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体験型の安全プログラムが大人気!
絆Project『水辺の安全を一緒に学ぼう』〜We are Lifesaver!〜
2013/07/26

2013.7.7 神奈川県藤沢市・辻堂海浜公園ジャンボプール

LSweb夏休み間近の7月7日、神奈川県藤沢市辻堂海岸の辻堂海浜公園ジャンボプールで、プール開き直前の週末を利用して水辺の事故防止について学べる体験型イベントが開催された。

『水辺の安全を一緒に学ぼう〜 We are Lifesaver! 〜』と名付けられたこの催し、波のプールや流れるプールを上手に利用して、海や川、湖など自然の水辺、水際で起こる危険とその防止、また万が一に備えての知識を、大人から子どもまで楽しみながら学んでもらおうと企画された。

また、人と人のコミュニケーションを大切にして、絆を深めていこうという目的も併せ持ったイベントである。

さて、雲ひとつない青空が広がったこの日、辻堂ジャンボプール内で、参加者は一体どんな体験を味わったのだろうか。

文・写真=LSweb編集室





プールに集まった参加者の数、ナント…


 7月7日、七夕の日、神奈川県藤沢市にある辻堂海浜公園ジャンボプールで開かれたイベントに小学生の親子連れが数多く集まった。

 真っ青な空の下、広い会場の一角では、大勢の参加者がイベントの始まるのを今か今かと待ち望んでいる。その数、総勢なんと450人!

 『水辺の安全を一緒に学ぼう〜 We are Lifesaver! 〜』(以下、「水辺の安全」)と題されたこのイベント、海や川への行楽が増え、水に関わる事故が多発する夏休みを前に、子どもの水難事故を防止しようと企画された。主催は絆プロジェクト実行委員会、神奈川公園協会の協力の下、湘南の海にほど近い辻堂海浜公園プールでの開催が実現した。
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 サポートには地元、辻堂ライフセービングクラブはもちろん、県内外の各クラブからも大勢のライフセーバーたちがボランティアとして参加してくれ、先生役や安全管理にと大車輪の活躍だった。みんな子どもたちと接するのが上手で、ライフセーバーの新たな一面をみさせてもらった。

 「水辺の安全」は、その名の通り、水辺の事故防止や安全について、子どもたちが楽しく学ぶことを目的とした体験型イベント。対象は、小・中学生だが、メインとなるのはやはり小学生だ。

 そのため、小学4年生以下の子どもたちは、必ず保護者同伴での参加が義務づけられた。これは、主催者側の“子どもの安全を創るのは保護者の仕事”という思いによるもので、事故防止について保護者も子どもたちと一緒に学んで欲しいという考えから生まれたものだ。

 親子そろって楽しく遊びながら水辺の事故防止が学べるこのイベント、参加した親御さんの評価が非常に高く、特に、日頃、仕事が忙しいお父さんにとっては、親子のコミニュケーションの場としても一役買ったようである。
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体験プログラムはじつに多彩!


 体験型イベントと銘打っている通り、プログラムはじつに多彩。以下に各プログラムの趣旨を簡単に紹介してみよう。

●集まれ湘南っ子:参加した子ども同士はもちろん、保護者同士のコミニュケーションや、子どもと大人の間でもつながりを持つことで、一緒に行動することを学ぶ。人と繋がることの大切さを学ぶプログラム。

●みんなdeトライ:集団の中でルールに沿ってみんなと一致団結して行動する訓練。整列や行進で、大人も子どもも心を一つにして足並みを揃えることができたときの達成感を味わうことが目的。

●着たまま浮こう「浮いて待て」:洋服を着たまま水に落ちたときの対処法として、とにかく焦らず「浮いて待つ」ことを身をもって実践。ペットボトルやゴミ袋など身近なものを浮き具代わりにして、「浮いて待て」を実行し、落ち着いて救助を待つ疑似体験プログラム。
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●波乗り体験:波のでるプールを上手く活用して、ニッパーボードで波乗り体験することで、波の強さ、流れの早さなど自然のパワーを感じるとともに、波と戯れる楽しさにも触れるプログラム。子どもたちには一番人気となっていた。

●君もライフセーバー:万が一、友だちが溺れたらどうすればいい? まずは大人に助けを求め、仲間が複数いれば、溺れた子をたえずウォッチしながら、声をかけて励ます。自分の安全を確保しながら、大人とともに協力して人命救助を行うプログラム。
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●みんなで輪になって「パオ」:大人も子どももみんなで手を繋ぎ、一つの輪になって大きな声で“PAO(パオ!)”と叫ぼう。パオはハワイの言葉で、完了とか終わりという意味。同じ時間を共有し、みんなが「絆」で繋がったらイベントは大成功。大きな声でパオ!

