Andmore

-
LSweb
今日も心に火を!!
KAWASAKI SWIMMING CLUB練習会
2014/05/12

Fire to the heart - KSC practice meeting

LSwebライフセーバーの皆さんは、いつ、どこで、どのような練習を行っているのだろうか。

特にオフシーズンのスイム練習は、学校や地元のプールなど限られた場所となってしまうため、ライフセービングに特化した練習がなかなかできないという人も少なからずいるだろう。

そんなライフセーバーたちの練習環境を少しでも改善し、個々のスイムレベルや体力の向上をサポートしようと、今年1月から立ち上げられたのが「カワサキスイミングクラブ練習会」である。

貴重な練習環境を求めて多くのライフセーバーたちが参加している練習会のレポートを、辻堂LC代表の中川 健さんから頂いた。

さてさて、どんな練習会なのだろうか? 

文=中川 健(辻堂LC代表)
写真=田村憲章(銚子LSC)






サムサニマケズ、ユキニモマケズ、
仲間と一緒にスイム練習


 2014年度の冬季は、例年にも増して寒かった・・・。LSweb

 関東甲信各地では、観測史上1位を記録するほどの積雪量、記憶に残っている方も多いはずだ。そんな中、神奈川県川崎市高津区にあるカワサキスイミングクラブでは、ライフセーバーたちが集って「スイム練習会」を繰り広げていた。

 このスイム練習会、通称「カワスポ練」は、2014年1月から立ち上げられた。

 「この練習会は、ライフセーバーのトレーニングする環境を増やして基本となる泳力を向上させることと、ライフセーバーのコミュニケーションの場になると思い、始めました。練習のこだわりは、泳力や経験に関係なく、参加者が一体となってできる練習内容にしています」
と話すのは、銚子LSC所属でJLAライフセービング日本代表コーチの田村憲章さんだ。

 カワスポ練は、毎週火曜日20時~23時、4月から毎週木曜日6時30分~8時30分で行われ、その都度の連絡手段はコミュニケーションアプリのLINE。初回の練習会は8名だったが、LINEのコミュニケーションの広がりから5月初旬現在では、なんと登録者数60名にもなった。

 現役学生もいれば社会人も多く、共通点は「練習に飢えて」集まってくるメンバーたちだ。
LSwebLSweb
 カワスポ練では誰しもが参加可能で、現在までの参加クラブは、銚子LSC、和田浦LSC、白浜LSC、鹿島LSC、九十九里LSC、東京消防庁LSC、日本女子体育大学LSC、東洋大学LSC、サーフ90鎌倉LSC、辻堂LCと増えており、他クラブ同士がコミュニケーションを取れるのも特徴的だ。

カワサキスイミングクラブ 祝40周年!

 練習場所となっているカワサキスイミングクラブは、昭和49年2月にオープンし今年で40周年を迎える。

 「強く・明るく・たくましく」をモットーに、地域に根差したスイミングクラブとして「泳げない子を無くしたい」をテーマに幼児や小学生などの指導、水辺の安全を守るラーフセーバーの育成・器材販売、ご年配の方の寝たきりを防ぐ「貯筋運動」というトレーニングの実施などさまざまな活動を行っている。
LSwebLSweb
 また、施設もスイミングプール、トレーニングジム、フィットネススタジオなどがあり、中でもこだわりが「スポーツ風呂」。こちらはイスラエルからの【死海の湯】を定期的に取り入れており、会員の方やカワスポ練メンバーの楽しみの一つにもなっている。

 そして、ライフセーバーがライフセービングを語る部屋として2012年5月に「Lifesaver’s room」をオープン。ライフセービングクラフトや小物など、活動に必要なアイテムが揃うのはありがたい限りだ。

強豪メンバー&練習メニューも多種多様

LSweb 毎回の出欠はLINEで確認、練習メニューは田村さんが作成する。

 スイム練習を始め、マネキン練習、パワーコード練習、オープンウォーター練習、ラインスロー練習、SERC練習などなどメニューバリエーションも豊富だ。過去10年間、日本体育大学ライフセービング部の監督・コーチを務められた実績もある田村さんは、厳しい練習の中にも「楽しさ」を忘れない。

 ある日の朝練は4500mスイムメニュー。前半2200m泳いだ後のフィンスイム(50m×4本ハード、100m×4本×2セットダッシュ)見ただけでも心臓が破裂しそうになるメニュー表・・・。これをさらっとメンバーに渡す田村さん。

 気合が入ってアップに向かうメンバーも入れば、少々躊躇してプールに入るメンバーと様々、まあ始まってしまえばみんなサクサクと泳ぎ始める。練習環境はiPodから流れる音楽がかかっていて快適、音楽にもコダワリがあり、いま旬な「アナと雪の女王」が流れることも!

