も海と同じように監視しなさい、と習っているかと思う。その際に、背後に建物があるなど、風や空を遮っているものがないか、よく確認しておこう。

 背後が壁で、いつの間にかオフショアになっていた、なんて事があったら、ライフセーバーでしか感じ取れない重要なサインを早速逃していることになってしまう。ついでに、縦方向にも360度目を付けて、雲の動き、旗のなびき方、木の揺れ具合等も見えるようになるとより良い。

ノートには“図”が重要

LSweb このように1日で体感したことは、必ず図としてノートに残しておこう。図は文字より描く時間が短縮できるし、微妙な向きまでしっかりと記載できる。

 例えば、海に向かって右から左の風が吹いていた場合。海岸線にぴったり並行に右から左なのか、やや沖に向いて吹いているのか、やや岸に向いて吹いているのか、この微妙な違いで波の形や監視のポイントが大きく異なってくるはずだ。今年はこの微妙な違いまで気を遣って認識してもらいたい。

 もちろん、走り書きでも絵が水でにじんでいてもよい。後で見返した時に気象条件とその日の海水浴場の雰囲気が同時に思い出せればより良いだろう(読めないのは、もちろんダメ)。

 1日数回ノートに記録すると、全部で合計7分くらいはかかるかもしれない。

変わり目を逃さない!

 もちろん、忙しい日やライフセーバーの人数が少ない日は、いちいちノートに書き留めておくことはできない。そんな時は、「変わり目」だけでも確実に記録しておこう。
 代表例としては風向きの変化、海の流れの変化。もちろん、それが発生した時間の記録も不可欠だ。

 何かとドキッとする「変わり目」も、何らかの傾向があるかもしれない。毎日の記録からなら把握できるはずだ。

寝る前に……

 もう一度、スマホで朝見た資料を見てみよう。

 今日の監視時間にノートに書き留めた変化は、天気図や朝の気象情報からも想定できそうか。または、いくらかズレたものだっただろうか。

 もし天気図と実際のズレが毎日続くようであれば、それがその海水浴場固有の特徴である。逆に言うと、天気図が読めれば、そのズレを考慮することにより、監視する海水浴場でのより正確な予測が出来るということでもある。ここで、目指す「ローカル」が見えてきた。

 眠い目をこすりつつ、一日の最後に5分だけでも頑張ってほしい。

「1日20分」でローカルに

LSweb 1日当たり合計約20分だけ天気のことを考えるだけで、ひと夏終わった後にはかなり担当海水浴場のイメージができようになるに違いない。

 過去11回の連載で、いろいろな気象観測機器や予測の方法を説明してきたが、浜に立てば、みなさんの体が気象観測機器、アタマがスーパーコンピューターだ。

 そこで出た結果をその都度毎日記録し、その傾向を知ることが、海水浴場レベルの規模の気象状況を把握する重要な方法である。特に監視を始めたばかりの人たちにとっては、海や風を読めるようになるための非常に有効な手段でもある。

 一方、監視が連続する場合、監視中は絶えずお客さん対応があり、それ以外の時間帯に朝練から夕飯や反省会までをこなすと、なかなか時間に余裕がない。
 監視長の方々は少し気を遣っていただき、チームでぜひこの20分を捻出してほしい。そうすれば、学生のうちから『ローカル』的に呼ばれることができるだろう。

 さて、この夏、みなさんの海はどのような表情を見せてくれるだろうか。今から想像するとワクワクが止まらない☆


☆★ ライフセーバーのための気象予報講座 連載一覧 ☆★

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第1回:ローカルになろう!プロローグ


第2回:雲と雨の話


第3回:天気図の見方


第4回:積乱雲の話


第5回:台風


第6回:全日本直前情報


第7回:暖冬とエルニーニョの関係


第8回:低気圧その1


第9回:低気圧その2


第10回:海風と陸風


第11回:梅雨と夏


第12回:ローカルになろう!エピローグ


    
 
[プロフィール]

LSweb
松永 祐(まつなが・ゆう)

九十九里LSC/サーフ90鎌倉LSC所属のライフセーバー。

大学4年時の2005年に気象予報士資格(第5292号)を取得。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)に勤める海のエキスパートであり、競技会を支える安全課のメンバーの一人でもある。


 
    










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