 最初の“集まれ湘南っ子”で、遠慮がちな参加者の気持ちと身体を解きほぐしながら、数十人づつ4つのグループに分けられる。グループが決まると、それぞれが“波乗り”や“ライフセーバー体験”など各プログラムに分かれて順繰りに体験していく方法が採られた。

 LSweb“着たまま浮こう”では、着衣のままで流れるプールに入り、浮き身の方法を教わったり、ペットボトルやクーラーボックス、ゴミ袋などの浮力を試すと、一人ひとりが流れに身を任せ、プカプカと流されていく。
 
 その先で待っているのは、“君もライフセーバー”のグループ。溺者への声がけや大人の応援を呼ぶ方法などを教わっていたグループの元へ流れていくと、早速あちこちから、
 
「もうすぐ助けが来るからねー」「慌てないで浮いててねー」「頑張ってー」といった声が、聞こえてくる。

 そのすぐ川下では、大人たちがレスキューチューブを使って流れてきた人を次々とレスキューして岸に運び上げる、といった具合。救助する側もされる側も一連の動作を身をもって体験できるのが、このプログラムの最大の利点なのである。
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  また、“みんなdeトライ”では、元消防訓練センターの体育訓練教官だった鎌田修宏講師の元、素早い全体整列や「イチ、イチ、イッチ、ニ、ソーレ!」のかけ声とともに隊列を組んでの駆け足など、一連の集団行動の中で絆や連携の大切さを体験。最後は、ちびっ子たちもカッコよく敬礼で決めていた。


キーワードは“保護者の意識”と“絆”

 ところで、このイベントの趣旨は、さまざまな体験プログラムを通じて、子どもたちに楽しくわかりやすく“水辺の安全教育”を行うためのものだが、それだけではない。
 
 もうひとつ、重要なキーワードがある。それは、最初にも書いたと思うが
「子どもの安全を創るのは保護者の仕事」であるということ。
 
 そのために、今回は保護者も子どもたちと一緒になって体験プログラムに参加してもらうことを重要視したのである。

 このことについて、ライフガード歴23年のキャリアを持ち、当イベントのメイン講師を務めた豊田勝義さんにお話を伺った。

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 「これから夏休みにかけて、海や川といった自然の中で水に触れる機会が多くなります。水辺は楽しいところですが、その反面、命を落とす危険もある場所です。このような場所で子どもの安全を守るのは保護者の仕事であり、義務です。親御さんの海や川、湖などの水に関する無知が子どもを危険にさらすことになりかねません。
 そこで、今回は保護者の方にも子どもたちと一緒に水に入ってもらい、さまざまな体験をしてもらうことによって、より安全意識を高めてもらうことが狙いでした。
 過去にも同じような試みを行ったことがあるのですが、事前に通達してあっても親御さんたちはなかなか水に入ってくれません。
 幸いにも今回はほとんどの方が、子どもたちと一緒になってプログラムを体験して頂けました。このようなことは本当に希です。やはり海が身近な存在としてある湘南という土地柄なのかもしれませんね」

 また、参加した子どもや大人たち同士が、新しい友だちを作ったり、コミュニケーションを得られるイベント、絆を大切にしたいという目的もあったようだ。

 今の世の中、他人に対して無関心すぎるという豊田さん。こんな時代だからこそ、地域とのつながりや他人の子どもたちへも目を配っていくことの大切さを大事にして欲しいと話す。
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 この“互いのつながり”という部分に関しても、今回のイベントでは十分クリアできていたと思う。なぜなら、同じグループで一緒になった親御さんに自分の子どもを預けてみたり、また他の子どもの面倒を見たりといった相互補助がしっかりと見て取れた。

 イベントの最後には、津波対応の避難訓練が行われた。参加者には知らされず、抜き打ちで行われた訓練にも慌てることなく指定された高台の避難場所へと移動することができた。