 ただ、楽しげな音楽がかかっていてもキツイ練習には変わりないのだが、そこは田村さん! 音楽も流すタイミングを計算されて?!いるのか、フィンスイム直前からは「ロッキー3のテーマ“EYE OF THE TIGER”」が流れ出す。ハイテンションな音楽を聞いたメンバー全員は意識覚醒、気合いも最高潮!
 その日のメニューをやりきったメンバーたちの顔は、皆とても清々しかったのである。
LSwebLSweb
 
LSwebLSweb
 「田村さんの練習は凄くキツイんですが、メニューのバリエーションも様々で楽しくてしょうがないです!」と語るのは鹿島LSCの須田邦彦さん。早朝5:30からの境川パドル練習会にも参加している猛者の一人だ。

 「スイムメニューはとても濃いいので、正直しんどいっす・・・」と愚痴を漏らすのは銚子LSCの梅林寛人さんだ。ムードメーカーでもある彼は、逆転の発想でメンバーを笑顔にさせる。

 「みんな速いから凄く良い刺激をもらえる! 練習環境を与えてくれる田村さんには本当に感謝です!!」と語るのは銚子LSC・日本代表の栗真千里さん。
LSwebLSweb
 カワスポ練には、みな個性があり、気遣いや思いやりが厚く、一緒に居てとても気持ちの良いメンバーが揃っている。
 そして、純粋に「強くなりたい、成長したい」と想っているからこそ、お互いを尊重し合い切磋琢磨し合うのだろう。

 今日も心に「火!」を灯して、練習に励んでいるに違いない。
 メンバーの成長に、今後も期待したい。





LSweb
第9回鎌倉サーフカーニバル
晴天に恵まれ、楽しく開催!
2014/05/09

KAMAKURA SURF CURNIVAL 9th

LSweb
みどりの日の5月4日、神奈川県鎌倉市の材木座海岸で鎌倉ライフガード主催の「鎌倉サーフカーニバル」が開催された。

今年で9回目を迎えた、この時期恒例のローカルファンレース。鎌倉LGだけでなく、サーフ90鎌倉LSCや辻堂LSCも参加する賑やかなイベントに成長した。


文・写真=LSweb編集室





チーム種目で親睦を深めるべし!

LSweb 「No Link, No Lifeguard.(繋がらなければライフガードじゃない!)」をテーマに開催された今年のサーフカーニバル。
 参加者は総勢60人で、そのうち15人がこれからライフセービングを始めてみよう、クラブに所属して活動してみよう、という“新人”だった。

 当日のプログラムは、ファンレースとその後のビーチBBQパーティーという二部構成。クラブメンバー同士が絆を深めるのはもちろん、クラブ間の繋がりを広げ、さらにライフセーバー仲間を増やすためにも、こうしたイベントをゴールデンウィーク中に開催する意義は大きい。

 LSweb今年、実行委員長としてカーニバルを仕切ったのは、鎌倉LG3年目の八鍬慶行さん。

「回を重ねるごとに近隣クラブや、新人がたくさん参加してくれるようになったので、今年は参加者同士がより親睦を深めて楽しんでもらえるようにと、チーム種目を多くしてみました」
 という言葉のとおり、主催者によって5チームに振り分けられた参加者たちは、ボードレスキューやチューブレスキューのほか、スイム〜ラン〜ボードリレーや、周回ビーチリレー、綱引きといったオリジナル種目に歓声を上げていた。

 毎年、このカーニバルを楽しみにしているという辻堂LSCの水元 真さん。同クラブのエーススイマーでもある彼は、昨年優勝した個人種目のサーフレースがなくなったことを少し残念がっていたのだが、鎌倉LGの槙 仁彦さんと組んだボードレスキューで見事に1位となり、
「いやぁ、後ろの槙くんが上手かったのですごく楽しかったですよ!」
 と少し興奮気味。チーム種目で親睦を深め、楽しんでもらいたいという主催者側の狙いは的中したようだ。
 
