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MR.KISUKAWA
追悼 橘川克巳 氏2019/03/28

Condolences to Mr. Katsumi Kitsukawa

Mr. Kisukawa01
長年にわたり地域クラブの発展に尽力すると共に、
縁の下の力持ちとして競技運営を支えくださった
湘南ひらつかライフセービングクラブの橘川克巳さんが、
心疾患のため3月18日に急逝されました。
ありし日の写真を掲載し、故人のご功績を偲びます。

文/写真=LSweb編集室




ヒラッパーズジュニア プールガードからライフセービングの世界に足を踏み入れた橘川さんは、1990年代初頭から辻堂ライフセービングクラブを経て、湘南ひらつかライフセービングクラブで活動を続けてきました。湘南ひらつかLSCでは社会人ライフセーバーとして多忙な時間をやりくりしながら副代表として関係者との交流を深め、またジュニア育成にもビジョンを持って取り組み、同クラブのジュニア組織「ヒラッパーズ」の立ち上げに貢献。ヒラッパーズ設立時には小学生だった初期メンバーたちは、今では高校生、大学生となり、競技に夏季パトロールにと活躍しています。

オフィシャルオフィシャルビーチ 橘川さんはまた、ライフセービング競技を支えるオフィシャルの中心的メンバーでもありました。ビーチ競技もオーシャン競技も、そして成績表の集計もとなんでもこなし、選手たちが躍動するライフセービング競技を支えてくれました。

 “大人ライフセーバー”として、時に口やかましく学生ライフセーバーを指導する姿を見かけたこともありましたが、誰に対しても面倒見が良く、若手メンバーと同じ場所で、同じように行動し、その姿勢を崩すことがなかった橘川さんは、ライフセーバー仲間に大きな安心を与えてくれる存在でした。

 淡々と自分の仕事をこなしながら、さりげなく周囲を気遣う人間性は、職場である介護施設でも大いに頼りにされていたはずです。趣味は音楽ライブに通うこと。ゆるキャラとツーショット写真を撮るお茶目な顔も持ち合わせていた橘川さん。享年55歳の若さでした。ご冥福をお祈りします。

プール20th





必読!女性ライフセーバーの健康管理
第5回 健康美肌を守るスキンケア
2018/05/23

How to manage in good shape for female lifesavers

女性ライフセーバーに知ってもらたい健康管理の方法を、大竹SLSCのライフセーバーであり、助産師として働く齋藤愛子さんの解説でお届けする本連載。

今回はライフセービングシーズン目前の今から習慣づけたい、美しい肌を守るスキンケアの方法を取り上げてみた。紫外線が急激に今から実践しよう!(LSweb編集室)


文=齋藤愛子(大竹SLSC)




日焼け止めを正しく選ぼう



 赤ちゃんのようにつるつるの肌とまではいかなくても、女性なら誰でもきれいな肌でいたいと思う。肌がきれいであれば、それだけで自分の自信になり、表情豊かに人と接することができる。

 たくさんの遊泳者に話しかける機会の多いライフセーバーにとって、美肌を保つことは、コミュニケーション力の向上にも少なからず効果があるといえるだろう。

 今回は海で活動するライフセーバーの肌を健康に保つ方法を共有する。




 まずは日焼けのダメージから皮膚を守るために、日焼け止めを正しく選びたい。日焼けの原因となる紫外線には3種類ある。

①しわやたるみといった肌の老化の原因となる紫外線A波。
②メラニン色素をつくり、しみやそばかすの原因となる紫外線B波。
③悪性新生物(がん)などの皮膚病の原因となる有害性の高い紫外線C波である。

 日焼け止めは紫外線A波とB波をカットできるが、紫外線C波をカットすることはできない。オゾン層のみが紫外線C波をカットできるのだが、オゾン層の破壊で紫外線C波が地球上に届いてしまうことが現在心配されている。

日焼け止めの種類は様々


 では紫外線A波とB波が肌に届くのを防止するために、どのような日焼け止めを塗ればよいのだろうか。

 日焼け止めにはPAとSPFという2つの指標がある。PAは紫外線A波の防止効果を、SPFは紫外線B波の防止効果を表す数値である。

 PAは+の数で表され、+の数が多いほど紫外線B波のブロック効果が高い。++++が最大なので、PA++++と記された日焼け止めを使用するとよい。




 SPFの数値は、紫外線が皮膚に当たりだしてから日焼けをするまで個人差があるのだが、その日焼けをする時間をたとえばSPF30なら30倍遅らせることができる、という意味である。

