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浮いて待て!が合言葉
夏休み前に開催された水辺の安全教室「絆プロジェクト」in 辻堂
2016/07/13

2016.7.3 神奈川県・辻堂海浜公園ジャンボプール

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7月最初の日曜日、神奈川県藤沢市の辻堂海浜公園ジャンボプールにて「絆プロジェクト〜水辺の安全を一緒に学ぼう〜」が開催された。

夏季運営前の大型プールを利用して水辺の安全を学んだり、いざという時の対処方法を親子で体験できるこのイベント。

4回目の今年は、定員一杯の400人近い参加者が集まった。



文・写真=LSweb編集室





いざという時に役立つ実体験

LSweb 湘南ウォーターセーフティ協会が主催する「絆プロジェクト」は、東日本大震災の教訓を元に2013年から続く地域密着型の体験イベントだ。

 流れるプールや波の出るプールなどの設備が整った、屋外の大型プールを貸し切り、小中学生(小学生低学年がメインターゲット)とその保護者を対象に4つのプログラムを体験学習していくもので、地元の消防所などとも協力して行われている。

 当日体験できるのは以下のプログラムだ。

① 波乗り体験:波の出るプールでニッパーボード遊び
② 浮いて待て:流れるプールで着衣泳やペットボトルを使っての浮き身を体験
③ 君もライフセーバー:救助の基本を学んだ後に流れるプールで救助体験
④ -1みんなでトライ:子ども対象の応急処置体験
 -2蘇生法訓練:AEDなどを使用した大人対象の蘇生法訓練

LSweb 子どもたちに一番人気なのは、もちろんニッパーボードでの「波乗り体験」。これは詳しく説明する必要もないだろう。

 子どもたちが歓声を上げるこのプログラムの講師役、波崎SLSCの村井亜紗子さんは、
 「存分に楽しんでもらった上で、波の威力を感じてもらい、ひっくり返るなどの体験を通して、(海や水辺の怖さを)注意喚起ができればと思っています。
 このプログラムを通して、湘南という恵まれた地域にいる人たちに、海の楽しさを知ってもらえれば嬉しいですね」と話す。

 絆プロジェクトの運営には、毎年たくさんのライフセーバーが関わっている。こうしたスタッフの絆も、回を重ねるごとに強まっているようだ。

 子どもも大人も真剣に取り組んでいたのが「浮いて待て」のコーナー。

 講師である安倍 淳さんは、地元の宮城で震災を経験した。その時の教訓から、水に浮いていられるこことの大切さと、その浮き方を指導している。
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 力を抜くこと、肺になるべく空気を溜めておくことなど、体を浮かせるにはいくつかのコツがある。しかし知識はあっても、いざという時にできるとは限らない。体験してみないと、とっさの時にはなかなか対処できないものだ。

LSweb 絆プロジェクトの大前提は「まずはやってみる」こと。
 ここでは着衣での浮き身だけでなく、ペットボトルを使って浮く方法など、全員が水に入りスタッフのアドバイスを聞きながら体験していた。

 このプログラムが秀逸なのは、流れるプールで実体験できること。
 海にしろ、川にしろ、水難事故は流れのある場所で発生することが多い。より実戦にそった環境で経験値を積むことができるというわけなのだ。

 保護者の一人は「ペットボトルで浮くと分かっただけでも安心感に繋がりました」と口にしていた。

地域の絆を深めて減災に

LSweb 流れるプールで行われたもう一つのプログラムが「君もライフセーバー」だ。

 水難事故で多い二次災害に遭わないために、ここでは水に入らずに救助する方法を体験してもらう。

 講師の吹田光弘さんは、海水パンツとパトロールキャップが抜群に似合うライフセーバー。
 よく通る声とダイナミックなジェスチャーで、棒や浮き具などを使った救助方法、ヒューマンチェーンのやり方などをデモンストレーションする。