LSwebLSweb
 一方、槙さんはボードレスキューに続き、個人種目のビーチフラッグスでも優勝し二冠に。

「僕は高校生の時から学校の部活と平行して鎌倉LGで活動していましたが、途中でモチベーションが下がってしまったことがあるんです。そんな時、サーフカーニバルに出てビーチフラッグスで優勝し、“やっぱり楽しい! またやろう!”と思ったんですね。夏前にやるサーフカーニバルには、そういう効果があると思いませんか」
 と話してくれた。
LSwebLSweb

リクルートの場でもあるカーニバル

LSweb 今回のサーフカーニバルには、4月から大学生となり、学校クラブに所属した大学1年生が多く参加していた。先輩や友人の紹介でやってきた大学1年生の中には、東京工芸大学でデザインの勉強をしている、という女子大生2人組もいた。

「ライフセービングをやっているという友人に話しを聞いて、興味を持っていたところ、ゴールデンウィークにこういうイベントがあると教えてもらったので参加してみました。今日は綱引きとビーチフラッグスに挑戦しましたが、とても楽しかったです」
 と、笑顔の2人。幅広い年代、職業の人に出会えるのも新鮮だと付け加えてくれた。

 サーフ90鎌倉LSCで活動し、今年、大学に進学したという先輩の紹介でやってきたのが、3人の男子高校生だ。初めてのサーフカーニバル。3人はチーム種目で奮闘し、ぶっつけ本番のボードトライアルレースにも果敢に挑戦した。
LSwebLSweb
 初めのボードレースは分からないことだらけだ。フィンが上を向いた、上下逆さまの状態で乗ろうとするほほ笑ましい一コマもあったが、先輩ライフセーバーが慌てて走り寄り、ボードをひっくり返して沖へと送り出すと、その後は沈をすることなく浜へと戻ってくる勘の良さを見せた。
「水は冷たかったけれど、楽しかったです」
 と、口を揃えた3人。夏に向けて上々の出だしとなったようだ。

LSweb 昨シーズンまでは学校のライフセービングクラブに所属していた、という大学3年生の佐藤ひろみさんは、学業との両立など考えるところあってクラブを離れた。それでもライフセービングは続けていきたいと、現在、活動できる地域クラブをサーチ中だ。

「ライフセービングはずっと続けていきたいと思っています。でも、留学もしたい、ほかのクラブも見て見たい……。今日、サーフカーニバルに参加してみて、鎌倉LGは所属したいクラブの第一候補になりました」
 と力強く宣言した佐藤さん。チーム種目でも、個人種目でも大活躍した彼女には、主催者から実行委員長賞が贈られた。
LSwebLSweb

ビーチカフェ、今年もオープン

 ところで、鎌倉サーフカーニバルのお楽しみは、ファンレースとパーティーだけではない。毎年、この日限定で材木座にオープンするのが、鎌倉LGの佐藤雄太さんがオーナーの「Café de Kamakura」だ。
LSwebLSweb
 カフェ・ド・カマクラでは、レースで汗を流した、あるいはまだまだ冷たい海水で体が冷えた参加者に、パンとミネストローネが振る舞われる。今年はさらにスコッチエッグや、チーズケーキ、チョコレートケーキ、カップケーキなどのスイーツも充実。パン以外はすべて、クラブサポーターでもある地元在住のスーシェフやパティシエの手作りである。

 参加費には、ランチ、記念品のポロシャツ、そしてパーティーすべての費用が含まれており、お得感がある。参加者全員に大いに楽しんでもらおうという、鎌倉LG流の“お・も・て・な・し”だ。

 ランチタイムの後、ビーチフラッグスとボードレースという個人競技が行われ、全競技が無事に終了した。
LSwebLSweb
 
LSwebLSweb
 スポーツイベントの場合、大会の後にレセプション(懇親会)が開催されるのが定番で、ライフセービング界ではレース→BBQが一般的。それを楽しみに参加している! という人も大勢いるはずだ。

 鎌倉サーフカーニバルの場合も例外ではない。表彰式を兼ねたビーチBBQパーティーでは、社会人ライフセーバーから、学生ライフセーバー、そしてライフセーバー予備軍まで、誰もが日焼けした顔をニコニコさせながら、レース談義、夏のパトロール談義、ライフセービングの魅力について談義などなどに花を咲かせていた。
LSwebLSweb
「こういうファンレースがもっと増えるといいですね。全日本クラスのシビアな大会だけでなく、発展途上あるいはピークアウトした人でも楽しんで参加できるようなイベントが地域ごとに開催されるようになれば、活動する人を繋ぎとめ、新規参入する人を増やせるのではと思います」LSweb
 と話すサーフ90鎌倉LSCの今野旬一郎さん。