 10分で日焼けをする人なら30倍の300分、つまり5時間に遅らせることができる。ただ、こまめに塗りなおさなければその効果はないので、監視活動で忙しいライフセーバーはSPF30以上の日焼け止めを使用し、できるだけこまめに塗りなおすとよい。

 そして日焼けをしてしまったら保湿をし、肌の回復を促すこと。保湿を効果的に肌にとり入れるには、正しいスキンケアがキーとなってくる。


日焼け止めはしっかり落とす!


 みなさんは日頃から正しいスキンケアができているだろうか。特に夏の監視救助期間中、日々の業務に忙しくてついつい日焼け止めをきちんと落とさずに洗顔したり化粧水だけをつけてそのままにしていないだろうか。

 時間がない時も、日焼け止めをしっかり落としてから洗顔し保湿をすること。それが皮膚の回復を促し美肌を守るためにとても大切なポイントである。

 また、外側からのケアに加え、日々の生活でも、肌を美しく保ち、日焼けからの回復を早めることができる。

 食事ではビタミンの多い野菜や果物を摂取する。ビタミンCは茹で水に溶け出すため、茹でる時間を短くしたり、水を使わない加熱調理(蒸す、炒める)でビタミンCを摂取するよう心がける。また、ビタミンCは夜寝ている時に吸収力が高まるため、夕食時に柑橘類などビタミンCを含んだ果物を食べると良い。

 睡眠時間も削らずに自分が満足できるくらい眠る。人によって必要な睡眠時間は異なるが、肌がダメージから回復するためにターンオーバーを活発に行う肌のゴールデンタイムは22:00-02:00なので、この時間に眠っていられれば最高だ。

 精神的なストレスも肌の健康を害するので、嫌なことは周りと共有し浄化して、楽しいことや嬉しいことも周りと共有し倍増させて日々を過ごせるように、生活環境もマネジメントしていってほしい。


    
 
齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴15年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。

 
    





必読!女性ライフセーバーの健康管理
第4回 骨盤をととのえる方法
2018/03/25

How to manage in good shape for female lifesavers



女性ライフセーバーに知ってもらたい健康管理の方法を、大竹SLSCのライフセーバーであり、助産師として働く齋藤愛子さんの解説でお届けする本連載。

今回は健康的で美しいライフセーバーになるための骨盤ケアの後編。前編と合わせて読んで“ヘルシー&ビューティー”を目指そう!(LSweb編集室)


骨盤ケア①の記事はこちら


文=齋藤愛子(大竹SLSC)




日々の生活から骨盤ケアを

 前回は骨盤の役割と、その骨盤を支えている骨盤底筋群を鍛えることの大切さについて紹介した。今回はどのように骨盤底筋群を鍛え、骨盤の柔軟性を高めるとよいのか、骨盤のメンテナンスの仕方をお伝えする。
 まず、みなさんに質問したい。雑巾がけを行うこと。これは骨盤に良いか?悪いか?
 正解は、雑巾がけを行うことは骨盤に”良い”だ。雑巾がけをすることで骨盤や背骨の周囲の筋肉が鍛えられるため、骨盤をしっかりと支えられるようになる。

 では洋式トイレと和式トイレはどちらが骨盤に良いか?
 正解は、骨盤に良いのは”和式トイレ”である。和式トイレでのしゃがんだ姿勢は、股関節の柔軟性を高めるだけでなく足腰を鍛えることにも繋がる。



 しかし、掃除の手段として雑巾がけをしている人はいるだろうか?私の最終雑巾がけ歴は大学時代の剣道の授業時であり、それ以降雑巾がけをしていない。和式トイレと洋式トイレで、積極的に和式トイレを選んでいるだろうか?掃除に雑巾がけをとり入れたり和式トイレを使用する習慣をつけたりするなど、意識して日常生活で骨盤をととのえる動きをしてほしい。

 ほかにも、座るときはあぐらにして股関節の柔軟性を高めたり、足を組んで座ったり床で横座りしたりせずに左右の骨盤に均等に力が加わるように姿勢に気をつけるだけでも、骨盤をととのえることに繋がる。


