Andmore

-
LSweb
ダウンアンダーで活躍する
素敵な日本人女性ライフセーバー
2015/04/20

Japanese lifesaver to be active in Australia!

LSwebサーフライフセービングの本場、オーストラリア。

日本で活動するライフセーバーなら、誰しも一度は訪れ、その活動を自分の目で見てみたいと思っているのではないだろうか。

1990年代、日本のライフセービングシーンで活躍した一人の女性ライフセーバーがいた。彼女はその後オーストラリアへ……。それから20数年。

今もライフセービングに関わりながら、オージーライフを満喫するハナコ・スズキ・マッコームさんを、日本のライフセービングの発展に尽力し、現在もJLA国際室室長として活躍する、相澤千春さんに取材していただいた(LSweb編集室)。

文・相澤千春(西浜SLSC)
写真・相澤千春(西浜SLSC)/遠藤恵子(バディ冒険団)





豪国ビクトリア州の「Jrサーフカーニバル」へ

LSweb 2015年2月初旬、湘南を中心にライフセービングを含む、さまざまなアウトドア活動を繰り広げるジュニア向けの団体「バディ冒険団」の有志が、縁あって、オーストラリア・ビクトリア州のジュニア・ステイト・カーニバルに出場するという話を耳にした。
 同じ時期、私用で渡豪の予定があった私は、彼らに同行させてもらうことになった。

 バディ冒険団の小学生メンバー4人が、メルボルンの南東20kmに位置するメントーンSLSC(Mentone SLSC)のメンバーと一緒に、ステイトカーニバル(州選手権)に出場するという素晴らしい機会をアレンジしたのは、ハナコ・スズキ・マッコーム(Hanako Suzuki McComb)さん。

 鈴木花子さんは、90年代前半に東海大クレストのメンバーとして、二宮袖ヶ浦海岸でのパトロールや競技で活躍、大学卒業後も仕事の傍ら、しばらくは二宮LSCのメンバーとして活動を続けていた。

 その後、子どものころからの夢だった「海外」へ。当初、アメリカ西海岸への渡航を希望していたが、治安が悪くなってきたため諦め、お父様の知人をたよりにビクトリア州のメルボルンへ渡ることにした。ライフセービング競技からは引退していたので、あえてクイーンズランドは選ばなかったそうだ。

LSweb そして、メルボルンで貿易業を営むオーストラリア人男性、マルコム・マッコーム(Malcolm McComb)さんと出会い、結婚。3月に12歳になった双子の男の子、デックラン 虎(Declan Tora)くんとアレック 龍(Alec Ryu)くんに恵まれ、現在チャルトナム(Cheltenham)という閑静な街に家族4人で暮らしている。

 私自身、花子さんとは20年以上ぶりの再会でとても楽しみだった。 端正な顔立ち、爽やかな笑顔は当時のままだったが、長身で小枝のようにか細かった体つきが、さすが「2人の男の子のママ」を思わせるがっちり体型(太っているのとは違います)になっており、会った瞬間になにかホッとする感じがした。

 懐かしい再会もつかの間、カーニバルを2日後に控えていたので、ジュニアたちのトレーニングセッションに参加するため、花子さん、アレックくんとディクランくんの案内で、すぐに所属するメントーンSLSCへ向かった。

子どもたちがきっかけでLS活動を再開

LSweb バディ冒険団の子どもたちは、50~60人のクラブメンバーの前で「はるばる遠い日本から来た友だち」として紹介をされた。
 そしてすぐに、年齢ごとのグループに参加し、ビーチとオーシャンでかなりハードなトレーニングを経験した。長旅の疲れもあって、きっと大変だったことだろう。

 そんな光景を見ているうちにいつしか、花子さんの何気ないなかにもテキパキした動きや表情に、釘付けになっている自分に気がついた。

 指導にあたるコーチたちや、クラブメンバーのママ友たちから「Hana! Hana!」と慕われている彼女は、すすんでコーチたちのサポートに回り、またウォーターセーフティーのボランティアが足りないと見るや、サッとラッシュを着てチューブを抱えて海に駆け込んで行った。

 聞けばメントーンSLSCの事務局の仕事にも従事しているという。

 クラブメンバー約1200人分の会員登録や、約100人分のパトロール時間の調整、11〜4月に行われるジュニア、シニア、マスターズのカーニバル(競技会)の参加登録、カーニバルでのオフィシャルや、ウォーターセーフティー担当スタッフの割り当て、ブロンズ資格試験の書類関係、事務処理、支払い業務等々が主な仕事だそうだ。
LSwebLSweb
 さらに、大会などではU12のウォーターセーフティーを担当し、オフシーズンにはCPRコースの手伝い、昨年からはパトロールにも入るなど、アクティブな仕事もこなしている。

 彼女がメントーンSLSCに入ったきっかけは、息子たちが2011年夏にニッパーズ(U9)を始めたこと。家から一番近く、学校の友だちもいたことから、このクラブを選んだそうだ。
LSweb
 メンバーになって間もなく、ウォーターセーフティーのボランティアを頼まれ、以来ずっとウォーターセーフティーに関わっている。それがきっかけで、ブロンズ資格を取り→パトロールに参加し→マスターズに出場する、と活動の幅を広げてきた。

 メントーンSLSCのメンバーとして、その大切な役割を実にさりげなくこなし、あの20年前と同じ爽やかな笑顔に加えて、2人の息子を見守る優しいまなざし。大会中、我が子をカメラで追い、大きな声援を送る姿は母親そのものだった。

 花子さんのそんな活躍ぶりに私は、女性のライフセービング活動への関わり方の理想を見せられたような思いだった。花子さん、とてもすがすがしい気持ちと感動をありがとう。
LSwebLSweb








And more 記事タイトル 一覧

年別アーカイブ



-