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“緊急時 命を繋ぐ 救急法”
第17回 赤十字救急法競技会、開催
2014/02/04

第17回 赤十字救急法競技会 2014.2.1

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2月1日、神奈川県藤沢市の
神奈川県立体育センター スポーツアリーナにて
日本赤十字社神奈川県支部主催の
「第17回 赤十字救急法競技会」が開催された。

ライフセーバーも多数参加した
救急法競技会とはどんな大会なのだろうか。


文・写真=LSweb編集室





実践的なシミュレーション競技

LSweb 「救急法競技会」とは、与えられた課題に対して正確で迅速な応急処置方法を競う大会のことだ。

 ライフセーバーなら誰もが習得しているCPRやFAの技術。しかし事故や災害など、いざという時に落ち着いて対処するためには、それ相応の経験が必要となる。とはいえ、そんな機会は頻繁にあるものではない。だからこそ、日頃の練習が大切。そしてその成果を試す格好の場が、日本赤十字社が主催する救急法競技会というわけだ。

 日本赤十字社では各地で救急法競技会を開催している。なかでも神奈川県支部が主催する救急法競技会は今回で17回目を迎え、参加人数も過去最大の、のべ636人を記録した。参加者の顔ぶれは、神奈川県内の赤十字奉仕団や看護福祉学校を中心に、地域や企業の災害ボランティア、指導員のいる小中学校、そしてライフセービングクラブなど。

 今大会には、サーフ90鎌倉LSC、東海大学湘南校舎LSC、鎌倉ライフガード、辻堂LSCといった神奈川県内を拠点するクラブだけでなく、大竹SLSCや北里大学LSCも参加していた。

 競技種目は4人1チームで行う「本結びリレー競技」「三角巾リレー競技」「救命応急手当競技」「災害救助競技」、そして2人1組で行う「心肺蘇生競技」の5種目。

 本結びリレーは4人が一列に並び、先頭の人から順番に三角巾を腰に本結びし、ほどいて次の人に渡し終了タイムを競うという競技で、ウォーミングアップ的な要素もあるが、単純で大いに盛りあがる種目だ。
 三角巾リレーはケガ人役の人に対して、4人が順番に、それぞれ指定された場所(例えば右耳、左肩など)に三角巾で処置していく競技。また救命応急手当は、倒れている人を発見したところから救急隊に引き継ぐまでを、4人が協力して手当てする競技だ。
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 災害救助は陸版のSERCともいうべき競技で、複数の傷病者が発生したという状況に対して、4人がどう対処するかが採点される。心肺蘇生法は、ライフセービング競技会などでも行われているCPRアセスメントと同じものだ。
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 大会運営上、各競技には制限時間があり、リレー種目はタイムも計るが、採点の主眼となるのは、あくまでも正確で迅速な処置を行っているかという点だ。そして採点結果は小学生を対象とした少年の部、60歳以上を対象とした壮年の部、そして一般の部に分かれて集計され、上位6チームが表彰される。

健闘したライフセーバーたち

「競技会ですからきちんと採点し、順位も発表します。ただ主催者としては、競技会を通して救助法に対する正しい知識と技術を身につけ、同じような活動をしている人たちの交流が深まる機会を提供することができれば、という思いでやっています」
 と話すのは、ライフセーバーでもあり、日赤神奈川県支部の職員として競技会を運営する内田直人さんだ。

 初めて競技会に参加したという大竹SLSCのメンバーは、
「冬の間はどうしても、活動に対するモチベーションが下がりがちになります。救急法競技会があると知り、冬の間にFAの基礎をしっかり固めようと練習してきました。残念なのは、試験と重なり参加できないメンバーが出たことですが、自分たちのレベルを知ることができたのは良い勉強になりました」
 と笑顔を見せた。
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 昨年までは静岡県での大会に参加していたという北里大学LSCは、初出場となる神奈川県での大会で、見事に本結びリレー競技 一般の部1位を獲得。発表の瞬間に大きな歓声を上げた。