骨盤体操で骨盤をととのえる

 では、ストレッチとしての骨盤体操をいくつか紹介したい。
たくさんのストレッチ動作があるが、ここでは助産師として、妊娠中(妊娠中期以降)でも行える骨盤体操を紹介しようと思う(もちろん、妊娠していない人にも効果があるもの)。

【四つん這いのポーズで腰まわし:骨盤のゆがみをととのえる】
・両手両膝を床につけ、四つん這いの姿勢になる。
・両手と両膝を肩幅に開き足先はまっすぐ床に伸ばす。
・お腹と腰をゆったりさせて、気持ち良い方向に気持ちよく回す。(肘が曲がらないように)。同様に反対側にも行う。













【しっぽさがし:骨盤の左右差をととのえる】
・四つん這いのまま自分のお尻にしっぽをイメージし、そのしっぽを見るように左右に振りかえる。左右のどちらが楽か確かめる。
・楽に振り返ることができた方向へ、自分のイメージしたしっぽを見るようにゆっくりと息を吐きながら振り返り、その姿勢のまま2-3呼吸する。
・最後の吐く息と一緒に体を正面に向けながらふわっと脱力。頭も自然にだらりと下げる。そのまま2呼吸。これを3回繰り返す。
・つぎに反対側を一回のみ行う。
・しっぽを見るつもりで振り返り、2呼吸キープ。最後に吐く息と同時に脱力、体をまっすぐに戻し、頭を下げてそのまま2呼吸。













【ねこのポーズ:骨盤周りの筋肉をのばし、腰痛も予防できる】
・四つん這いの姿勢で腕と腿は床と90度。
・先に息を吐いて息を吸いながら天井のほうを見上げるようにして背中をそらせる。
・反対に息を吐きながら、お臍を見ながら背中を丸めて、手で床を押していく(背中を十分に丸める)。
・息を吸って天井を見るように自分のペースで繰り返す。
・吐いてゆっくり吸って終了する。

 どの動作も、息を吐きながら動きをすることがキーポイントだ。吐くときは口をすぼめてろうそくの火を吹き消すように「ふーっ」と吐いていく。息を吐いているときは副交感神経が高まるので心をリラックスさせ、からだの筋肉をゆるませることができる。骨盤体操のときだけでなく、ランニングや海練の際も、呼吸が苦しくなったらとにかく吐くほうに集中すること。息を吐いた分だけ吸うことで、体内の二酸化炭素も排出され呼吸が楽になる。
 骨盤は私たちのからだを支え、臓器を保護する大切なもの。その骨盤がゆがんだ状態でトレーニングを続けていると、背骨に悪影響が生じライフセーバーに多い腰痛の原因になるだけでなく、そのゆがみは女性の妊娠・出産にも大きく影響する。女子ライフセーバーのみなさんは特に日々の生活の中で「骨盤とととのえる」意識をし、「骨盤にいい」姿勢や動作を習慣づけてほしい。


    
 
齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴15年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。

 
    





必読!女性ライフセーバーの健康管理
第3回 骨盤ケアでからだを整える
2018/02/13

How to manage in good shape for female lifesavers



女性ライフセーバーに知ってもらたい健康管理の方法を、大竹SLSCのライフセーバーであり、助産師として働く齋藤愛子さんの解説でお届けする本連載。

3回目の今回は、健康的で美しいライフセーバーになるための骨盤ケアについて。一読してあなたも“ヘルシー&ビューティー”に!(LSweb編集室)

文=齋藤愛子(大竹SLSC)




骨盤はからだの土台

 みなさんは自分の「骨盤」について意識したことはあるだろうか。

 骨盤はからだの中心にあり、全身を支える土台のような役割をしている。上は背骨、下は股関節と繋がり、多くの骨と組み合わさって成り立っている。また内蔵などからだの臓器を包み、守る役割も兼ね備えている。つまり、「骨」として姿勢を保つだけでなく「鎧」のように臓器を守る、生きていくうえで要となるのが骨盤である。