 スタッフを入れると500人になる大所帯でも、大人が子どもたちをフォローしながらスムーズに避難できたのは、直前まで行っていた体験プログラムの成果でもあるだろう。

 互いのコミュニケーションや迅速かつ冷静な集団行動の大切さをあらためて実感したのではないだろうか。
 

 最後に参加した子どもたちや大人の声をいくつかご紹介しておこう。

 
    
 
★子どもたちの感想

LSweb「洋服でおよいだよ」/6歳 女子
「ペットボトル1本で体が浮くなんて体験ができてすごく勉強になったし、楽しかったです」/9歳 男子
「知らない人と協力していろいろできたことがよかった。大変勉強になった」/11歳 女子
「お友達がいっぱいつくれました!」/7歳 男子
「とてもよい体験ができた。みんなと協力する大切さがわかった」/11歳 女子
「溺れそうになったら落ち着いてやることがすごく勉強になり、よかったです」/10歳 女子
「最初は他のお友達と手をつなぐのが恥ずかしくてできませんでした。でもやっていくうちに知っている人じゃなくても声かけができてよかったです。学校のみんなにも教えたいと思います」/10歳 女子
「みんなdeトライは団結しているのが実感できた」/11歳 男子
「津波にもしもなったら素早く移動することが分かりました」/9歳 女子
「とっても楽しかったです。来年もその先もずっと続けてもらいたいです」/10歳 女子

★保護者の感想

「声の掛け合いがとても重要だとわかりました。この訓練を忘れず海、川遊びを満喫したいと思います」/40代
「なかなか他の事触れ合う機会がないので、バディで自分の子どもと他人の子どもも預かって行動したのが良い経験になりました」/30代
「参加は子どもだけかと思っていたのですが、親も自分のイベントとして参加でき、とても楽しかったです。特に着衣泳は、子どもより自分の方が体を浮かせる事に苦戦。コース終盤にようやくコツをつかみました。来てみて良かったと思った瞬間でした」/30代
「集団行動、家の子も今どきのマイペースな子なのですが、楽しく一生懸命やっていて良い経験出来ました」/30代
「ライフセーバーが親切で元気で良かったです」/30代
「貴重な機会に参加でき、家族で改めて話そうと思います。ぜひ次回もお願いします」/30代
「自分の子どもではない他人の子ども供をみんなで守る、とても良い事だと思いました」/40代
「親子で参加は非常に良かったです。助けられる側から助ける側へ意識が変わりました」/40代
「とってもとっても素晴らしいイベントです。また来年もよろしくお願いします」/40代
「自分の事だけを考えがちだがチームとして乗り越えていく導入部分がとても参考になった。防災リーダーだったり、子どもの企画を立てたりしているので、大勢の人を動かす、伝える、チームワークが素晴らしいと思いました」/40代
「他の親に面倒をみて頂き、他人の子どもを面倒をみるという貴重な体験をさせて頂き、感謝申し上げます」/50代
「ライフセーバーの皆様、とてもカッコ良かったです。子どもに夢を持たせていただき感謝します」/30代
「今後も実施して下さい。水に対する危険性だけでなく、楽しみながら安全性の意識が高まることは素晴らしいことだと思います」/30代

 
    
 

 ここにご紹介したのはほんの一部。全部載せきれないのは残念だが、とにかく参加した大人も子どもも、さまざまな体験を通して何かしら得たり感じたりすることができたようである。
 
 ぜひ今後も続けていってほしいし、ライフセーバーやライフセービングクラブが協力して、このような有意義なイベントが全国各地に広がることを願っている。
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GWの恒例行事となった
鎌倉サーフカーニバル、開催!
2013/05/08

The 8th KAMAKURA Surf Carnival

空には鯉のぼり、海には地元のライフセーバー

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ゴールデンウイークまっただ中の5月5日。

神奈川県鎌倉市の材木座海岸で、鎌倉ライフガードが主催する「第8回 鎌倉サーフカーニバル」が開催された。

競技を通して海に集う仲間の絆を深めようというイベントには、元気いっぱい、子どものようにはしゃぐライフセーバーたちの姿があった。




文・写真=LSweb編集室




テーマは「LINK」

 「鎌倉サーフカーニバル」は、勝った負けたのシビアな勝負ではなく、競技を通してライフセービング活動の一端を知ってもらい、またシーズン前に自分の実力を把握し、そして仲間との繋がりを深めようという趣旨で開催される鎌倉ライフガードの恒例行事だ。

