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海食快潮!
ライフセーバーのための食事学①
2015/08/07

Food and nutrition for Lifesaver①

LSwebパトロールシーズン真っ盛りだが、ライフセーバーの皆さんは連日の猛暑で夏バテしていないだろうか?

夏バテすると食事がのどを通りにくくなる。でもガードは体力勝負。これからピークシーズンを迎えるライフセーバーにとって、元気でしっかり活動するためには、きちんとした食事を取ることが大切だ。

そこでライフセーバーであり、管理栄養士でもある館山サーフライフセービングクラブの篠田敦子さんに、ライフセーバー向けの食事方法を伝授してもらうことにした。

題して「海食快潮!」

海で活動するために知っておきたい食事学の知識を身につけ、快適に潮(波)に乗ろう! ということで短期集中連載をスタートしよう。(LSweb編集室)

文=篠田敦子(館山SLSC)




食べものが身体を作る!

 皆さんご存知の通り、身体は食べたものでできている。

LSweb ライフセーバーも、ハイパフォーマンスチーム(HPT)のメンバーも、いつもお世話になる地元の人たちも、皆、食べたもので身体が作り上げられていく。

「皆さんは、昨日何を食べましたか? 一昨日何を食べましたか?」

 もう一回言おう。身体は食べたものでできているのだ。素早く走る脚は、数か月前に食べた肉、力強くパドリングする上半身は羽が生えた鶏肉かもしれない。

 では、何のために食べるのだろうか?
 
 毎日トレーニングでよく体を動かしているメンバーもいれば、就職活動でもどかしい思いをしている大学生もいるかもしれない。

 皆さんの食べたものは、よく噛むことや胃の働きで分解・消化され、小腸から吸収されて、肝臓でエネルギーに代謝される。ここで初めて食べたものがエネルギーになる。エネルギーは皆さんの元気を生みだすものだ。

 5大栄養素という言葉を聞いたことがあるだろうか。LSwebベーシックライフセーバー資格を所有されている人は講習で習ったはずなのだが、食べ物の中でエネルギーを発するのは糖質(≒炭水化物)、タンパク質(肉・魚・卵・大豆製品)、脂質(油と脂)の3つの栄養素だけ。その他のビタミンやミネラルはエネルギーを持たず、からだの調子を整えたり、エネルギーを作り出す手助けをしている。

 糖質、タンパク質、脂質は、唾液や胃から出される消化酵素の働きにより細かく消化され、小腸で吸収されたのちに肝臓でエネルギーの直接的なもとになるグリコーゲンにつくりかえられる。これを代謝という。その過程で、ビタミンやミネラルが必要になるのだ。

 ビタミンやミネラルの多くは、各種野菜やきのこ類、海藻類、丸ごと食べられるような小魚や小エビにふくまれている。

 「おにぎりだけ」や、「肉だけ」では、エネルギー摂取できていても、身体の中でうまくつくりかえることができず、結果として疲れがうまく取れなかったり、内臓が疲れてしまったりする。

 プロテインなどのサプリメントを購入しているライフセーバーもいるかもしれない。しかし、サプリメントは補助食品だ。基本になる食事がおろそかになっては元も子もない。

 猛暑が続く毎日。多くのライフセーバーが、監視活動やトレーニングなどをこなしながら、日々の生活を送っているはずだ。それなのに昼食は「コンビニのおにぎり2個だけ」という話もちらほら聞く。

 これで皆さんのライフセービング活動はつとまるだろうか? しつこいようだが、もう一度言おう。身体を作っているのは食べものである。

 日頃の活動をより充実したものにするためにも、この夏は食べ物を見直してほしい。そのヒントをこれから数回に分けて紹介していこう。



    
 
[プロフィール]
篠田敦子(しのだ あつこ)

LSwebJLA公認サーフインストラクター 館山SLSC所属
元ライフセービング世界大会日本代表(2000シドニー大会)
管理栄養士/健康運動指導士

東海大学体育学部入学とともにライフセービングを始め、湘南校舎(CREST)在学時は、神奈川県内の海水浴場やプールでパトロール活動を行う。
現在は館山SLSCのメンバーとして、夏期のパトロール活動のほかトライアスロンやオープンウォータースイムのガード、小中学生へのライフセービングプログラムにも携わり、水にかかわる多くの人が、安全に楽しく活動できるよう努めている。東海大学卒業後、栄養士の専門学校に再入学。その後管理栄養士に合格し現在に至る。


 
    








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