 ライフセービング活動は、IRBや土嚢、ボードなどの重いものを運んだり、レスキューボードのパドリングなど腰に負担のかかる動作や姿勢が多い。

 女性にとっては、赤ちゃんが産まれる通り道が骨盤であり、将来のお産にそなえて骨盤を整えておくことはとても大切だ。そのことも頭の隅に入れておこう。





現代人の骨盤事情

 現代は洋式トイレの普及で和式トイレが減り、骨盤を広げる体勢をとる日々の機会が少なくなっていることから、骨盤と繋がる股関節の柔軟性が乏しい人が特に若い人に多い。

 また現代は車社会であり、歩くことは昔に比べて激減し、そのために関節をつないでいる靭帯や足腰・骨盤周辺の筋肉も弱くなっている。

 片足に重心をかけて立つ、足を組む、いつも同側でかばんをもつ、スマフォ座り(浅く腰をかけて背中を丸めた座り方)など日常生活動作で骨盤の左右差や硬さが生じている人が実はたくさんいるのだ。

 マリブボードやサーフスキーを片側で持って運ぶライフセーバーのみなさんにとって、骨盤が傾きやすい要素は現代人の生活背景に加えてより多いということも知ってほしい。


骨盤の緩みを整えるためのキーワード:骨盤底筋群


 ここでは骨盤の傾きや硬さ、ゆがみを「骨盤が緩む」という言葉に統一して話をする。

 骨盤が緩んだ状態では、内臓の下垂(下にさがること)や姿勢のゆがみが生じやすくなり、さらなる負荷(過重負荷)が骨盤に加わる。

 姿勢がゆがむと骨盤周りの筋肉が骨盤の代わりに背骨を支えようとするため腰痛が生じやすくなり、骨盤内部にある膀胱や腸などを下からハンモックのように支えてくれている骨盤底筋群も疲労してしまう。

 また、過重負荷によりさらなる骨盤のずれ・ゆがみにつながると、骨盤内の血流が滞ることで冷えや体調不良、生理不順を引き起こし、膀胱・腸の圧迫に伴う便秘といったマイナートラブルの原因にもなる。




 骨盤の緩みから生じうるこれらの状態は、骨盤底筋を鍛えることにより骨盤が締まり、骨盤や内臓が正しい位置に戻ることで改善が期待できる*1)。 *1)参考文献:渡部信子著『ゆがみを解消!骨盤メンテ』p19、日経BP社、2009年

 骨盤底筋群を鍛えて骨盤を整え正しい位置に支えておくことで、骨盤内の血液の流れが維持され、新鮮な血液が流れてからだの疲労・けが回復の早さにも繋がる。

 トレーニングをしているライフセーバーは筋肉がついているので大丈夫だと思うかもしれないが、ライフセーバー特有の動作、姿勢ゆえに骨盤が緩んだ状態で筋肉がついてかたまった状態にあることも、考えられる。

 正しい骨盤のかたちを、柔軟な筋肉で支えることが、からだのパフォーマンスを保つ上で大切なので、次回はどのように骨盤の柔軟性を高め骨盤底筋群を鍛えるとよいのか、骨盤のメンテナンスの仕方をお伝えする。




    
 
齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴15年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。

 
    





必読!女性ライフセーバーの健康管理
第2回 月経と女性ホルモン
2017/07/11

How to manage in good shape for female lifesavers

各地から続々と海開きの頼りが聞こえてきた!

今回も水辺の安全を守るために奮闘するライフセーバーたち、
特に女性ライフセーバーが元気でがんばれるように
健康管理のヒントを紹介しよう。

今回は月経と女性ホルモンについて。

大竹SLSCのライフセーバーであり、
助産師として働く齋藤愛子さんの解説でお届けする。(LSweb編集室)

文=齋藤愛子(大竹SLSC)・イラスト作成=LSweb編集室




月経とは

女性なら誰もが経験する月経。毎月1回、平均3〜5日におよぶ膣内からの血液の排泄はそれだけでもうっとうしいが、正常な月経と月経周期は女性の体を健康に保つため、また妊娠出産するために、とても大切なものである。
 今回は女子ライフセーバーに、自分の月経について大切に考え、意識してほしいことを伝えたい。

 卵巣には卵子のもととなる原始卵胞がつまっている。月経が始まると卵胞を刺激するホルモンが出され、それによりエストロゲン(卵子を育てるホルモン)の分泌が促進する。エストロゲンの量が一定値を超えると、それを合図に大量のLH(黄体形成ホルモン)が放出され、このLHが高値に達することで排卵が起こる。この排卵期に性交をすると受精の可能性が高まり、妊娠しやすくなる。