 同じ鎌倉市内で活動するサーフ90鎌倉LSCや、神奈川県ライフセービング連盟を通して交流のある辻堂LSC、アウトドア活動を行うバディ冒険団など、近隣で活動するライフセービング仲間や、マリンスポーツ愛好家も参加するオープンな催しで、真剣勝負の中にも和気あいあいとした、のどかな雰囲気が感じられるファンイベントなのである。

 今回のテーマは「LINK」。メインイベントのカーニバルはもちろん、お揃いの大会Tシャツと、イベント終了後に行われたサンセットビーチパーティーが、お互いの結びつきをさらに強めたことは間違いないだろう。
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 競技参加者は総勢60人。その中には、学校クラブに入部を決めたばかりの大学1年生や、今夏のガードを希望する地元の高校生の姿もあった。大学1年生は鎌倉LGに所属する学校の先輩に連れられて、高校生たちは「夏前に一度体験しにおいで」というメンバーの誘いに応じて参加。絶好の海日和のなか、レスキューボードでのフレッシュマンレースや、ビーチフラッグスなど、初夏の海辺を存分に楽しんだ。

「鎌倉宇LGでは、昨年から通年のジュニアプログラムを立ち上げました。2年目の今年は、20人の子どもたちが参加してくれていますが、もちろんまだパトロールには参加できません。そんな中、地元の高校生が活動に興味を持ってくれたのはとても嬉しいことですね。もちろん彼らを指導しなければいけないという責任はありますが、今後、地元に根付いたライフセーバーに育ってくれると思えば、実にやりがいがあります」
 と話すのは、鎌倉LG代表の多胡 誠さんだ。
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 海水浴シーズンには、鎌倉市内3浜のパトロールを行う鎌倉LG。社会人メンバーが多く、大学クラブとのパイプも細いため、いかに人員を確保するは毎年頭を痛める問題だ。同じような悩みを抱えているクラブも多いことと思う。実は鎌倉サーフカーニバルは、リクルートの機会も兼ねたイベントなのだ。
 
 初めて参加する高校生や、大学1年生には、競技の合間を縫ってボードの乗り方を教え、存分に練習してもらい、お昼休みには「カフェ・ド・カマクラ」と銘打ち、メンバーが手作りした暖かいスープとパンの青空ランチを提供。新人たちを飽きさせない、あるいは不安にさせないように、そしておもいっきり楽しんでもらえるようにと、随所でホスピタリティーを発揮していた。
 もちろん新人だけでなく、久しぶりに顔を出す社会人メンバーを歓迎することも忘れてはいない。
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ビーチクリーンで活動をアピール

 途中、ビーチクリーンの時間が設けられたが、ここでもちょっとした工夫が見受けられた。それは、東京発信で全国に広がるボランティアの街そうじプロジェクト、「グリーンバード鎌倉」との共同作業だ。グリーンバード鎌倉は月3回、定期的に街中のゴミ拾いを行っているが、この日は晴天に恵まれたこともあり、海岸でのビーチクリーンを決行。そこにライフセーバーが合流したのだ。

LSweb 鎌倉LGのメンバーは、グリーンバード鎌倉の活動にも定期的に参加しており、お互いに顔なじみの人もいるのだが、もちろんそうでない人もいるし、ライフセーバーがどんなことをしているのか知らない人も多い。そこでビーチクリーンをしながら、さりげなく活動をアピールする機会をつくったというわけ。

 こういうコラボレーションが実現するのは、グリーンバード鎌倉の代表を務めているのが、鎌倉LGの理事でもある菊地一郎さんだから。
「ライフセーバーは日常的にビーチクリーンをしていますが、それだけでは地域に貢献しているとは言えないですよね。海岸に足を運ばない人だって大勢いますし、自分たちが利用する海岸をきれいにするのは、ある意味当然のことでもあります。もっと地域に認めてもらうようになるにはと考えたとき、街もきれいにしていこうと。そこから始まった活動です」