「最初はクラブメンバーだけの参加でしたが、最近はサーフ90鎌倉LSCと辻堂LSCが毎年参加してくれるようになりました。近くで活動していてもやり方はさまざまなので、お互いの良いところを吸収するという意味でも横の繋がりは大切だと痛感しています」
 鎌倉LGの多胡 誠さんもこう言う。

 ビール片手に、ざっくばらんに意見交換ができるのは、ファンレースでお互いの距離が近づいたからだろう。ライフセービング文化の成熟には、こうしたイベントが必要不可欠なのだ。

 太陽が水平線に近づくころ、鎌倉サーフカーニバルはお開きとなった。来年は記念すべき10回大会が開催される。
LSweb
LSwebLSweb
 
LSwebLSweb





LSweb
西浜SLSC
恒例のオーシャンクリーンを実施
2014/04/25

Ocean clean-up@ENOSHIMA

LSweb
湘南を代表するアイコンのひとつ“江の島”。観光客も多く訪れるこの島の西側には、徒歩でのアプローチがほぼ不可能な場所がある。

4月20日、その磯に突然、ゴミ袋を手にした大勢の人が出現した。

むむっ、何者か? 実は彼ら、西浜サーフライフセービングクラブの「オーシャンクリーン隊」なのである。



文・写真=LSweb編集室





江の島の磯で大量のゴミを回収!

LSweb 神奈川県藤沢市の片瀬西浜を拠点とする西浜SLSCは、活動の一環として長年、片瀬西浜を中心にビーチクリーンを行っている。2000年以降は、毎月第2日曜日の午前中に定期開催しており、クラブメンバーだけでなく地域の人々も参加する恒例の行事となった。

 ビーチクリーンと同様、同クラブが定期的に実施しているのが、海からしかアクセスできない江の島の西側に位置する磯でゴミ拾いをする、オーシャンクリーンである。

 「江の島の西浦と岩屋の中間にある磯は、ちょうど吹きだまりになっていて、かなりのゴミが溜まる場所です。しかし、歩いて行くことができない所なので、プラスチックゴミなどがそのまま放置されています。そこで、ボードやIRB、サーフボートなどを持つクラブの特徴を活かし、海からアクセスしてクリーンアップしようと始めたのが“オーシャンクリーン”というわけです」
 こう話してくれたのは、同クラブで環境イベント事業の委員長を務める高木渓太さんだ。

 西浜SLSCのオーシャンクリーンは、1年で最も干満の差が大きい春と秋の大潮の時期を見計らって、年2回行われている。
 
 この日はジュニアメンバーも含めた総勢約40人がニッパーボード、ボード、サーフボート、IRBで西浜を出発。約2時間、現地で一気呵成にゴミを拾った。回収したゴミの量は、ゴミ袋約70袋、袋に入りきらない大型の発砲スチロールなども回収し、地元自治体へと引き渡したのだった。
LSwebLSweb
 オーシャンクリーン当日は3月並の気温で震えるコンディション。それでもジュニアから社会人まで、手慣れた様子でペットボトルや発砲スチロール、レジ袋、流れ着いたプラスチック製品などをどんどん拾っていた。さすが、毎月、ビーチクリーンを実施しているだけある。

 そして何より、参加したライフセーバーたちが時に冗談を言い合い、時に今夏のパトロールについてのアイディアをぶつけ合いながら、イキイキとゴミ拾いをしている姿が清々しかった。もちろん、磯が見違えるほどきれいになったのは言うまでもない。
LSwebLSweb
 2012年にクラブ創設50周年を迎えた西浜SLSC。

 パトロール活動やジュニア活動はもちろん、こうした地元での地道な活動の積み重ねが、日本のリーディングライフセービングクラブの屋台骨を支えているのだろう。オーシャンクリーンが終われば、海水浴シーズンはすぐそこ。間もなく、西浜SLSCにとって52回目の夏が始まる……!
LSwebLSweb
 LSweb 
LSwebLSweb
 
LSweb

皆さ〜ん、お疲れ様でした!