 ちなみに黄体とは、排卵後の卵胞の変化形で、妊娠の成立に一役かっているので、排卵前にLH(黄体形成ホルモン)の分泌が上昇するのは排卵後黄体となって妊娠の成立を助けるためという点で理にかなっている。

 排卵後はプロゲステロン(妊娠の維持に不可欠なホルモン)が黄体から多量に分泌され体温が上昇し子宮内膜が厚くなるが、受精卵が着床しなければ(妊娠しなければ)プロゲステロンの分泌は低下し、妊娠に備えて分厚くなっていた子宮の内膜は剥がれ落ちて、溶けて排出される。これが月経である。

 複雑なメカニズムだが、要約すると①エストロゲン分泌→②その影響でLH分泌が一気に高値になる→③排卵→④妊娠成立を助けるプロゲステロン分泌→⑤妊娠しなければ子宮内膜剥離(月経)→①に戻る、ということだ。

LSweb

女性ホルモンの役割

  月経があることでエストロゲン、プロゲステロン、LHといった女性ホルモン量がコントロールされていることがお分かりいただけただろうか。女性ホルモンは月経がないと正常に分泌されないため、ホルモンバランスが乱れてしまう。女性ホルモンは女性の健康には不可欠なのだ。ここではそれぞれのホルモンの役割をお伝えしたい。

 まず、LHとプロゲステロンの役割について話をしよう。

 LHは、先に述べたように黄体を形成させることそのものが役割である。プロゲステロンは黄体から分泌されるホルモンで、①体温を上げる ②子宮内膜を維持する ③乳腺を発達させ乳汁分泌を促す、というように、主に妊娠を維持する役割が大きい。妊娠中もこのプロゲステロンはずっと分泌される。

 エストロゲンの役割としては、①卵子を成熟させる ②血漿コレステロールを減少させる→動脈硬化を予防し血液の流れをよくする ③カルシウムが血中に溶けだすのを抑える→骨折を予防する、といったものがあげられる。



 女性は男性よりも動脈硬化になる割合が少なく、また骨折予防にもこのエストロゲンの力が大きい。よく閉経した女性が骨粗鬆症になったり動脈硬化のリスクが高まったりすることを新聞などでも目にするが、これは月経がなくなったことでエストロゲンの分泌が少なくなった結果起こることなのだ。

 だが最近、骨折をする若い女子が多くなっている。なぜか。骨折をする女子の多くが、不規則な月経や無月経により女性ホルモンのバランスが乱れていることが考えられる。先に述べたように、エストロゲンは月経があることでたくさん分泌されるのだが、月経が少ない、または無いことで、充分に分泌されず、カルシウムが骨に沈着せずに血液内に溶けだしてしまうのだ。

 実は、ここ最近の全日本選手権では、ほぼ毎年、骨折する女子ライフセーバーがいるということをご存じだろうか?



 以上のように女性ホルモンの低下は、動脈硬化、骨折など、様々なからだの不調を引き起こす。月経があるためには、エストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスが大切であり、このどちらかが欠けても正常な月経はやってこない。

 プロゲステロンの分泌が不足すると無月経の原因にもなりうる。正常な月経があることは排卵があることを意味するので(排卵しない無排卵性月経もあるが)、無月経は不妊症の原因にもなることを知っていてほしい。無月経の女子は、放置せず、一度婦人科の診察を受けることを勧める。


 女子の皆さんは今一度、自分の月経周期を見直してみてほしい。次回は、月経を正常に保つためのこころがけ、気をつけることについて伝えていきたい。


    
 
齊藤愛子(さいとうあいこ)

大竹SLSC所属。筑波大学入学後にライフセービングを始め、今年でライフセービング歴14年。競技ではオーシャンウーマンやスーパーライフセーバーを得意とした。
大学卒業後、会社勤務を経て、より深く命に係わる仕事をしたいと看護師免許、その後、助産師免許を取得。現在、産婦人科(神奈川県)にて助産師として命の誕生に寄りそう現場に携わっている。内閣府が実施する国際交流事業「東南アジア青年の船」に参加した経験も持つ。JLA国際室所属。サーフインストラクター。B級審判。


 
    










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