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世界の“鯨井”も駆けつけた
レジェンズ・オブ・ビーチフラッグス・レース
2015/12/27

Gathering of beach race geek! The 1st Legend’s of Beach Flags Race in JAPAN

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2015年12月19日、神奈川県藤沢市の片瀬西浜海岸で新旧のライフセーバーが集うファンレースが開催された。

「Legend’s of Beach Flags Race in JAPAN」と名付けられた、ビーチフラッグスとビーチスプリントに特化したイベントだ。

北風が冷たい師走らしい冬晴れの中、10代から40代まで、22人の新旧トップビーチアスリートが顔を揃えた当日の様子を紹介しよう。



文・写真=LSweb編集室





勝手に、豪日同時開催

LSweb 「ウインターカップをやりましょう───。最初はそんな提案だったんです」
 と話すのは、レース企画者の一人、西浜SLSCの植木将人さんだ。

  “ライフセーバーにオフシーズンはない!”とは言うものの、やっぱり冬場はなかなか気持ちが盛り上がらない。
 だって寒いし、大会は終わったばかりだし、クリスマスやお正月など楽しいイベントは盛りだくさんだし……。

 それならばレースを企画して、トレーニングするモチベーションを上げてはどうかと言い出したのが、練習仲間でもある小田切伸矢さん(西浜SLSC)、森 新太郎さん(銚子LC)たち。

LSweb そういえばオーストラリアでは「Legend’s of Beach Flags Race」という企画が進行していたな、と気づいた植木さん。
 よし、日本でもビーチフラッグス界の偉大な先輩たちを招いてレースをしようと思い立ったのだそうだ。

 「どうせやるなら同じ日と思い、準備まで約1カ月しかなかったのですが、先輩方に声を掛け、イベント名も勝手に『Legend’s of Beach Flags Race in JAPAN』と名付けて開催することにしました」と笑顔を見せた植木さん。

 本家(オーストラリア)では、マスタークラスのレジェンドだけが参加するイベントだったが、日本は若手も召集。世代を超えた交流が生まれた。

 「ビーチフラッグスを日本のお家芸にしてくれた、大先輩たちが来てくださるんですよ。そんなレジェンドの姿を若手に見せなきゃ、伝えなきゃ、意味がないですよね」
 と植木さんは言う。

 全日本ビーチフラッグス優勝8回。若手にとって目標であり、憧れでもある植木さんが、レジェンドと尊敬する先輩たちの顔ぶれとは……。
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元世界チャンピオン、現る

 レジェンド枠と現役枠に分かれた行われた今回のファンレース。

 レジェンド枠には東海大OBの鯨井保年さんを筆頭に、日体大OBの岸 由起夫さん、青木大輔さん、柿崎貴文さん、中島 章さん、専修大学OBの野田輝明さん、館山SLSCの石川智也さんの7人が顔を揃えた。
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 90年代から00年代にかけて活躍した彼ら。特に鯨井さんは、俗に“サムライスタート”と呼ばれる、軸足に体を引きつけて回転する高速スタートで一時代を築いた、、ビーチフラッグス界のレジェンドだ。

 全日本での優勝はもちろん、レスキュー’94、’96と世界大会のビーチフラッグスで二連覇を達成し、ライフセービングが一般的に注目されるきっかけを作った人でもある。ビーチフラッグスが日本のお家芸と言われるようになったのも、男子は鯨井さん、女子は池谷(遊佐)雅美さんの功績が大きい。

 そんなレジャンドたちも、ほとんどが10年以上ぶりのレースだという。最年長47歳の鯨井さんは、なんと17年ぶりのレースだとか。
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 ちなみに、この日、現役枠で参加した最年少は、東洋大学の富山正樹さん(銚子LSC)で18歳。世界で戦っていた男と、ハイハイしていた赤ちゃんが、今は同じビーチで砂を蹴っている……というわけだ。

 久方ぶりのレースは大いに盛りあがった。

 ビーチフラッグスのスタートラインに並んだレジェンドたちは、「この緊張感がたまらない」「うわぁ、準備不足だった。後悔するなぁ」など口にしながら、それでも皆、とびきりの笑顔を見せていた。