 デモンストレーションが一通り終わり、「自分の身は自分で守るのが基本だよ。でも友だちが助けを求めていたら? みんなで協力して助けてあげよう」と教えていると、絶妙なタイミングで「浮いて待て」のグループが流れるプールの上流から流れてくるではないか。

 子どもたちはプールサイドから「これにつかまって〜」と浮き具を投げ入れ、あるいは「がんばって、今助けるからね」と声をかける。少し下流では、大人たちがヒューマンチェーンを使って救助活動をしていた。
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 浮いて待っていれば助けが来る、というポジティブな体験をしてもらうことも、プログラムの大事なコンセプトだ。

 大人と子どもが唯一、別々に行うのが「蘇生法訓練」と「みんなでトライ」。

 大人たちは現役の救急士から直接、心肺蘇生法とAEDの使い方の講習を受け、子どもたちはみんなでがんばりながら、命の大切さを知ってもらうプログラムになっている。
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「みんなでトライ」のプログラムを担当する講師は、元消防学校体育教官の鎌田修広さん。もしお母さん、お父さんが倒れていたら? という問いかけから、心臓マッサージで救える命があることを学び、硬式テニスボールを使った心臓マッサージ体験へ。

LSweb 救急車が駆けつけるまで心臓マッサージを続けるという設定で、約10分間、テニスボールを押し続けるのだが、小学校低学年の子どもたちにはかなりハードなメニューだ。手は疲れる、膝は痛くなる、息も上がってくる。

 それでも鎌田さんの叱咤激励に応え、全員が1、2、3、4……と声を出し、必至の形相でテニスボールを押し続け、無事、救急隊に引き継いた。疲労困ぱいで「つかれた〜」と言いながらも、子どもたちの顔にはやりきった自信の表情が浮かんでいた。

 ところで、相模湾沿岸地域では、震源や地震の規模にもよるが、最大で10m程度の津波が最短10分程度で襲来することが予想されている。地域全体で災害に強くなるためには、住民同士の協力が必要不可欠だ。
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 「絆プロジェクト」は親子での参加が基本だが、他人の子どもでも見守ったり、助けたりできるように、また近所のおじさんやおばさんとも協力できるようにと、現地では親子がなるべく別のグループに配置されるよう工夫されている。

 プログラム全体を統括するのは、30年以上にわたり水辺の安全を指導し続けている豊田勝義さん。

LSweb 「大人も子どもも、まずは実際にすべてのプログラムを体験してもらうことが大事だと思っています。湘南という地域柄、マリンスポーツに親しんでいる人も多いので、こうした体験はきっと何かの役に立つでしょう。また、住民同士の関係が深まり、お互いに関心を持つことができれば、きっと減災に繋がるはずです」と、絆プロジェクトの意義を話してくれた。

 もうすぐ夏休みも始まる。海はもちろん、プールに出かける人も多いはずだ。そこで最後に、豊田さんに聞いたプールで気をつけたいポイントを紹介しよう。
 水辺で楽しく過ごすための参考にしていただければ幸いだ。


    
 
☆★ 気をつけよう!プールの死角はこんなところ ☆★

LSweb① 事故が起こりやすいのは水深差のあるプール。最初は浅いところにいたのに、遊んでいるうちに水深の深い場所に行ってしまい、足がつかずにパニックになるケースなどが多い。だんだん深くなるプールや、中央部が深いプールは特に注意が必要。

② 小さい子どもの場合、水面と地面の違いを認識していなことがある。保護者や兄弟の後を追っている時、誰かのところに行こうとした時など、陸続きのつもりで歩いてプールに落ちる場合がある。

③ 真水は海水に比べて浮力が少ないため、水面でバシャバシャすることなく溺れることもある。姿が見えなくなった場合は、水面だけを探すのではなく水中いる可能性も考える。

④ 近年は少なくなったが、排水口や流水ポンプなどの柵が外れていたり、不具合がある場合は不用意に近づかず、監視員に教える。


 
    

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