 同種目3位には3回目の出場となる辻堂LSCが入賞した。
「昨年から順位を1つ落としてしまいましたが、競技会という目標があると練習にも身が入ります」
 嬉しさ半分、悔しさ半分という表情なのは、辻堂LSC代表の中川 健さんだ。
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 今年も大人数で参加した東海大学湘南校舎LSCは、
「プールの大会が近いこともあって、救急法の練習にあまり時間が割けていないのが少し不安です」
 と言う。すると、その話しを聞いた内田さんが、
「スイムもボードもCPRも、同じように練習しなきゃ」
 とすかさずアドバイス。オールラウンドを目指すのが、真のライフセーバーなのである。

 鎌倉LGは少年の部、一般の部合わせて9チームが参加。小学生女子4人がチームを組んだKLGサクラ貝はすべての競技にエントリーし、少年の部で総合2位という優秀な成績を納めた。
 また一般の部では、KLG材木座が救命応急手当で2位、総合でも5位に。心肺蘇生法では坂本悠介・西澤孝家ペアが6位に入賞した。
「心肺蘇生法は自信があったので、落ち着いてできました。でもやっぱり、入賞するとうれしいですね」
 と坂本さん。 
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 サーフ90鎌倉LSCの今野旬一郎・沖浦雅子ペアは、心肺蘇生法で5位となった。
「賞状をもらったのは何年ぶりかなぁ。これも普段の練習の成果ですね。早速、クラブハウスに飾りますよ」
 と嬉しそうな笑顔を見せた今野さんだった。

 自分たちの救助技術を、客観的に評価してもらえる救急法競技会は、ライフセーバーにとって実戦的で、非常に勉強になる大会だ。地域を活動する他団体の存在を知ることができるのも、大きなメリットだろう。

 日本赤十字社では各地で同様の競技会を開催しているそうなので、神奈川県支部の大会を逃してしまったという人は、最寄りの支部に問い合わせてみよう。また神奈川県支部では、次大会の開催も決定している。詳細はホームページに発表されるので、挑戦したい人は要チェックだ。
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辻堂LSC

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サーフ90鎌倉LSC

 
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大竹SLSC

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北里大学LSC

 
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東海大学湘南校舎LSC

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鎌倉ライフガード





知っておこう
海でのSOSは「118」番へ
2014/01/18

118番って知ってる?

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1月18日は「118」番の日。「118って何??」っていう人も結構いるのではないだろうか。

海上保安庁では、海上における事件・事故の緊急通報用電話番号として、警察の110番や消防の119番のように覚えやすい局番なしの3桁電話番号「118番」を使用している。つまり、「海のひゃくとうばん」が118番というわけだ。

まだまだ、一般には浸透しているとは言えない118番だが、ライフセーバーには、ぜひとも知ってもらいたいデータがある。この機会に取り上げてみたので目を通して欲しい。

文・写真=LSweb編集室








なんと通報の99%が間違い電話


「118」番は2000年5月1日から運用が開始された、海上における事件・事故の緊急通報用電話番号だ。
・ 海難人身事故に遭遇した、または目撃した
・ 油の排出や不法投棄等を発見した
・ 不審船を発見した、密航・密輸・密漁事犯等の情報を得た
 などの場合に「118」番に電話すると、直接、海上保安庁へ繋がり緊急対応してくれるという番号である。

 水辺の事故ゼロを目指すライフセーバーにとって、消防や警察とは協力する機会も多く、119番や110番は案外、身近な番号かもしれない。では118番はどうだろう? 「えっ、そんな番号あったの?」という人もいるのではないだろうか。残念ながら、118番の認知度はあまり高くない。それを如実に表すデータが、このほど海上保安庁から発表された「118番通報実績」だ。

 118番通報実績によると、運用開始(2000年5月1日)から昨年末(2013年12月31日)までに118番にかかってきた電話は893万2965件。そのうち、船舶海難に関する通報は2万494件(0.2%)、人身事故に関する通報は1万3303件(0.2%)、密漁や浮流油など海難関係以外の事件に関する通報が3万9134件(0.4%)となっている。これらの有効通報件数は合わせて0.8%。実はそれ以外の99.2%は、間違いやいたずら、無言、着信とほぼ同時に切るなどの無効通報だというのだ(表参照)。