LSweb
第1回クラブマネージャーキャンプ
館山の海を見ながら開催
2014/03/19

JLA Club Manager Camp in Tateyama 2014.2.1〜2

LSweb2月1〜2日にかけて、JALライフセービングシステム開発委員会主催の「クラブマネージャーキャンプ」が開催された。

ライフセービング活動の土台となるクラブ運営について、熱い議論が交わされたキャンプの様子や内容を風間さんにお願いし、改めてレポートを書いて頂いた。
ぜひ、ご一読下さい(LSweb編集室)。

これはさる3月9日、東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われた「ライフセービングフォーラム2014」で同委員会委員長の風間隆宏さんが発表された講演「クラブマネージャーキャンプ実施報告〜地域LSC運営の現状と課題〜」に即したものである。

文・写真=風間隆宏
(JLAライフセービングシステム開発委員会委員長)




20代から50代まで14人が参加

LSweb 日本全国のビーチにライフセービングクラブ(LSC)がある世界を目指して。そんな熱い想いを持ったメンバーが集まり、第1回クラブマネージャーキャンプが千葉県館山市で開催された。

 どのようにLSCを運営していくか? これはLSの全国普及を考える上で避けては通れない課題だ。

 「ライフセービングシステム(LSS)開発委員会内で議論している中、競技や講習会、ジュニアに関しては情報交換する場はあるけど、LSC運営に関して相談できる場所はないよね。じゃあ同じ問題意識を持っている人で集まって議論できる場を作ろうよ」
 そんな想いで企画したこのキャンプ。全国から20代から50代、LS歴5年から20年を超える14人のメンバーが参加してくれた。

 開催にあたり重視したのは海の目の前で実施するという事。クラブ運営という複雑で中々答えが出ないテーマを議論する際、会議室で籠って行うと、どうしても悶々としてくる。そこで今回は、館山LSCが監視する北条海岸で開催、午後から開催、翌日午前終了と地方からも移動も含め2日間で完結できるように配慮した。
LSwebLSweb
 議論に入る前に、昨今、監視活動でも一部活用されつつあるSUP(スタンドアップパドル)の試乗会を実施。初めて顔を合わせるメンバーもいるので一緒に海に入りアイスブレイク。初めて乗る人もいたが、みんなベテランライフセーバー。難なく乗りこなし楽しんでいた。

 海に入ってすっきりした後、オーシャンビューの民宿へ移動し、さっそく議論開始。まず自己紹介も兼ねてLSについてアンケート。①今好きな事、②今嫌いな事、③将来こうなってほしくない事、④将来こうなってほしい事を書き出してもらい、各自に発表してもらった。

LSweb 好きな事としては、やはりLSをしている仲間やLS自体の正義感や公共性に魅力を感じている意見が多く出された。一方嫌いな事としては、活動が限定的、閉鎖的、社会的認知度が低い、社会的身分が曖昧など活動自体まだ未成熟であるという点。さらに金銭面や作業面も含め活動に深く関わるに随い個人の負担が非常に重くなるというリアルな問題も出された。

 また将来こうなってほしくない事としては、このまま限定的(地域的・年齢的等)な活動に留まってしまう事(現状維持)や他団体の発展や組織の分裂、各地域がバラバラに活動する等JLA組織の弱体化を懸念する意見もあった。一方将来こうなってほしい事は、全国普及、ジュニアの拡充、ライフガード(雇用)の創出、LSが当たり前の社会など非常に前向きな発言が多く出された。

 今回の参加メンバーはクラブ運営に関わるなどLSにかなりコミットしている方々。皆、LSに大きな魅力を感じている一方で、個人に掛かる負担や活動の未成熟な点に憂慮している。しかしその発展性や将来性については、大きな希望を持っていることを共有できた。

 次に、LSS開発委員会の4人が所属するクラブ(館山・湯河原・キララ・西浜)の運営事例紹介。新規クラブ・老舗クラブ・地方クラブというバラエティーに富んだ内容。歴史的背景や立ち上げの経緯、また現在抱える問題も様々。人材勧誘やその育成方法、行政との協働や他団体との協力状況、クラブ内の組織や役割分担、ファンドレイジングやその資金の活用方法など運営に関わる突っ込んだ質問も飛び交った。LSweb

 その後、クラブ運営に関わる課題として「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つのグループに分かれて問題点、課題点を抽出。さらに抽出した問題を「JLA・地域・クラブ・個人」に分類したところで初日は終了。