 さて競技はというと、終始笑いが絶えない楽しげな雰囲気に中、サーフレース、レスキューボードレース、ビーチフラッグスではガチンコ勝負が、チーム対抗のレスキューチューブレスキュー&ボードレスキュー・メドレーでは、白熱した接戦と熱い応援合戦が繰り広げられたのだった。
 その横では子どもの日らしく、ライフセーバーの指導の下、元気にビーチレクリエーションを楽しむ地元の子どもたちの姿があった。
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 この日、材木座海岸では凧あげ、ビーチヨガなどの催しも行われており、また、たくさんの人たちが散歩や日光浴など、思い思いにビーチを楽しんでいた。そんな中、黄色のレスキューボードを抱えて海へ駆け出すライフセーバーの姿はよく目立ち、興味深げに立ち止まったり、写真をとったりする人の姿も見受けられた。

 鎌倉サーフカーニバルは、メンバーや仲間との交流を深めるファンイベントとしても、またライフセービング活動のアピールの場としても、その役割を大いに果たしたようだ。LSweb

第8回 鎌倉サーフカーニバル 競技結果

☆ボードレース
1.帯谷 大樹(鎌倉LG)
2.浦 健太(鎌倉LG)
3.佐藤 雄太(鎌倉LG)
4.坂本 悠介(鎌倉LG)
5.槇 仁彦(鎌倉LG)

☆サーフレース
1.水元 真(辻堂LSC)
2.寺崎 庸(鎌倉LG)
3.服部 泰佑(鎌倉LG)
4.堀内 優(ゲスト)
5.坂本 悠介(鎌倉LG)

☆ビーチフラッグス
1.槇 仁彦(鎌倉LG)
2.猶岡 玲(鎌倉LG)
3.八鍬 慶行(鎌倉LG)
4.阿部 瑠也(ゲスト)
5.蒲 雄介(鎌倉LG)





流通経済大学LSC
卒業記念パーティーを開催
2013/03/21

後輩から先輩へ、先輩から後輩へ「ありがとう」

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桜前線が北上する3月は卒業シーズンでもある。

今年、高校、大学あるいは専門学校を卒業し、新たな世界へ一歩を踏み出すライフセーバーの皆さん、

ご卒業、おめでとうございます。


文・写真=LSweb編集室






同甘共苦、あっという間の4年間
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 卒業シーズンも終盤を迎えた3月20日、千葉県柏市内のホテルにて流通経済大学ライフセービングクラブの卒業記念パーティーが開催された。

 プールインカレで男子総合優勝、女子総合7位となった流経大LSCからは、今年、男子12人、女子3人の15人が巣立っていった。
 4期生となる卒業生は、2007年に創部した同クラブで初めて4学年そろった時の1年生だ。先輩たちが手探りでつけた道筋を、踏み固めながら進んだ世代ともいえる。それだけに、回りからの期待も大きく、本人たちの思い入れも強かったのではないだろうか。

 卒業生15人を送り出すべく、在校生一同が力を合わせて企画した会は、顧問の先生方はもちろん、OB・OG、卒業生のご両親やご家族、さらにはマリンスポーツ中に御宿の海で事故に遭い、部員に救助された経験からクラブの応援団となった夫妻などが招待され、和やかに進行した。

 そしてパーティーが後半に差し掛かったころ、お待ちかねの(?)卒業生スピーチタイムが始まった。

「4年間、つらいことの方が多かったけれど、皆のおかげで続けられた」
「人として大切なことを教わった4年間だった」
「1年の時は考えもしなかったプールインカレでの優勝を達成できた。あの時は生きてきた中で一番感動した」
「この達成感は最後まで続けた人間しか分からないと思う」

 一人一人が壇上に上がり、4年間の思い出を振り返る。そして後を託す後輩たちへエールを贈る。
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「このクラブにいたら、一度は辞めたいと思うのが普通だと思う。早めに辞めたいと思えば、早めに本気のスイッチも入るから大丈夫。3年ぐらいで辞めたいと思ったら、ヤバイかも……(笑)。でも、後輩の皆さん、続けてください。続ければ一生の宝物になる気持ちを味わえるから」
「男子は今年総合優勝を成し遂げました。女子も男子に負けず、強くて、そして優しいクラブにしてください」