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 地域別のデータとなるが、神奈川県横須賀市にかけられた119番通報(平成24年中)のうち、無効通報(いたずらや間違い電話)の割合は約1.7%、岩手県にかけられた110番通報(平成24年中)では、無効通報(いたずらや緊急を要しないもの)が20.1%というから、118番への無効通報がいかに多いかお分かりいただけると思う。その原因は、認知度の低さが大きく関係している、と海上保安庁では分析している。

 もちろん、緊急通報は利用しないにこしたことはない。しかし「もしも」のときには、海のプロフェッショナルである海上保安庁に応援を要請しよう。例えば、夏期の海水浴場で遊泳客が沖合いに流され目視できなくなってしまった、IRBやPWCがエンジントラブルで漂流してしまった、トレーニング中に天気の急変で浜へ戻ることができなくなってしまった、プレジャーボートが座礁しているのを発見したなどの緊急事態に遭遇したら、あるいは海岸に大量のゴミが漂着した、密漁しているようだ、などという時には118番への通報という選択肢も頭に入れて対処したい。

 同時に、立場は違がえど水難事故を防ぐ活動をするもの同士、間違い電話が少しでも減るように、118番の存在を広めることができればと思う。海でのSOSは118番! お忘れなく。





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rhythm & time Ocean Paddle Race 第3戦2013/12/23

2013.12.14 神奈川県・茅ヶ崎サザンビーチ〜葉山大浜

茅ヶ崎から葉山まで 相模湾でワンウェイ勝負!

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パドリング愛好者にロングレースの魅力を知ってもらい、同時に海に対する知識をより深めてもらいたい、という趣旨で始まった「リズム&タイム オーシャンパドルレース」。その第3戦が12月14日に開催された。


文・写真=LSweb編集室





 LSweb今年2月に第1戦、3月に第2戦が行われたこのレース、3戦目となる今回は大会初となるワンウエイコースが設定された。スタートは茅ヶ崎のサザンビーチ。正面に見える烏帽子岩を回航し、江の島沖を通過して、葉山の大浜にフィニッシュする約22キロの航程だ。男性25人、女性6人、合わせて31人のパドラーたちが、サーフスキー(SS)と一人乗りアウトリガーカヌー(OC1)に乗って相模湾に漕ぎ出した。

 大会前日の相模湾は15m/秒オーバーの南西風が吹き荒れ、レース開催が危ぶまれる天候だったが、当日の朝にはぴたりと風が収まり穏やかな天候に。午前11時のスタート時には、西南西の風1m/秒というコンディションで“風と波に乗っての滑走”を期待していたパドラーにとっては、いささか拍子抜けのするコンディションに見えた。
 しかし、スタート前のブリーフィングでサーフレジェンド所属の気象予報士、小川和幸さんが解説したとおり、スタートから1時間ほどで南西風が上がりはじめ、ほどなく白波が立つ海況へと変化。レース後半はタフなコンディションとなった。

 LSweb時間の経過とともに風が強まる中、最初に大浜沖に姿を現したのが内田直人選手だ。内田選手が1時間30分を切る好タイムでトップフィニッシュすると、次いで伊藤誠選手、大西明選手、後関裕輔選手……と先頭集団のフィニッシュが続いた。内田選手に遅れること約6分、三大会連続出場の柏木星穂選手(総合6位)がOC1トップでフィニッシュ。その約15分後には、女子トップ(総合19位)の河崎尚子選手が笑顔でフィニッシュした。

 リズム&タイム オーシャンパドルレースは、三大会すべてでレース責任者と務めた菊地太さんを中心に、パドル愛好家の有志が企画し、その趣旨に賛同したサポーターによって運営されている、非常にアットホームな大会だ。
 菊地さん自らがコースの下見を何度も行い、漁協や海上保安庁をはじめとする関係諸機関と交渉し、大会告知から運営スタッフの配置までを手配。レース当日にはスタートのフォグフォンを鳴らし、海上パトロールに当たるPWCと逐次、無線連絡。閉会式ではプレゼンターも務めている。
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 参加者は今のところライフセーバー仲間や、その友人たちが多数を占めているが、それでも、回を重ねるごとに参加者が増えているのは、艇種という垣根を越え、ロングレースを楽しみたいというパドラーが大勢いることの証に他ならない。またスポンサーが着実に増えているのも、レースに魅力があり、今後の発展に期待が持てるからだろう。LSweb
 だからこそ、安全管理には細心の注意を払い、今後もレースを開催し続けてほしいし、参加者も自分の力量を見極めた上でチャレンジしてほしい。