 ここからはHAPPY TIME。BBQで火を囲み、杯を傾けながらLSの未来について熱く語る至福の時間。ライフセーバーは皆、話が止まらない。2月にしては暖かな日。何歳になっても、誰とでもLSを肴に熱くなれる。これがやはりこの活動の最大の魅力なんだなと改めて感じた。

地域のリーダー育成に向けて

LSweb 2日目。朝から昨日出された4つの課題に関して、グループ代表がプレゼン。各課題に関して解決策の検討を行った。ここでは一番大きな問題であった主にヒトついての議論を紹介する。

 LSをする人、支える人、理解してくれる人をどのように増やすかの根源的な問題が提起された。特に地方に行くほど人の問題は深刻で、初期に立ち上げたメンバーからなかなか増えない(場所によっては減少)。関東近県で学生時代にLSを行っていた人が転勤等で来たとしても地域クラブに参加する人は少数という意見があった。

 さらに関東近県にいるとライフセービングという言葉自体の社会的認知度はだいぶ高まってきたと感じるが、地方ではまだまだ認知度は低く、いまだ夏のバイトの延長上という認識を持たれることが多いという切実な話もあった。その解決策として、広報の改善や大学卒業後いかに継続してもらうかの対策、会員や資格制度(監視だけの資格を発行等)の改善などが挙げられた。

LSweb またクラブ内でもLSスキルや想いに差がある場合、どのようにハンドリングするかが難しい。ボランティアなので強要は出来ず、特定の人に負担が偏ってしまいという問題も上がった。

 正直クラブ運営まで担ってくれる人は、ごく少数である。そのような次世代のリーダーを、どのように育てていくのも大きな課題。例えば今回のようなキャンプを定期的に開き、同じ想いも持つ他クラブの人と交流し、情報交換することで、モティベーションが高まるという意見もあった。

 LS先進国の豪州では競技や資格取得とは別にカテゴリーで、LSを広めて継続していくためのLeadership Collegeなどが開催されている。現在JLAでは学生リーダーズキャンプが開催されているが、より一歩進んだ地域クラブのリーダーを育てていくことも必要であると強く感じた。

 今回初めてクラブマネージャーキャンプを開催した。参加者のアンケートからもその満足度が高く、今後の継続的な開催を望む声が多く聞かれた。日本のLSは、まだまだ発展途上の段階。パトロール、競技、ジュニア及びライフセーバー育成、組織論等々、課題は多々ある。その状況を見て全然ダメと感じるか、やりがいがあると感じるか。人それぞれ。しかしこの活動には大きな魅力があり、水辺の事故をゼロにするという絶対的な正義がある事は確か。

 さらにもう一歩踏み込めば、いまこの発展途上の段階で関われたという事は、自らが日本のLSを作るチャンスがあるという事。そう考えると、とてもワクワクしてくる。今回のキャンプはそんなワクワク感を共有でき、LSの未来に向けて更なるモティベーションを高められた機会であった。

LSweb 参加して頂いた皆様、ありがとうございました。





LSweb
「ライフセービングフォーラム2014」開催2014/03/13

東京都渋谷区・国立オリンピック記念青少年総合センター 2014.3.9

LSweb

大学生を中心に254人が参加!


3月9日、代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにて、日本ライフセービング協会主催の「ライフセービングフォーラム2014」が開催された。

ライフセーバーというと、夏の海水浴場でパトロールしているイメージが強いが、活動にまつわる科学的データの分析など、一見地味な研究も行っている。

そんな、ライフセービング活動発展のための取り組みを紹介しよう。


文・写真=LSweb編集室





競技会で多いケガは?

LSweb 今回のフォーラムは、各運営マネジメントグループの報告に続き、前JLA副理事長で国際武道大学教授の山本利春氏による「ライフセーバーの救助技術と体力」と題した基調講演で幕を開けた。

 山本氏は、1980年代後半の実験データを元に、スイムレスキュー(器具を使わずに自力で泳いで溺者を救助する方法)、チューブレスキュー(レスキューチューブを利用した救助方法)、ボードレスキュー(レスキューボードを使った救助方法)それぞれの救助に要する時間、レスキュワーの身体的負担などを分析。さらにレスキュー(激しい運動)直後のCPRの精度を、安静時(運動してない状態)と比較するなど、非常に興味深いデータを示しながら講演した。

 講演内容の詳細は近日中にJLAホームページにアップされるということなので、ここでは細かい数値には触れないが、上記の実験データからは、レスキューにかかる所用時間、およびレスキュワーの身体的負担のいずれでも、レスキューボードの圧倒的な有効性が証明された。