 さらに恩師に、家族に、OB・OGに、そして同期の仲間たちに、涙とともに感謝を伝える。

「残念ながら僕の両親は今日、会場に来ていませんが、感謝の気持ちをちゃんとメールで伝えたい。あっ(笑)、メールじゃなくてちゃんと電話で、言葉で伝えます」
「世界一ポジティブな稲垣先生を目標に、これからも人生、迷ったらトライする人になってがんばります」

 笑顔、そして涙……。

 そんな卒業生に顧問の稲垣裕美先生、小粥智浩先生、そして小峯 力先生が言葉を贈る。それを聞き、また涙、涙の卒業生なのであった。LSweb

 きっとどの学校のクラブでも、卒業生を囲んで同じように心温まる集いが開かれたはずだ。学生時代の仲間は一生の宝。ライフセービングを通して築き上げた友情は、この先もずっと変わらず続いていくだろう。
 しかし同時に、社会に出ればそれぞれ別の道を歩んでいくことになる。

 流経大LSC卒業記念パーティーに来賓として出席していた、卒業生の高校時代の恩師でもある田口富一氏は、かつての教え子、そして教え子の仲間たちにこんな言葉を贈っていた。

「(これからの人生)何をしていたかではなく、何をしているかが大事です。大学時代の素晴らしい思い出は忘れることなく、しかしそれにすがることなく、これからの人生を送ってください」

 春は別れのシーズンであり、出会いのシーズンでもある。全国の卒業生の皆さん、そして在校生の皆さんも、新たな出会いに期待し、前進し続けてほしい。

 祝・卒業!

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流通経済大学ライフセービングクラブ卒業記念パーティー実行委員会の皆さん、今回は晴れの席にご招待頂き、ありがとうございました!





リズム&タイム オーシャンパドルレース 開催!2013/02/25

2013.2.23 神奈川県・片瀬西浜〜葉山えび島

日々の生活にリズムを! 我が人生にパドリングを!
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パドリング愛好者にロングレースの魅力を広く知ってもらおう、という趣旨で始まった
「rhythm & time Ocean paddle race」の第1戦が、2月23日に相模湾で開催された。

スタート地点の片瀬西浜に集まったのは、サーフスキー、アウトリガーカヌー合わせて16艇。
穏やかな天候の下、フォグホーンの合図と同時に全艇が、葉山大浜沖のえび島を往復する約25キロのコースに漕ぎ出した。

                   

文・写真=LSweb編集室






 人力で水の上を移動するパドルスポーツ。
 
 このシンプルで奥の深いスポーツに魅せられたパドラーが集まり、トレーニングを兼ねたロングレースを楽しもうと始まったのが「rhythm & time Ocean paddle race」だ。
 
 発起人に名前を連ねるのは、相模湾界隈で精力的にサーフスキーやカヌーを漕ぐ刈屋 剛さん、内田直人さん 、菊地 太さんたち。
 クラフト間の垣根を超えたレースを定着させたいと、サーフスキー(SS)、アウトリガーカヌー(OC1)、パドルボード、スタンドアップパドルボード(SUP)などを対象としたロングレースを、相模湾でシリーズ化しようと立ち上がった。
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 記念すべき第1回大会に集まったのは、OC1が4艇、スペック艇を中心としたSSが12艇の計16艇。
 コースは片瀬西浜沖をスタートし、江の島を左手に見ながら葉山大浜沖のえび島を回航、スタート地点に戻る約25キロの航程だ。往路・復路ともに、葉山沖の裕次郎灯台がチェックポイントとなった。
 
 午前11時15分。スタートと同時に、男性13人、女性3人のパドラーたちが一斉に、折り返し地点のえび島を目指した。
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 参加者の中にはスタート前、「これまでのロンパド最長記録は西浜〜烏帽子岩往復。25キロなんて漕げるかな?」と不安を口にする人もいたが、この日は実に穏やかな天候で、海面はほぼフラットなコンディション。
 運営側が心配した天候によるリタイヤもなく、全艇が完走。無事、第1回大会が終了した。
 
 もっとも、フラットなコンディションということはひたすら漕ぎ続けなければならない、体力的にはハードなコンディションということでもあった。
 
 フィニッシュ後は誰もが「疲れた〜」「いや〜キツかった」「あーしんど〜」と声を出し、しばしぐったり。それでも、浜に上がる頃には全員が満足げな笑みを浮かべ、サポート部隊が作ってくれたお汁粉をほおばったのだった。