 今大会では、参加者にライフジャケットまたはリーシュコードの着用、および防水対策された携帯電話の携行が義務づけられており、海上パトロールに4艇のPWCが導入されていた。また通過ポイントごとにタイムリミットを設け、力不足の選手の安全を確保することもおこなっていた。

 足切りタイムは烏帽子岩通過がスタートから20分以内、江の島通過が同90分以内で、残念ながら江の島沖で1人がタイムリミットによるリタイヤを余技なくされたが、当日の天候の変化を考えれば、実はギリギリのタイミングだったといえるだろう。
 タイムリミットには引っかからなかったものの、最終的には同選手以外にも4人の選手がリタイヤした。そのうち1人は沈を繰り返して体力を消耗し、艇に再乗艇できなくなっているところを、同海域で練習していた大学ヨット部のレスキュー艇に救助され、もう1人は沈をしてパドルを流してしまったことから、波浪に押し流され長者ヶ崎の岩場に座礁している。
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 参加選手の多くが、ライフセービングで鍛えられた逞しい心と体を持っていたことは確かだが、非常にシビアな状況にもかかわらず、参加者全員が無事にレースを終えることができたのは、レース責任者の適切な指示と、海上パトロールの迅速で的確な判断、および冷静に対処できるレスキュー技術と知識のお陰だ。

 スタートから3時間。最終パドラーがヘトヘトになりながらフィニッシュすると、サポーターから暖かい豚汁が振る舞われ、まもなく表彰式が始まった。参加者全員に賞品が行きわたる和やかな雰囲気の中、上位選手も、ロングレース初心者も、皆が和気あいあいと笑顔で談笑。リタイヤした選手も、「もっと練習して、次は絶対に完漕したいです」と、次回への抱負を熱く語っていた姿が印象的だった。
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 ロングレースにはライフセービング競技とは違った魅力がある。刻々と変化する環境の中で、自然を上手に味方につけて戦うには、経験も必要だ。そこで、これからロングレースに挑戦したいと思っているライフセーバー向けに、大会主催者が事前に公開した装備を紹介しよう。トレーニングする時には、ぜひ参考にしてほしい。

    
 
冬季(気温12度前後)に20km超の距離を漕ぐ場合の装備品一例

●ライフジャケット
●リーシュコード
●携帯電話
緊急時の連絡用。必ずしっかりした防水パックに入れ、充電をきちんとしておくこと
●補給用の水分
2リットルの水分=スポーツドリンクとミネラルウオーター50%ずつに、炭水化物のジェルを3袋混入したもの(ナトリウムだけだと後半にエネルギー切れを起こす可能性があるため)
●水筒(ハイドレーションリサーバー)
運動中に効果的に水分補給するための道具。防水パック(リサーバー)にチューブが接続されたもので、バックパックの中に入れて背負うことができる
●服装については先輩たちからアドバイスをもらうこと

 
    


 もちろん、ロングレースを安全に楽しむためには、体力やパドリング技術だけでなく、風や波、潮流といった気象海象、海岸線の地形や同じ海域を航行する船舶の動き、アミやイケスといった漁業設備、さらには観天望気などを知っているにこしたことはない。海を取り巻く環境をより良く知ること、それがレースだけでなく、ライフセービング活動そのものにも役立つとなれば、一石二鳥、いやそれ以上ではないだろうか。


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rhyth & time Ocean paddle race 第3戦 成績表





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まずは知ることから始めよう
ライフセーバーが車椅子体験!
2013/08/28

湘南ひらつかLSC×車椅子の会 サイレントフット

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8月18日、神奈川県平塚市の湘南ひらつかビーチパークで、車椅子の試乗体験会が開催された。

同ビーチパークを活動拠点とする湘南ひらつかLSCと、神奈川県相模原市に本部を置くNPO法人「車椅子の会 サイレントフット」の共同で実現した体験会の様子を紹介しよう。





