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2012 Summer! 学生ライフセーバーの夏は、まだまだ終わらない。2012/09/12

'12年 夏の海水浴シーズンを終えた葉山LSCと青学大SLSC合宿



海水浴シーズンが終わり、ひと気がまばらになった海岸で
ひたすらランニングとボード練習を繰り返す学生たち。
競技会シーズン本番へ向けて、ライフセーバーたちの夏はまだまだ終わらない……。

文・写真=LSweb編集室





ひと夏を過ごした葉山で青学大生が再始動!

 まだまだ真夏の日差しが厳しい8月下旬の葉山一色海岸。
 ひと気の少なくなったビーチの一角で、来たる全日本LS競技大会に向けて行われていた青山学院大学サーフライフセービングクラブの夏合宿にお邪魔させてもらった。
 本当はこの日、葉山ライフセービングクラブの監視パトロールの現場を取材させてもらおうと思っていた。
 そこで、同クラブ代表の加藤智美さんにその旨を告げるため連絡すると、
「あら、葉山の海水浴場は8月第4週目の週末で終了したので、ガード業務も終わっちゃいました」
 と、いうご返事。

 あちゃ〜、鎌倉や藤沢の海水浴場と同じく8月一杯は活動しているものだと、思いこんでいたLSweb編集室のイージーミスだ。痛恨の失敗に言葉を失いかけていると、
「でも今、当クラブ所属の青学大のメンバーが、夏合宿で練習中ですよ。私も後片付けをしながら、練習に参加しています」というではないか。
 これはありがたい。残念ながら葉山のガード取材は来年へ持ち越しとなったものの、代わりに学生の合宿練習を取材できることになり、ことなきを得た担当スタッフなのであった。
 
 いそいそと駆けつけると、ビーチ中央にある一色海岸監視所建物で片付けをしていた加藤さんとお会いすることができた。
 加藤さんが代表を務める葉山LSCは、神奈川県三浦郡葉山町の海水浴場で、水難救助活動を行うため1986年に創設されたクラブ。現在は、実質60〜70人のメンバーで精力的に活動している。
 担当している浜は、本部のある一色海岸のほか、森戸海岸、大浜・長者ヶ崎海岸の三つだ。
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 「今年は、震災のあった昨年に比べて随分と浜に遊びに来る人が戻ってきましたね。今年は、お盆を過ぎてシーズン終了間際の人出が特に多くなりました。例年以上に暑い日が続いたことが大きいと思います」と、加藤さん。
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 シーズン中のライフセーバーの数について質問してみると、
 「8月に入ってお盆の頃になると、社会人のメンバーも休みを利用して来てくれるのですが、メインとなる学生がテストなどで忙しい7月中のメンバー確保がなかなか大変です。私たちの頃は、7月中旬になると大学はほとんど休みの状態に入っていたと思うんですけど、最近では、7月一杯はテストや授業があったりするところも多いようですね。
 それに加えて、海開き直後の7月中旬には、強風の影響で監視タワーが倒れて破損してしまうという予期せぬアクシデントもありましたので、今年の7月はちょっと苦労しました」
 
 統括責任者として三つの浜に絶えず気を配っていた加藤さんは、すっかり日焼けした顔を時折ほころばせながら語ってくれた。その表情には、ワンシーズンを乗り切ってホッとした安堵の表情と充実感が浮かんでいた。

一年生が主導の“裕也合宿”

 監視所の前で加藤さんと立ち話をしていると、4人のメンバーがボード練習を終えてあがってきた。
 彼らが、この日から3日間の日程で合宿を行っている青山学院大生で、葉山LSC所属の中村優希さん(3年生)、小川裕也さん(1年生)、矢澤悠太郎さん(1年生)、峰岸智志さん(1年生)だ。
 
 “2012夏裕也合宿”と名付けられたこの合宿は、その名の通り、1年生の小川裕也さんが中心となり、全日本の東日本予選への強化合宿第一弾として行われたもの。パトロールシーズンを終えると、すぐに秋の大会シーズンが幕を開ける。8月後半から9月下旬にかけて大学生たちはまだ夏休み期間中のところも多く、各校のライフセービングクラブでは、競技会に向けての合宿やセレクション(選手選考)が行われる時期なのだろう。
 
 余談ではあるが、LSwebでは、今後各クラブの合宿の様子なども精力的に取材していきたいと思っています。皆さん、その際はご協力よろしくお願いします!
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 さて、青学大SLSCの裕也合宿初日の練習内容は、以下の通り。
 午前中はボード主体で、ニーパドル・ストロークでのインアウト練習をこなした後、近くの名島へ。この日は沖合が少し荒れ気味だったため、無理せず名島付近でUターンして浜へ戻ってひと休み。
 
 ここで加藤代表が合流、「まだまだこれから、これから!」と全員にハッパをかけてランボードランへ突入。ランは、浜の左右に張られた遊泳区域ブイの間を走り、ボードを手に取ると沖のブイを回ってくるという、かなり長いコースを約30分休みなしで行う。ちなみに加藤代表が入ってボードが一つ少なくなったため、ビリは必然的にスイムとなる。この厳しい練習を終始リードしていたのは、もちろん加藤代表。
 練習が終わると、
「まだまだ学生には負けられません!」と力強い一言。
 その横で、学生たちは息を切らせながら苦笑いだ。
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 落ち着いたところで、中村さんに葉山LSCについて少し話を聞いてみた。
 「僕は、葉山に所属して3年目です。昨年、青学生は僕一人でなんとなく肩身が狭かったんですが、今年は、1年生3人が葉山に来てくれたので心強いです。おかげで、青学大は(葉山LSCで)一気に一大勢力となりましたから(笑)」

 そんな中村さんは今年、一色海岸の監視長を務めた。
「一年生の時は波崎SLSCに入っていたのですが、競技に強い先輩方もいて、練習が正直きつかったです。もう少し自分にあったレベルで練習や活動ができるクラブはないかと探していたとき、縁あって葉山LSCに参加させてもらいました。監視施設などもしっかりしていて環境も整っているし、加藤さんのような責任感の強いしっかりした人がいてくれるので心強いです。いつも怒られてばかりですけどね」
と、笑顔で語ってくれた。
 
 監視パトロールはいうまでもないが、それ以外に競技にこだわったり、裏方としてクラブ運営に力を注いだり、ジュニア育成にやり甲斐を見いだしたりと、 ライフセービングの本分さえ忘れずにいれば、アプローチの仕方は人それぞれあっていいと思う。
 大切なのは、自分に合ったスタンスで常にスキルを磨きながら楽しく活動できること。そして願わくは、これから先も長くライフセービング活動を続けていって欲しい。
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 ライフセーバーたちの夏は、まだまだ続く……。










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