 また日常的にトレーニングしているライフセーバーといえども、レスキュー直後のCPRでは安静時に比べて精度が落ちることが判明。しかし、ライフセーバー以外の被験者と比べると、その差(レスキュー直後と安静時の差)は小さいことも分かった。何のためにトレーニングするのか? という明確な答えが導かれた講演だった。

LSweb 続いて、風間隆宏氏(JLAライフセービングシステム開発委員会/西浜SLSC)より、2月1〜2日に行われた「クラブマネージャーキャンプ実施報告〜地域LSC運営の現状と課題〜」が行われた。

 初開催となるクラブマネージャーキャンプでは、ライフセービング活動を日本全国に広めていく土台となる、クラブ運営のあり方について活発な意見交換が交わされたようだ。

 クラブ運営に携わるライフセーバーにとって非常に興味深いこのテーマは、風間氏に改めてレポートしていただく予定なので、乞うご期待いただきたい。

LSweb 風間氏に続き、佐藤成晃氏(JLAライフセービングシステム開発委員会/キララLSC)が「海辺の安全に関する調査(都道府県へのアンケート)報告」を行った。

 これは都道府県の水難事故防止に関する考え方や、海水浴場設置基準、JLAとの協力関係などを知るべく実施されたもので、海水浴場の存在する38都道府県にアンケートを送付する形で行われた。

 アンケート回収率は50%。3月末を持って最終データを集計する予定だそうだが、現時点の集計データからは、ライフセービング活動の日本代表機関であるJLAの認知度が、地域によってかなりばらつきがありこと、そうした地域では行政との連携は取れていない、といった問題点が浮かび上がってきた。しかし、ライフセービング活動そのものの評価は非常に高い。今後、いかに地方自治体と協力関係を築いていくかが課題と言えるだろう。

 なお、この調査に関しても、最終データの集計後に、あらためて詳細をレポートしていく予定だ。

 フォーラム後半では、笠原政志氏(JLAコンディショニング科学委員会)による「HPTへのセルフコンディショニング教育の試み」と、JLA主催大会でトレーナーステーションを開設し、選手のケアをしてくれる国際武道大学トレーナー部の清水伸子氏(国際武道大学大学院コンディショニング科学研究室)による「トレーナーステーション利用者からみた障害の実態」という2つの研究報告が行われた。
LSwebLSweb

 ライフセービング競技は砂浜や海、プールといった不安定な場所で行われるスポーツだ。その不安定さをいかに克服するかが、競技でのパフォーマンスの向上、ひいては安全で迅速なレスキューに繋がるという観点から、笠原氏はセルフコンディショニングの大切さを、清水氏は実際の症例に基づいた予防策を提案。具体的なトレーニング方法などは、JLAが配布するパンフレットやホームページで発表されることになる。

LSweb ところで、清水氏の報告の中に分かりやすいデータがあったので紹介しよう。国際武道大学のトレーナー部は2003年から2012年までの10年間、計30大会にトレーナーステーションを設置している。その間、トレーナーステーションを利用した選手はのべ1854人、平均すると1大会61.8人を処置した計算だ。

 そのうち最も多かった症例が、いわゆる肉離れなどの「筋・腱障害32.6%」、続いて「痛み23.1%」「ねんざ11.9%」「創傷(切り傷)10.1%」「打撲8.2%」「脱臼3.1%」となっている。

 症例部位は「大腿部後面17.5%」がトップ、以下「足部・足趾11.4%」「肩関節10.5%」「膝関節10.4%」「足関節9.2%」「大腿部前面8.1」「下肢部8.0%」「腰背部7.9%」と続く。
LSweb
 つまり、ライフセービング競技会で最も多いケガは、砂浜を全力疾走するビーチスプリントやビーチフラッグスでのモモの裏の肉離れであり、素足で競技するという特性上、切り傷や擦り傷などを足に負うことも多いというわけだ。

 慢性的な痛みが強くなるといった症例も決して少ないわけではないが、競技会でのケガの6割以上が突発的なものである。こうした状況を頭に入れておけば、ある程度のケガは防げるのではないだろうか。

 有意義な研究発表が行われた今年のライフセービングフォーラム。大学生を中心に254人が参加し、3時間半におよぶプログラムを終了した。


LSweb










And more 記事タイトル一覧

年別アーカイブ





-