文・写真=LSweb編集室





ハンディキャップのある人と海を繋ぐ

LSweb 車椅子の会 サイレントフットの会長を務める佐藤利章さんは、2004年に脊髄梗塞(せきずいこうそく)という病気で、突然、下肢麻痺の障害を背負うことになった。以来、車椅子を足代わりに日常生活を送りながら、2006年に同会を設立。身体にハンディキャップのある人だけでなく、高齢者や子どもたちも安心して外出できる環境づくりを目的に、さまざまな活動を行っている。

 その一つが車椅子で街へ出かけ、車椅子やベビーカー、お年寄りの手押し車などが安心して移動できるかどうかの検証を行い、行政に報告して改善を求める活動だ。

 湘南ひらつかLSCでクラブマネージャーを務める白井勇喜さんは、かねてより、日本ライフセービング協会が掲げる5つの活動方針(救命・スポーツ・教育・福祉・環境)の中で、福祉に関する活動が弱いと感じていた。

 活動拠点のビーチバークには、砂浜用の車椅子「ランディーズ」もあるが、利用する人が訪れることもなく、サポートする機会もなかった。そんな時、佐藤さんと知り合ったのだという。

 そして、ハンディキャップのある人と海を繋ぐイベントを共催していくことになった。その活動の第一弾が、今回行われた車椅子の試乗体験会だ。
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 厚生労働省の統計によると、日本国内の身体障害者の人数は平成18年で348万3000人。そのうち肢体不自由者は約半数の176万人、さらに車椅子で生活していると思われる下肢機能および体幹機能障害者は84万人いる。つまり、身体にハンディキャップを持っている人の4人に1人は、車椅子を利用しているということなのだ。

 ハンディキャップのある人と海を繋ぐイベントを共催していくにあたって、まずはライフセーバー自身が車椅子を知ろう! 今回はそんな趣旨で体験会が行われた。


ビーチパーク利用者も巻き込んで

 LSweb体験会は実に楽しいものだった。堅苦しい説明はなく、ちょっとした注意事項の後、みんなで車椅子スラローム競技を楽しんだ。

 車椅子スラロームとは、約30mの距離に赤と白の目印となるゲートを設置し、白は前進、赤は後進で通過し、タイムを競うというもの。途中、前進やバックで一回転するポイントも設けられている。車椅子はサイレントフットと、高齢者の介護施設に勤務する湘南ひらつかLSC副代表の橘川克巳さんの協力により、3台用意された。

 この日は朝からジュニアチーム「ヒラッパーズ」の練習会が行われており、練習を終えたジュニアやその保護者たちも参加。
 
 LSwebまた、ビーチバレー選手の川合 庶さんも飛び入りで車椅子を体験した。身長190cm超の川合さんは、車椅子に座った瞬間「目線がまるで違いますね。普段見えるものが見えないというだけで、ずいぶん不安になるものです」と話してくれた。

 ジュニア、ライフセーバー、保護者の順に行われたスラローム対決は白熱。次々と好タイムが記録された。その様子を目にしたビーチパーク内の人たちも、興味深そうにイベントの様子を見つめていた。
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 実は記者も人生初の車椅子体験をさせてもらった。車椅子の操作そのものは思っていたほど難しいものではなかったが、前進、後進を繰り返すうちにどちらに進んでいるか分からなくなり、あれっと思った時には片方の車輪が舗装されたバスケットコートの外へ。すると、たちまち砂でスタックしてしまった。

LSweb ビーチでイベントを開催する時には、こんなことにも注意が必要なのだと気づいたのだが、そもそも車椅子一人では、防砂林を越えてここまで来ることができないのでは? との疑問も湧き、ハンディキャップのある人が海に来ることのハードルの高さを、改めて考えさせられたのだった。

 イベントの最後に、佐藤さんにランディーズに乗ってもらえるようお願いした。快く引き受けてくれた佐藤さんだが、第一声は「乗り心地は悪いですね(笑)」というもの。「でも砂浜を移動するには、こういう造りやタイヤでないとダメでしょうね」と理解を示してくれた。