 レースはスタートから終始トップを守った、SSの内田直人さんが2時間13分37秒で1位、続く2位は内田艇をピッタリ追走したSSの大西 明さん(2時間14分22秒)、3位には海外でのロングレース経験も豊富なOC1の金子ケニーさん(2時間15分06秒)が入った。
 
 女性部門の1位はSSで参加した久保美沙代さん(2時間49分51秒)、最も長くパドリングを楽しんだ(苦しんだ!?)のは、波崎SLSCに所属する大学生の阿南藍子さん(3時間02分26秒)だった。
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「復路の後半は本当にきつかったですね。稲村ヶ崎を越えた辺りから、引く力がなくなって、なかなか前に進まなくなりました。(大西)明さんがぴったり付いてきていたので、体幹を意識して必死で漕ぎましたよ」と話すのは優勝した内田さん。
 フィニッシュ間際、「パパ、がんばって〜」と2人の息子さんから受けた声援は何よりの力になったはずだ。
 
 一方、大西さんはというと「このレース、体に悪いわ(笑)」と言った後、次々とフィニッシュする参加艇と満足げな顔で談笑していた。

「サーフスキーと一緒に走れるのは、刺激になるし良いトレーニングになります。OCにとっては波のあるコンディションの方が得意なので、次はもう少しハードな状況でやりたいですね」
 と言うケニーさんは、SSに有利なコンディションの中、シングルパドルのOC1ながら後半の見事な追い上げで3位に。来月からはパドラー憧れのロングレース、ハワイのモロカイレース参戦のため、現地でのトレーニングを始めるそうだ。

 発起人の一人であり、今回はレース運営を担当した菊地さんは、LSweb
「練習の成果が確実に表れるのがロングレースであり、風や潮の流れをいかにつかむかもロングレースの醍醐味です。海を良く知っていなければ勝てないということです。同好の志が集まり、手作りで始めたレースですが、陸上、海上でサポートしてくれるボランティアスタッフの協力もあり、無事、レースを終えることができました。
 
 天候にも恵まれ、全艇完走できたことが何よりです。皆、本当に楽しそうに漕いでいましたね。それはとても嬉しいことですけど、やっぱり自分も出たかったなぁ! というのが本音です」
 と複雑な表情を見せた。
 
 確かに、絶好のパドリング日和。熱心なパドラーにとっては、いてもたってもいられないシチュエーションだったはずだ。
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 相模湾で産声を上げたパドリング愛好家のためのロングレース。
 次回は3月17日(日)に開催されることが決定している。ロング初心者からロングの鉄人まで大歓迎。詳細は随時Facebookにアップされるので、興味のある方はチェックしてみよう。


【rhythm & time Ocean paddle race 2013.03 レース告知】
https://www.facebook.com/events/463943223670763/
(フェイスブックへのログインが必要)







海外で出会った水辺の番人たち2012/12/25

The rescuer who met overseas.

Vol.1 スペインのライフガードLSweb

“水のあるところに水辺の番人あり”ということで、
海外の取材先で出会ったライフガードたちをピックアップ。

第1回目は、スペイン・バレンシアのウォーターフロントで見かけたライフガードを紹介しよう。




文・写真=LSweb編集室




レッドクロスと水難救助

 タイトル写真に写っているレッドクロスを背負ったライフガードたちは、スペイン赤十字のライフガードたちだ。
 
 LSweb災害時の寄付や献血運動などでお馴染みの赤十字(レッドクロス)をスペインでは、“CRUZ ROJA(クルス ロハ)”といい、CRUZ(クルス)が十字、ROJA(ロハ)が赤色という意味で、日本語に訳すと赤十字となる(スペイン語を履修している現役大学生ライフセーバーの皆さん、これで合ってる?)。
 
 赤十字のルーツは、スイス人のアンリー・デュナンが1859年のイタリア統一戦争時の悲惨な光景を目にし、戦場に放置されていた負傷者の救護を中立的に行ったことに端を発する。
 その後もデュナンは、国際的な救護団体の必要性を訴え続けた結果、1864年には国際人道法ともいわれるジュネーブ条約が締結され、赤十字国際組織が誕生したのである。
 