 体調不良のため急遽、審判に回ってくれた東海大OBの後藤隆明さんの笛でレース開始。
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 ブランクを感じさせない俊敏な動きで、鯨井さん、岸さん、青木さんが勝ち上がると、現役時代さながらの迫力のレースで青木さんがダウン。
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 ラスト1本のスタートラインに立った鯨井さんは、「What’s a lovely day!(なんて楽しい日なんだ、なんてステキな日なんだ!)」と、晴れ晴れをした笑顔を見せ、岸さんも「楽しみましょう!」と笑顔で応じた。

 そして、最後の1本を掴んだのは、“世界の鯨井”だった。
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 参加が決まってからの1カ月間、岸さんは毎日走り込みをしたそうだ。

 「その間に4回も熱が出ちゃったんですけどね」と笑いながら、「でもすごく楽しかった。次はもっと練習して参加したいですね」と口にした。

 「次はもっと楽しむために、きちんと準備してきますよ」と話していたのは青木さんだ。

世界の頂点を再び

 ファンレースとは言え、レジェンド以上の白熱した戦いが繰り広げられたのが現役枠だ。
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 植木さんや、猪爪堅史さん(式根島LSC)など、レジェンド枠に入っても許されそうな顔ぶれもガチ参加。植木さんはまだまだ若手には負けらないと3位に入賞し、発起人の意地を見せた。

 決勝対決は勝浦LSCの先輩後輩である、竹澤康輝さんと堀江星冴さん。現役枠22人の頂点に立ったのは、実行委員としても奮闘した、後輩の堀江さんだった。
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 「僕が4年の時の1年生。まさかこんなに速くなっているとは!」と舌を巻いた竹澤さん。そんな2人をレジェンドたちは「速いなぁ」と感嘆を上げながら見つめていた。

 その後ビーチスプリント、レジェンドと現役がミックスしてのビーチリレーも行われ、有志による手作りファンレース「第1回レジェンズ・オブ・ビーチフラッグス・レース」が終了した。
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 今回は人数不足で女子の部は開催されなかったが、鯨井さんに誘われてビーチ競技を始めたという藤原 梢さんや、準備に手を貸してくれた女子アスリートも会場に集い、レジェンドたちの雄姿に歓声を送っている姿が印象的だった。

LSweb 「久しぶりレースは、感慨深いものがありましたね。スタートラインに立った時、過去も、現在も、未来も見えましたよ。
 自分が現役でやっていた時代のこと、今現在の状況、そして頼もしい若手の姿を見て(ライフセービングが)未来に繋がっていることを実感できました。とても楽しかったです。実は今、新しい技を開発中なんですよ。次までには奥義を極めておきますから!」

 レース後、そう言って豪快に笑った鯨井さん。
 来年春に予定されている次の開催で、サムライスタートに次ぐ必殺技が見られるかもしれない。

 「日本人チャンピオンを再び」という目標を掲げスタートしたこのファンレース。今後の発展が非常に楽しみだ。
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「Legend’s of Beach Flags Race in JAPAN」成績表

【ビーチフラッグス・レジェンド枠】
1位:鯨井保年
2位:岸 由起夫
3位:青木大輔
4位:石川智也
5位:柿崎貴文
6位:野田輝明
7位:中島 章
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【ビーチスプリント・レジェンド枠】(現役枠より飛び入り有り)
1位:野村大和
2位:柿崎貴文
3位:石川智也
4位:植木将人
5位:猪爪堅史
5位:青木大輔
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【ビーチフラッグス・現役枠】
1位:堀江星冴
2位:竹澤康輝
3位:植木将人
4位:小田切伸矢
5位:森 新太郎
6位:猪爪堅史
7位:高梨友美生
8位:荒井滉太郞
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【ビーチスプリント・現役枠】
1位:森 新太郎
2位:荒井滉太郞
3位:小田切伸矢
4位:高梨友美生
5位:富山正樹
6位:堀江星冴
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