 この日は飛び散る砂が当たると痛いほどの強風だったが、そのままライフセーバーのサポートで波打ち際まで行くことに。
 「実はランディーズを使うのは初めてです。あるのは知っていましたが、動かしたことがなくって」という湘南ひらつかLSCのメンバー。傾斜がきついところにまで進むと、「下りは後ろ向きで」というアドバイスを受け車椅子を反転させた。
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 どこの海岸も程度の差こそあれ、ビーチは波打ち際に向かって傾斜しているはずだ。つまり行きより帰りのほうが大変ということなのだが、「PWCの運搬と比べれば、全然、軽いっす」と頼もしい。
 その様子を見ていたら、こういうライフセーバーたちなら、きっと海に来たいと思っているハンディキャップのある人たちを、優しくサポートし、しっかり楽しませてくれるのだろうなと思った。

 最後に佐藤さんから注意点を一つ。
「麻痺のある人は、その部分を打撲し痣などができると、そこから壊疽(えそ)になる可能性があります。ですから、ランディーズに乗せる時や、サポートする時に、ぶつけないよう注意してあげて下さい」
 
 湘南ひらつかLSCの新たな活動はまだ始まったばかり。この新しい試みがどう発展していくのか、楽しみである。

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赤十字主催
親子で学ぶ水上安全法講習
2013/08/15

親子DEレスキュー 2013.7-13-14 神奈川県・横浜海の公園

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7月13〜14日の2日間、神奈川県横浜市の横浜海の公園で、日本赤十字社神奈川県支部主催の水上安全法講習「親子DEレスキュー」が開催された。

水の事故防止に必要な知識と技術を習得する水上安全法講習会は、年間を通して各地で開催されているが、今回は夏休み前ということで小学生とその保護者を対象とした特別講習となった。

文・写真=LSweb編集室





家族で一緒に


 子どもたちにとって、夏は水遊びに絶好の季節だ。しかし、それは同時に、水難事故が起こりやすい季節でもある。子どもが犠牲になる水難事故は、大人が目を離さなければ……というものも多い。
 
 そこで、県内に数多くの海水浴場がある日本赤十字社神奈川県支部では、毎年、この時期に小学生を対象とした水難事故防止の講習会「親子DEレスキュー」を開催している。
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 名称からも分かる通り、小学生とその保護者が一緒に参加することが、この講習会の特徴だ。お父さん、お母さん、あるいはおじいちゃんと一緒に受講することで、子どもたちは不安なく講習に参加することができ、また保護者は改めて水辺の安全について考えることができるというわけである。

 お昼休みをはさみ約5時間半、しっかりと行われる講習では、「背浮き」や「伏浮き」といった浮き方の基本から、ペットボトルやクーラーボックス、スーパーやコンビニの買い物袋など、身近なものを浮き具として利用する方法、服を着たままで水に落ちた時の対処方法を学ぶ「着衣泳」、そしてレスキューチューブやレスキューボード体験、さらに心配蘇生法の練習まで、盛りだくさんのメニューが消化された。
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 もちろん、保護者もすべてのメニューを子どもと一緒に体験。背浮きや伏浮きなど、体脂肪の多い大人のほうが簡単にできることもあったが、身体を回転させて伏浮きから背浮きになるといった動作は、子どものほうが圧倒的に上手く「お父さん、がんばって!」と応援される一幕もあった。

 小学6年生の息子と参加した父親は、「献血ルームの張り紙で講習を知りました。小学生の息子と参加できる最後のチャンスだったので、どちらかというと私のほうが楽しみにしていた感じです」と笑顔を見せ、小学生の兄妹と両親という家族全員で参加した一家は、「安全に関する知識を家族全員で共有できたのがよかったですね」と話してくれた。
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 赤十字の指導員の中には、ライフセーバーとして活動する人も多い。水難事故防止に対するさまざまな知識と技術を持つ、信頼感抜群のインストラクターたちと共に学んだ今回の講習会には、2日間で95組190人の家族が参加。最後は親子でレスキューボードに乗り、海の楽しさを満喫して終了した。



親子DEレスキュー 動画①



親子DEレスキュー 動画②












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