 現在、赤十字の主な役割や活動として、世界中の戦争犠牲者の救援をはじめ、災害被災者の救援、医療・保険・社会福祉などを行っている。
 
 そのひとつに、「救急法等の講習」という指導活動がある。これは、「苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し、いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守る」という使命にもとづいて、「救急法」「水上安全法」「雪上安全法」「幼児安全法」および「健康生活支援講習」の5種類の講習を広く一般に向けて主催しているもの。
 
 その中のひとつである「水上安全法」に基づき、世界中で水難事故から人命を守るため事故防止と救助活動に携わっているのが、レッドクロス所属のライフガードたちなのである。

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ライフガードの誇りと自信

LSweb 少し前の話になるが、2006年5月にスペインのバレンシアで行われた世界最高峰のヨットレース、第32回アメリカズカップの前哨レース「ACT(アクト)」シリーズを取材に行った時のこと。
 
 取材関係者のベースとなるメディアセンターは、ウォーターフロントの一等地にあり、建物のすぐ裏はマリーナになっていた。
 そこには、カメラマンが乗る撮影艇や各チームのセーラーたちが記者会見にやってくる時などにボートを着けるポンツーン(浮き桟橋)がある。最初に彼らと出会ったのは、そのポンツーンの上だった。
 
 我々カメラマンが重たい機材を持ってポンツーンをよたよたと歩いていると、レスキューチューブを持った彼らが笑顔で、「お疲れ様、気をつけて」と声をかけてくれたのだ。それから彼らを見かける度に挨拶を交わすようになった。

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 ある時、彼らにこんな質問をしてみた。
 
 「いつも我々をサポートしてくれてありがとう。ところで、きょうは何か(トラブルが)あった?」
 
 「いいや、なにもないよ。仮に我々の目が届いている範囲でなにか起こっても心配ないさ。僕らは、レスキューのプロフェッショナルだからね」
 
 そういって、胸に付いているレッドクロスのマークをぽんぽんと叩いてウインクしてみせた。さすがである。だからこそ、彼らがいるだけで妙に安心感を覚えるわけだ。
 気がつけば、いつもの定位置に立って海を見ている彼の姿があった。
 
 海水浴に行かなくても、出張先の海外でこんな形でライフガードにサポートされているんだと、初めて気付かされた瞬間だった。




見守る側と見守られる側の関係

LSweb 余談ではあるが、「アメリカズカップ」について一言。100年以上の歴史を持つヨットレースの最高峰、「アメリカズカップ」は、“海のF1”にも例えられ、世界有数の富豪たちが、「至高の銀杯」と呼ばれるカップを手に入れるために莫大な資金を投入し、ただただ名誉のためだけにしのぎを削る壮大なヨットレースだ。
 
 レース海面には、そんな華やかでエキサイティングな戦いを一目見ようと、大小じつにさまざまなヨットやボートで溢れかえる。その数、ざっと見積もっても数百隻は浮かんでいるだろう。
 
 そんな混み合った観覧エリアを巡回している赤いボートがあった。こちらの撮影ボートに近づいてきたので確認してみると、“MEDIC”と書かれた旗とともにレッドクロスのフラッグが掲げられていた。ボートの横腹には“CRUZ ROJA”と入っている。このボートもスペイン赤十字が所有している船で、乗務員はもちろんライフガードである。
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  海洋国家スペインの人たちは、海が大好きだ。アメリカズカップのようなビッグイベントだけでなく大小さまざまなマリンイベントが数多く開催されるお国柄である。
 
 このようなマリンイベント開催時における海上での万が一のケガや事故に備えて必ずレスキュー艇が出動する。常に監視艇が見回ってくれるお陰で、ヨットやボートは安心してイベントに参加できるのである。
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 そのことをプレジャーボートに乗って遊ぶ側も十分理解しており、レスキュー艇に向かって手を振って声をかけたり、飲み物を手渡して労をねぎらったりと、うまくコミュニケーションとっている。見守る側と見守られる側の立場は違えど理解し合い、お互いが意識してより良い関係を築いているように思える。
 
 見守る側と見守られる側、どちらも成熟していてなんともうらやましいと感じ、いまだに印象に残っているスペインのマリン&レスキュー事情のひとコマであった。











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